2007年10月 3日 (水)

9月28日コーミッシェオパー管演奏会

松岡究です。9月28日に行われたコーミッシェオパー管弦楽団の今期最初のコンサートです。

曲目   J・シュトラウス:皇帝円舞曲

      ショスタコーヴィッチ:チェロ協奏曲第2番

      ドヴォルザーク:交響曲第8番ト長調

   チェロ:アルバン・ゲアハルト

   指揮:アレクサンダー・ジナイスキー

何とも奇妙なプログラミング。でも皇帝円舞曲の演奏自体は悪くないけど、何とも無味乾燥と言うか、艶がないというか、色気がないというか。あのウィーンの雰囲気を出すのは本当に難しいですね。

次のショスタコーヴィッチの協奏曲は、私が中学生の時にロストロポーヴィチが確か初来日して、自分に捧げられたこの曲を演奏して以来聴く曲でした。あの時の鬼気迫るロストロのの演奏は今もはっきりと脳裏に焼きついています。そのときの指揮者を飛び越して、自分が弾いていない時に、右手の弓をN響に突きつけて振り回し、当時のホルンの確か田中正大さんが、真っ赤な顔をして吹いてらっしゃいました。もう腰を抜かさんばかりの名演というより、巨大なありえない演奏で、曲が終わっても拍手できなかったことを覚えています。それ以来、この曲は一度も耳にしませんでしたが、ゲアハルトで聴くとよく弾いてるんだけど、やはりあの巨人的な演奏は耳にすることはできませんでした。オーケストラももう一つで、緊張感が持続しなかったのではないでしょうか。

最後のドヴォ8。悪くはないのですが、何とも元気一杯で、ノスタルジーとか自然の美というものからはほど遠く、突進型のドヴォ8でした。こういう演奏は聴いていてあまり気持ちが豊かになりませんね。ジナイスキーは楽員から絶大な信頼を勝ち得ていたので、期待していたのですが、どうやら期待は裏切られたようです。

ちなみに前監督のキリル・ペトレンコはオペラの指揮者オブイヤーに、コーミッシェオパーも、年間最優秀歌劇場に選ばれました。

ちなみに去年ドイチェオパーは酷評されて、どうやらパルンボは辞任に追い込まれそうな雰囲気になってきました。後任にはランニクルズらの名前が挙がっています。

   hakaru matsuoka

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2007年9月24日 (月)

ベルリンコーミッシェオパー J・シュトラウス「こうもり」プレミエ

松岡究です。今日は一段と暑い日になって、ベルリンも夏が戻ってきたかのようでした。勿論早朝・夜は冷え込みますが、それもとても気持ちのいい感じです。

演目  J・シュトラウス「こうもり」プレミエ

  ロザリンデ:グン-ブリット・バルグミン

  アインシュタイン:クラウス・クトラー

  オルロフスキー:カロリーナ・グモシュ

  アルフレード:クリストフ・シュペート  他

指揮:マルクス・ポシュナー

演出:アンドレアス・ホモキ

コーミッシェ・オパーでは、クプファーの演出で、「こうもり」を先シーズンの7月まで上演していました。エレベーターのある大変有名な舞台で、ベルリン子は良くこの演出を知っています。7月までその名高い演出でやられていたところに、新シーズンの幕開けに新しい「こうもり」を持って来たのは、ホモキの強い意欲の表れだと思います。

今回のホモキの演出も、東京「フィガロ」、ベルリン「薔薇の騎士」の流れを強く感じさせました。舞台は急勾配の八百屋舞台。そして休憩を挟んだ2幕後半から、その舞台上では家具類が斜めになったり、ベッドがひっくり返ったりと、貴族社会の風刺・皮肉が大前提になっています。この歪な社会をまず皮肉ることこそホモキには必要で、それはヨーロッパの今尚根底に流れる貧富の差や、色んな格差を皮肉っているようです。登場人物の動かし方は、彼一流の天才的なものがあり、休憩後は幾分だらけたものの、大変楽しめる舞台でした。

ポシュナーは最初は力みすぎて、序曲は空回り。(1年前のムジークフェストでウェルザー・メストがクリーブランド管とやったこうもり序曲は最高でした。彼が小沢さんの後釜になるのはうなずける話です。)しかしそれ以後は極めて快調に飛ばしていました。

カーテンコールでは、ホモキに対してブラボーとブーイングの嵐の中、この舞台が練られて本当にいい舞台になることを願いました。

   hakaru matsuoka

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2007年7月19日 (木)

ベルリンコーミッシェオパー レハール「微笑みの国」

松岡究です。一昨日までの猛暑は影を潜め、やっとヨーロッパらしい夏になってきました。気温は30度に届かず、朝晩は20度くらい。これから週末にかけてはもう少し涼しくなるようです。

演目  レハール 「微笑みの国」

配役  リヒテンフェルス伯爵:ハンス・マルティン・ナウ

     リサ:タチアナ・ガズディク

     グスタフ伯爵:トム・エリック・リー

     スー・チョン王子:イェルグ・ブリュックナー   他

  演出:ペーター・コンヴィチュニー

  指揮:キリル・ペトレンコ

素晴らしい舞台と素晴らしい音楽。レハールがこんない充実した音楽を書いていたなんて恥ずかしながら今まで知りませんでした。まず何と言ってもペトレンコの奏でる音楽が素晴らしい。彼はウィーンフォルクスオパーのカペルマイスターを務めていたこともあり、この作品は既に手の内にあるこなれたものと見受けました。どこを取っても伸びやかな旋律とフレージング。そしてここぞと言う時のオケのドライブ。こんなに劇的なオペレッタだったんですね。勿論カーテンコールではペトレンコとオケに盛大な拍手とブラボーが。

歌手では声は少し非力ながら、王子役の代役を務めたブリュックナーがすばらしい。代役としては大成功。

コンヴィチュニーの演出は平たく言えば「反戦・反核。命の尊さ」にあったのではないかと思います。8人の国賓が出てくる所謂バレーの場面では、ナポレオン・ヒトラー・毛沢東・カストロ等の所謂独裁者を出し殺し合いをさせ、その場面の最後には核爆発の映像を流し、また2幕の女声合唱の場面では、戦争のむごさと虚無感を見事に演出していました。そして最後にはあっけなくミーの友人を中国人に殺害させ、中国での毛沢東の大量殺戮を暗に批判しているのではなかったかと思います。コンヴィチュニーが甘く切ない最後を悲劇として演出したことには度肝を抜かされました。まさに衝撃的舞台。そして素晴らしい舞台でした。

と言うことで、音楽監督のペトレンコは今日を最後にここを離れ、しばらくフリーで活躍するそうです。ペトレンコとコーミッシェオパーの蜜月時代は今日終わりました。素晴らしい時に私はここで勉強させていただき、心から感謝しています。

P.S.先日コワルスキーはコーミッシェオパーの専属をやめると書きましたが、引き続き専属を務めるようです。申し訳ありませんでした。 

   hakaru matsuoka

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2007年7月17日 (火)

