2007年4月22日 (日)

内田光子ピアノリサイタル イン ベルリン

松岡究です。今日もベルリンは寒い一日でした。でも明日か明後日にはまた20度を超える予報になっています。

曲目   ベートーヴェンプロ

         6つのバガテル作品126

         ピアノソナタ第28番イ長調作品101

         ピアノソナタ第29番変ロ長調作品106「ハンマークラヴィーア」

 ピアノ:内田光子

素晴らしい演奏会でした。彼女の最も素晴らしい持ち味は何と言ってもその極度の集中力にあると思います。昨年末のベルリンフィルとのモーツァルトはその彼女の持ち味が今ひとつ発揮されなかったように思いました。それでも良かったのですが。

しかし今日の内田さんは最初から自分のペースで出来るためか、素晴らしい集中力を発揮してベートーヴェンの3つの作品を見事に弾き切っていました。その体から出る音楽は指を通り越して会場にほとばしっていくかのよう。だから時折指と音楽のバランスが崩れる時があるんだけど、それを補ってやまない音楽が厳と存在しているのが素晴らしい。

コンチェルトをやるときは今度はご自分で指揮もなさった方がもっと成功するんじゃないでしょうか。それくらい体に音楽が出てました。

   hakaru matsuoka

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2007年3月24日 (土)

ベルリンフィルハーモニー木管アンサンブル演奏会

松岡究です。今日は朝は快晴。大変気持ちのよいスタートでしたが、夕方からまた雨。良い天気は長続きしません。

今日は木管アンサンブルの演奏会。ベルリンフィルの名手達を軸に大変スマートに鮮やかに演奏してくれました。全部で5曲。全部をオーボエ・クラリネット・ホルン・ファゴット2本とコントラバスの9人で演奏するコンサートでした。

曲目  シューベルト:8重奏曲ヘ長調 D72

     アルヴォ・ペルト:フラトレス

     クロンマー:ハルモニームジーク(パルティータ)ハ長調

     ベートーヴェン:ロンド変ホ長調 WoO25

     モーツァルト:セレナーデ変ホ長調 Kv375

  オーボエ:アルブレヒト・マイヤー

        ドミニク・ヴォッレンウェーバー

  クラリネット:ヴェンツェル・フクス

          マンフレード・プライス

  ホルン:ラデク・バボラク

       ステファン・デ・レファル・イェツィールスキー

  ファゴット:ステファン・シュヴァイゲルト

        マリオン・ラインハルト

  コントラバス:ウルリッヒ・ヴォルフ

なんと色鮮やかに、彼らは演奏するのでしょうか!最初のシューベルトからその音色の多様性が発揮され、2曲目のアルヴォ・ペルトの曲ではスローな曲ながら大変陰影に富んだ演奏を聞かせてくれました。この作曲家の持ち味の神秘性と古典的な味わいがとてもよく歌われていました。

クロンマーとは初めて聞く作曲家でしたが、特にマイヤーとフクスの2人の名人芸が聴く人たちの感興をそそり、大変聴き応えのある演奏になっていました。

後半の2曲。ベートーヴェンの作品はバボラクとイェツィールスキーのホルンのアンサンブルが見事。最後のモーツァルトに至っては全員がアンサンブルの楽しさを伝え、それが客席に広がり大変素晴らしい楽興の時。

やはり音楽は呼吸なのですね。それを自在に操るセンスと技量。そしてそこにあるイメージ。再認識させられた一夜でした。

   hakaru matsuoka    

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2007年2月 4日 (日)

モーツァルト管楽セレナーデ本番終了

松岡究です。昨日モーツァルトのハ短調の管楽セレナーデと13管楽器のための「グラン・パルティータ」の本番が終了いたしました。

木管楽器奏者にとっては、極めつけのプログラム。それを彼らは高い集中力と高い音楽性でやってのけました。勿論多少の傷はあるのですが、それにひるむことなく常にポジティブに音楽に対峙し、ひたむきに音を奏でていたのではないかと思います。

これを機会に残る管楽器のための合奏曲、例えばリヒャルト・シュトラウスやグノー、ドヴォルザーク等もやられたらいいのではないかと思います。今日は心地よい本番でした。

 hakaru matsuoka

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2006年11月15日 (水)

