2007年9月18日 (火)

ベルリン国立歌劇場管弦楽団演奏会

松岡究です。今日のベルリンは久しぶりに暖かくて、日中は汗ばむくらいでした。気温も23~4度あったようです。しかし予報では明日からまた寒い日になるらしく、明日は最高が16度、最低が9度の予報です。日本はまた熱帯夜になったとか。考えられません。

曲目   アイヴス:「ロバート・ブラウニング」序曲

      バルトーク:ピアノ協奏曲第1番

      ベートーヴェン:交響曲第7番

  ピアノ:ダニエル・バレンボイム

  指揮:グスタヴォ・ドゥダメル

今話題の若手指揮者・ドゥダメルの登場とバレンボイムがピアノを弾くという2つの話題で、会場(コンツェルトハウス)は満席。1曲目のアイヴスの作品。はっきり言って何を言いたいのかさっぱりわかりません。序曲なのに?25分も演奏時間が有り、聴いているうちに辟易してきました。もうちょっとましな作品があると思うんですけど。

2曲目のバルトークの1番の協奏曲もめったに演奏されない曲です。これも聴いていてそのメッセージを感じるのには至りませんでした。ドゥダメルの棒は確実で、バレンボイムにぴったりと着いていき、バレンボイムもそれなりに弾いてはいるのですが、曲が何を言っているのかわからないままでした。

最後のベートーヴェンの7番。これは面白かったです。ちょうど30数年前にムーティとウィーンフィルが来て、ウィーンフィルがきりきり舞いになって弾いていたことを思い出しながら聴いていました。まさにシュターツカペレはドゥダメルにきりきり舞いさせられていました(笑)。また「中南米のラテン人はこのようにベートーヴェンを感じているのか」と興味津々でした。1・3・4楽章は思ったとおり速いテンポで颯爽と音楽を作っていました。特に4楽章は今まで聴いた中でも最も早い4楽章でした。作品の持つ神々しさ・気品・格調等は10年後20年後に譲るとして、彼が今もてはやされている理由がはっきりと良くわかります。物怖じしないで堂々と自分の音楽を主張していくのは清清しく、見ていてうらやましい限り。かといってPやPPが無いのではなく、そのところもちゃんと心得ているところも若いのに立派です。来年のベルリンフィルのヴァルト・ビューネが彼の指揮だそうです。多分何かしでかしてくれるんじゃないでしょうか。

   hakaru matsuoka

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2007年5月20日 (日)

バレンボイム・ネトレプコ マスネ「マノン」

松岡究です。昨日は熱い一日でした。気温も24度くらいまで上がったそうで、部屋の中のほうが涼しいかったですね。

昨日はちょっと油断してて、オペラの公演に間に合うか合わないか位のぎりぎりの時間に行くと、国立歌劇場の横の広場には数千人の人だかりが。「こんな時に限って」と人を掻き分け掻き分け、7時ちょうどに2階の右サイドのほとんど舞台が見えない席に飛び込むと、舞台上に大きなスクリーンがあって、広場でやっているベルリン市長やBMWのお偉いさんの話を中継しているではありませんか。実は昨日は国立歌劇場が市民のために広場を開放してそこにも大きなスクリーンを配し、逆に歌劇場で行われるオペラを生中継すると言うお祭り。題して「全て人々のための国立歌劇場」

演目   マスネ「マノン」

配役    マノン・レスコー:アンナ・ネトレプコ

       騎士デ・グリュー:フェルナンド・ポルターリ(ローランド・ヴィラツォンの代役)

       レスコー(マノンの従兄):アルフレード・ダーツァ

       伯爵デ・グリュー:クリストフ・フィッシェサー

       ギヨー:レミー・コラッツァ  他

   指揮:ダニエル・バレンボイム

   演出:ヴィンセント・パターソン

まずマスネの音楽がこれほど魅力的で劇的なのには大変驚きました。それは勿論バレンボイムの表現が大変起伏に富み、雄弁且つ繊細だったからに他ならないのですが、マスネという作曲家をここまでやっちゃうなんて、彼の懐の深さに改めて脱帽しました。