ベルリンコーミッシェオパー R・シュトラウス「薔薇の騎士」

松岡究です。今日は暑かったです。38度会ったようで、外にでていると空気が体温より高いのが良くわかります。

久しぶりにトランペットの高見信行君と会って、昼はベトナム料理をご一緒しました。彼は去年の毎コン1位と言う優れものです。日本でも時々コンサートをやっているようです。音色は素晴らしいし、テクニックも抜群で、きっと日本を代表するトランペッターになるでしょう。楽しいひと時でした。

演目  R・シュトラウス「薔薇の騎士」

配役  公爵夫人:ゲラルディーネ・マックグレーヴィー

     オックス男爵:ヤンス・ラルセン

     オクタヴィアン:ステラ・ドゥフェクシス

     ゾフィー:ブリギッテ・ゲラー    他

  演出:アンドレアス・ホモキ

  指揮:キリル・ペトレンコ

この舞台は去年の4月のプレミエを出した舞台で、私はこのブログでベルリンで聴いたオペラの中のベスト5の一つということを書いたと思います。今日はそれを1枚も2枚も上回る素晴らしい舞台。プレミエのときのぎこちなさは全く無くなり、演技や動作が全て自然で、演出の意図が大変明確になっていました。歌手陣は上記の4人が圧倒的に素晴らしく、特に3重唱はうっとりするくらいに美しく、またラルセンの熱演は観客を惹きつけずにはいませんでした。そして何よりペトレンコとオケが素晴らしい音楽を奏で、4時間7分と言う時間の長さを全く感じさせない、引き締まりかつ雄大な音楽作りで大きな喝采を浴びていました。予告では4時間半と言う舞台だったのが、4時間7分と言う時間になったことからもどれだけスピーディーにそして引き締まった時間であったかがお分かりになると思います。言葉を変えて言うならば、それはペトレンコの音楽性そのもので、この若き巨匠の将来が本当に嘱望されます。

   hakaru matsuoka

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2007年7月16日 (月)

ベルリンコーミッシェオパー J・シュトラウス「こうもり」

松岡究です。ベルリンは予報どおり思いっきり夏になってしまいました。気温はそれまでの15・6度から倍の30度以上。今日などは35~8度の予報が出ています。大きな施設は冷房があるのですが、ほとんどそのようなものは無いのが一般的なので、例えば電車やバスなどはうだるような暑さです。多分車内は40度を優に超えていると思われます。大体が寒いところなので、バスや電車も大きな窓が開く設計ではありません。私のアパートは北向きなので、外とは全然違って長袖が必要です。一種の天然クーラーみたいなもんです(良かった!)。

演目   J・シュトラウス 「こうもり」

配役   アイゼンシュタイン伯爵:シュテファン・シュピーヴォク

      ロザリンデ:ジネアド・ムルヘルン

      オルロフスキー:ヨッヘン・コワルスキー    他

   演出:ハリー・クプファー

   指揮:キンボー・イシイ・エトー

クプファーの演出での最後の舞台。舞台にエレベーターを備え、舞台を回転させてスピーディーに物語を進行させるこの名舞台も最後の公演になりました。確か日本にもこの舞台は行っているはずです。今日で終わりとばかり、舞台では色々とアドリブがでてそれに聴衆が反応して大変活気ある舞台になっていました。またコワルスキーも今回でオパーの専属をやめるらしく (彼はここ数年この舞台にしか顔を出していません)、彼のファンがたくさん。見た感じはかなりお年を召したように見受けられましたが、歌い始めるとその声は健在!聴衆にも大うけで、カーテンコールでは花束が何本も投げ入れられる人気ぶり。やはり一世を風靡した人なんであります。

キンボーはこのオケから、ウィーン風の溌剌とした音楽を引き出していました。

来期はホモキの新演出で「こうもり」は続きます。早速9月23日にプレミエがあります。その様子はまたこのブログで報告したいと思っています。

    hakaru matsuoka

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2007年7月14日 (土)

コーミッシェオパー管定期公演

松岡究です。今日は幾分寒さは和らいだものの、依然として気温は11度から18度の間で、長袖にセーターの生活です。明日あたりから急に夏がくる予報が出ている模様ですが、どうなることやら。

曲目   シベリウス:交響曲第7番ハ長調作品105

      ニールセン:フルート協奏曲

      ラフマニノフ:「鐘」 ソリストと合唱とオーケストラのための

    フルート:クリスティアーネ・ファスベンダー

    ソプラノ:タチアナ・ガズディク

    テノール:パヴォル・ブレスリク

    バリトン:アレクサンダー・ヴィノグラードフ

    合唱:コーミッシェオパー合唱団

    指揮:キリル・ペトレンコ

たいへん充実したコンサートでした。今期限りでコーミッシェオパーを去るペトレンコと言うこともあって会場は超満員。コーミッシェオパーが満員札止めになるのはシーズンの中でもそんなにあることではなく、これを持ってしても彼のこのオペラハウスに残した足跡と楽員聴衆からの支持はたいへん熱いものがあったと思います。

最初のシベリウスの第7交響曲。ペトレンコにたいへん柔軟さが加わってきているように思えました。特に前半部分での悠揚たるオケの歌わせ方は彼の新境地を垣間見た思いです。後半やや表面的に流れる傾向があったことは残念でしたが、しかしこの難曲をここまで聴かせるのは彼の著しい進歩の証です。

2曲目のニールセンは以前にベルリンフィルでラトルとパユがやったことを思い出しました。フルートのファスベンダーはこのオケの首席奏者ですが、たいへんな名手でコーミッシェオパーのメンバーもだんだんと名手ぞろいになってきました。その彼女は清潔な音楽性と確かなテクニックで私としてはパユよりも楽しめた演奏でした。

最後の「鐘」。耳にするのは初めてでした。ペトレンコは実に入念にこの作品に取り組み、大きなうねるような表情や歌謡性を存分にオケから引き出していましたが、合唱が少々乱雑だったのは残念。ソロはソプラノのガズディクが柔らかい声とフレージングを大きく取った歌で秀逸でした。ただ疑問なのはこの曲はそんなに良い曲なんでしょうか?なんとなく内容の無い駄作のような気がしますが。

終演後はインテンダンとのホモキ氏が出てきて、ペトレンコに5年間の感謝と功績をたたえる演説をし、オケからも感謝の言葉が述べられ、彼の退任を祝いまた惜しんでいました。

   hakaru matsuoka

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2007年5月31日 (木)

ベルリンコーミッシェオパー グルック「タウリスのイフィゲニー」

松岡究です。今日は一日肌寒い一日でした。皆コートを着たりジャケットを着たりしていました。勿論T-シャツの人もいますけど。夜の7時にオペラが始まって、終わったのが8時50分。劇場から出てくるとまだ明るいんです。妙に感激してしまいました。本当に一日が長くて、ヨーロッパの人たちにとってはたいへん貴重な夏なんだとあらためて思いました。

