2008年10月23日 (木)

サローネン指揮ロス・アンジェルスフィルハーモニー演奏会

松岡究です。今日は久しぶりに演奏会を聴きに出かけました。場所はサントリーホール。

曲目 

 ストラヴィンスキー:花火

 ストラヴィンスキー:ペトルーシュカ(1947年版)

 ドビュッシー:交響詩「海」

 ラヴェル:ボレロ

指揮  エサ・ペッカ=サローネン

今までサローネンは何回か来日してるのですが、一度も聴けずじまいで今回は何としても聴きたかった指揮者です。期待を裏切らない素晴らしいコンサートでした。

どの曲もどの演奏もピアニッシモからフォルティッシモまで全く濁りの無いサウンドを作り出しているのが、彼のロスフィルに対する大きな功績なのではないでしょうか。そしてどこも明晰で考え抜かれた表現とスマートでダンディーとも言える彼のスタイルは、現代そのものの投影されたものと言ってもいいかもしれません。オーケストラの鳴り方としては大変おとなしい感じがするものの、決して表現を抑えているのではなく、北欧的(透明性として)と形容したくなるような透き通った音がホールを満たしているんです。打楽器の音までが各楽器と交じり合ってひとつ大きな有機体を形成しているような印象を持ちました。

プログラムの中で白眉だったのが、ドビュッシーの「海」。彼の表現は精緻な水彩画(決して油絵ではなく)のようで、最初の出だしからピアニッシモの中にコントラストがあって、思わず引付けられました。何だか不思議な体験!

他の演奏も素晴らしかったのだけど、アンコールの「メリザンドの死」(多分)が絶品。こういったメロディックな曲もその和声の組み立て方から旋律の歌わせ方まで素敵と言う言葉がぴったり。

ロスフィルとの蜜月時代は今シーズンで終わりとか。大変残念ですが、今度はもっと凄いオケでサローネンの世界を聴きたいです。

    hakaru matsuoka

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2008年4月15日 (火)

第10回成城管弦楽団演奏会ご招待

松岡究です。4月20日の合奏団ZEROに引き続き、27日に成城管弦楽団の第10回の演奏会を指揮いたします。そこで、皆さんをご招待したいと思います。もしお聞きになりたい方がいらっしゃいましたら、ぜひお越しください。

4月27日(日)午後2時開演  大田区民ホール・アプリコ

曲目 ワグナー:ニュルンベルクのマイスタージンガー~前奏曲

    フォーレ:ペレアスとメリザンド

    チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」

第10回ということで、第1回にやったマイスタージンガー前奏曲を、自分たちの成長を見届ける意味で、もう一度演奏したいとみんな張り切っております。

みんなほとんどが私のかわいい後輩たちです。勿論先輩もいらっしゃいます。(笑)

ぜひ足をお運びください。

       hakaru matsuoka

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2008年4月 8日 (火)

合奏団ZERO第2回演奏会のお知らせ

松岡究です。来る4月20日に私のオーケストラである合奏団ZEROの第2回演奏会を開催いたします。

4月20日(日)午後2時開演 中野ZERO大ホール

曲目  

モーツァルト:交響曲第39番変ホ長調

ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」変ホ長調

以上の2曲です。当日はひとつの試みといたしまして、入場料無料で開催いたしますので、ぜひ皆様足を運んでいただきますようお願いいたします。

前回の第1回演奏会の後、昨年秋にはモーツァルト「レクイエム」他を演奏いたしました。少しずつではありますが、着実に良い方向へ行っているように思います。皆様の忌憚のないご意見・ご批評を、お聞かせくだされば一層の励みにもなります。どうぞよろしくお願いいたします。

追伸:当日は整理券が必要となります。お入用の方は私に連絡をいただければと思います。~整理券がないと浮浪者が入り込むとこがあるそうで、それを防ぐ意味があるそうです。よろしくご理解いただきますようお願い申し上げます。

      hakaru matsuoka

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2007年10月 3日 (水)

9月28日コーミッシェオパー管演奏会

松岡究です。9月28日に行われたコーミッシェオパー管弦楽団の今期最初のコンサートです。

曲目   J・シュトラウス:皇帝円舞曲

      ショスタコーヴィッチ:チェロ協奏曲第2番

      ドヴォルザーク:交響曲第8番ト長調

   チェロ:アルバン・ゲアハルト

   指揮:アレクサンダー・ジナイスキー

何とも奇妙なプログラミング。でも皇帝円舞曲の演奏自体は悪くないけど、何とも無味乾燥と言うか、艶がないというか、色気がないというか。あのウィーンの雰囲気を出すのは本当に難しいですね。

次のショスタコーヴィッチの協奏曲は、私が中学生の時にロストロポーヴィチが確か初来日して、自分に捧げられたこの曲を演奏して以来聴く曲でした。あの時の鬼気迫るロストロのの演奏は今もはっきりと脳裏に焼きついています。そのときの指揮者を飛び越して、自分が弾いていない時に、右手の弓をN響に突きつけて振り回し、当時のホルンの確か田中正大さんが、真っ赤な顔をして吹いてらっしゃいました。もう腰を抜かさんばかりの名演というより、巨大なありえない演奏で、曲が終わっても拍手できなかったことを覚えています。それ以来、この曲は一度も耳にしませんでしたが、ゲアハルトで聴くとよく弾いてるんだけど、やはりあの巨人的な演奏は耳にすることはできませんでした。オーケストラももう一つで、緊張感が持続しなかったのではないでしょうか。

最後のドヴォ8。悪くはないのですが、何とも元気一杯で、ノスタルジーとか自然の美というものからはほど遠く、突進型のドヴォ8でした。こういう演奏は聴いていてあまり気持ちが豊かになりませんね。ジナイスキーは楽員から絶大な信頼を勝ち得ていたので、期待していたのですが、どうやら期待は裏切られたようです。

ちなみに前監督のキリル・ペトレンコはオペラの指揮者オブイヤーに、コーミッシェオパーも、年間最優秀歌劇場に選ばれました。

ちなみに去年ドイチェオパーは酷評されて、どうやらパルンボは辞任に追い込まれそうな雰囲気になってきました。後任にはランニクルズらの名前が挙がっています。

   hakaru matsuoka

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2007年9月28日 (金)

ネーメ・ヤルヴィ指揮ベルリンフィル

松岡究です。今日は気温は全く上がらず、おまけに夕方6時くらいから冷たい雨になってしまいました。3日前までの暖かさはもう戻ってこないのかなあ。

今日のベルリンフィルのコンサートは、3年前にベルリンに来てちょうど50回目のコンサートでした。個人差はありますが、確実に2回生まれ変わった位の回数を聴いたと思います。ありがたいことです。

曲目   バルトーク:ピアノ協奏曲第3番

      ハンス・ロット:交響曲第1番ホ長調

  ピアノ:エレーヌ・グリモー

  指揮:ネーメ・ヤルヴィ

グリモーは今月2回目。以前にもベルリンで聴きましたから今日聴くのは3回目でしたが、今日の演奏が一番良かったと思います(1回目は確かシューマン、2回目がベートーヴェンの4番)。最初から最後まで、ピアノの音はくっきりと冴え渡り、特に第2楽章では、ヤルヴィのサポートもよく、実に美しい音楽を奏でていました。前2回はフォルテになると必ずオケに埋没してしまっていたのですが、今回は全くそういうことはありませんでした。これはヤルヴィの手腕にも大きく関わっていることだと思います。

後半のハンス・ロットの交響曲。こんなに純真無垢で、尚且つ素晴らしい音楽があったのかと驚きを禁じ得ません。今日の演奏そしてこの曲を聴いていると、自分の10代の頃が思い出されて、胸がきゅんとなりました(そういう音楽なのです)。第1楽章の冒頭、トランペットで柔らかに歌われる第1主題は、まさに青春といった言葉がぴったりです。そしてその主題を使って展開していくオーケストレーションも素晴らしいものでした。第3楽章などは思わず会場から「ブラーヴィ」の声が漏れ聞こえてきたほど、素晴らしい躍動感ある演奏でした。ヤルヴィはこの曲の真価を余すところなく伝え、55分にも及ぶこの交響曲のベルリンフィル初演を、高い品質の演奏で飾ったと思います。この曲は多分これから数多ある交響曲の中で、かなりの地位を獲得していくのではないかと思われます。

わずか26歳で夭逝したこの作曲家を惜しむとともに、また逆に、こんなに純真な魂の持ち主は、現世の荒波には耐えられなかったのではと、勝手に想像してしまいました。

   hakaru matsuoka

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2007年9月27日 (木)

ライプツィッヒ ゲヴァントハウス管弦楽団演奏会

松岡究です。昨日からベルリンは寒いベルリンに戻りました。でも今日はちょっと寒さは和らいでいましたが。

曲目   シベリウス :交響詩「タピオラ」

      シベリウス:ヴァイオリン協奏曲ニ短調

      ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調「英雄」

  ヴァイオリン:ジュリアン・ラクリン

  指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット

会場は7~8割くらいの入りでしょうか。指揮のブロムシュテットも今年80歳だそうです。マズアもそうですから、時の流れは速いものです。シベリウスはブロムシュテットのお得意としている作曲家といわれています。しかしながら私にはそうは思えないのです。今回もちゃんと音にはしているんだけど、何が言いたいのか今ひとつ伝わってきません。シベリウスは、例えば2番の交響曲までの愛国心に満ちた感動的な部分と、3番以降に見られるように自然や神秘(色々な伝説や物語等も含めて)を歌い上げ、そして例えば4番のように精神的・内向的な面を持つ作曲家だと思っているのですが、ブロムシュテットの演奏はそのどれにも属さないと思えるのです。

ラクリンのヴァイオリンは大変美しく、決して大きな音ではありませんが伸びやかな抒情があります。またどちらかといえば明るい音色で、かつしっとり感もあり稀有の才能でしょう。第1楽章冒頭の美しさは例えようもなく、また2楽章の叙情性や3楽章の躍動感も素晴らしいものでした。ただブロムシュテットの音楽が合わせに重きを置いているため、この曲の表現としての方向性があまり感じられませんでした。

