2007年10月 3日 (水)

9月28日コーミッシェオパー管演奏会

松岡究です。9月28日に行われたコーミッシェオパー管弦楽団の今期最初のコンサートです。

曲目   J・シュトラウス:皇帝円舞曲

      ショスタコーヴィッチ:チェロ協奏曲第2番

      ドヴォルザーク:交響曲第8番ト長調

   チェロ:アルバン・ゲアハルト

   指揮:アレクサンダー・ジナイスキー

何とも奇妙なプログラミング。でも皇帝円舞曲の演奏自体は悪くないけど、何とも無味乾燥と言うか、艶がないというか、色気がないというか。あのウィーンの雰囲気を出すのは本当に難しいですね。

次のショスタコーヴィッチの協奏曲は、私が中学生の時にロストロポーヴィチが確か初来日して、自分に捧げられたこの曲を演奏して以来聴く曲でした。あの時の鬼気迫るロストロのの演奏は今もはっきりと脳裏に焼きついています。そのときの指揮者を飛び越して、自分が弾いていない時に、右手の弓をN響に突きつけて振り回し、当時のホルンの確か田中正大さんが、真っ赤な顔をして吹いてらっしゃいました。もう腰を抜かさんばかりの名演というより、巨大なありえない演奏で、曲が終わっても拍手できなかったことを覚えています。それ以来、この曲は一度も耳にしませんでしたが、ゲアハルトで聴くとよく弾いてるんだけど、やはりあの巨人的な演奏は耳にすることはできませんでした。オーケストラももう一つで、緊張感が持続しなかったのではないでしょうか。

最後のドヴォ8。悪くはないのですが、何とも元気一杯で、ノスタルジーとか自然の美というものからはほど遠く、突進型のドヴォ8でした。こういう演奏は聴いていてあまり気持ちが豊かになりませんね。ジナイスキーは楽員から絶大な信頼を勝ち得ていたので、期待していたのですが、どうやら期待は裏切られたようです。

ちなみに前監督のキリル・ペトレンコはオペラの指揮者オブイヤーに、コーミッシェオパーも、年間最優秀歌劇場に選ばれました。

ちなみに去年ドイチェオパーは酷評されて、どうやらパルンボは辞任に追い込まれそうな雰囲気になってきました。後任にはランニクルズらの名前が挙がっています。

   hakaru matsuoka

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2007年9月24日 (月)

ベルリンコーミッシェオパー J・シュトラウス「こうもり」プレミエ

松岡究です。今日は一段と暑い日になって、ベルリンも夏が戻ってきたかのようでした。勿論早朝・夜は冷え込みますが、それもとても気持ちのいい感じです。

演目  J・シュトラウス「こうもり」プレミエ

  ロザリンデ:グン-ブリット・バルグミン

  アインシュタイン:クラウス・クトラー

  オルロフスキー:カロリーナ・グモシュ

  アルフレード:クリストフ・シュペート  他

指揮:マルクス・ポシュナー

演出:アンドレアス・ホモキ

コーミッシェ・オパーでは、クプファーの演出で、「こうもり」を先シーズンの7月まで上演していました。エレベーターのある大変有名な舞台で、ベルリン子は良くこの演出を知っています。7月までその名高い演出でやられていたところに、新シーズンの幕開けに新しい「こうもり」を持って来たのは、ホモキの強い意欲の表れだと思います。

今回のホモキの演出も、東京「フィガロ」、ベルリン「薔薇の騎士」の流れを強く感じさせました。舞台は急勾配の八百屋舞台。そして休憩を挟んだ2幕後半から、その舞台上では家具類が斜めになったり、ベッドがひっくり返ったりと、貴族社会の風刺・皮肉が大前提になっています。この歪な社会をまず皮肉ることこそホモキには必要で、それはヨーロッパの今尚根底に流れる貧富の差や、色んな格差を皮肉っているようです。登場人物の動かし方は、彼一流の天才的なものがあり、休憩後は幾分だらけたものの、大変楽しめる舞台でした。