演目  グルック:「タウリスのイフィゲニー」

  配役  イフィゲニー:ゲラルディーネ・マックグレーヴィー

       オレスト:ケヴィン・グリーンロウ

       ピラーデス:ペーター・ロダール

       トアス:ロニー・ヨハンセン

       ディアナ:エリザベス・シュタルツィンガー

   指揮:ポール・グッドウィン

   演出:バリー・コスキー

休憩無しで上演された約1時間45分。舞台と音楽が緊密に結びついたたいへん素晴らしい上演でした。これほど緊迫感が最初から最後まで張り詰め、見ている人を飽きさせない上演も珍しいでしょう(4月22日プレミエ)。まず演出の力。昨日と同じコスキーの演出。舞台奥に光の当て方で変わる大きな抽象画を配し、それが場面の心理を的確に表していきます。それが時に涙したり、大きな慟哭を表していたりと素晴らしい発想。また歌手達も素晴らしい迫真の演技でその緊迫感を持続させます。音楽は指揮のグッドウィンの古楽器奏法を用いた緊迫感溢れる素晴らしい演奏と、歌手・合唱とも緊密な連絡を取った素晴らしいアンサンブル。ここまで息がぴたりとあって、空きのないオペラ上演も珍しいのではないでしょうか。また一つ素晴らしい舞台が出現しました。勿論今期も後3回上演され、来期も勿論コーミッシェオパーのレパートリーとして上演されます。

   hakaru matsuoka

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2007年5月30日 (水)

ベルリンコーミッシェオパー モーツァルト「フィガロの結婚」

松岡究です。このところ毎日夕立が降っています。今日も午後4時ころから1時間くらい夕立がありました。ベルリンの上空で暖かい空気と冷たい空気が交錯しているんでしょう。気温の較差が激しいです。

それから今日はオパーのオケのヴィオラ奏者の西山雄太君のご両親と劇場でばったりと再会し、観劇後雄太君とキンボーさんとご両親、日本からのお客様の浜野さんらと楽しい時間を過ごしました。

演目   モーツァルト:フィガロの結婚

配役

    伯爵:ギュンター・パーペンデル

    伯爵夫人:ベッティーナ・イェンセン

    フィガロ:ジェームス・クレスウェル

    スザンナ:ブリギッテ・ゲラー

    ケルビーノ:エリザベス・シュタルジンガー

    バジリオ:クリストフ・シュペート

    バルトロ:イェンス・ラルセン   他

  指揮 キンボー・イシイ=エトー

  演出バリー・コスキー

今日のフィガロはとてもいいテンポ感で、物語がどんどん進行して退屈せずたいへん楽しめる劇になっていました。それはとりもなおさずキンボーのテンポ設定の成功が第一で、3年前からこの演出でやってきた歌手陣のアンサンブルのよさにあります。

今日は今シーズン最後のフィガロの公演でしたが、たいへん充実した内容に満足。

   hakaru matsuoka

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2007年5月26日 (土)

ベルリンコーミッシェオパー ロッシーニ「セビリアの理髪師」

松岡究です。今日も熱い一日でしたが、オペラが終わって外に出ると通り雨があったらしく道がぬれていました。気温もぐっと下がって、半袖では寒いかな?というくらいに気温が急降下。「でも本当はこのくらいの気温がベルリンの今の時期の気温のはず」などと思いながら帰宅しました。

演目   ロッシーニ:セビリアの理髪師

配役  アルマヴィーヴァ伯爵:トーマス・ミハエル・アレン

     ロジーナ:カロリーナ・グモス

     バルトロ:マンフレッド・ザブロウスキ

     フィガロ:クラウス・クトラー

     バジリオ:ハンス・ペーター・シャイデッガー  他

   指揮:キンボー・イシイ=エトウ

   演出:ダニエル・スラター

大変楽しめた一夜。特にフィガロのクトラーがいいですね。いかにもイタリア的な明るい良く通る声と達者な演技で、今日の一押し。バルトロのザブロウスキも達者な演技で素晴らしい。バジリオのシャイデッガーは立派な声を持っていながら、それを生かしきれていないので、もう一つ演技にもそのキャラクターが生きてこなくて惜しいですね、声がいいだけに。ロジーナのグモスと伯爵のアレンは共にいいのですが、もう一つインパクトに欠けるのが惜しい。

指揮のキンボーも尻上がりに良くなって、とても良いテンポを作っていました。少しオケに傷はあったものの、全くの許容範囲。

それにしてもこのオペラをドイツ語でやるのには出演者皆がかなり意識してやらないと重く泥臭くなってしまうと思うんですが、それは杞憂に終わり、逆にドイツ語で大変軽快にやっていたところは素晴らしいとしか言いようがないです。

   hakaru matsuoka

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2007年4月25日 (水)

ベルリンコーミッシェオパー オッフェンバック「ホフマン物語」

松岡究です。今日は久しぶりにコーミッシェオパーの本番を聴きました。

演目   オッフェンバック:ホフマン物語

配役  ホフマン:ティモシー・リチャード

     オリンピア:コルネリア・ゲッツ

     アントニア:シネアド・ムルヘルン

     ジュリエッタ:カロリナ・グモス

     二クラス:ステラ・ドゥフェクシス 他

  指揮:キンボー・イシイ=エトー

  演出:ウィリー・デッカー

今年の2月にプレミエを出した新演出での舞台。

キンボーさんの指揮は大変流れが良くて、音楽が滞らないのがまず良かったですね。鳴らすところは鳴らして、舞台を盛り上げていました。歌手ではアントニアのムルヘルンが良かったです。この人は私がこのオパーに来た時から聴いていて、以前より声に硬さがなくなってきた感じがあります。もう少しビブラートの幅がなくなると素晴らしいんだけど。オリンピアのゲッツは声は良く出るんですが、この役にはちょっと質的に違和感があります。なんと言うか太いんですね、声の質が。だからいたぶられるかわいげなオリンピアでは決してなくて、ちょっと年取った感じに見えてしまいました。女声陣ではこの2人かな、取り上げたいのは。あとの人たちはちょっと印象が薄いです。

演出もそんなに奇を衒った感じはなくすんなりと入って行けて、いいんじゃないでしょうか。もっと良かったのは、3幕まで通しでやったことで舞台の緊張度が普段見る舞台よりは格段に良かったことが上げられるのではないでしょうか。ざっと2時間休憩無しで、最後の4幕が45分くらいと言うのも、舞台進行としてはかなり考えられていたと思いました。

    hakaru matsuoka

    

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2007年2月13日 (火)

ベルリンコーミッシェオパー モーツァルト「魔笛」

松岡究です。今日は大分暖かい一日でした。朝起きると昨日の雪は全部溶けていました。

今日のオペラは1月についで2度目になります。今回はドイツで経営コンサルティングでご活躍の松田龍太郎さん、通訳のヴォルフラム・ミッテルホイザーさんと3人での観劇でした。お二人が泊まっていらっしゃるホテルまで出向き、タクシーで劇場まで。軽くホワイエでお腹を満たした後観劇。休憩中やタクシーの中で色々お話できて、大変勉強になりました。ここにはなかなか書けませんが、やはり一線でバリバリに活躍なさっておられる方のマインドと行動力は普通の方とは一線を画すものです。ミッテルホイザーさんも大変流暢な日本語を操る方で、頂いたメールなどは日本人より完璧です。お二人に感謝!有難うございました。