この演目の一番の目玉はなんと言ってもネトレプコ!舞台に登場しただけで(2/3は舞台が見えない席でしたが)舞台が華やぐ稀なる才能の持ち主。そしてなんと言ってもそのチャーミングな歌声。上から下まで全く音色の変化が見られない完璧な発声とコントロールはいまや世界一の人気を裏付ける確たる証拠。

本当はもう一人目玉がいたのですが、昨日は病気で降板になりました。しかし代役のポルターリはヴィラツォンを補って余りある素晴らしい出来。ネトレプコに負けないくらいの歓声と拍手をもらっていました。彼の発声も無理なく、フォルテからピアニッシモまで完璧にコントロール出来る技術をちゃんと持っています。

パターソンの演出も大変美しい舞台を作っていました。ただスポットライト隊が出てくるのはちょっと閉口しましたが。つまり何の脈力があるのかそういう意味があるのかが全く不明です。

今年4月29日にプレミエを出して以来昨日が最後の「マノン」の公演でした。

   hakaru matsuoka

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2007年4月13日 (金)

バレンボイム指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団 マーラー交響曲第9番 ベルリンフェストターゲ

松岡究です。今日のベルリンは快晴の本当に良い天気。気温も20度を超え、春にいよいよなってきました。もっと田舎の方だと一斉に花が開いたりしてもっと春を実感できるかもしれないのですが、まあしょうがないです。

曲目   マーラー:交響曲第9番ニ長調

指揮:ダニエル・バレンボイム

4月1日から始まった今回のフェストターゲは今日が最終日。マーラーのシンフォニーを立て続けにこれだけの短期間で、それもバレンボイムとブーレーズと言う2人の巨匠の共演を聴けた事にまずは感謝します。私は風邪を引いて1・2番は聴けませんでしたが、最初から最後まで素晴らしい集中力を発揮し、緊張感を維持し続けたオーケストラにも大きな白書を送りたいと思います。

今日もバレンボイムは素晴らしい演奏を聞かせてくれました。彼のこのフェスティバルにかける意気込みはとてつもなく凄いもので、指揮している姿からそれは我々にひしひしと伝わってきます。欲を言えば1楽章や4楽章はもっと粘ってゆったりと歌ってほしいところがありましたが、それにも勝るバレンボイムの集中力とテンペラメントの劇的な変化は私を感動させるには充分でした。本当に彼はベルリン国立歌劇場管弦楽団という今までで一番の最高のパートナーを手に入れたのではないでしょうか。

また指揮者としてとても大事なことを(ここには書けませんが)バレンボイムは私に教えてくれました。そのことにも深く感謝いたします。

今秋このコンビはオペラとコンサートで約1ヶ月日本公演をするそうですが、今回の演奏を聴く限り充分きたしてよいのではないかと思います。また「モーゼとアロン」は日本でしか見れませんし、「ドン・ジョバンニ」の演出がムスバッハのものならば、ベルリンより先に日本がプレミエになるはずです。ベルリンの「ドン・ジョバンニ」は12月にプレミエですので。

    hakaru matsuoka

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2007年4月12日 (木)

バレンボイム指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団 マーラー交響曲「大地の歌」 ベルリンフェストターゲ

松岡究です。ベルリンも大分暖かくなってきました。今日も昼間はコート無しで充分でした。明日からは予報によると20度を超えるようです。

曲目  マーラー:交響曲「大地の歌」

  メゾソプラノ:ミシェル・デ・ヤング

  テノール:ブルクハルト・フリッツ

  指揮:ダニエル・バレンボイム

マーラー全曲コンサートの今日は9回目。なんと「大地の歌」のみという贅沢極まりないプロ。

今日のバレンボイムも大変明確にタクトを振っていました。それは7番の時もそうでした。バレンボイムはちゃんとわかっていて、7番や「大地の歌」多分9番も、オーケストラにとって難曲中の難曲でるこの3つは、自分の音楽をやりながらもきっちりと職人的な仕事をしているのです。今日も大変明確な棒d酢が、物凄くテンペラメントの激しい棒でした。オケもそれによく答え、以前聴いたときよりも格段に音楽が深まっているような気がしました。