ポシュナーは最初は力みすぎて、序曲は空回り。(1年前のムジークフェストでウェルザー・メストがクリーブランド管とやったこうもり序曲は最高でした。彼が小沢さんの後釜になるのはうなずける話です。)しかしそれ以後は極めて快調に飛ばしていました。

カーテンコールでは、ホモキに対してブラボーとブーイングの嵐の中、この舞台が練られて本当にいい舞台になることを願いました。

   hakaru matsuoka

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2007年7月19日 (木)

ベルリンコーミッシェオパー レハール「微笑みの国」

松岡究です。一昨日までの猛暑は影を潜め、やっとヨーロッパらしい夏になってきました。気温は30度に届かず、朝晩は20度くらい。これから週末にかけてはもう少し涼しくなるようです。

演目  レハール 「微笑みの国」

配役  リヒテンフェルス伯爵:ハンス・マルティン・ナウ

     リサ:タチアナ・ガズディク

     グスタフ伯爵:トム・エリック・リー

     スー・チョン王子:イェルグ・ブリュックナー   他

  演出:ペーター・コンヴィチュニー

  指揮:キリル・ペトレンコ

素晴らしい舞台と素晴らしい音楽。レハールがこんない充実した音楽を書いていたなんて恥ずかしながら今まで知りませんでした。まず何と言ってもペトレンコの奏でる音楽が素晴らしい。彼はウィーンフォルクスオパーのカペルマイスターを務めていたこともあり、この作品は既に手の内にあるこなれたものと見受けました。どこを取っても伸びやかな旋律とフレージング。そしてここぞと言う時のオケのドライブ。こんなに劇的なオペレッタだったんですね。勿論カーテンコールではペトレンコとオケに盛大な拍手とブラボーが。

歌手では声は少し非力ながら、王子役の代役を務めたブリュックナーがすばらしい。代役としては大成功。

コンヴィチュニーの演出は平たく言えば「反戦・反核。命の尊さ」にあったのではないかと思います。8人の国賓が出てくる所謂バレーの場面では、ナポレオン・ヒトラー・毛沢東・カストロ等の所謂独裁者を出し殺し合いをさせ、その場面の最後には核爆発の映像を流し、また2幕の女声合唱の場面では、戦争のむごさと虚無感を見事に演出していました。そして最後にはあっけなくミーの友人を中国人に殺害させ、中国での毛沢東の大量殺戮を暗に批判しているのではなかったかと思います。コンヴィチュニーが甘く切ない最後を悲劇として演出したことには度肝を抜かされました。まさに衝撃的舞台。そして素晴らしい舞台でした。

と言うことで、音楽監督のペトレンコは今日を最後にここを離れ、しばらくフリーで活躍するそうです。ペトレンコとコーミッシェオパーの蜜月時代は今日終わりました。素晴らしい時に私はここで勉強させていただき、心から感謝しています。

P.S.先日コワルスキーはコーミッシェオパーの専属をやめると書きましたが、引き続き専属を務めるようです。申し訳ありませんでした。 

   hakaru matsuoka

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2007年7月17日 (火)

ベルリンコーミッシェオパー R・シュトラウス「薔薇の騎士」

松岡究です。今日は暑かったです。38度会ったようで、外にでていると空気が体温より高いのが良くわかります。

久しぶりにトランペットの高見信行君と会って、昼はベトナム料理をご一緒しました。彼は去年の毎コン1位と言う優れものです。日本でも時々コンサートをやっているようです。音色は素晴らしいし、テクニックも抜群で、きっと日本を代表するトランペッターになるでしょう。楽しいひと時でした。