さて2度目になる魔笛。一度目は面白いのとモーツァルトでこんなのあり!?との思いが交錯して、何ともいえない感じでしたが、今日やっといろんなことが見えてきました。

一言で言うと「大人の魔笛」なのです。

タミーノは大蛇に倒れるのではなく、マリリン・モンロー風の3人のダーメの毒にやられます。3人の童子は最初はひげを生やした老人に、2度目の登場ではインテリ風名探偵コナン、3度目は・・・しかしそれは全部操り人形なのです。夜の女王は1幕のアリアを歌っている最中に左手をもぎ取り、かつらを脱ぎ捨て、最後には倒れてしまいます。そして担架で運ばれる時に、左足がもげてしまいます。そうサイボーグ人間、それもポンコツの。「水」の試練、「火」の試練はそれぞれ海蛇に耐えられるか、鉄砲を向けられたことに耐えられるか。そしてもう一つ演出家が言いたかったことは「セックス」の試練。タミーノは普通であれば魔笛を吹くところが何度かありますが、それが笛ではなく男根を抱きしめながらそれに酔っているのです。パパゲーノも魔法の鈴を鳴らすと自分の物が疼いてしょうがないのです。それもこれも全部が3人の新しい登場人物(演出家が新しく書き下ろしたリブレットに沿って)の仕掛ける試練なわけですね。

最後には、勿論夜の女王もダーメもモノスタトスもいなくなってしまいますが、ザラストロも急性心不全で死んでしまいます。そして合唱はワインとパンを持って最後の合唱を歌います。つまりオシリスもイリスもそしてフリーメイソンも関係ない。我々は最終的にはキリストに帰依しているのだということなのでしょうか?

こういった新しい演出(リブレットの書き換え・追加)はこれからのオペラの生き残りの一つの方向かもしれません。確かに客は沸き、笑いは絶えず起こり観客は本当に楽しんでいるようでした。しかし、感動したとは言いにくい。こういった演出だと音楽がやはり後退してしまいます。歌い手は皆素晴らしいのですが、例えばパミーナのアリアが絶望のどん底で歌われるのが通常ですが、舞台がそういうシトゥエイションになってないので、この慟哭が聞えてこないのです。感動と楽しさが相容れないようなところにオペラの将来に一段と危惧を覚えるのは私だけでしょうか?

演出:ハンス・ノイエンフェルス

     hakaru matsuoka

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2007年1月10日 (水)

ベルリンコーミッシェオパー モーツァルト「魔笛」

松岡究です。ベルリンの気候は本当に変です。一昨日あたりから一段と暖かく、今日は12度もありました。明日から3日間も11・12度くらいの予報が出ています。

演目  モーツァルト 「魔笛」

配役  ザラストロ:ジェームス・クロスウェル

     タミーノ:ペーター・ロダール

     パミーナ:ブリギッテ・ゲラー

     夜の女王:エレオノーレ・マルグエーレ

     パパゲーノ:イェンス・ラルセン

     パパゲーナ:クライレ・ヴィルド  他

  指揮:マルクス・ポシュナー

  演出:ハンス・ノイエンフェルト

昨年の11月25日にプレミエを出したばかりの舞台。今日は11回目ということです。コーミッシェオパー特有の「ムジーク・テアター」の概念で作られた典型的舞台でしょう。話の進行に演出家の愛人であるエリザベス・トリッセナールともう2人の男性を起用し、演出家が新たに、ディアローグを作成し上演する形を取っています。先日お会いした一橋大の田辺先生は、「最悪の舞台だ」と仰っておられました。このような舞台は見る人によって極端にどちらかに分かれると思います。いくつか例を挙げてみます。

まず通常、タミーノが怪物から助けてくれといって、舞台で気絶するシーンから始まります。しかし今回は怪物は全く現れず、一人で勝手に気絶してしまいます。そこにマリリン・モンローに扮した3人の女性が鏡をそれぞれ持って現れ、タミーノが気絶したのは、私達の美しさのあまり気絶したのだといわんばかりの3重唱になるのです。

夜の女王が最初のアリアで、足を引きずりながら登場し、歌の途中で鬘を取ると全くのはげ頭。夜の女王も寄る年波には勝てずよぼよぼ。同じようにザラストロもそうで、2幕の最後は栄光の終わりではなく、老衰のため死んでしまうのです。

といった按配で、歌わない3人を軸に、3人が色々仕掛け人となって物語が進行していくのです。

これを面白く見るか、最悪と見るかは観客次第でしょう。今日の客にはかなり受けていたと思います。ただ途中で何名かの方がそっと席をたたれて帰っていかれました。

音楽は1月1日に見たシュターツオパーのときよりも溌剌として、歌手陣も押しなべて高水準に保たれていますので、聞いていて不足は全くありません。

   hakaru matsuoka

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2006年11月12日 (日)

ベルリンコーミッシェオパー プッチーニ「蝶々夫人」

松岡究です。昨日の夕方から一段と冷え込んだベルリンは、今日は冷たい雨の振る一日でした。

演目 プッチーニ「蝶々夫人」

   ちょうちょうさん:ジュリエッテ・リー

   スズキ:スザンネ・クロイシュ

   ピンカートン:ティモシー・リチャーズ

   シャープレス:アントン・クレミチーフ

   ゴロー:クリストフ・シュペート  その他

  指揮:エンリコ・デランボイェ

  演出:カリクスト・ビエイト

「このエロ親父」と言いたくなるような演出!ビエイトのコーミッシェオパーでの演出は後宮に次ぐ2本目ですが、またしてもセックスあるいはセックス描写そのものを前面に出すきわどい演出。はっきり言ってきわどいどころか、そのものズバリです。

舞台はキャバレーかソープランドかと言うゲテモノ。ピンカートンはそこに遊びに来たアメリカ人。スズキはそこで働くソープ嬢。初めはピンカートンとスズキが一緒に貝殻状の風呂に入ったり、ゴローはその客引きになっています。ちょうちょうさんはこの上客のアメリカ人に捧げる生贄のようなもの。処女であることを証明し、二人は愛の2重唱へ。そのシーンは紛れも無くセックス三昧の18禁。またまたやられたと言う感じ。

2幕になると部隊はなぜかやしの木の下の南国風別荘。そこに現れるシャープレスやヤマドリはまるでやくざ。しかし何とシャープレスはピンカートンを諦めて「オレの女になれ」と言いたげ。それを拒絶したちょうちょうさんとスズキは花の2重唱ならぬ、掃除婦のおばさんの2重唱。「ピンカートンが帰ってきたときに綺麗なお部屋でいたいの」、まあ理解は出来ます。

3幕になると最初の3重唱でスズキはシャープレスにいたぶられます。ピンカートンはちょうちょうさんのことが気になっている様子。しかしちょうちょうさんとスズキは仲違いをしてとうとうちょうちょうさんはスズキを殺してしまいました。その後のアリアでは子供も殺され気が狂ったちょうちょうさんは自殺してしまうのでした。