最後の「英雄」。これはとてもいい演奏だったと思います。引き締まったテンポ感と表現はとても80歳とは思えません。オケもその速いテンポを見事に弾ききり、素晴らしいアンサンブルを聴かせてくれました。ブロムシュテットの音楽はこの曲に限らず、ほとんどアゴーギクの幅がないのが特徴です。ですから時に単調になって聴こえてくるところもあり、それがいささか残念でした。しかし彼の息の音が会場中に響き渡り、気合が入っているのはいいのですが、それがまた聴いている人の集中を妨げたこともまた残念でした。

   hakaru matsuoka

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2007年9月25日 (火)

ベルリンドイツ交響楽団演奏会

松岡究です。今日も暑い?一日でした。最高気温が25度まで達したようです。しかしまた明日から寒いベルリンに戻るようです。

曲目   ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲

      ルトスラウスキ:オーケストラのための協奏曲

      ブラームス:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調

  ピアノ:ピーター・ゼルキン

 指揮:インゴ・メッツマッハー

最初のハイドン・ヴァリエーションは何ともミスマッチな選曲でした。最初の木管の主題提示はちっとも美しくなく、アンサンブルもばらけていて、何よりメッツマッハーの音楽語法では対処し切れません。この曲は本当に指揮者にとっては晦渋で、彼はどうしてこの曲をやってしまったのでしょうか。これじゃ評価を下げるためにやったようなものです。2曲目のルトスラウスキは、水を得た魚のよう。オケも勿論メッツマッハーも生き生きとして、先ほどとは雲泥の差。彼は例えばブーレーズがワグナーとマーラー以降の作品にレパートリーを絞っているように、メッツマッハーもブラームスなんかやるのはやめて、20世紀と現代物を中心にやって行ったほうがいいのではないかと思いました。

後半の協奏曲。ゼルキンももう60歳です。しかし風貌は若いころのままでちょっとびっくり。そのゼルキンがオーソドックスに真摯にブラームスの内面を語ろうとしているのに、メッツマッハーの音楽はうわべをなぞるだけで、ブラームスの陰影や重厚さ、暖かい情感など何にもありません。ですからピアノとオケがちぐはぐで、ゼルキンがかわいそう。6月に聴いたバレンボイムとラトルの演奏が素晴らしかっただけに、かなり聴き劣りしました。

今日も客の入りは5割程度、音楽監督就任早々の演奏会、前回のマーラー4番、そして今回と客の入りは細る一方です。また最初の演奏会の「英雄の生涯」から比べると、かなり今日はアンサンブルが雑で、この先どうなるのでしょうか。多分今シーズンが終わるころには、メッツマッハーとベルリンドイツ響の未来は決まるような気がしてきました。

ちょっとデクレッシェンドの方向に行ってると思います。

   hakaru matsuoka

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2007年9月23日 (日)

ラトル指揮ベルリンフィルハーモニー管弦楽団定期公演

松岡究です。昨日のラトル・ベルリンフィルの模様は、EMIミュージック・ジャパンのラトルのホームページの方に寄稿させていただきました。今確認しましたが、アップされておりますので、どうぞそちらをご覧下さい。宜しくお願いいたします。

http://www.toshiba-emi.co.jp/classic/rattle/review/

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2007年9月21日 (金)

マズア指揮フランス国立管弦楽団ベルリン公演

松岡究です。今日は快晴の一日でした。日差しを浴びるとまだ太陽の力が強くて、「あ~まだ冬じゃないんだ」って思ってしまいました。9月の太陽はまだ強いですね。今週末あたりはもう少し暖かくなる予報が出ていました。

曲目   ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調作品19

      ブルックナー:交響曲第7番ホ長調

   ピアノ:ダヴィッド・フレイ

   指揮:クルト・マズア

会場はコンチェルトハウスで、超満員の盛況ぶり。舞台はいつもは大きなシャンデリアが照らしているんですけど、今日はシャンデリアは消して、普通の照明を使ってやっていました。この方が私も良いと思います。ベルリンシュターツカペレとか、コンチェルトハウスオケはシャンデリアの照明でやってるんですが、かなり暗くて見辛いです。今日は舞台がすっきり見えました。この方がずっといいですね。

ピアノのフレイはまだ26歳の新人ですが、とても瑞々しい音を持ったハンサムなピアニスト。きっとこれから人気が出て、売れっ子になっていくんではないでしょうか。マズアのサポートもフランスのオケのちょっと明るめの音色の中にドイツ風の柔らかいニュアンスを出していて、このベートーヴェンの最初のコンチェルトにはとても似合った演奏になりました。アンコールではシューマンの「子供の情景」の第1曲を弾いたんですが、ここでまたもや携帯が鳴りました。どうなってるんでしょうね?マナーは地に落ちたかな。

後半のブルックナーは、うるさくなく、また重厚でもない、何と言うか爽やかな感じの音楽になりました。マズアというドイツの巨匠とフランスのオケが演奏するブルックナーは、形こそ大変オーソドックスですが、その聴こえてくる音色と感じはアルプスと言うより草原と言うに相応しく、教会というより地中海に見えるような白い家並といった感じでしょうか。しかし素敵な演奏だったと思います。ただ2楽章でシンバルが落っこちてしまいました。シンバルはその一発のためだけに舞台にいるので、彼?(見えなかったので)はただ舞台に座っていただけの人になってしまいました。また2楽章の最初でも携帯がなり、マズアがawwww・・・と思わず声を出していました。何とかならないですかね、携帯。

ドイツの指揮界は今やマズアが巨匠中の巨匠でしょう。彼は今年80歳ですが、かくしゃくとしています。ヴァントもクライバーもいなくなり、サヴァリッシュやシュタインは引退状態と言う現在、曲が終わった途端に皆が一斉にスタンディングオベイションになったのも、ドイツ人が彼を宝として思っているのではないかと、大変敬意を払っているのではないかと思わずにはいられませんでした。

   hakaru matsuoka

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2007年9月19日 (水)

メッツマッハー指揮ベルリンドイツ交響楽団演奏会

松岡究です。今日はまた寒くなりました。雨が降って気温が上がらず、ずっと10度前後だったようです。ダウンのコートを出そうかどうか本当に迷います。

曲目    ヘルムート・エーリンク:青い海

       マーラー:交響曲第4番ト長調「大いなる喜びへの賛歌」

   トランペット:ウィリアム・フォアマン

   エレクトリックギター:イェルグ・ヴィルケンドルフ

   ソロ:テルツ少年合唱団団員

  指揮:インゴ・メッツマッハー

最初のエーリンクの作品は、最後の方にシューベルトの「さすらい人」が引用されていると言うことで、最初にハンス・ホッターの歌う「さすらい人」の録音が流れた後、メッツマッハーによって作品が紹介され、曲が始められるという異例の形が取られました。エーリンクは会場にも来ていましたが、その曲のほとんどは幼い頃の体験が下になっているということで、今回のこの曲もそうだそうです。そして彼は耳の不自由な両親の下に生まれ、作曲家になったということでした。またそのことから、プログラムにはベルリンで行方不明になった子供の情報提供を写真・名前入りで求めるなど、社会的な側面に音楽も参加しようと言う、多分メッツマッハーの意欲が現れていると思いました。

曲は、トランペットの半分楽器の音と自分の声を同時に出す奏法で非常にミステリアスに始まりました。後半からは、ボーイソプラノがシューベルトの「さすらい人」を所謂不安を表すようなオーケストラのトーンの中で素晴らしい歌を聴かせてくれました。10歳くらいでしょうか、彼は曲の途中で何度か音叉を鳴らして音をとり、歌っていくのです。その声はまさに何か救いを求める子供達を代弁していたのでしょう。

後半は、マーラーの第4交響曲。ここでもメッツマッハーはボーイソプラノ(違う子供でした)を4楽章で使っていました。演奏は柔らかいトーンが基調になったいい演奏で、彼の力は現代音楽だけではないのだ、と言うことをはっきりわからせてくれました。とても品が良く、うるさくなく、この作品の美しさを充分表現していたと思います。(1楽章でクラリネットが1小節は早く飛び出したり、フルートがあわや落ちそうになったりと事故はいくつかありましたが)

ただ客の入りがどう見ても6割に到達してなく、彼のプログラミングではこれからの客足が伸びるのかちょっと心配になりました。前任のケント・ナガノはほぼ一杯にしていただけに、頑張って欲しいものです。

    hakaru matsuoka

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2007年9月18日 (火)

ベルリン国立歌劇場管弦楽団演奏会

松岡究です。今日のベルリンは久しぶりに暖かくて、日中は汗ばむくらいでした。気温も23~4度あったようです。しかし予報では明日からまた寒い日になるらしく、明日は最高が16度、最低が9度の予報です。日本はまた熱帯夜になったとか。考えられません。

曲目   アイヴス:「ロバート・ブラウニング」序曲

      バルトーク:ピアノ協奏曲第1番

      ベートーヴェン:交響曲第7番

  ピアノ:ダニエル・バレンボイム

  指揮:グスタヴォ・ドゥダメル

今話題の若手指揮者・ドゥダメルの登場とバレンボイムがピアノを弾くという2つの話題で、会場(コンツェルトハウス)は満席。1曲目のアイヴスの作品。はっきり言って何を言いたいのかさっぱりわかりません。序曲なのに?25分も演奏時間が有り、聴いているうちに辟易してきました。もうちょっとましな作品があると思うんですけど。

2曲目のバルトークの1番の協奏曲もめったに演奏されない曲です。これも聴いていてそのメッセージを感じるのには至りませんでした。ドゥダメルの棒は確実で、バレンボイムにぴったりと着いていき、バレンボイムもそれなりに弾いてはいるのですが、曲が何を言っているのかわからないままでした。