演目  R・シュトラウス「薔薇の騎士」

配役  公爵夫人:ゲラルディーネ・マックグレーヴィー

     オックス男爵:ヤンス・ラルセン

     オクタヴィアン:ステラ・ドゥフェクシス

     ゾフィー:ブリギッテ・ゲラー    他

  演出:アンドレアス・ホモキ

  指揮:キリル・ペトレンコ

この舞台は去年の4月のプレミエを出した舞台で、私はこのブログでベルリンで聴いたオペラの中のベスト5の一つということを書いたと思います。今日はそれを1枚も2枚も上回る素晴らしい舞台。プレミエのときのぎこちなさは全く無くなり、演技や動作が全て自然で、演出の意図が大変明確になっていました。歌手陣は上記の4人が圧倒的に素晴らしく、特に3重唱はうっとりするくらいに美しく、またラルセンの熱演は観客を惹きつけずにはいませんでした。そして何よりペトレンコとオケが素晴らしい音楽を奏で、4時間7分と言う時間の長さを全く感じさせない、引き締まりかつ雄大な音楽作りで大きな喝采を浴びていました。予告では4時間半と言う舞台だったのが、4時間7分と言う時間になったことからもどれだけスピーディーにそして引き締まった時間であったかがお分かりになると思います。言葉を変えて言うならば、それはペトレンコの音楽性そのもので、この若き巨匠の将来が本当に嘱望されます。

   hakaru matsuoka

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2007年7月16日 (月)

ベルリンコーミッシェオパー J・シュトラウス「こうもり」

松岡究です。ベルリンは予報どおり思いっきり夏になってしまいました。気温はそれまでの15・6度から倍の30度以上。今日などは35~8度の予報が出ています。大きな施設は冷房があるのですが、ほとんどそのようなものは無いのが一般的なので、例えば電車やバスなどはうだるような暑さです。多分車内は40度を優に超えていると思われます。大体が寒いところなので、バスや電車も大きな窓が開く設計ではありません。私のアパートは北向きなので、外とは全然違って長袖が必要です。一種の天然クーラーみたいなもんです(良かった!)。

演目   J・シュトラウス 「こうもり」

配役   アイゼンシュタイン伯爵:シュテファン・シュピーヴォク

      ロザリンデ:ジネアド・ムルヘルン

      オルロフスキー:ヨッヘン・コワルスキー    他

   演出:ハリー・クプファー

   指揮:キンボー・イシイ・エトー

クプファーの演出での最後の舞台。舞台にエレベーターを備え、舞台を回転させてスピーディーに物語を進行させるこの名舞台も最後の公演になりました。確か日本にもこの舞台は行っているはずです。今日で終わりとばかり、舞台では色々とアドリブがでてそれに聴衆が反応して大変活気ある舞台になっていました。またコワルスキーも今回でオパーの専属をやめるらしく (彼はここ数年この舞台にしか顔を出していません)、彼のファンがたくさん。見た感じはかなりお年を召したように見受けられましたが、歌い始めるとその声は健在!聴衆にも大うけで、カーテンコールでは花束が何本も投げ入れられる人気ぶり。やはり一世を風靡した人なんであります。

キンボーはこのオケから、ウィーン風の溌剌とした音楽を引き出していました。

来期はホモキの新演出で「こうもり」は続きます。早速9月23日にプレミエがあります。その様子はまたこのブログで報告したいと思っています。

    hakaru matsuoka

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2007年7月14日 (土)

コーミッシェオパー管定期公演

松岡究です。今日は幾分寒さは和らいだものの、依然として気温は11度から18度の間で、長袖にセーターの生活です。明日あたりから急に夏がくる予報が出ている模様ですが、どうなることやら。

曲目   シベリウス:交響曲第7番ハ長調作品105

      ニールセン:フルート協奏曲

      ラフマニノフ:「鐘」 ソリストと合唱とオーケストラのための

    フルート:クリスティアーネ・ファスベンダー

    ソプラノ:タチアナ・ガズディク

    テノール:パヴォル・ブレスリク

    バリトン:アレクサンダー・ヴィノグラードフ

    合唱:コーミッシェオパー合唱団

    指揮:キリル・ペトレンコ

たいへん充実したコンサートでした。今期限りでコーミッシェオパーを去るペトレンコと言うこともあって会場は超満員。コーミッシェオパーが満員札止めになるのはシーズンの中でもそんなにあることではなく、これを持ってしても彼のこのオペラハウスに残した足跡と楽員聴衆からの支持はたいへん熱いものがあったと思います。

最初のシベリウスの第7交響曲。ペトレンコにたいへん柔軟さが加わってきているように思えました。特に前半部分での悠揚たるオケの歌わせ方は彼の新境地を垣間見た思いです。後半やや表面的に流れる傾向があったことは残念でしたが、しかしこの難曲をここまで聴かせるのは彼の著しい進歩の証です。