余りにも衝撃的なー敢えて言わせてもらうとー汚い舞台。プッチーニの音楽はどこかに吹っ飛んじゃいました。でもちょうちょうさんを歌ったリーとピンカートンのリチャーズは素晴らしい声と表現力の持ち主。舞台がこうでなければもっと高く評価されるんじゃないかなあ。

この演出家は結構人気があるらしく、1階はほぼ満員。全体で8割くらい入ってるのは驚異。こういう演出を見るとオペラが抱えている問題点・将来性が見えてきますね。音楽界の識者がこぞってオペラの危機を叫んでいる中、こうした演出も経験しなければならないオペラの試練かなあ。

見た後の充実感は0%。まあ、もう二度とこの演出は見ないでしょう。興味のある方はどうぞ。今度は11月18日です。

    hakaru matsuoka

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2006年10月24日 (火)

ベルリンコーミッシェオパー モーツァルト「コジ・ファン・トゥッテ」

松岡究です。日曜の続きです。

演目  モーツァルト:コジ・ファン・トゥッテ

   フィオルディリージ:マリア・ベングツソン

   ドラベッラ:ステッラ・ドゥフェクシス

   グリエルモ:クラウス・ケラー

   フェランド:ペーター・ロダール

   ドン・アルフォンゾ:ディートリッヒ・ヘンシェル

   デスピーナ:ゲルトルード・オッテンタール

   指揮:マルクス・ポシュナー

   演出:ペーター・コンヴィチュニー

今回のコジは昨年プレミエされたものですが(7月に一度書きました)、新しいシーズンになって、かなり演出に手が加えられ、かなり見やすくなっていたのが印象的でした。それは演技もさることながら証明に一段と工夫が凝らされていたからです。

歌手は6人が6人ともに水準が高く、歌・演技ともにかなり楽しめました。ポシュナーはとても才能のある指揮者なのですが、まだ一人相撲しているきらいがあり、見ていて疲れますし、力みもいたるところで見られ、まだまだオペラ指揮者ではないなと言う感じ。もっと自然に奏者に任せるところが合っても良いのではないかなあ。

24日に日本に2週間だけ帰国しますが、その折に鳥取オペラ協会で「コジ・ファン・トゥッテ」を指揮します。期日は11月4・5日。カウベルホール、2時開演です。

どうぞ是非聴きに(見に)いらして下さい。

     hakaru matsuoka

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2006年10月21日 (土)

ベルリンコーミッシェオパー管弦楽団演奏会

松岡究です。今日は朝からしとしとと冷たい雨が降っていました。しかし気温はさほど下がらずそれだけでもちょっと嬉しい。

曲目   ドビュッシー:夜想曲

      プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番

      ラヴェル:古風なメヌエット

      ラヴェル:マ・メール・ロア

      指揮:キンボー・イシイ・エトー

      ヴァイオリン:ドミトリー・シトコヴェツキー

柔らかな雰囲気の気持ちの良い演奏会でした。1曲目の「夜想曲」からキンボーさんはこのオケから柔らかなサウンドを引き出して良い感じ。ただ3曲目の「海の精」の女性コーラスは凡庸な出来。もう少しコーラスマスターにしっかりしてもらいたいし、日ごろオペラばかり歌っているとこのような精緻な曲を歌うテクニックを忘れて荒削りになっていくので、気をつけてほしいです。

2曲目のプロコフィエフはなんと言ってもシトコヴェツキーのヴァイオリンが素晴らしい。とても質実で奇を衒うことなく弾き進めて行き、最後はうんと盛り上がってアンコールにバッハまで弾きました。キンボーのバックも良かった。

後半はラヴェルを2曲。古風なメヌエットは今日の中ではもう一息。特に管楽器のバランスがよくなくて残念。2曲目のマ・メール・ロアはキンボーがこのオケから上質なサウンドを引き出して素晴らしい。特に終曲は皆の歌心があいまって見事でした。

キンボーさんはこのあとすぐ日本に行って、凸版ホールの閉館コンサートを指揮するといっておりました。皆さん時間が合ったら足を運んでください。

     hakaru matsuoka

     

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2006年7月 8日 (土)

ベルリンコーミッシェオパー ウェーバー「魔弾の射手」

松岡究です。昨日今日と物凄く暑いベルリンです。気温は33~5度くらいになっているようです。そのせいか昨日は夜の8時半くらいから、今日は夕方の5時半くらいから雷と物凄い通り雨が降りました。特に昨日は雹まで降ってびっくり。「ひょう~っ!」なんてまた親父ギャグ言ってる場合じゃないです。

演目  ウェーバー 「魔弾の射手」

オットカール:ヘルマン・ヴァッレーン

クーノ:クレメンス・スロヴィオチェック

アガーテ:エンマ・ベル

エンヒェン:ミリアム・マイヤー

カスパール:カーステン・ザブロウスキ

マックス:ロベルト・キュンチェル

エレミット:ジェイムス・クロスウェル

指揮:ジン・ワン

演出:クリストフ・ネル

コーミッシェオパーの「魔弾の射手」は4月に見た国立歌劇場のものよりずっと良い出来でした。指揮のワンもこの作品に自信を持っているんでしょう。大変明瞭に振り分けていっているのが良かったと思います。もう少し細部にデリカシーがあったらもっと良かったかもしれません。

歌手でなんと言っても素晴らしかったのはエンマ・ベル。大きなプロポーションの良い体からゆったりとコントロールされた声は、とても心地の良いそして音楽的なものでした。もう一人エレミットを歌ったクロスウェルは、張りのある朗々とした声で、歌うところは少ないにもかかわらず、存在感を出していました。

今日の演出は勿論現代演出ですが、先の国立劇場の田舎臭い芝居(これはもう垢抜けないどうしようもない凡演出)と違って、大変楽しめました。やはり演出が締まると音楽も生き生きとしてくるのは、視覚と聴覚の総合芸術の醍醐味でしょう。

      hakaru matsuoka

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2006年6月29日 (木)

ベルリンコーミッシェオパー「椿姫」

松岡究です。今日はかなり肌寒く20度くらいしかなかったようです。私は出かけるときに半袖で出たんですが、あまりに寒いので引き返して長袖に着替えなおしたほどです。

演目   ヴェルディ  「椿姫」

ヴィオレッタ:ノエミ・ナーデルマン

アルフレード:マルク・へラー

ジェルモン:アントン・ケレミトチーフ   他

指揮:マルクス・ポシュナー

演出:ハリー・クプファー

この演出を見るのは3度目です。見るたびにあまりの美しさと哀しさに涙してしまいます。それは舞台が黒と言う基調に鏡をふんだんに用いていること。そしてなんと言っても3幕でヴィオレッタがアルフレードの手紙を受け取った後から、シーンは彼女の想像、回想のシーンになり、例えば「パリを離れて」は決してヴィオレッタとアルフレードは会うことなく彼女の想像として描かれるんです。そして誰にも見取られることなく孤独に死んでいく。聞えてくるアルフレードやジェルモンの声は全部幻影・幻聴になるんです。そこがたまらなく哀しく美しい。やはりクプファーは天才でした。