最後のベートーヴェンの7番。これは面白かったです。ちょうど30数年前にムーティとウィーンフィルが来て、ウィーンフィルがきりきり舞いになって弾いていたことを思い出しながら聴いていました。まさにシュターツカペレはドゥダメルにきりきり舞いさせられていました(笑)。また「中南米のラテン人はこのようにベートーヴェンを感じているのか」と興味津々でした。1・3・4楽章は思ったとおり速いテンポで颯爽と音楽を作っていました。特に4楽章は今まで聴いた中でも最も早い4楽章でした。作品の持つ神々しさ・気品・格調等は10年後20年後に譲るとして、彼が今もてはやされている理由がはっきりと良くわかります。物怖じしないで堂々と自分の音楽を主張していくのは清清しく、見ていてうらやましい限り。かといってPやPPが無いのではなく、そのところもちゃんと心得ているところも若いのに立派です。来年のベルリンフィルのヴァルト・ビューネが彼の指揮だそうです。多分何かしでかしてくれるんじゃないでしょうか。

   hakaru matsuoka

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2007年9月17日 (月)

ムジークフェスト ベルリン ラトル指揮ベルリンフィルハーモニー管弦楽団演奏会

松岡究です。ムジークフェスト ベルリンも今日が最終日。16時からラトル・ベルリンフィルが、20時からドゥダメル指揮ベルリンシュターツカペレが演奏会をやり、この音楽祭は終わります。

ベルリンフィルの模様はEMIミュージック・ジャパンさんのほうに寄稿しております。今回はゲネプロ、1日目、そして3日目の模様を寄稿させていただきました。順次掲載される予定です。どうぞそちらをご覧下さい。

http://www.toshiba-emi.co.jp/classic/rattle/review/

ドゥダメル・ベルリンシュターツカペレは明日17日に場所を代えて、同じプログラムでコンチェルトハウスで,定期演奏会として行われます。そちらを聴きに行きますので、明日またブログに掲載いたします。

     hakaru matsuoka

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2007年9月14日 (金)

ムジークフェスト ベルリン ルイージ指揮ドレスデン国立歌劇場管弦楽団演奏会

松岡究です。今日はコンサートが終わってから、このブログを通じて知り合いになった泉部さんとご一緒に食事をし、色々な楽しい音楽談義をしました。泉部さんどうもありがとうございました。

曲目   ヴァレーズ:アルカナ

      ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番ト長調

      R・シュトラウス:アルプス交響曲

  ピアノ:エレーヌ・グリモー

  指揮:ファビオ・ルイージ

今日は人気を読んでかどうか知りませんが、ポディウム席まで埋め尽くされるような人気ぶり。ポディウム席(オーケストラの後ろの舞台上の席または合唱席)はベルリンフィルがラトルやアッバード、ティーレマン、小沢さんとやるとき以外は売りに出ません。つまりそれくらい人気が高かったと言うことでしょう。確かにルイージは才能ある指揮者です。私は今日初めて彼の指揮を見ましたが、テクニックは申し分なくまたとても現代的なスタイルを持った指揮者です。巷で言うようなオーソドックスと言う印象は全く受けませんでした。ただヴァレーズもベートーヴェンもシュトラウスも共通して言えることは、才能はあるんだけど、やりたいことが多すぎるのか饒舌すぎてうるさい印象を持ちました。ピアノやピアニッシモには見るべきところはたくさんありましたが、フォルテやフォルティッシモになるとうるさくて通り一遍な音しか聞えてきません。ドレスデン国立管の燻し銀の音はどこにもなく、正直言って辟易しました。どうしてベートーヴェンの協奏曲では14型もいるのでしょうか?第1楽章などはオケがうるさくて、折角のグリモーの繊細な音楽がすぐにオーケストラによって(ルイージによって)塗りつぶされてしまいました。第2・3楽章ではそういったことは少しなくなりましたが、それにしても元気一杯!?の音楽。ラトルと比較しては失礼ですが、ラトルはフォルテやフォルティッシモでもバランス感覚があり、決して一色ではなく、また懐が深いのですが、ルイージはとてもそのレベルではありません。

期待して行っただけに余計に残念でした。まだ若いのかなあ?

と言うわけで、グリモーはルイージとは全く合わないように聞えました。彼女の繊細な音はむしろオーケストラよりはソロや室内楽に向いているように思います。ピアノ・ピアニッシモは彼女の世界を持っていますが、オーケストラと張り合う時のフォルテは並みの演奏家でしかなく聞えます。せめて今日はオーケストラの人員を10型ないし8型くらいまで落としてやってほしかったです。

         hakaru matsuoka

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2007年9月13日 (木)

ムジークフェスト ベルリン デュトア指揮フィルハーモニア管弦楽団演奏会

松岡究です。安部首相が辞任したと言うニュースが、こちらにも入ってきました。どうなるんでしょうか、日本は?

曲目   ドビュッシー:遊戯

      ショーソン:愛と海の詩

      ドビュッシー:管弦楽のための「映像」

              1:ジーグ

              2:イベリア

              3:春のロンド

      ラヴェル:ラ・ヴァルス

  ソプラノ:ヴェロニク・ジェンス

  指揮:シャルル・デュトア

フランス音楽を堪能した一夜でした。「こんなにフランス音楽って楽しかったの?」と言うくらい充実した演奏会でした。昨日ヤノフスキで聴いたドビュッシーの「カンマ」は折り目正しく、ちょっとしかめっ面の音楽だったのが、今日のドビュッシーは2曲とも、色彩豊かで音楽が息づいていて、オーケストラも楽しそう。後半のデュトアの登場のときはオーケストラも一緒になって拍手してました。

ソプラノのジェンスは、前半の「海の花」の時は、まだ温まっていなかったのか、それとも集中力を欠いたのかヴィブラートがきつくて、少しがっかり。もうちょっと繊細な歌が聴きたかったですね。しかし後半の「愛の死」の時にはかなり改善されていました。ショーソンの交響曲は私の「My favorite Simphony」です。絵に例えるといつもバックグラウンドが柔らかい夕焼けと言うか黄昏の色合いを持っている作曲家だと思います。ジェンスよりもデュトアの音楽作りのほうが見事でした。

最後の「ラ・ヴァルス」は圧巻の一言。デュトアの十八番だけあって、縦横無尽、才気煥発。こんな面白い「ラ・ヴァルス」は初めて聴きました。フランス物にかけては、デュトアは今や世界最高峰でしょうね。

   hakaru matsuoka

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2007年9月12日 (水)

ベルリン ムジークフェスト ヤノフスキ指揮ベルリン放送交響楽団

松岡究です。毎日寒い日が続きます。8月31日から始まったムジークフェストも終盤に差し掛かってきました。今度の日曜で終わるのですが、その日はラトル・ベルリンフィルが16時から、ドゥダメル・ベルリン国立歌劇場管が20時からとなっています。ダブルヘッダーを聴く人はいるのでしょうか?

曲目   ドビュッシー:カンマ

      ブゾーニ:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品35a

      シベリウス:交響曲第4番イ短調作品63

  ヴァイオリン:フランク・ペーター・ツィメルマン

  指揮:マレク・ヤノフスキ

大変地味な曲が並んだ演奏会。日本ではこうは行かないでしょう。客の入りは7割ほど。しかし演奏会の質としては大変高いものだったと思います。それはまずヤノフスキの力によるところが大きいですね。指揮者としてこのような選曲は大変な自信と確信がなければ出来ないはずです。最初のドビュッシーの「カンマ」は20分ほどの得体の知れない曲ですが、ヤノフスキは全く聴く人を飽きさせず、静謐なうちに曲を終えました。次のブゾーニの協奏曲。先日聴いたラトル・ベルリンフィルのサラバンドとは全く趣を異にした明るい曲でした。ツィメルマンのヴァイオリンも気品があって素晴らしく、ヤノフスキもそれに応えるがごとく素晴らしい演奏。でも素晴らしかったのだけど、「この曲のどこが良いの?」という疑問は疑問のまま残りました。それよりもアンコールで演奏したバッハの無伴奏パルティータが素晴らしいできばえ。ツィメルマンの気品と歌心が見事に一致した名演。彼も素晴らしいヴァイオリニストに成長してきました。

休憩を挟んでシベリウスの4番の交響曲。やはりツィメルマン目当ての客は帰ってしまったようで、ちょっとお客さんが少なくなったかなあという感じ。しかしながら演奏は立派なもの。ヤノフスキはこの曲を暗譜で振り、オーケストラから燻し銀のようなサウンドを引き出していました。特に3楽章はオーケストラもヤノフスキも渾身の演奏。

でも一言!ヤノフスキの演奏はいつももう一つ心の奥に響いてこないんだなあ、どうしてだろう。本当に形は良く出来ていてある意味では非の打ち所がない演奏なのに。

   hakaru matsuoka

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2007年9月10日 (月)

ベルリン ムジークフェスト メッツマッハー指揮ベルリンドイツ交響楽団演奏会

松岡究です。昨日から私のアパートではハイツング(暖房)が入り始めました。気温を比較してみますと、東京の約半分の気温です。日本で言うと晩秋あたりの気温かなあ?でも街路樹などはまだちゃんと葉っぱがあります。色付きもまだですし。

曲目  R・シュトラウス:英雄の生涯

     E・ヴァレーズ:アメリクス(アメリカズ)

いよいよ、メッツマッハーの音楽監督の時代が始まりました。彼は若いころはアンサンブル・モデルンのピアニスト兼指揮者でしたし、今までの彼の足跡を見ても現代作品で名を売ってきた鬼才です。ですから現代作品に対しては圧倒的な自信があるのでしょう。普通の指揮者なら、この曲の順番は逆でしょう。しかしヴァレーズをメインとして聴かせたいという彼の姿勢・考えは今日聴いて大変納得の行くものでした。

まず「英雄の生涯」は驚くほど正攻法の音楽で、「オレだってこんなにやれる」と言う自信みたいなものが漲っており、見事な演奏でした。冒頭の主題も過度に力まず、むしろしなやかに奏で、終曲に至るまで緊張感溢れる指揮で、鋭敏な感覚を持った彼のスタイルはとても好感が持てるものでした。前任のケント・ナガノは「静」の音楽でしたが、彼は全く正反対の「動」の音楽であり、ある意味でエンターテインメントをわきまえた指揮者です。