ドロテア・レシュマン&ダニエル・バレンボイム リートマチネー

松岡究です。今日の日曜は朝の11じから歌曲のコンサート。本当はローマン・トレケルとバレンボイムのリートマチネーだったのですが、トレケルが病気だと言うことで、急遽ドロテア・レシュマンのリサイタルとなりました。しかしこれが大当たり。素晴らしい1時間半でした。

曲目  シューマン没後150年

   「ミルテの花」より12曲 作品25

   「リーダークライス」作品39~ヨーゼフ・フォン・アイヒェンドルフの詩による

全くトレケルのリサイタルだと疑わないで開演を待っていました。するとでて来たのはレシュマン。???頭の中が混乱状態。しかし彼女が歌い始めるや否や、私は彼女の声に引き込まれ、シューマンのロマンに35分間身をゆだねて聞き入ることが出来ました。正確な発音と発声に支えられた彼女の歌は、時にオペラティックにまた大変繊細に、時にはユーモラスな表情も交えながら、彼女の歌はミルテの世界に誘ってくれました。

後半のリーダークライスも素晴らしい歌唱。シューマンがこんなに素敵な小宇宙を持っているなんて、シンフォニーしか知らない僕にはとても新鮮。アンコールも3曲も歌って、最後は全員がスタンディングオベイションで彼女をたたえました。

バレンボイムのピアノも素敵!ベートーヴェンのソナタを弾いている時は楽器が持っている以上の世界を弾こうとして時に音が濁りがちになるのですが、今日の伴奏に関して言えば、「こんなに綺麗な素敵な音を持っていたのね!」と関心。~失礼~モーツァルトのコンチェルト23番の特に第2楽章の音を今思い出しました。あれも良かったです。やはりバレンボイムの音楽の原点はピアノに間違いない。

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2006年10月18日 (水)

フィルハーモニア 弦楽四重奏団演奏会

松岡究です。ココログがメンテナンスをやっていた関係で、投稿が遅れてしまいました。

昨日は快晴のベルリン。しかし気温は低く日本でなら冬といった感じ。私はもうダウンジャケットを着ています。

曲目 オールショスタコーヴィッチプログラム

弦楽四重奏曲第9・10・11・12番

この四重奏団初めて聴きます。ベルリンフィルのコンサートマスターのスタブラヴァを中心にしたメンバー。やはりとってもうまかったですね。聞いていて全く音色に濁りがないのが素晴らしい。そして一晩でショスタコーヴィッチのちょうど交響曲13番と14番の間に作曲された曲を聞くことでまた彼に対する理解が深まった気がします。

彼の曲はそのどれもが気を抜けないと言うか、ほっとするところのない痛烈なメッセージで貫かれている作品ばかりですが、今回のこう4曲も全く同じです。アイロニー、慟哭、茶化し、恐怖等のメッセージが深刻にそして氷のような冷たさを持った音で提示されていきます。時折見せる妙にシンプルな和音とリズムは、「こんなに境遇では、何も考えずにいないとどうにかなっちゃうぜ」とでも言いたげな感じ。

開演前、こちらに住む関さんと話していたら、「おお、日本人ですね。お元気ですか?」と声を掛けてくる90歳くらいの腰の曲がった老人がいらっしゃいました。その日本語はとても綺麗な発音でびっくり。それは誰あろうあの元ベルリンフィルの大コンサートマスター、ミシェル・シュヴァルベさん。私は時間の流れを感ずるとともに、シュヴァルベさんがいつまでもお元気でいらっしゃることを願いました。

       hakaru matsuoka

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2006年9月13日 (水)