先日ムスバッハとシェーファーの「椿姫」をお伝えしましたが、あれも素晴らしい衝撃的な椿姫でしたが、こちらも負けず劣らず素晴らしいです。

このコーミッシェオパーの「椿姫」は今日主演したナーデルマンのための演出作品です。彼女はクプファーの大のお気に入りで、彼の秘蔵っ子だったそうです。そのせいでしょうか、演出家の意図が良くわかっていると見え一挙手一投足に意味がある演技でした。歌も以前聴いたほかの作品とは比べ物にならないくらい素晴らしく、彼女もこの「椿姫」の為に歌手になったような人なんだろうなあ、と思いました。

ジェルモンのケレミトチーフも素晴らしい声と舞台栄えのする体躯をもって圧倒的な存在感を示していましたし、アルフレードのヘラーも安定した歌いっぷりでブラボー。

指揮のポシュナーは、やりたいことがたくさんあるようなんですが、まだ硬さがあって音楽がワンパターンになりがち。ただとても才能豊かな指揮者で、これからが大変楽しみです。私はこれから彼のことは注目して行きたいと思っています。

    hakaru matsuoka

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2006年6月26日 (月)

キリル・ぺトレンコ指揮ベルリン・コーミッシェオパー管録音風景

松岡究です。

ペトレンコとコーミッシェオパー管がヨゼフ・スークの序曲と交響曲を録音しました。実は2年ほど前、私がまだベルリンに来る以前にこのコンビでやはりスークのもう一つの交響曲「アスライル」を録音しており、今回「Lebensreife」(人生の成熟)を録音することで、スークの交響曲全集が完結すると言うわけなんだそうです。

ずっと練習から5日間立ち会ってきましたが、初めは何と複雑な難しい曲だろうと思っていたのですが、今日オパーの会場(録音会場でもあります)で聴いてみると、先輩達(特にドボルザークやスメタナ)が残したスラブの香りをたたえた芳醇な音楽に仕上がっていました。今日夜にこの曲で演奏会をやってそちらの方も録音するそうです。ペトレンコはライブの方が良い指揮者ですから、多分ライブの録音を基本に、もし傷ができた時には少し切り張りするのかもしれません。

いずれにしても発売が待たれます。

       hakaru matsuoka

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2006年6月18日 (日)

キンボー・イシイ=エトー指揮「リゴレット」ベルリンコーミッシェオパーその2

松岡究です。今日はキンボーさんがリゴレットを指揮する最終回の日。私としては前回に続いて2度目です。

テノールのデァ・プラスが前回もかなりやばかったのですが、今回は完全に声が出なくなって降板。代わりにマルク・へラーがイタリア語で歌いました。コーミッシェオパーはドイツの中ではAクラスの歌劇場ですが、他の2歌劇場が原語主義を採っているので、全演目をドイツ語で歌うと言うポリシーがあります。ちゃんとその為の翻訳家も専属でいて、全てその専属の翻訳家がドイツ語に訳して歌っています。さすがに有名どころのアリアなどはちょっとと思いますが、他の部分はきちっとイントネーションのことも考えられていて、ほとんど違和感なく聴くことが出来ます。

今日の公演は前回よりも数段良い出来でした。勿論キンボーさんの指揮もさることながら、テノールが代役でしかもイタリア語で歌う、と言うことでキャスト全員にいつになく緊張感があったこと、オーケストラも前回のメンバーとはかなり違ったメンバーであったことなど、終演後キンボーさんと話したことでした。

本当に生演奏と言うのは生き物だとつくづく思います。やはり一期一会の尊い世界なんですね。

    hakaru matsuoka

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2006年6月 7日 (水)

ベルリンコーミッシェオパー ヴェルディ「リゴレット」

松岡究です。今日も2度雨が降りましたね。でも夜には晴れて今は10時過ぎまで空は明るいですから(日の入りは9時25分くらいです)、久しぶりに夕焼けを見ました。

演目:ヴェルディ「リゴレット」

リゴレット:ブルーノ・バルメッリ

ジルダ:ヴァレンティナ・ファルカシュ

マントヴァ:ハリー・ファン・デァ・プラス

マッダレーナ:カレン・ファン・オイイェン 他

指揮:キンボー・イシイ・エトー

演出:マルティン・シューラー

とても素敵な公演でした。まずキンボーさんの棒が素晴らしい。彼は終演後「今日は一番ひどい」などといっていましたが、どうしてどうして。オケからは垢抜けた切れの良い音を引き出していましたし、よく鳴らしていました。また歌手もジルダのヴァレンティーナ、リゴレットのバルメッティが素晴らしく、二人ともよく通る声と特にヴァレンティーナの高音のテクニックは素晴らしい物がありました。マントヴァのデァ・プラスはかなり調子が悪く、上はファルセットで抜いて辛うじて難を逃れていました。彼のような歌手はまず発声から直していかないと、この先は長くないような気がします。

演出はもう一つ。現代に読み替えていたのはいいのですが、3幕がなぜ客船の甲板の上でなければならないのか、その前の2幕の天使の7体の像の意味するところは終幕でよくわかりましたが、2幕での提示の仕方にもう少し工夫は出来なかったのか、疑問が残ります。

今日は終演後、キンボーさんとオーケストラのヴィオラ奏者の西山雄太さん、そしてキンボーさんの日本のマネージャーを務めて要らした鈴木さんご夫妻と夕食をともにしました。その途中で、キンボーさんに待望の女の赤ちゃん(もう名前は決まっていて安美チャンだそうです)が生まれたという連絡が入りました。「おめでとう、キンボーパパ!!!」みんなで祝杯を挙げました。しかし2006年の6月6日生まれ、ドイツでは06,06,06と書きますが、うまく行きすぎですね。(笑)

また17日に聴きます。

   hakaru matsuoka

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2006年5月29日 (月)

ベルリンコーミッシェオパー R・コルサコフ「金鶏」プレミエ

松岡究です。きょうも変な天気。晴れていたと思うと急に暗くなって凄い雨が降ったり、また晴れて、気温も低くて12度くらい。寒くて寒くて、手がかじかんできちゃうんですよね。日本はどうなんでしょうか。

今日はコーミッシェオパーが出す今年最後のプレミエ。

題名

リムスキー・コルサコフ:金鶏

指揮:ミハイル・ユローフスキー

演出:アンドレアス・ホモキ

感想から言うと、まあまあ楽しめた舞台でした。この風刺劇をホモキは勿論現代風に読み替えて、占星術師(ヨッヘン・コワルスキー)と金鶏(ヴァレンティナ・ファルカス)の仕組んだ巧妙なわなであったといったことでしょうか。それなりにこの読みはわかりましたし、風刺劇としては成功していたと思います。ただちょっと人を動かしすぎてどたばたした印象を受けました。もう少し重めの部分もあってよかったのではないでしょうか。そのこともあってか、音楽がやけに陳腐に聞こえてきます。ユローフスキーは所謂職人肌の指揮者。無難にオーケストラをまとめてはいるのですが、そこからのメッセージは弱く、ドラマ性に欠ける感じ。従って、休憩を入れても2時間20分のオペラが少し長く感じられました。オーケストラのそのようなさえない音楽とホモキのドタバタ劇で、最後は何だか妙にチープな印象を受けたのは残念でした。

      hakaru matsuoka

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2006年4月 3日 (月)