後半のヴァレーズ。25分くらいの演奏時間でしたが、私の視界に入っただけでも30人近くが曲の途中で席を立ちました。しかし大半の聴衆はこの作品の巨大なエネルギーに感銘を受けたようです。メッツマッハーは自信を持ってこの作品を振っており、その自信から来る作品の深い読みの結果が今回の成功を勝ち得たのだと思います。

彼のプログラミングは近現代の作品が主流で、例えば来月にはプフィッツナーの「Deutscher Seele(ドイツ魂)」と言う曲が演奏されます。私は残念ながら聴けないのですが、埋もれた近現代の作品に光を当てようとする姿勢がこれからベルリンの聴衆にどう受け入れられていくか興味のあるところです。ナガノもかなり現代曲を取り上げていましたが、現代曲を堂々とメインに据えるようなプログラミングはしていませんでした。

これからのメッツマッハー・ベルリンドイツ交響楽団の動向は大変注目されるところでしょう。まずは成功裡に発進したと言うところでしょうか。

   hakaru matsuoka

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2007年9月 7日 (金)

ベルリンムジークフェスト ラトル・ベルリンフィル演奏会

松岡究です。毎日寒い日が続いています。日本はどうなのでしょうか?さて今回のラトル・ベルリンフィルについてはEMIミュージック・ジャパンのホームページの方に寄稿させていただいています。どうぞそちらをご覧下さい。

http://www.toshiba-emi.co.jp/classic/rattle/review/

hakaru matsuoka

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2007年9月 6日 (木)

ベルリンムジークフェスト2007 サンフランシスコ交響楽団演奏会

松岡究です。いやはや本当に寒い。最低気温は8度ですって。巷の人々はほとんど皮のコートやジャンバー、あるいは襟巻きをしてます。あまりの落差にびっくり!

曲目   チャールズ・アイヴス:交響曲第3番「キャンプ・ミーティング」

      マーラー:交響曲第7番ホ短調「夜の歌」

指揮   マイケル・ティルソン・トーマス

前半のアイヴスの交響曲は初めて聴く曲でしたが、しっかりと調性のある音楽。ところどころコープランド風なメロディーも顔をのぞかせていて、耳には結構優しい音楽。ティルソン・トーマスの体質には良く合ってるんじゃないでしょうか。大変すっきりした全く滞りのない演奏。

後半のマーラー。4月にバレンボイムの極め付けとはまるで違う、「え、これ本当にマーラー?」と思わず言ってみたくなるような演奏でした。冒頭の運命的リズムの後にトロンボーンがソロで第1主題を吹くのですが、「うまい!でもめちゃ明るいやんけ~」と思ってしまいました。アイヴスと同じく全く滞りの無い、いい意味で明晰で明るいアプローチはこの指揮者の特色です。しかしアイヴスは良くてもマーラーでは首を傾げざるを得ませんでした。マーラーの音楽は、例えば日向にいても影の方を意識せざるを得ないような、あるいは影の方がうんと目だってしまうような性格を持っていると思います。それが全く影が無いのです。2年前に彼がベルリンフィルに客演した時にチャイコフスキーの「マンフレッド交響曲」をやりましたが、イタリアの海で日向ぼっこしてるようなチャイコフスキーだったことを思い出しました。リズムは明るく軽く、歌には粘りやうねりは全く無い「夜の歌」ならぬ「昼の歌」でした。3楽章のレントラーなど初めの内は全くどういった形式かわからないくらい違う曲になっていました。よく言えば非常に洒落ている3拍子の音楽なんです。どこにも土着性や泥臭さは無く、あっけに取られてしまいました。2・4・5楽章などは、まるで映画音楽。

でもこんな風にマーラーを料理しちゃうのは彼の才能でしょう。学生のころストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」を聴いてなんて素敵な指揮者だろうと思ったことがあります。

しかし、聴衆がブラボーを叫ぶ中、私はカーテンコールはせずにすぐ帰路につかせていただきました。悪しからず!

   hakaru matsuoka

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2007年9月 2日 (日)

成城管弦楽団第9回定期演奏会終わりました

松岡究です。本日成城管弦楽団の第9回演奏会が終了いたしました。ご来聴になられた皆様有難うございました。

2000年の7月に産声を上げたこのオケにとって、今日の演奏は一番の出来ではなかったかともいます。特にベートーヴェンはベートーヴェンの持っている音楽の素晴らしさを聴衆に紛れも無く伝え得た、素晴らしい演奏ではなかったかと思います。惜しむらくは第3楽章が少々すべり気味であったことでしょうか。前半のボロディンもチャイコフスキーも成城の良さと成城らしからぬ力強さ?(笑)で演奏してくれました。勿論事故はありましたが、このオケが今回素晴らしく成長した証であるでしょう。

お聴きになられた方の感想をお待ちしております。

   hakaru matsuoka

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2007年8月23日 (木)

成城管弦楽団第9回定期演奏会のお知らせ

松岡究です。

今日は成城管弦楽団の第9回のコンサートのお知らせです。ご存知のことと思いますが、成城管弦楽団は私の母校であり、成城大学レストロ・アルモニコ管弦楽団の後輩達が中心になって作ったオーケストラです。今回も私宛にメール等でお知らせくだされば、招待いたします。

曲目  ボロディン:ダッタン人の踊り

     チャイコフスキー:フランチェスカ・ダ・リミニ

     ベートーヴェン:交響曲第7番(ベーレンライター版)

日時  9月2日 大田区民ホール・アプリコ

開演時間   14:00

どうぞ宜しくお願いいたします。

成城管WebSite http://www.geocities.jp/seijo_orchestra/

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2007年8月11日 (土)

ケント・ナガノ指揮ベルリンドイツ交響楽団 の6つのコンサート

松岡究です。8月5日の日曜日からケント・ナガノ指揮のベルリンドイツ交響楽団の6つのコンサートがクラシカ・ジャパンで放送されました。

1日目  モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」

2日目  ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」

3日目  シューマン:交響曲第3番「ライン」

4日目  ブラームス:交響曲第4番

5日目  ブルックナー:交響曲第8番

6日目  R・シュトラウス:アルプス交響曲

以上の6曲、彼の解説と全曲演奏と言う番組でした。このうちベートーヴェン、ブラームス、R・シュトラウスは実際私も本番で聴いています。ここでもう一度ケント・ナガノに関して論じてみたいと思います。

彼のコンサート(全部がベルリンドイツ交響楽団との演奏)はまず、必ず沈黙から始まると言ってもいいと思います。つまり(日本では当たり前ですが)必ず聴衆が静まるのを待ってから演奏を始めるのです。演奏する前に聴衆がざわめかないのは日本では当たり前ですが、ベルリンでは聴衆が静かになるのにはかなり時間がかかります。しかしナガノには聴衆を黙させる何かがあって、必ず他のコンサートでは感じられない緊張感が演奏の前にあるのです。そして徐に演奏が始まります。(外来演奏家は日本に来たときに、最初から沈黙してくれる日本の聴衆を褒めることが多いのは、この日本の賞賛されるべきマナーの良さが大いに関係しているはずです)この緊張感は、大変心地よいものでナガノを聴いているベルリンの聴衆はこの緊張感から音楽を味わっていると言っても良いかもしれません。

今回この6つのコンサートを聴いてまず思ったことは、作品に対して大変謙虚であることです。作品をありのままに再現しようと試みる姿勢は、大変共感するものです。その為の解釈であり演奏であるのです。

彼のスタイルは大変スマートで一見淡々とした演奏です。しかし作品の輪郭は必ずはっきりとしていますし、楽員も何人もの人が言っていましたが、大変透明感のあると言うか清潔感があります。逆に(演奏は全てそうですが)集中力をちょっと欠いたり、作品のキャラクターとナガノのスタイルが合わなかったり、あるいは聴衆に「ドラマティックな演奏」を期待している人には大変物足りない、「何だ!ただ振ってるだけじゃない」と言うような感想が漏れ聴こえることもあります。

以前このブログを書き始めてすぐに、「無」と言う観念が彼にあるんじゃないか(彼は日系3世のアメリカ人ですが)、日本人より日本的なものを感じる、と言うようなことを書きましたが、やはり今回もそう思いました。彼は不断にその日本人的な何かをかなり意識して自分の中に取り込み、自分の特徴にしているのではないでしょうか。あるいは自分の本質とは何かを自分で問うて見たときに、其処に思い至ったのかもしれません。

いずれにしろ彼のこのような個性は、欧米では稀有の存在でしょう。

hakaru matsuoka

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2007年7月14日 (土)

コーミッシェオパー管定期公演

松岡究です。今日は幾分寒さは和らいだものの、依然として気温は11度から18度の間で、長袖にセーターの生活です。明日あたりから急に夏がくる予報が出ている模様ですが、どうなることやら。

曲目   シベリウス:交響曲第7番ハ長調作品105

      ニールセン:フルート協奏曲

      ラフマニノフ:「鐘」 ソリストと合唱とオーケストラのための

    フルート:クリスティアーネ・ファスベンダー

    ソプラノ:タチアナ・ガズディク

    テノール:パヴォル・ブレスリク

    バリトン:アレクサンダー・ヴィノグラードフ

    合唱:コーミッシェオパー合唱団

    指揮:キリル・ペトレンコ

たいへん充実したコンサートでした。今期限りでコーミッシェオパーを去るペトレンコと言うこともあって会場は超満員。コーミッシェオパーが満員札止めになるのはシーズンの中でもそんなにあることではなく、これを持ってしても彼のこのオペラハウスに残した足跡と楽員聴衆からの支持はたいへん熱いものがあったと思います。

最初のシベリウスの第7交響曲。ペトレンコにたいへん柔軟さが加わってきているように思えました。特に前半部分での悠揚たるオケの歌わせ方は彼の新境地を垣間見た思いです。後半やや表面的に流れる傾向があったことは残念でしたが、しかしこの難曲をここまで聴かせるのは彼の著しい進歩の証です。

2曲目のニールセンは以前にベルリンフィルでラトルとパユがやったことを思い出しました。フルートのファスベンダーはこのオケの首席奏者ですが、たいへんな名手でコーミッシェオパーのメンバーもだんだんと名手ぞろいになってきました。その彼女は清潔な音楽性と確かなテクニックで私としてはパユよりも楽しめた演奏でした。