2曲目のニールセンは以前にベルリンフィルでラトルとパユがやったことを思い出しました。フルートのファスベンダーはこのオケの首席奏者ですが、たいへんな名手でコーミッシェオパーのメンバーもだんだんと名手ぞろいになってきました。その彼女は清潔な音楽性と確かなテクニックで私としてはパユよりも楽しめた演奏でした。

最後の「鐘」。耳にするのは初めてでした。ペトレンコは実に入念にこの作品に取り組み、大きなうねるような表情や歌謡性を存分にオケから引き出していましたが、合唱が少々乱雑だったのは残念。ソロはソプラノのガズディクが柔らかい声とフレージングを大きく取った歌で秀逸でした。ただ疑問なのはこの曲はそんなに良い曲なんでしょうか?なんとなく内容の無い駄作のような気がしますが。

終演後はインテンダンとのホモキ氏が出てきて、ペトレンコに5年間の感謝と功績をたたえる演説をし、オケからも感謝の言葉が述べられ、彼の退任を祝いまた惜しんでいました。

   hakaru matsuoka

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2007年5月31日 (木)

ベルリンコーミッシェオパー グルック「タウリスのイフィゲニー」

松岡究です。今日は一日肌寒い一日でした。皆コートを着たりジャケットを着たりしていました。勿論T-シャツの人もいますけど。夜の7時にオペラが始まって、終わったのが8時50分。劇場から出てくるとまだ明るいんです。妙に感激してしまいました。本当に一日が長くて、ヨーロッパの人たちにとってはたいへん貴重な夏なんだとあらためて思いました。

演目  グルック:「タウリスのイフィゲニー」

  配役  イフィゲニー:ゲラルディーネ・マックグレーヴィー

       オレスト:ケヴィン・グリーンロウ

       ピラーデス:ペーター・ロダール

       トアス:ロニー・ヨハンセン

       ディアナ:エリザベス・シュタルツィンガー

   指揮:ポール・グッドウィン

   演出:バリー・コスキー

休憩無しで上演された約1時間45分。舞台と音楽が緊密に結びついたたいへん素晴らしい上演でした。これほど緊迫感が最初から最後まで張り詰め、見ている人を飽きさせない上演も珍しいでしょう(4月22日プレミエ)。まず演出の力。昨日と同じコスキーの演出。舞台奥に光の当て方で変わる大きな抽象画を配し、それが場面の心理を的確に表していきます。それが時に涙したり、大きな慟哭を表していたりと素晴らしい発想。また歌手達も素晴らしい迫真の演技でその緊迫感を持続させます。音楽は指揮のグッドウィンの古楽器奏法を用いた緊迫感溢れる素晴らしい演奏と、歌手・合唱とも緊密な連絡を取った素晴らしいアンサンブル。ここまで息がぴたりとあって、空きのないオペラ上演も珍しいのではないでしょうか。また一つ素晴らしい舞台が出現しました。勿論今期も後3回上演され、来期も勿論コーミッシェオパーのレパートリーとして上演されます。

   hakaru matsuoka

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2007年5月30日 (水)

ベルリンコーミッシェオパー モーツァルト「フィガロの結婚」

松岡究です。このところ毎日夕立が降っています。今日も午後4時ころから1時間くらい夕立がありました。ベルリンの上空で暖かい空気と冷たい空気が交錯しているんでしょう。気温の較差が激しいです。

それから今日はオパーのオケのヴィオラ奏者の西山雄太君のご両親と劇場でばったりと再会し、観劇後雄太君とキンボーさんとご両親、日本からのお客様の浜野さんらと楽しい時間を過ごしました。

演目   モーツァルト:フィガロの結婚

配役

    伯爵:ギュンター・パーペンデル

    伯爵夫人:ベッティーナ・イェンセン

    フィガロ:ジェームス・クレスウェル

    スザンナ:ブリギッテ・ゲラー

    ケルビーノ:エリザベス・シュタルジンガー

    バジリオ:クリストフ・シュペート

    バルトロ:イェンス・ラルセン   他

  指揮 キンボー・イシイ=エトー

  演出バリー・コスキー

今日のフィガロはとてもいいテンポ感で、物語がどんどん進行して退屈せずたいへん楽しめる劇になっていました。それはとりもなおさずキンボーのテンポ設定の成功が第一で、3年前からこの演出でやってきた歌手陣のアンサンブルのよさにあります。