マグダレーナ・コジェナー、ダニエル・バレンボイム リートマチネー

松岡究です。今日は実に言い天気。空気も澄んでいて気持ちの言い朝を迎えました。今日は朝の11時から歌曲のコンサート。コジェナーとバレンボイムの組み合わせです。

曲目   メンデルスゾーン:小姓の歌 ヴェネツィアのゴンドラの歌 新しい歌 夜の歌 魔女の歌

      シューマン:女の愛と生涯 作品42

      ドヴォルザーク:4つの歌作品73

               :4つの歌作品2から2曲目と4曲目

               :夕べの歌から

               :ジプシーの歌

今日も素敵なコンサートでした。コジェナーは全く無理のない発声とメゾにしては明るく清澄な響きを持っています。前半はドイツ物で、後半は自分のお国のドヴォルザークの作品。前半の白眉はなんと言ってもシューマンでしょう。奇を衒うことなくひたすら音楽と言葉によって表現される彼女の歌はその音楽性に支えられて、時には激しく時には祈り深く、そして豊かに静謐に表現されていきます。聴衆皆がその世界に引き込まれ実に素敵なひと時でした。

後半もその音楽に対するスタンスは変わらず、ひたむきに実にエレガントに歌われていきます。シューマンの時もそうでしたが、コジェナー自身が思わず涙がこみ上げてくるような一瞬があり、それが何とも歌の表現とマッチしていて鳥肌もの。その容姿も美人で素晴らしいですが、こんな表現が出来る人だということがなんと言っても素晴らしい。

ピアノのバレンボイムがコジェナーの表現に寄り添い、時には激しく主張して素晴らしいピアノ。特にシューマンで最後にもう一度最初の主題が回想してくるくだりのピアノの絶妙さに思わずほろっときました。

バレンボイムは昨日「ボリス・ゴドノフ」を振り、今日もこの後20時からアニア・シリアと新作のパフォーマンスとシェーンベルクの「期待」を振る事になっています。怪物!!!

      hakaru matsuoka

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2006年9月 8日 (金)

ベルリンムジークフェスト第7日目

松岡究です。昨日今日と比較的暖かいというか少々汗ばむような陽気だったのに、今日の夜になると温度が急降下。昼間と夜とでは15度近くも気温差がありました。

今日は大変マニアック?なコンサート。終わったのが11時5分前で疲れました。

第1部  Huelgas Ensemble

      曲目  マグヌス・リンドバーグ:Ottoni(ドイツ初演)

第2部  Singer Pur

      曲目  オルランド ディ ラッソ(オルランデ・ドゥ・ラッスス):聖ピエトロの墓

第3部  musikFablik

             曲目  ウォルフガング・リーム:Vigilia(世界初演)

第1部はトランペット4本 ホルン4本 トロンボーン3本 チューバ1本の金管アンサンブル。15・6分の曲でしたが、皆達者な奏者ばかり。しかし曲は余り印象に残らない「だからどうした」みたいな感じになってしまいました。

第2部は女声3人男性7人(チェンバロ奏者が2度加わって8人の時もありました)のヴォーカルアンサンブル。全員で歌うことは全くなく3重唱から8重唱までを入れ替わり立ち代り、歌い手の声質に合わせてアンサンブルしていました。これに古楽器のアンサンブルが加わって約1時間の長大な曲。しかし最初はホールの響きを掴みきれていない感じがありましたが、10分もすると声が響き始め、1時間の長さを忘れさせてくれる至福の時間。発声が自然で、勿論ビブラートは全くなく透明感溢れる演奏でした。

第3部はソプラノ カウンターテナー テナー バリトン2人 バスの6人のヴォーカルアンサンブルにヴィオラ チェロ コントラバス 打楽器 オルガン ホルン(後方座席) クラリネット(左手座席) トロンボーン2本 チューバと言うアンサンブル。そう演奏時間70分に及ぶ大作。まず6人のヴォーカルアンサンブルが圧倒的に素晴らしい。一人一人の音楽性も素晴らしいし、大変正確なピッチとハーモニー感には脱帽。

作曲者によると7つのモテットと間奏曲ということのようですが、そのモテットが大変な緊張感と完成度を持って歌われました。それをつなぐ前奏・間奏曲も空間を意識した曲になっていました。ただ長いので最後全員が演奏するくだりになるとそれが20分近く延々と続くものですから、最後は退屈してしまいました。しかしそれまでの50分は観客が誰一人息も出来ないくらいの緊迫感に引き込まれていました。

 

       hakaru matsuoka

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2006年5月24日 (水)