最後の「鐘」。耳にするのは初めてでした。ペトレンコは実に入念にこの作品に取り組み、大きなうねるような表情や歌謡性を存分にオケから引き出していましたが、合唱が少々乱雑だったのは残念。ソロはソプラノのガズディクが柔らかい声とフレージングを大きく取った歌で秀逸でした。ただ疑問なのはこの曲はそんなに良い曲なんでしょうか?なんとなく内容の無い駄作のような気がしますが。

終演後はインテンダンとのホモキ氏が出てきて、ペトレンコに5年間の感謝と功績をたたえる演説をし、オケからも感謝の言葉が述べられ、彼の退任を祝いまた惜しんでいました。

   hakaru matsuoka

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2007年7月13日 (金)

今回の帰国におけるコンサートについて2

松岡究です。7月8日に浜松交響楽団と浜松ゆかりの歌手の方々、そしてアレクセイ・ゴルラッチとの演奏会を指揮しました。浜松交響楽団とももう10年以上の付き合いになります。このオーケストラはアマチュアであるにもかかわらず財団法人であり、浜松青年会議所の方々が献身的に裏方として支えていっているということが大きな特色で、サントリー文化賞や中日文化賞などの受賞暦のあるたいへん優秀なオーケストラです。音楽監督の白柳先生を始め、鈴木理事長等、各団員に至るまで皆さん素晴らしい方々で、いつも気持ちよく仕事をさせていただいています。

今回も9月に市民オペラをやるということで、そのデモンストレーションを兼ねて「ラ・ボエーム」の抜粋ー冷たき手を、私の名はミミ、愛の2重唱、ムゼッタのワルツ、そして3幕と言うプッチーニ節の炸裂したところばかりをやりましたが、歌手が私の後ろにいるというハンデにもかかわらず、たいへん充実した演奏をやってくれました。若い歌手たちもたいへん優秀でこの分なら9月は大成功間違いないでしょう。

そして後半は昨年浜松国際ピアノコンクールで優勝したゴルラッチ氏との「皇帝」。本番はとてもエキサイティングな演奏で、彼の持つ歌心と一流のピアニズムがマッチした素敵な演奏になりました。勿論浜響も素晴らしいサポートでした。こういったコンクールの受賞者の記念演奏会を浜響と言うアマチュアの団体がやるということにも、この団体の凄さがわかると言うものです。

と言うことで今回の帰国ではたいへん満足の行く成果が得られたと思っています。

     hakaru matsuoka

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2007年7月12日 (木)

今回の帰国におけるコンサートについて1

松岡究です。6月8日から約1ヶ月の帰国で、ユニフィルとの演奏旅行、また浜松でアレクセイ・ゴルラッチとの「皇帝」、「ラ・ボエーム」抜粋のコンサートを指揮しましたが、両方ともにたいへん有意義なそして質の高い演奏会が出来たと思います。

今日はユニフィルとの演奏旅行について

6月10日にリハーサルをして11日から18日まで回数にすると17回の本番を指揮しました。その内容は長野県安曇野市の小中学校を訪問してのコンサートです。私は「こういうコンサートは大変に重要だと思っていますし、やっていて本当に良かったなあと思える大変素敵な仕事です。

まずダイレクトに子供達の反応が伝わってきます。これはたいへん素晴らしいことである意味では音楽家冥利に尽きるところがあります。今回もどの学校でも大きな拍手と反響を受け大変満足しました。こういった子供に対するコンサートはたいへん重要で、この中から今日のコンサートをきっかけに「音楽が好きになった」「音楽家になりたいと思った」といった子供が現れるかもしれませんし、将来の音楽界を支えてくれる大切な聴衆にもなってくれるわけです。何を隠そう私もドヴォルザークの「新世界」を小学校の時に聴いて大感激したことが、今でさえも指揮者としてやっていく中での大きな支えであるのです。そのときのことを考えるとすぐに初心に帰れるのです。そういう私ですから一生懸命に必然的になりますし、また大きな使命を持って仕事に取り組めます。

またユニフィル(東京ユニバーサルフィル)とも、14年前のグノーの「ロメオとジュリエット」以来たいへん良好な関係が続いており、気持ちよく仕事ができるというのもたいへんありがたいことだと思っています。

     hakaru matsuoka

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2007年6月 5日 (火)

ラトル指揮ベルリンフィルハーモニー管弦楽団 ピアノ ダニエル・バレンボイム

松岡究です。皆さんにお知らせがあります。4日付で本当はタイトルのブログをアップする予定でしたが、ラトル・ベルリンフィルの演奏会に限り、EMIミュージック・ジャパンの方に寄稿させていただく事になりました。

http://www.toshiba-emi.co.jp/classic/rattle/review/
今確認しましたが、私のレポートがアップされています。どうぞこちらを是非皆さんご覧下さい。

http://www.toshiba-emi.co.jp/classic/rattle/review/

         hakaru matsuoka

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2007年5月28日 (月)

トン・コープマン指揮ベルリンドイツ交響楽団演奏会

松岡究です。昨日一昨日とベルリンは激しい雷雨と突風に見舞われました。特に昨日は夕方6時前から突然真っ暗になり、激しい雹が雨とともに降り、突風が吹き荒れました。もう凄まじいのなんの、ベートーヴェンの「田園」の4楽章もひょっとしたらこういった天気を描いているのでは、と思いました。

曲目   J・S・バッハ:管弦楽組曲第1番BWV1066

      J・S・バッハ:カンタータ「満ち足りた安らぎ、望まれし喜びよ」BWV170

      C・P・E・バッハ:オラトリオ「聖なるかな」Wq217

      メンデルスゾーン:交響曲第2番変ロ長調「賛歌」Op52

  アルト:ボグナ・バルトス

  ソプラノ:リサ・ラルソン

  テノール:ヴェルナー・ギューラ

  合唱:RIAS室内合唱団

  指揮:トン・コープマン

曲目を見てわかるように長いコンサートでした。しかし内容はとてもいいものだったと思います。DSO(ベルリンドイツ交響楽団)は基本的にやはりノンビブラート奏法。しかしところどころコープマンの指示でビブラートがつけられています。しかし紛れも無くバロックの典雅な音がオケから聞えてきました。

2曲目のカンタータは当初ソロをするはずだったカウンターテナーのアンドレアス・ショルのために設けられたもののようだった用ですが、その当人が病気で降板。変わってボグナ・バルトスが歌いました。正直な感想を言えば、ショルが下りたのなら、無理をしてやらなくても良かったのじゃないでしょうか。それよりもコープマンはメンデルスゾーンでショルを歌わせるつもりだったのでしょうか?そちらの方が気になりました。

3曲目のエマニュエル・バッハの短いオラトリオはたいへん小気味のいい、コープマンの持ち味である歯切れのよさと相俟って、たいへん充実した素晴らしい演奏でした。オケもコーラスも2群に分かれ、立体的なとても面白い曲でした。

今回のRIAS室内合唱団は女声19名、男声17名の計36名です。

後半のメンデルスゾーンの交響曲は約70分かかる大曲。全体は2部構成ですが、第1部のシンフォニアは通常の交響曲の1~3楽章と考えて差し支えありません。そして第2部の「賛歌」は合唱と3人のソリストを交えた壮大な素晴らしい曲です。昨年の1月に私も指揮したのですが、その時のことを今日は思い出しながら聴いていました。

オケを5・4・3・2・1.5とかなり絞り込んでやったのはどうだったでしょうか?ここまでなると室内オケのようになり、通常フル編成でやっているオーケストラはバランスが悪くなり(つまり金管が強くなったり)弦楽器が霞んでしまいます。今日も特に第1部の所謂第1楽章のところがかなりバランスが悪かったですね。通常に室内オケとして活動しているところの方が残念ですがうまく聞えます。しかし第2部になってから音楽は輝きを増し、演奏にも熱が入り感動的な終演でした。その立役者はやはりRIAS室内合唱団でしょう。36人の少人数ながら濁りのない、透明且つ力強い合唱はまず褒め称えられるべきです。あと独唱ではラルソンとギューラが素晴らしかったです。2人ともまさにオラトリオを歌う声で品格がありました。

コープマンは歯切れの良いシャープな音楽作りが身上だと思いますが、落ち着きと言うかしっとりした深いものが少々希薄で、特にメンデルスゾーンの第1部のような曲にはちょっと不向きなような気がしました。

   hakaru matsuoka

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2007年5月25日 (金)

小澤征爾指揮ベルリンフィル演奏会

松岡究です。またまたこちらで風邪を引いてしまいました。結構しつこくて閉口しています。ベルリンは昨日は割りと過ごしやすい日でしたが、きょうはまた暑さが戻ってきました。湿度が気になりますね。ちょっとヨーロッパにしては変な気候です。

今日フィルハーモニーを入ったところで、関さんとばったりお会いしましたら、ただ券があるからということで、私の18ユーロの最低ランクの席は78ユーロの最高ランクの席で聴けるということになりました。関さん有難うございました。

曲目   プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番ト短調作品16

      チャイコフスキー:交響曲第1番ト短調「冬の日の幻想」

  ピアノ:ユンディ・リー

  指揮:小澤征爾

最初のプロコフィエフは、胸のすくような快演。こういったリズミカルな曲を振る小沢さんは天才的な指揮をします。持って生まれた敏捷性とリズム感のよさ切れ味のよさが思う存分発揮され、血沸き肉踊るような快感。リーのピアノも変な癖がなくのびのびとしており、大きく育っていく可能性を充分に感じさせるピアノでした。

そういえば私が学生の時に小沢さんが野島稔さんと確か田宮堅二さんとショスタコーヴィッチのピアノ協奏曲第1番を指揮したときもそのリズム感の素晴らしさ、踊るような指揮の姿に打ちのめされたのを思い出しました。