今日は今シーズン最後のフィガロの公演でしたが、たいへん充実した内容に満足。

   hakaru matsuoka

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2007年5月26日 (土)

ベルリンコーミッシェオパー ロッシーニ「セビリアの理髪師」

松岡究です。今日も熱い一日でしたが、オペラが終わって外に出ると通り雨があったらしく道がぬれていました。気温もぐっと下がって、半袖では寒いかな?というくらいに気温が急降下。「でも本当はこのくらいの気温がベルリンの今の時期の気温のはず」などと思いながら帰宅しました。

演目   ロッシーニ:セビリアの理髪師

配役  アルマヴィーヴァ伯爵:トーマス・ミハエル・アレン

     ロジーナ:カロリーナ・グモス

     バルトロ:マンフレッド・ザブロウスキ

     フィガロ:クラウス・クトラー

     バジリオ:ハンス・ペーター・シャイデッガー  他

   指揮:キンボー・イシイ=エトウ

   演出:ダニエル・スラター

大変楽しめた一夜。特にフィガロのクトラーがいいですね。いかにもイタリア的な明るい良く通る声と達者な演技で、今日の一押し。バルトロのザブロウスキも達者な演技で素晴らしい。バジリオのシャイデッガーは立派な声を持っていながら、それを生かしきれていないので、もう一つ演技にもそのキャラクターが生きてこなくて惜しいですね、声がいいだけに。ロジーナのグモスと伯爵のアレンは共にいいのですが、もう一つインパクトに欠けるのが惜しい。

指揮のキンボーも尻上がりに良くなって、とても良いテンポを作っていました。少しオケに傷はあったものの、全くの許容範囲。

それにしてもこのオペラをドイツ語でやるのには出演者皆がかなり意識してやらないと重く泥臭くなってしまうと思うんですが、それは杞憂に終わり、逆にドイツ語で大変軽快にやっていたところは素晴らしいとしか言いようがないです。

   hakaru matsuoka

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2007年4月25日 (水)

ベルリンコーミッシェオパー オッフェンバック「ホフマン物語」

松岡究です。今日は久しぶりにコーミッシェオパーの本番を聴きました。

演目   オッフェンバック:ホフマン物語

配役  ホフマン:ティモシー・リチャード

     オリンピア:コルネリア・ゲッツ

     アントニア:シネアド・ムルヘルン

     ジュリエッタ:カロリナ・グモス

     二クラス:ステラ・ドゥフェクシス 他

  指揮:キンボー・イシイ=エトー

  演出:ウィリー・デッカー

今年の2月にプレミエを出した新演出での舞台。

キンボーさんの指揮は大変流れが良くて、音楽が滞らないのがまず良かったですね。鳴らすところは鳴らして、舞台を盛り上げていました。歌手ではアントニアのムルヘルンが良かったです。この人は私がこのオパーに来た時から聴いていて、以前より声に硬さがなくなってきた感じがあります。もう少しビブラートの幅がなくなると素晴らしいんだけど。オリンピアのゲッツは声は良く出るんですが、この役にはちょっと質的に違和感があります。なんと言うか太いんですね、声の質が。だからいたぶられるかわいげなオリンピアでは決してなくて、ちょっと年取った感じに見えてしまいました。女声陣ではこの2人かな、取り上げたいのは。あとの人たちはちょっと印象が薄いです。

演出もそんなに奇を衒った感じはなくすんなりと入って行けて、いいんじゃないでしょうか。もっと良かったのは、3幕まで通しでやったことで舞台の緊張度が普段見る舞台よりは格段に良かったことが上げられるのではないでしょうか。ざっと2時間休憩無しで、最後の4幕が45分くらいと言うのも、舞台進行としてはかなり考えられていたと思いました。

    hakaru matsuoka

    

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