ベルリン ムジークフェスト ヤノフスキ指揮ベルリン放送交響楽団
松岡究です。毎日寒い日が続きます。8月31日から始まったムジークフェストも終盤に差し掛かってきました。今度の日曜で終わるのですが、その日はラトル・ベルリンフィルが16時から、ドゥダメル・ベルリン国立歌劇場管が20時からとなっています。ダブルヘッダーを聴く人はいるのでしょうか?
曲目 ドビュッシー:カンマ
ブゾーニ:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品35a
シベリウス:交響曲第4番イ短調作品63
ヴァイオリン:フランク・ペーター・ツィメルマン
指揮:マレク・ヤノフスキ
大変地味な曲が並んだ演奏会。日本ではこうは行かないでしょう。客の入りは7割ほど。しかし演奏会の質としては大変高いものだったと思います。それはまずヤノフスキの力によるところが大きいですね。指揮者としてこのような選曲は大変な自信と確信がなければ出来ないはずです。最初のドビュッシーの「カンマ」は20分ほどの得体の知れない曲ですが、ヤノフスキは全く聴く人を飽きさせず、静謐なうちに曲を終えました。次のブゾーニの協奏曲。先日聴いたラトル・ベルリンフィルのサラバンドとは全く趣を異にした明るい曲でした。ツィメルマンのヴァイオリンも気品があって素晴らしく、ヤノフスキもそれに応えるがごとく素晴らしい演奏。でも素晴らしかったのだけど、「この曲のどこが良いの?」という疑問は疑問のまま残りました。それよりもアンコールで演奏したバッハの無伴奏パルティータが素晴らしいできばえ。ツィメルマンの気品と歌心が見事に一致した名演。彼も素晴らしいヴァイオリニストに成長してきました。
休憩を挟んでシベリウスの4番の交響曲。やはりツィメルマン目当ての客は帰ってしまったようで、ちょっとお客さんが少なくなったかなあという感じ。しかしながら演奏は立派なもの。ヤノフスキはこの曲を暗譜で振り、オーケストラから燻し銀のようなサウンドを引き出していました。特に3楽章はオーケストラもヤノフスキも渾身の演奏。
でも一言!ヤノフスキの演奏はいつももう一つ心の奥に響いてこないんだなあ、どうしてだろう。本当に形は良く出来ていてある意味では非の打ち所がない演奏なのに。
hakaru matsuoka
最近のコメント