後半のチャイコフスキー。多分練習が足りなかったのか、少し事故の多い演奏になってしまいました。小沢さんのベルリンフィルの演奏は3日間のうち3日目が必ずといっていいほど良くなると言うことを聞いたことがあります。1ヶ月前のブルックナーの第2番も3日目の演奏でしたが、これはもう大変な名演でした。今日は初日、明日明後日とどんどん良くなっていくのではないでしょうか。今回このチャイコフスキーはライブ録音されているそうです。

   hakaru matsuoka

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2007年5月22日 (火)

フライブルガーバロックオーケストラ演奏会

松岡究です。今日はベルリンはうだるようなと暑さ。ベルリンは湿地帯だったので湿度も高く、全く日本と同じです。日本はほとんどのところに冷房がありますが、こちらはほとんどないので、こういう暑さはこたえますね。

曲目    オールモーツァルトプロ

       交響曲第1番変ホ長調Kv.16

       ピアノ協奏曲第27番変ロ長調Kv.595

       クラリネット協奏曲イ長調Kv.622

 ハンマークラヴィーア:アンドレアス・シュタイアー

 バセットクラリネット:ロレンツォ・コッポラ

 リーダー:ゴットフリート・フォン・デァ・ゴルツ

フライブルガーバロックオケは毎年5・6回ベルリンで定期的にコンサートを開催しています。私はどういうわけか今までタイミングが合わず、今回初めて聴きました。

コンサートマスターのフォン・デァ・ゴルツがリードしながら指揮者無しで演奏します。まずはモーツァルトが8歳ないし9歳の時に作曲した交響曲第1番。適度なアゴーギグとコントラストをつけた佳演で、このオケの質の高さを早くも認識させられました。勿論全員が古楽器でノンヴィブラートによる演奏。しかしところどころアクセント的なヴィブラートを使い、それが大変効果を上げているように聞えました。それは次の協奏曲ではもっと効果を発揮しているように思えました。

次の最後のピアノ協奏曲。ハンマークラヴィーアがこれほど繊細な楽器だとは恥ずかしながら今日まで知りませんでした。奏者のシュタイアーはこの楽器から気品のあるまた時には躍動感のある、そしてひなびた音色の中にこれ以上純化され得ない魂の音を表していたのではなかったでしょうか。オケはハンマークラヴィーアと一緒に音を出す時は弦楽5重奏になり、全奏はクラヴィーアが弾いていない時だけ。それが大変な効果を生み、1楽章がこれほどデモーニッシュで鬼気迫る音楽になるとは思っても見ませんでしたし、2楽章はもうほとんど魂の音楽に、そして3楽章がこれほど哀歓を湛えた音楽になるとは、いやそういう音楽であるのですが、曲の背後に見えてくるものが違うと言ったらいいのでしょうか、やはりこの作品は他の26曲のピアノ協奏曲とはまるで次元の違う音楽だと言うことが良くわかりました。

最後のクラリネット協奏曲。これは古今東西の協奏曲の中でも、「余りにも美し過ぎる」と言うべきものでしょう。バセットを吹いたコッポラが素晴らしい音色とコントロールで、これまたバセットクラリネットと言う楽器の素晴らしさをまざまざと見せ付けてくれました。こういったオリジナルの楽器で素晴らしい演奏を聴くと、今まで見えてこなかった曲の背景が見えてくるのは今日の大いなる発見でした。

    hakaru matsuoka

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2007年5月19日 (土)

アッバード指揮ベルリンフィルハーモニー管弦楽団演奏会

松岡究です。昨日は快晴で気温も19度から最低が8度と清清しい一日でした。

アッバードはベルリンフィルの監督を辞任してからもベルリンフィルとは良好な関係を保っているようで、毎年1回必ず客演しています。チケットの入手は大変困難で、必ず売り出しの日に3日間のコンサートは売切れてしまいます。

曲目  J・S・バッハ:ヴァイオリンと弦楽と通奏低音のための協奏曲ニ短調(チェンバロ協奏曲BWV1052の編曲による)

     クルト・ワイル:ヴァイオリンとブラスオーケストラのための協奏曲作品12

     ブラームス:交響曲第3番ヘ長調作品90

  ヴァイオリン:コーリャ・ブラッハー

  指揮:クラウディオ・アッバード

最初のバッハの作品は予告無しで取り上げられた作品。多分ワイルとブラームスでは演奏会が短いので、取り上げられのだろうと思います。しかし大変素晴らしい演奏。気品と陰影が同居して、またヴァイオリンが大活躍するように編曲されていて、大変楽しめました。バロックや古典の作品を演奏する時にはオーケストラはノンヴィブラートで演奏することはもう常識のような気がします。今回もそうでした。

ワイルの作品も輪郭がはっきりとしてとても美しく仕上げられた演奏でした。ただワイルの独特の「毒」とでも言うか、退廃的な雰囲気は後退してもうほとんど古典派の世界になっていたのは、少し残念でした。こういう作品は演奏にもう少しリアリティーがほしいですね。

休憩の時(午後9時ころ)、フィルハーモニーから眺める西の空は夕焼けでとても綺麗。そうなんです。午後9時でもまだ明るいんです。

メインのブラームス。ベルリンフィルのトップ奏者でも間違いはあるものですね。第1楽章の第2主題の途中で突然2小節間メロディーがなくなってしまいました。どうしてだろうとしばらく観察していました。アッバードは前半は大変素晴らしい集中力で振っていたのですが、このブラームスでは少し集中力を欠いていたように見受けられました。と言うのもその第1楽章での事故もさることながら、棒が1拍先に行っていることがしばしばで、ベルリンフィルもそれでは大変だったろうと思いました。ベルリンフィルとの関係があまりない指揮者だったら、もっと大変な事故が続出していただろうと思います。以前にこの3番をベルリンフィルでどなたかがやったときは、ほとんど空中分解していたと言うことをこちらに住んでいらっしゃる関さんから聞いたことがあります。今回のコンマスは安永さんでしたが、さぞ大変だったろうと思います。

音楽的な解釈でとても納得したことは、2・3・4楽章をアタッカ(休まず続けて演奏すること)で演奏したことです。本当なら全楽章そうしてもらいたかったのですが、アタッカで演奏することによって、この交響曲の大きな命題(真髄といってもいいかもしれません)が浮かび上がってきました。

敬愛されているアッバードはスタンディングオベイションの中、盛大な拍手を受けていました。

     hakaru matsuoka

 

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2007年5月 7日 (月)

合奏団ZERO第1回定期終了しました

松岡究です。昨日は連休中また、雨と言う天候にもかかわらずお出で頂きまして有難うございました。無事終了いたしました。

第1回という妙なプレッシャーの中でオケの皆は大変よくやってくれました。私は指揮者として大変楽しい時間を過ごさせてもらいました。ただ残念だったのが、杉並公会堂がまだ開場して間もないと言うこともあり、音がブレンドされる前に客席に届いてしまうような感じであった事。私がベルリンにいることもあり、あともう一日練習できたら良かった、ということ。この2点はこれからの改善点でしょう。

モーツァルトの「ジュピター」は音楽的に満足のいく出来でした。ただビブラートの問題(ノンビブラート)が徹底できなかったのがこれからの課題でしょう。最初からあまりうるさく言うと自発性や躍動感等の大切な部分が失われる恐れがあったので、あまり口うるさくは言わなかったのですが、これから少しずつやっていくことにします。

マーラーは傷が多くて少し残念でしたが、その表現においては皆良くやったのではないかと思います。本番でのミスと言うのはある意味ではつき物ですが、それに甘えていては今後はありません。気持ちを引き締めて、しかしミスを恐れることなく今後も積極的に音楽表現して行ってほしいと思います。

   hakaru matsuoka

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2007年4月23日 (月)

小澤征爾指揮ベルリンフィル演奏会

松岡究です。昨日は内田光子さん、。今日は小澤征爾さんの登場(といっても20日から本番をやってましたので、今日が最終日です)。日本人の活躍する週間です。

曲目   ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調作品19

      ブルックナー:交響曲第2番ハ短調(1877年、ノヴァーク版)

  ピアノ:ピエール・ロラン・エマール

  指揮:小澤征爾

今日も素晴らしいコンサート。最初の協奏曲はエマールの美しいピアノと小沢さんの精力的なきびきびした音楽がとても魅力的でした。昨日の内田さんのベートーヴェンとは正反対の(作品が若いと言うこともありますが)、瑞々しい音楽。

後半のブルックナーが本当に素晴らしかったです。まずベルリンフィルからあのようなしなやかな美しい音を引き出していた小沢さんの力量に改めて感心しました。普段はオケの中がコンチェルト状態なのですが、こんなにオケとして一つにまとまっていたのは久しぶりです。絶品だったのは2楽章。柔らかいしなやかな音はここで一番威力を発揮。ピアニッシシモ(ppp)に至るまで、ベルリンフィルの音はオケとしての合奏能力を遺憾なく発揮して、美しさの極み。そして4楽章がまた素晴らしい。この楽章に勿論ウェイトをかけているというのが良くわかりました。そして美しい音に加えて重厚な音と迫力あるサウンドを作り上げ、ブルックナーの中で一番地味で、とりとめのない交響曲を本当に聞かせてくれました。聴衆も沸いて、オケが去った後も小沢さん一人再度カーテンコール。来月の再度の登場が大変楽しみになりました。

   hakaru matsuoka

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2007年4月20日 (金)

ベルリンドイツ交響楽団演奏会

松岡究です。きのうから急に冷え込んできました。2日前までの夏を思わせる陽気はどこかへ行ってしまって、何とも冷たい風が吹いています。

曲目   モーツァルト:ピアノ協奏曲第25番ハ長調Kv503

      エネスコ:交響曲第3番ハ長調作品21

  ピアノ:ルドルフ・ブッフビンダー

    合唱:ベルリン放送合唱団

  指揮:ローレンス・フォスター

はっきり言えば、来なきゃ良かった。この4月にバレンボイムやブーレーズ、その前はヤノフスキ、メッツマッハー等を聴いてくると、ちょっとどうかな。

まず、ブッフビンダーのピアノは繊細かつスピード感を出そうとしているのに、フォスターがやかましくオケを振るものだから、繊細さがどこかへ行ってしまって、騒々しさだけが印象として残ってしまいました。30年前の日本のよう。