歌手の2人はシュターツオパーには顔なじみの2人。昨日もほとんど専属歌手が歌っていましたが、今回もそうだと思います。フリッツは柔らかい美しい声を駆使して、3つの明るい楽章をニュアンス豊かに歌い上げました。今まで聴いたこの曲の歌手では最も良かったと思います。デ・ヤングも素晴らしい出来。昨日とは集中力が違う感じでした。一つ難点を言わせてもらえば、歌いだしが雑に聞えることが良くあるのです。最終楽章などは素晴らしく歌っていただけに惜しい感じがします。それにしてもこの曲はやはりメゾが音楽的成功の鍵を握っていますね。デ・ヤングは今日は合格だったんじゃないかな。

明日の最終日が楽しみです。

    hakaru matsuoka

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2007年4月10日 (火)

ブーレーズ指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団 マーラー交響曲第8番「千人の交響曲」 ベルリンフェストターゲ

松岡究です。今日までがイースターでした。街は相変わらず閑散としています。勿論ベルリンの中心部は観光客等で賑わっています。

曲目  マーラー:交響曲第8番変ホ長調「千人の交響曲」

  ソプラノ:トゥウィラ・ロビンソン、ソイル・イソコスキ、アドリアーネ・クヴェイロズ

  アルト:ミシェル・デ・ヤング、シモーネ・シュレーダー

  テナー:ヨハン・ボータ

  バリトン:ハンノ・ミュラー・ブラッハマン

  バス:ロベルト・ホル

  合唱:ベルリン国立歌劇場合唱団、アウレリウス児童合唱団

  指揮:ピエール・ブーレーズ

この曲も私にとって昔から疑問が多い曲です。一度だけずっと以前に合唱指揮を担当したことがあります。曲は第1部と第2部に別れているのですが、その時からその完成度が違いすぎるんじゃないかとずっと思ってきました。

第2部は文句なく素晴らしい音楽です。マーラーのこの世を達観したような清透な音楽が聴くものを感動に導く素晴らしい音楽。しかしそれとは逆にあの第1部の大味な音楽はいつも解せないのです。約25分間のフォルティッシモの嵐には辟易してしまいます。今回その疑問を問いてくれるヒントが見つかるかと期待していたのですが、やはりダメでした。ブーレーズにしても大味な音楽そのまま!どうしたらこの音楽を自分の中で料理できるんでしょうか?未だにわかりません。

今日もコンサートは大成功。第2部の終わりの方は本当に感動しました。ブーレーズもオケも合唱も本当に感動的な音楽を奏でてました。

歌手達はただあまりやられない曲だけに少々力みが加わって皆フォルテで歌いまくり、ブーレーズとオケの奏でるニュアンスに遠い人が多かったですね。歌手の弱点はまさにここにあるのに!もう少し音楽が聴きたかったです。

   hakaru matsuoka

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2007年4月 9日 (月)

バレンボイム指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団 マーラー交響曲第7番 ベルリンフェストターゲ

松岡究です。イースターの日曜日。散歩に出てみましたがいつものような人通りはほとんどなく、閑古鳥状態。店もマクドナルドとダンキンドーナツ以外は休みと言う感じ(勿論中華店とかトルコ料理店はやってるところが多いですけど)。余りの人の少なさに唖然。