ベルリンコーミッシェオパー「薔薇の騎士」プレミエ

松岡究です。ブラボー!!!私がベルリンに来て数ある公演を聴いた中で疑いなくベスト5に入る全てに満足した公演でした。そのベスト5とは、ティーレマンが指揮したR・シュトラウス「影のない女」「ダフネ」、シュターツオパーのロッシーニ「アルジェのイタリア女」、コーミッシェオパーのヘンデル「アルチーナ」そして今日のR・シュトラウス「薔薇の騎士」。番外としてコンサート形式ということでラトルの指揮したブリテン「ピーター・グライムズ」。

今日の指揮は勿論音楽監督のキリル・ぺトレンコ、演出は予定されていたリヒャルト・ジョーンズに代わって、インテンダントのアンドレアス・ホモキ。歌手は主なところは、伯爵夫人がゲラルディーネ・マックグレービー、男爵がイェンス・ラルセン、オクタービアンがステッラ・ドゥフェクシス、ゾフィーがブリギッテ・ゲラー。その他端役をコーミッシェオパーの専属が務めています。(マックグレービー以外は全部専属歌手です。)まずこの歌手たちは大変にアンサンブルがすばらしく声も同質で、最後の女性3人による3重唱などは今まで聴いた中でも飛びぬけてすばらしい出来でした。この重唱を聞きながら私の周りでは家内も含めて、何人もの人が涙をぬぐっていました。それほど美しかったんです。また私が以前2度指揮した「無口な女」ではモロズス卿という役柄が一番大変で、言葉の多さ、芝居の達者ぶりなど並みの歌手では勤まらないキャラクターですが、イェンス・ラルセンはモロズス卿と同じくらい大変な男爵役を本当に達者に見事にこなしていました。全てにおいて芝居から歌までそのアンサンブルのすばらしさ、歌の透明感など特筆すべきではないでしょうか。

ぺトレンコは最初こそ硬さが見られましたが、このオペラを室内楽的に捉え、大変透明感のある清潔かつメリハリの利いた音楽を聞かせてくれました。ご存知の通りワルツを多用しているこの曲は、指揮者とオーケストラのセンスがいっぺんに露呈してしまう危険性がありますが、そんな心配は全く無用でした。音楽の流れに身を任せて4時間半があっという間に過ぎ去っていきました。彼は本当にすばらしい指揮者に育ってきています。

ホモキの演出は、前回の「オネーギン」のように現代に読み替えていたらちょっと見たくないなあと思っていたのですが、それも無用の心配に終わりました。彼が東京で見せた「フィガロ」の空間をゆがめていく手法をここでも用いて、その貴族社会をある意味で風刺していきます。そして1幕から3幕まで空間をあえて狭めて見せることで人物の動きに集中度を高めさせて、演劇的な動きを凝縮して見せてくれました。

追伸:大野和士さんが、急遽ドイチェオパーにデヴューなさいました。演目は「タンホイザー」。私は全くこの情報を知らず、聴き逃してしまいました。

      hakaru matsuoka

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2006年3月 9日 (木)

ベルリンコーミシェオパー「オレスト」

松岡究です。6日にご紹介した米沢美佳さんのトリオ名は「アルテニウストリオ」、そして古楽器の合奏団は「ブロッケスアンサンブル」と言う名前だと言うことです。これからこのグループ名もどうぞ覚えてください。宜しくお願いいたします。

さて今日の本題ヘンデルのオペラ「オレスト」。指揮はトーマス・ヘンゲルブロック、演出はスバスティアン・バウムガルテン。先月26日にプレミエを出した新作です。プレミエには行けませんでしたが、米沢さんによると終わったとたんに物凄いブーイングが起こったということ。それは特に演出家に対してのブーイングだったようです。今日は逆にブラボーばかりの公演でした。

まず演出が映像ばかりに頼りすぎて、肝心の歌手たちの歌の心理や心が見えにくくなってしまったことがこの演出の悪いところだと思いますね。逆に映像の面白さもあったので、これも好みの問題に分かれるところでしょうか。次に音楽。指揮のヘンゲルブロックはこの前のマックレーシュと全く違う音楽作りでした。これは米沢さんの旦那さんのクライフさんから伺ったことですが、バロック音楽において、ピノックやガーディナーなどのイギリス系の音楽作りとコープマン、ブリュッヘンなどのオランダ系の音楽作りは大変対照的だということです。マックレーシュはイギリス系、今回のヘンゲルブロックはオランダ系ということでしょうか。ヘンゲルブロックは奏法として意図的に雑音を混ぜる行き方なんですね。ですから音楽がごついと言うか武骨な感じになります。逆にマックレーシュはエレガントで流れるような感じ。どちらかと言うと僕はイギリス系の方が好みなんですけど。しかし出てくる音楽の新鮮さはどちらも譲らず、飽きることなく聞かせてくれました。2人とも音楽に生命力を感じさせてすばらしいかったし、ヘンデルがまたすばらしい音楽。今回は休憩なしの2時間半でした。

ヘンゲルブロックは奇抜なアイデアが一つの売り物らしく、例えば今日のレシタティーフはアコーデオンとマンドリンで行っていましたし、その中にこれも意図的に不協和音や12音的な音を混ぜるなど、大変奇抜。しかしそれが変に演出の現代性とマッチしていて違和感がなかったり、ずいぶんと面白い体験でした。

ただ2人とも指揮の技術のおいては多少問題があり、アンサンブルに破綻をきたしていたところが散見されたのは残念でしたね。マックレーシュは「アルティーナ」は良かったんですがオーケストラの演奏会において、ヘンゲルブロックは今回のこの公演において。

         hakaru matsuoka

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2006年3月 5日 (日)

ベルリンコーミッシェオパー「アルツィーナ」

松岡究です。今日もコーミッシェオパーの公演から、ヘンデルの「アルツィーナ」。指揮は2月17日に定期で客演した、パウル・マックレーシュです。そう、皆さんにまたご紹介したい方がいるんですが、今日の公演のコンサートミストレスは米沢美佳さん。このオパーの第2コンサートマスターで、今日は舞台に載って、出演者としてもすばらしいヴァイオリンを披露してくれました。彼女のことは日を改めて、「友達3」として書きますね。