後半のエネスコの交響曲は曲も演奏も「何じゃらほい!?」ってな感じ。またしてもフォスターの騒々しい棒が目に付きました。そして音楽も何を言いたいのか皆目わからず、ずっとメゾフォルテとフォルテが鳴っているだけで、オケのフレージングの処理が全くされていない感じで、旋律も和音もそして各楽器の主張も皆お団子状態。

拍手もそこそこに切り上げて早く帰路につきましたが、Sバーンが工事の影響でダイヤがめちゃくちゃ。ついてないときはついてないものですね。

   hakaru matsuoka

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2007年4月17日 (火)

ティーレマン指揮ベルリンフィル演奏会

松岡究です。毎日良く晴れて気持ちのいい日が続いています。

曲目   シューマン:「ゲノヴェーヴァ」序曲

            :チェロ協奏曲

      ブラームス:交響曲第1番ハ短調作品68

  チェロ:アルバン・ゲルハルト

  指揮:クリスティアン・ティーレマン

最初のゲノヴェーヴァからティーレマンの音楽が炸裂!この地味な作品をここまで練り上げて演奏会に出せるのはひょっとしたら今はティーレマンくらいしかいないかもしれません。それくらい良く歌って、陰影のついた演奏でした。

次のコンチェルトはどうも評価しづらいですね。チェロのゲルハルトはとてもいい音色の持ち主。アルテミス四重奏団でも活躍してる彼には期待していましたが、曲が地味なのも禍して、何が言いたいのか良くわかりませんでした。ティーレマンの伴奏の方がいかにもドイツ音楽と言う感じで面白かったです。

最後のブラームス。昨年6月にラトルが4番をやったときもこれ以上何があるのかというくらいに凄い演奏でしたが、今日の1番もそれに匹敵しうる凄い演奏でした。冒頭のフォルテ一つの意味を持たせた演奏は初めて聴きましたし、全体的に陰影が濃くアゴーギクも大胆で、大きくうねる部分とささやくような優しい部分の対比が見事でした。全体が1楽章の繰り返しが無いのに55分かかる長大な演奏。でもこれほどまでに面白く、忘れていた「ドイツ的」という言葉を思い起こさせてくれました。

ティーレマンは間違いなくラトルの後継者になるでしょう(初日はラトルが会場に聴きに来ていたそうで、ティーレマンが挨拶していたそうです)。そしてその音楽は私に言わせるならば、フルトヴェングラーの再来を思わせられました。

   hakaru matsuoka

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2007年4月13日 (金)

バレンボイム指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団 マーラー交響曲第9番 ベルリンフェストターゲ

松岡究です。今日のベルリンは快晴の本当に良い天気。気温も20度を超え、春にいよいよなってきました。もっと田舎の方だと一斉に花が開いたりしてもっと春を実感できるかもしれないのですが、まあしょうがないです。

曲目   マーラー:交響曲第9番ニ長調

指揮:ダニエル・バレンボイム

4月1日から始まった今回のフェストターゲは今日が最終日。マーラーのシンフォニーを立て続けにこれだけの短期間で、それもバレンボイムとブーレーズと言う2人の巨匠の共演を聴けた事にまずは感謝します。私は風邪を引いて1・2番は聴けませんでしたが、最初から最後まで素晴らしい集中力を発揮し、緊張感を維持し続けたオーケストラにも大きな白書を送りたいと思います。

今日もバレンボイムは素晴らしい演奏を聞かせてくれました。彼のこのフェスティバルにかける意気込みはとてつもなく凄いもので、指揮している姿からそれは我々にひしひしと伝わってきます。欲を言えば1楽章や4楽章はもっと粘ってゆったりと歌ってほしいところがありましたが、それにも勝るバレンボイムの集中力とテンペラメントの劇的な変化は私を感動させるには充分でした。本当に彼はベルリン国立歌劇場管弦楽団という今までで一番の最高のパートナーを手に入れたのではないでしょうか。

また指揮者としてとても大事なことを(ここには書けませんが)バレンボイムは私に教えてくれました。そのことにも深く感謝いたします。

今秋このコンビはオペラとコンサートで約1ヶ月日本公演をするそうですが、今回の演奏を聴く限り充分きたしてよいのではないかと思います。また「モーゼとアロン」は日本でしか見れませんし、「ドン・ジョバンニ」の演出がムスバッハのものならば、ベルリンより先に日本がプレミエになるはずです。ベルリンの「ドン・ジョバンニ」は12月にプレミエですので。

    hakaru matsuoka

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2007年4月12日 (木)

バレンボイム指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団 マーラー交響曲「大地の歌」 ベルリンフェストターゲ

松岡究です。ベルリンも大分暖かくなってきました。今日も昼間はコート無しで充分でした。明日からは予報によると20度を超えるようです。

曲目  マーラー:交響曲「大地の歌」

  メゾソプラノ:ミシェル・デ・ヤング

  テノール:ブルクハルト・フリッツ

  指揮:ダニエル・バレンボイム

マーラー全曲コンサートの今日は9回目。なんと「大地の歌」のみという贅沢極まりないプロ。

今日のバレンボイムも大変明確にタクトを振っていました。それは7番の時もそうでした。バレンボイムはちゃんとわかっていて、7番や「大地の歌」多分9番も、オーケストラにとって難曲中の難曲でるこの3つは、自分の音楽をやりながらもきっちりと職人的な仕事をしているのです。今日も大変明確な棒d酢が、物凄くテンペラメントの激しい棒でした。オケもそれによく答え、以前聴いたときよりも格段に音楽が深まっているような気がしました。

歌手の2人はシュターツオパーには顔なじみの2人。昨日もほとんど専属歌手が歌っていましたが、今回もそうだと思います。フリッツは柔らかい美しい声を駆使して、3つの明るい楽章をニュアンス豊かに歌い上げました。今まで聴いたこの曲の歌手では最も良かったと思います。デ・ヤングも素晴らしい出来。昨日とは集中力が違う感じでした。一つ難点を言わせてもらえば、歌いだしが雑に聞えることが良くあるのです。最終楽章などは素晴らしく歌っていただけに惜しい感じがします。それにしてもこの曲はやはりメゾが音楽的成功の鍵を握っていますね。デ・ヤングは今日は合格だったんじゃないかな。

明日の最終日が楽しみです。

    hakaru matsuoka

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2007年4月10日 (火)

ブーレーズ指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団 マーラー交響曲第8番「千人の交響曲」 ベルリンフェストターゲ

松岡究です。今日までがイースターでした。街は相変わらず閑散としています。勿論ベルリンの中心部は観光客等で賑わっています。

曲目  マーラー:交響曲第8番変ホ長調「千人の交響曲」

  ソプラノ:トゥウィラ・ロビンソン、ソイル・イソコスキ、アドリアーネ・クヴェイロズ

  アルト:ミシェル・デ・ヤング、シモーネ・シュレーダー

  テナー:ヨハン・ボータ

  バリトン:ハンノ・ミュラー・ブラッハマン

  バス:ロベルト・ホル

  合唱:ベルリン国立歌劇場合唱団、アウレリウス児童合唱団

  指揮:ピエール・ブーレーズ

この曲も私にとって昔から疑問が多い曲です。一度だけずっと以前に合唱指揮を担当したことがあります。曲は第1部と第2部に別れているのですが、その時からその完成度が違いすぎるんじゃないかとずっと思ってきました。

第2部は文句なく素晴らしい音楽です。マーラーのこの世を達観したような清透な音楽が聴くものを感動に導く素晴らしい音楽。しかしそれとは逆にあの第1部の大味な音楽はいつも解せないのです。約25分間のフォルティッシモの嵐には辟易してしまいます。今回その疑問を問いてくれるヒントが見つかるかと期待していたのですが、やはりダメでした。ブーレーズにしても大味な音楽そのまま!どうしたらこの音楽を自分の中で料理できるんでしょうか?未だにわかりません。

今日もコンサートは大成功。第2部の終わりの方は本当に感動しました。ブーレーズもオケも合唱も本当に感動的な音楽を奏でてました。

歌手達はただあまりやられない曲だけに少々力みが加わって皆フォルテで歌いまくり、ブーレーズとオケの奏でるニュアンスに遠い人が多かったですね。歌手の弱点はまさにここにあるのに!もう少し音楽が聴きたかったです。

   hakaru matsuoka

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2007年4月 9日 (月)

バレンボイム指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団 マーラー交響曲第7番 ベルリンフェストターゲ

松岡究です。イースターの日曜日。散歩に出てみましたがいつものような人通りはほとんどなく、閑古鳥状態。店もマクドナルドとダンキンドーナツ以外は休みと言う感じ(勿論中華店とかトルコ料理店はやってるところが多いですけど)。余りの人の少なさに唖然。

曲目   マーラー:さすらう若人の歌

            交響曲第7番ホ短調

  バリトン:トーマス・クヴァストホフ

  指揮:ダニエル・バレンボイム

今日も一昨日と同じ組み合わせによる演奏会。クヴァストホフは一昨日と変わらず曲の内面に迫ろうとする気迫がみなぎっています。歌曲のリサイタルを聴いても思うのですが、彼は歌いながらどんどんと集中して行き、その深みに到達しうる人のように思います。ですから最初の歌いだしがいつも私は不満なのです。声が硬いし時々破綻を起こすこともあります。しかし集中していった時の歌の表現力は素晴らしく、今日も2曲目くらいからその表現が聴けました。出来は一昨日の方が勝ってたんじゃないかな。

後半7番のシンフォニー。バレンボイムが登場するや、指揮台に上がってお辞儀、オケのほうに振り返ったら急に引っ込んでしまいました。係りの人が譜面台を出すのを忘れたらしく会場にはどよめきが。係りの人が舞台に用意して譜面の表紙を確認、と同時に会場から笑いが起こり、再度バレンボイムが登場。バレンボイムも表紙を確認(茶目っ気たっぷり)、とまたもや場内大爆笑。いやあいいですね、この雰囲気。日本だったら、「なあ~んだ、暗譜じゃないのか」とか「白けさせるな」などの声が聞えてきそう。そのあとバレンボイムもオケも聴衆もすぐに音楽の態勢に。