曲目   マーラー:さすらう若人の歌

            交響曲第7番ホ短調

  バリトン:トーマス・クヴァストホフ

  指揮:ダニエル・バレンボイム

今日も一昨日と同じ組み合わせによる演奏会。クヴァストホフは一昨日と変わらず曲の内面に迫ろうとする気迫がみなぎっています。歌曲のリサイタルを聴いても思うのですが、彼は歌いながらどんどんと集中して行き、その深みに到達しうる人のように思います。ですから最初の歌いだしがいつも私は不満なのです。声が硬いし時々破綻を起こすこともあります。しかし集中していった時の歌の表現力は素晴らしく、今日も2曲目くらいからその表現が聴けました。出来は一昨日の方が勝ってたんじゃないかな。

後半7番のシンフォニー。バレンボイムが登場するや、指揮台に上がってお辞儀、オケのほうに振り返ったら急に引っ込んでしまいました。係りの人が譜面台を出すのを忘れたらしく会場にはどよめきが。係りの人が舞台に用意して譜面の表紙を確認、と同時に会場から笑いが起こり、再度バレンボイムが登場。バレンボイムも表紙を確認(茶目っ気たっぷり)、とまたもや場内大爆笑。いやあいいですね、この雰囲気。日本だったら、「なあ~んだ、暗譜じゃないのか」とか「白けさせるな」などの声が聞えてきそう。そのあとバレンボイムもオケも聴衆もすぐに音楽の態勢に。

そして7番が始まりました。この曲、ぶっちゃけた話、マーラーの中で唯一振ってみようとは思わない曲。しかしバレンボイムの演奏を聴いていると、晦渋なこの曲が非常に古典的に聞えて来ます。5番の時よりもきっちりした指揮。そして時には唸りも入るような高い集中力。形がしっかりしているのに、常人では考えられないような音楽の「粘り腰」みたいなのがあって圧巻。(ただ5番で見せた音楽の熟成はあまり聞えてこなかったし、ピアノやピアニッシモも5番の方が圧倒的に素晴らしかった。)

今夜はバレンボイムに感謝!7番に対するアレルギーみたいなものが無くなった気がします。ただ5番のような圧倒的な表現をしなかったのか、出来なかったのか、まだそこまで熟成されてないのか、やはり7番と言うのは大変に難しい曲ではありますね。

   hakaru matsuoka

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2007年4月 8日 (日)

ブーレーズ指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団 マーラー交響曲第6番 ベルリンフェストターゲ

松岡究です。今日は快晴のベルリン。気持ちの良い一日でした。

曲目 マーラー:交響曲第6番イ短調

 指揮:ピエール・ブーレーズ

今日はこの作品1曲のみ。開演も夕方の16時でした。昨日のあの興奮冷めやらぬうちに6番をブーレーズで聴くと、こんなにも指揮者でマーラーへのアプローチが違うのかと改めて思いました。バレンボイムの方は激情的でカラーもどぎつい色から淡い美しい色までとりどり。ブーレーズのはいついかなる時も取り乱したりせず、あくまでも客観的に外から作品を見ようとしている姿勢だと思います。むしろブーレーズの方がオペラのマエストロのよう。

今日の演奏も作品の素晴らしさをそのまま提供して見せた、立派な演奏。ただ昨日の演奏と比べると、もっと違うフォルティッシモやピアニッシモがが聴きたいと思うことしばしばでした。それにしても毎日違うマーラーの交響曲をやり続けているオーケストラは素晴らしいと思います。これだけ方向性の違った指揮者で毎日やるからこそできる芸当かもしれません。

   hakaru matsuoka

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2007年4月 7日 (土)

バレンボイム指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団 マーラー交響曲第5番 ベルリンフェストターゲ

松岡究です。昨日5月6日の演奏会の告知をしましたが、オーケストラのことを何も書いていませんでした。申し訳ありません。オーケストラはZERO合奏団といって、私と音楽をしたい人が集まって出来た私にとって大変大事で嬉しいオケです。宜しくお願いいたします。