五嶋みどりヴァイオリンリサイタル

松岡究です。今日は五嶋みどりのリサイタルです。こちらではMIDORIとして売っています。会場はフィルハーモニーの室内楽ホール。

曲目

シューベルト:ソナチネニ長調 op.posth.137No.1

プロコフィエフ:ソナタ第1番へ短調 op80

シェーンベルク:ファンタジー op47

ベートーヴェン:ソナタハ短調 op30No2

共演:ピアノ  ロバート マクドナルド

今日も素晴らしいコンサートでした。今年の1月にドイチェス・シンフォニーに客演して、シベリウスのヴァイオリンコンチェルトをケント・ナガノと共演した時も最初の1音が弾かれるや否や会場がヴァイオリンの音で満たされ、それが単に音が通るとか美しいなどと言う次元ではなく、全く音楽的に最高の次元で提示されたのを鮮明に記憶しています。

今回も最初のシューベルトから全く無理のない気品のある自然な音楽と呼吸でコンサートが始まりました。共演のマクドナルドも見事なピアノ。MIDORI共々陰になり日向になり、二人で音楽を楽しみ且つ我々にしっかりしたメッセージを届けてくれます。

2曲目のプロコフィエフは今日の白眉。会場はその音楽の持つ緊張感に身じろぎ一つしないで静まり返って二人の演奏を聞いていました。特に印象に残っているのは1楽章の重く深い精神性と3楽章の清らかな水が流れるようなピアノの上にさらに純度の高いヴァイオリンが小船が流れていくがごとく流れていく音の世界。まさにプロコフィエフの世界をほとんど100%表現しえていたのではないでしょうか。

後半はドイツの代表的な2人を並べてベルリンの聴衆に「どうだ!」と言わんばかりのプログラム。シェーンベルクは意に反して少し明るすぎたきらいがあったものの、ベーとーヴェンでは作品の持つたくましさと優しさを本当に丁寧に、気高く示してくれました。

このようなコンサートを提供してくれるベルリンと言うところは、本当に面白い飽きないところです。日本ではなかなか手に入らない彼女のチケット。でも今日は7割くらいの入りでした。同じフィルハーモニーの大ホールではブーレーズがシュターツカペレを振って、マーラーの「千人の交響曲」をやっていました。

   hakaru matsuoka

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2006年4月 6日 (木)

アルフレード・ブレンデル ピアノリサイタル イン ベルリン

松岡究です。今日はブレンデルのリサイタルでした。以前から大変楽しみにしていたコンサート。と言うのも1月にラトルとベルリンフィルでモーツァルトの27番のコンチェルトのチケットが取れなかったので、リサイタルは是非と思っていたんです。今日はその期待を裏切らないすばらしい演奏会でした。

曲目ハイドン:ピアノソナタニ長調HobXVI/42

シューベルト:ピアノソナタト長調D894

モーツァルト:幻想曲ハ短調KV475     ロンドイ短調KV511

ハイドン:ピアノソナタハ長調HobXVI/50

と言うラインアップ。

最初のハイドンからこのピアニストのすばらしいピアニズムは健在。音の粒立ちがすばらしく、完璧なバランス感覚でハイドンをおしゃれに弾きこなします。聴衆はまだ集中が足りず咳払いが良く聞こえたのが残念。次のシューベルト。私はシューベルトのソナタは長いので昔から閉口していたのですが、ブレンデルで聴くと45分があっという間の出来事でした。彼は気を衒うことなく淡々と弾き進めるのですが、どこにも自然な息遣いと歌にあふれ、またシューベルトの叙情性が気品高く歌われていくんです。彼の音は絶妙なピアニッシモにその真骨頂が表れていると思うんですが、それは気高く変な緊張感は全く無い完璧にコントロールされたそれもわざとらしさの無い自然なコントロール。まさに音とブレンデル自身が一体となっているんですね。