まず指揮のマックレーシュ、この前のコンサートとは打って変わって自分の専門分野であるバロック音楽のせいか、まるで水を得た魚のように生き生きとした指揮ぶり。そして音楽にも俄然活気があって3時間50分にも及ぶこの作品を飽きることなく聞かせてくれました。私が学生だった頃はヘンデルなんてバッハに比べたら2流で、深みのない作曲家だと教え込まれた記憶があります。とんでもないですよね!ヘンデルはこんなにすばらしい、まるで私たちと同じ時代を呼吸しているようなテンポ感あふれる音楽。マックレーシュは2004年11月に聴いた時よりもずっと音楽が生き生きとしてすばらしかったですね。でもあの時このマックレーシュがこのオパーの専属だったらいいのにと正直に思ったことでしたが、今日もう一度聴いて見ると、あの時に思ったことは間違いがなかったと改めて思いました。今日がこのオパーにとってこの演目は最後の公演だったのですが、米沢さんも曰く「オケのメンバーもこの曲は何度もやって知り尽くしてるからね」、ということばが表しているように、レパートリーとはかくも偉大なものかと感慨を深くしました。別の言葉で言うと、指揮もオケも歌手たち皆が音楽を楽しんでやってるということ。その典型を見たような気がします。「これが音楽だよ」ってな感じ。

歌手陣もすばらしい出来。特に女声陣はソプラノもアルトも大体4分音符120くらいの速さで、16文音符のアジリタを歌いまくって、これが悉くつぼにはまっているから爽快!オーケストラも現代楽器を使っているのもかかわらず、ノンヴィブラートをうまく用いてこれまたすばらしい響きとアンサンブル。この前のシュターツオパーのヤーコプスより良かったんじゃないかなあ。

      hakaru matsuoka

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2006年3月 4日 (土)

ベルリンコーミッシェオパー「エフネギー・オネーギン」

松岡究です。今日はコーミッシェオパーのチャイコフスキー「エフネギー・オネーギン」の再演初日です。このプロダクションには初めからかかわることが出来たんです。演出のホモキ(彼は新国立劇場で「フィガロ」を演出して、センセーションを巻き起こしましたね。僕はそう思ってますけど。)が、何を考え、どう演出するか?ということを毎日見ることが出来て、とても勉強になりました。勿論現代的な演出ですが、タティアーナやオネーギンの深層心理を合唱を使って巧みに表現したり、単なるメロドラマではなく、人間の心理的葛藤をうまく表現しているんですね。しかし、初演の時は物凄いブーイングで、その辺の描写が一度見ただけでは理解してもらえなかったんだと思います。僕は何度となく涙したんですけどね。

それで今日はまずぺトレンコがすばらしかったです。「ああ、レパートリーにするというのはこういうことなんだ」と実証してくれたような感じでした。この前より、より自在で、よりドラマティックでそしてシャープな指揮でした。2004年11月に初めてここに来て彼を最初に聞いたのが、オペラじゃなくてマーラーの4番だったんですけど、その時は硬くてちょっと聴くのが辛かったあの人が、こんなにすばらしい指揮者に成長を遂げているのを目の当たりにして、本当にすばらしいと思います。

次に歌手陣ですが、なんと言ってもレンスキーを歌ったマティアス・クリンクがピカイチ。彼の音楽性とチャイコフスキーの叙情性がぴたりと一致して、何ともいえないピアニッシモを聞かせてくれました。(彼のシュトゥットガルトでの「後宮からの誘拐」のDVDがありますがそれもすばらしい出来です。ザグログゼーク指揮)あとの歌手人はもう一つなんですね。ここにコーミッシェオパーの弱さがあります。しかしアンサンブルの良さ、言葉の届け方、合唱のアンサンブル力は大味な感じのあるドイチェオパーなどよりもすばらしいです。マティアスとその他の歌手の間の何が違うかというと、ざっくばらんに言うと音程なんです。皆それなりの音楽性とテクニックはあるんだけど、やはり音程の正確さにおいては彼だけです。だから表情が全て生きるんですね。表現したいことがその声に載って出てくるんです。その他の皆は、「声はすばらしいが・・・」、とか「音楽性はすばらしいが・・・」、ということになってしまいます。全部を兼ね備えるにはどうしたらいいんでしょうね?「それはいい音楽をやるしかない、いい音楽にはいい音程もいいリズムもいいハーモニーも全て含んでるから。」僕の先生の言葉です。全くその通りです。

    hakaru matsuoka

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2006年2月18日 (土)

コーミッシェ・オパー管定期公演

松岡究です。今日はコーミッシェ・オパー・ベルリン(KOB)のオーケストラ定期です。KOBは年に8回定期をやっていますが、定期を始めたのは、まだ10年前くらいのことだそうです。前任のヤーコフ・クライツベルクが始めたと聞きました。ですからKOBがオーケストラ定期に進出してから、ベルリンにはベルリンフィル、ベルリン響、ベルリン放送、ドイチェスシンフォニー、そしてシュターツオパー管、ベルリンドイツオパー管、そしてKOBと主に7つのオーケストラが存在します。

さて今日は、先日お知らせしたようにPaul Mccreeshの指揮により、Louise Farrenc:序曲第1番e-moll op.23   Witold Lutoslawski:Doppel-Konzert Fuer Oboe & Harp そしてL.v.Beethoven :symphony No.3 Eroica 以上の3曲が演奏されました。最初のFarrencはフランスの作曲家で、古典派に属する作曲家です。マックレーシュはこの曲を実に爽やかに、生き生きと指揮していました。次のルトスラウスキーの2重協奏曲はオーボエとハープそして7人のヴァイオリン、2人のヴィオラ、2人のチェロのコントラバス1人、打楽器2人と言ういでたち。私はこの曲の最初にリハーサルから付き合ったのですが、最初は何じゃこりゃ!の世界だったのが、オーボエとハープを入れて2日目のリハーサルが行われた時から 俄然面白くなってきました。奏者一人一人がソロとしてアンサンブルをなし、緊張とサイレンスのコントラストが実にうまく書けている作品でした。オーボエとハープの2人はとても名手で、最後はアンコールまで飛び出す始末。(現代音楽をやってアンコールは珍しいでしょう)何と2人でショパンの「子犬のワルツ」をやったんです。目にも留まらぬほどの指の回り方。あっけに取られるとはこのことでした。この名手2人の名前は、オーボエがNigel Shore 、ハープがRegina Herwig と仰います。   

休憩を挟んでエロイカ。実を結うとオーケストラのメンバーはこの指揮者に対して物凄くブーイングだったんです。つまり指揮のテクニックが追いつかない所があって、アンサンブルに支障をきたしている部分が何箇所かあって、それが解決しないまま本番だったんです。ある日本語を少し操れる団員は「へたくそ」と言っておりました。しかし私は彼の持っている音楽と方向性がとてもよいと思っていましたから、そんなことは全く気になっていませんでした。結果は大成功とまで行かないけど、とてもいい演奏でした。彼のテンポはベートーヴェンの指定どおりの付点2部音符60の速度。それが速いとも何とも思わなせないんですね。つまり歌っているわけです。歌が速いテンポの中にちゃんと存在するんです。

指揮者として今回は昨日のギルバート・ベルリンフィルよりうんと面白かったし、勉強になりました。彼と友達になれればいいんだけど。

   hakaru matsuoka

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