今日は昼にこちらで特にドイツ語の翻訳などでお世話になっている関さんとお会いしました。仕事がイースターで4日間休みだと言うことでした。彼女は大のベルリン交響楽団ファンで勿論定期会員でもあります。

それから夜は本当にばったりと25・6年ぶりで指揮者の鈴木織江君に再会。彼もちょうどこのフェストを聴きに来たと言う事で、フィアンセでメゾソプラノの藤井亜紀さんとご一緒でしたが、終演後2時間ほど一緒にビールなどを飲みながら歓談しました。楽しい時間を過ごしました。鈴木君どうもご馳走様でした。

と言うことで盛り沢山な一日。

曲目   マーラー:リュッケルトの詩による歌曲集

            交響曲第5番嬰ハ短調

  バリトン:トーマス・クヴァストホフ

  指揮:ダニエル・バレンボイム

今日の演奏も昨日とはまた違った意味で、素晴らしい演奏でした。まずクヴァストホフの歌唱が、いつもながら人間味を帯びていて素晴らしい。声のテクニックを超えて、作品の内面いつも迫ろうとする姿勢が良くわかる人です。そしてそれが彼の人間性と情熱的な表現力と相俟って人をひきつけずにはおれない演奏をします。今日も全くそうでした。バレンボイムの伴奏も劇的な部分と静寂な部分がはっきり描き分けられ、オーケストラがまた昨日にもまして絶妙なピアニッシシモ披露。名演でした。

後半の5番の交響曲。バレンボイムの激しい起伏の大きい表現がフィルハーモニーの中を駆け巡るといった感じでした。今まで聴いたことの無い圧倒的な迫力。聴いたことの無いピアニッシモのマーラー!去年一昨年とこのコンビで何度となくマーラーを聴いてきましたが、その結晶がここにありました。観客はスタンディングオベイションでバレンボイムをたたえていました。今日は聖金曜日。何か奇蹟が起こることが約束されてたんでしょうか?

このコンビは多分2年がかりでこのフェストに照準を合わせて、ブーレーズも交えて全交響曲を仕上げてきたのだと思います。定期演奏会や演奏旅行にマーラーを携えて何度も演奏し練り上げてきたのが今日の結果だったのでしょう。

バレンボイムはやっと自分の思いのままになるオーケストラ、すなわちシュターツカペレ・ベルリンにたどり着いたのではないでしょうか。世界最高のコンビかもしれません。

   hakaru matsuoka

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2007年4月 6日 (金)

ピエール・ブーレーズ指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団 マーラー交響曲第4番 ベルリンフェストターゲ

松岡究です。今日も結構寒い一日でした。かぜが治りきってないせいもあるかもしれませんが、空気が寒く感じられます。

曲目  マーラー:子供の不思議な角笛

          交響曲第4番ト長調「大いなる喜びの賛歌」

  ソプラノ:クリスティーナ・シェーファー

  指揮:ピエール・ブーレーズ

今日は大変感動しました。一昨日の3番での印象がうそのようでした。

4番と言うとマーラーでは一番室内楽的な要素を持った作品。いたるところに明るさと喜び・感謝が散りばめられ、またそこにそっと顔を出す不安や慟哭。ブーレーズの指揮は適度な緊張感と適度な情熱が音楽の自然な流れと見事に融合し、(3番でも見られたこのマエストロの特徴であるゆるぎないオーケストラコントロールの技の見事さはそのまま引き継がれ)曲の性格とブーレーズの本当に音楽家として素晴らしい面がぴたりと一致!またそこにシェーファーの気品あるピアニッシモとその表現力がさらに作品を深く掘り下げ、稀代の名演を聴かせてくれました。

ブーレーズと言ったら今までは血も涙もない機械的に音楽を演奏する人だと言う先入観がありましたが、そのことを今日は深く恥じ入りました。やはり物凄い音楽家なんだと言うことが今日ようやくわかりました。そして「そうだ、彼はフランス人なんだ」ということも今日深く認識した次第です。