後半のモーツァルトはブレンデルのうなり声が聞こえてきました。でもその歌はやはり自然で型崩れすることなど一切無く、モーツァルトがこんなにも精神的に充実した音楽を書いたのかと言うことを改めて認識させてくれました。モーツァルトの短調の曲はどれも深い精神性が内蔵されているように思いますが、それを余すところ無く示してくれたのです。そのモーツァルトの後、この演奏会の最後に演奏されたのがまたまたハイドンのソナタ。モーツァルトの短調の曲を聴いた後でハイドンを聞くと、ハイドンがいかにモーツアルトよりも機知に富み、目をまん丸にして楽しんで音楽を書いている様子がありありとわかってきます。彼こそ天才で個性豊かな作曲家はいないと言うことが証明されたような感覚を受けました。

今年75歳になるブレンデルが敢えて今回のような曲目を選んでいると言うことは、精神的葛藤や作曲家との闘争と言うことから数段上の境地を獲得しているんではないかと思います。つまり曲目と四つに組んで相撲を取るような感じではなく、既に曲目と友達になっているとでも言うのかなあ、出てくる音は全て微笑んでいました。

     hakaru matsuoka

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2006年2月26日 (日)

ベルリンコーミッシェオパーのマチネーコンサート

松岡究です。今日は朝起きると雪が降っており、うっすらと雪が積もっていました。11時からのマチネーコンサートが終わって外に出ると、あらまあ、もう雪はすっかり解けて晴れているではありませんか。でもその後も雪になったり晴れたりで落ち着かない天気です。

さてこのコンサート11時からですが、日曜にはよくあることです。例えば新年のウィーンフィルのニューイヤーコンサート。あれも11時からやっているんですね。時差の8時間ある日本では、夜7時から見れると言うことになります。

曲目はモーツァルトの13管楽器のためのセレナーデとR・シュトラウスの16管楽器のためのソナチネ第2番。以上の2曲。モーツァルトの編成はオーボエ2本、クラリネット2本、バセットホルン2本、ホルン4本、ファゴット2本、それにコントラファゴット1本の計13本。R・シュトラウスはこれにフルート2本とバスクラリネット1本、バセットホルン一人がC調クラリネットに持ち替えて、計16本です。指揮は音楽監督のキリル・ぺトレンコ。

会場がFoyerといってオペラハウスには必ずあるんですが、休憩時等に飲んだり食べたりする広間みたいなところでのコンサート。したがって臨時にそこにいすを130ほど並べて急ごしらえの会場を作るわけです。ですから客との間はほとんどなくてとても親近感が生まれますよね。他の例えばベルリン国立歌劇場のFoyerは別にアポロザールと呼ばれ、室内楽演奏を意識したつくりになっています。例えばじゅうたんをひかないとか、いすを並べてあるだとか、そういったことです。

まずモーツァルト。初めは皆緊張しているのか、セレナーデなのにその典雅さや匂いが全く感じられず、音響もそれほどよくないこともあって、少々きついなと思いながら聴いていたんですが、第2メヌエットを過ぎたあたりから、皆俄然音楽を楽しみ始めて、最後はとてもいい感じで終わっていました。勿論私はこのリハーサルから付き合っていましたが、ぺトレンコが最後のリハーサルで、「lustig!]つまり、「やってて楽しいね」とみんなの前でもらしていましたが、最後がそうなってくれて本当に良かったです、ハイ。オペラのオーケストラは、シンフォニーやこういった室内楽的作品に触れるのはあまりないことです。ですからベートーヴェンの交響曲でもなかなか演奏するチャンスに恵まれないので、指揮者がうまく導いてやらないとなかなかうまく行きません。逆にオペラは毎日演奏しているので、指揮者よりも知っていて、こちらの方は指揮者がある意味で任せた方がうまく行く場合が往々にしてあります。オーケストラのメンバーはかなり減ってそれでも110人ほどだそうですが、毎日オぺラ公演をやって、なおかつこういった純器楽による演奏会をするのは本当に大変です。しかしこれも絶対に必要なことで、こういった努力が演奏の質を向上させて行くのだと思います。後半のR・シュトラウス。これは最初から皆エンジン全開。すばらしい演奏でした。130人の聴衆からは盛んに拍手とブラボーが送られ、日曜の午後のひと時を満足させるに充分であったと思います。

一日に2回のアップになってしまいました。私にとっては違う日に書いているんですが。今は午後3時を少し回ったところです。

      hakaru matsuoka

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