高校の頃、マーラーの4番と言えばセル・クリーブランドの演奏が好きで聴いていました。そのセルは6番も録音してますよね。それも好きでした。今度はブーレーズは明後日6番をやります。期待したいです。

前半の角笛もシェーファーの本当に気品ある歌とブーレーズの決してでしゃばらない、しかし音楽的なサポートで魅了してくれました。

今回のこのベルリンフェストターゲは音楽的にはかなり高い水準で行われているようです。シュターツカペレはベルリンフィルを今は凌いでいるんじゃないでしょうか。今日のシェーファーとのピアニッシモとピアニッシシモのやりとりなどはまさにオペラで鍛えているオケの面目躍如。いや~素晴らしいなんてもんじゃなかったですよ。

と言うわけで、実は私もこの曲を日本で指揮します。

ZERO合奏団第1回定期演奏会

期日:2007年5月6日 午後2時開演  杉並公会堂(新しい綺麗なホールです)

   曲は他にモーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」

   ソプラノは松尾香世子

このオケは以前にご紹介しましたが、私と一緒に音楽をしたいと思って集まってくれたアマチュアの有志たちが、自分達で編成してくれたオーケストラです。今までも「第九」そしてモーツァルトの「戴冠ミサ」等をやってきました。そして今回初めて定期をやることになったわけです。これからは年に1回の定期と年に1・2回の合唱団との演奏会を軸にやっていくことになります。つまり歌をコンセプトにしたオーケストラです。

若干、招待券があります。このブログを見ていただいた方に差し上げます。直接メールを下さっても結構ですし、こちらのブログに書き込んでいただいても構いません。よろしかったら聴きにいらしてください。(連絡をいただけなかった方や当日は申し訳ありませんが入場料は2000円になります。)

    hakaru matsuoka

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2007年4月 4日 (水)

ピエール・ブーレーズ指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団 マーラー交響曲第3番 ベルリンフェストターゲ

松岡究です。昨日一昨日と風邪を引いてしまいました。今回のベルリンフェストターゲはバレンボイムとブーレーズによるマーラー交響曲と一連の歌曲の連続演奏会。全チケットを買ったのですが、風邪でダウン。一昨日のバレンボイムの1番、クヴァストホフの「亡き子」、昨日のブーレーズの「復活」は残念ながら聴けませんでした。しかし今日からは最後の9番まできっちり聴きます。

曲目  マーラー:交響曲第3番 ニ短調

   アルト:ミシェル・デ・ヤング

   合唱:ベルリン国立歌劇場合唱団女声

   児童合唱:アウレリウス 児童合唱団

  指揮:ピエール・ブーレーズ

お見事!と言うのがふさわしいとまず思いました。昨年確か80歳になったブーレーズは全く年を感じさせません。まさに隅々まで曲を把握している感のある全く無駄の無い動き。ですから、オーケストラは大変のびのびと弾いて、吹いているのが良くわかります。そして紛れも無くマーラーの音楽がそこから聞えて来るのです。完璧なマエストロの仕事!

こんな経験はあまりしたことがありません。心の内面をえぐられるわけではありません。また感動したと言うのでもないのです。しかし見事なんです。ホルンやバンダのトランペット(ポストホルンで吹いてはいませんでした)がひっくり返ったりしたことが数度ありましたが、音楽の佇まいと言うか、フォームは余りにも美しいと言った方がいいのかもしれません。変な言い方ですが、綺麗な女性を見てその美しさに感嘆するのみで、全くあちらに考えが行かないのに似てる、と言うことでしょうか。

6楽章などは聴衆全員が息を凝らして聞き入っているのですが、その音楽は室内楽的な美しさはあるものの、心には響きませんでした。残念!と言うより当然かもしれません。

聴衆は沸きに沸いて圧倒的な成功。でも私は早めに家路に着きました。

   hakaru matsuoka

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