そして7番が始まりました。この曲、ぶっちゃけた話、マーラーの中で唯一振ってみようとは思わない曲。しかしバレンボイムの演奏を聴いていると、晦渋なこの曲が非常に古典的に聞えて来ます。5番の時よりもきっちりした指揮。そして時には唸りも入るような高い集中力。形がしっかりしているのに、常人では考えられないような音楽の「粘り腰」みたいなのがあって圧巻。(ただ5番で見せた音楽の熟成はあまり聞えてこなかったし、ピアノやピアニッシモも5番の方が圧倒的に素晴らしかった。)

今夜はバレンボイムに感謝!7番に対するアレルギーみたいなものが無くなった気がします。ただ5番のような圧倒的な表現をしなかったのか、出来なかったのか、まだそこまで熟成されてないのか、やはり7番と言うのは大変に難しい曲ではありますね。

   hakaru matsuoka

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2007年4月 8日 (日)

ブーレーズ指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団 マーラー交響曲第6番 ベルリンフェストターゲ

松岡究です。今日は快晴のベルリン。気持ちの良い一日でした。

曲目 マーラー:交響曲第6番イ短調

 指揮:ピエール・ブーレーズ

今日はこの作品1曲のみ。開演も夕方の16時でした。昨日のあの興奮冷めやらぬうちに6番をブーレーズで聴くと、こんなにも指揮者でマーラーへのアプローチが違うのかと改めて思いました。バレンボイムの方は激情的でカラーもどぎつい色から淡い美しい色までとりどり。ブーレーズのはいついかなる時も取り乱したりせず、あくまでも客観的に外から作品を見ようとしている姿勢だと思います。むしろブーレーズの方がオペラのマエストロのよう。

今日の演奏も作品の素晴らしさをそのまま提供して見せた、立派な演奏。ただ昨日の演奏と比べると、もっと違うフォルティッシモやピアニッシモがが聴きたいと思うことしばしばでした。それにしても毎日違うマーラーの交響曲をやり続けているオーケストラは素晴らしいと思います。これだけ方向性の違った指揮者で毎日やるからこそできる芸当かもしれません。

   hakaru matsuoka

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2007年4月 7日 (土)

バレンボイム指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団 マーラー交響曲第5番 ベルリンフェストターゲ

松岡究です。昨日5月6日の演奏会の告知をしましたが、オーケストラのことを何も書いていませんでした。申し訳ありません。オーケストラはZERO合奏団といって、私と音楽をしたい人が集まって出来た私にとって大変大事で嬉しいオケです。宜しくお願いいたします。

今日は昼にこちらで特にドイツ語の翻訳などでお世話になっている関さんとお会いしました。仕事がイースターで4日間休みだと言うことでした。彼女は大のベルリン交響楽団ファンで勿論定期会員でもあります。

それから夜は本当にばったりと25・6年ぶりで指揮者の鈴木織江君に再会。彼もちょうどこのフェストを聴きに来たと言う事で、フィアンセでメゾソプラノの藤井亜紀さんとご一緒でしたが、終演後2時間ほど一緒にビールなどを飲みながら歓談しました。楽しい時間を過ごしました。鈴木君どうもご馳走様でした。

と言うことで盛り沢山な一日。

曲目   マーラー:リュッケルトの詩による歌曲集

            交響曲第5番嬰ハ短調

  バリトン:トーマス・クヴァストホフ

  指揮:ダニエル・バレンボイム

今日の演奏も昨日とはまた違った意味で、素晴らしい演奏でした。まずクヴァストホフの歌唱が、いつもながら人間味を帯びていて素晴らしい。声のテクニックを超えて、作品の内面いつも迫ろうとする姿勢が良くわかる人です。そしてそれが彼の人間性と情熱的な表現力と相俟って人をひきつけずにはおれない演奏をします。今日も全くそうでした。バレンボイムの伴奏も劇的な部分と静寂な部分がはっきり描き分けられ、オーケストラがまた昨日にもまして絶妙なピアニッシシモ披露。名演でした。

後半の5番の交響曲。バレンボイムの激しい起伏の大きい表現がフィルハーモニーの中を駆け巡るといった感じでした。今まで聴いたことの無い圧倒的な迫力。聴いたことの無いピアニッシモのマーラー!去年一昨年とこのコンビで何度となくマーラーを聴いてきましたが、その結晶がここにありました。観客はスタンディングオベイションでバレンボイムをたたえていました。今日は聖金曜日。何か奇蹟が起こることが約束されてたんでしょうか?

このコンビは多分2年がかりでこのフェストに照準を合わせて、ブーレーズも交えて全交響曲を仕上げてきたのだと思います。定期演奏会や演奏旅行にマーラーを携えて何度も演奏し練り上げてきたのが今日の結果だったのでしょう。

バレンボイムはやっと自分の思いのままになるオーケストラ、すなわちシュターツカペレ・ベルリンにたどり着いたのではないでしょうか。世界最高のコンビかもしれません。

   hakaru matsuoka

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2007年4月 6日 (金)

ピエール・ブーレーズ指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団 マーラー交響曲第4番 ベルリンフェストターゲ

松岡究です。今日も結構寒い一日でした。かぜが治りきってないせいもあるかもしれませんが、空気が寒く感じられます。

曲目  マーラー:子供の不思議な角笛

          交響曲第4番ト長調「大いなる喜びの賛歌」

  ソプラノ:クリスティーナ・シェーファー

  指揮:ピエール・ブーレーズ

今日は大変感動しました。一昨日の3番での印象がうそのようでした。

4番と言うとマーラーでは一番室内楽的な要素を持った作品。いたるところに明るさと喜び・感謝が散りばめられ、またそこにそっと顔を出す不安や慟哭。ブーレーズの指揮は適度な緊張感と適度な情熱が音楽の自然な流れと見事に融合し、(3番でも見られたこのマエストロの特徴であるゆるぎないオーケストラコントロールの技の見事さはそのまま引き継がれ)曲の性格とブーレーズの本当に音楽家として素晴らしい面がぴたりと一致!またそこにシェーファーの気品あるピアニッシモとその表現力がさらに作品を深く掘り下げ、稀代の名演を聴かせてくれました。

ブーレーズと言ったら今までは血も涙もない機械的に音楽を演奏する人だと言う先入観がありましたが、そのことを今日は深く恥じ入りました。やはり物凄い音楽家なんだと言うことが今日ようやくわかりました。そして「そうだ、彼はフランス人なんだ」ということも今日深く認識した次第です。

高校の頃、マーラーの4番と言えばセル・クリーブランドの演奏が好きで聴いていました。そのセルは6番も録音してますよね。それも好きでした。今度はブーレーズは明後日6番をやります。期待したいです。

前半の角笛もシェーファーの本当に気品ある歌とブーレーズの決してでしゃばらない、しかし音楽的なサポートで魅了してくれました。

今回のこのベルリンフェストターゲは音楽的にはかなり高い水準で行われているようです。シュターツカペレはベルリンフィルを今は凌いでいるんじゃないでしょうか。今日のシェーファーとのピアニッシモとピアニッシシモのやりとりなどはまさにオペラで鍛えているオケの面目躍如。いや~素晴らしいなんてもんじゃなかったですよ。

と言うわけで、実は私もこの曲を日本で指揮します。

ZERO合奏団第1回定期演奏会

期日:2007年5月6日 午後2時開演  杉並公会堂(新しい綺麗なホールです)

   曲は他にモーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」

   ソプラノは松尾香世子

このオケは以前にご紹介しましたが、私と一緒に音楽をしたいと思って集まってくれたアマチュアの有志たちが、自分達で編成してくれたオーケストラです。今までも「第九」そしてモーツァルトの「戴冠ミサ」等をやってきました。そして今回初めて定期をやることになったわけです。これからは年に1回の定期と年に1・2回の合唱団との演奏会を軸にやっていくことになります。つまり歌をコンセプトにしたオーケストラです。

若干、招待券があります。このブログを見ていただいた方に差し上げます。直接メールを下さっても結構ですし、こちらのブログに書き込んでいただいても構いません。よろしかったら聴きにいらしてください。(連絡をいただけなかった方や当日は申し訳ありませんが入場料は2000円になります。)

    hakaru matsuoka

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2007年4月 5日 (木)

ケント・ナガノ指揮ベルリンドイツ交響楽団 バッハ「マタイ受難曲」

松岡究です。3日からこちらの学校はイースター休みになっています。ですから演奏会にも小さな子供達の姿が目立ちます。今日も寒い一日で、最低気温は0度だったようです。明日は最高14度最低7度の予報が出ていますから、比較的暖かいんじゃないかなあ。

曲目  J・S・バッハ 「マタイ受難曲」

   メゾソプラノ:アンネッテ・ダッシュ

   アルト:ベルナルダ・フィンク

   エヴァンゲリスト:スティーヴ・ダヴィリスム

   イェス:ディートリッヒ・ヘンシェル

   テナー:マルティン・ペッツホールド

   バス:デートレフ・ロート

 合唱:ウィンズバッヒャー児童合唱団

 指揮:ケント・ナガノ

大変素晴らしい演奏でした。今までナガノの演奏会の中でも一番の出来だったのではないでしょうか。名演と言ってもいいと思います。

その一番の立役者がまず合唱。ウィンズバッヒャーの児童合唱は第1コーラス第2コーラス合わせて約80名。全員が勿論男声です。小学1・2年生のような児童がソプラノを担当し、高校くらいまでの上級生がアルト・テナー・バスを担当しています。今まで混声しか聴いたことの無かった私は、その純粋なハーモニーとまっすぐ気持ちよく伸びてくる声にまず感動しました。所謂児童合唱の部分はそれよりも小さい子供達が、しかし立派に歌っていました。

その次がオーケストラでしょう。2群に分かれたオーケストラは勿論ノンビブラートで演奏していくのですが、その気品のある音は素晴らしいものでした。どの楽器のソロもしっかりと良く歌われ秀逸。ケントはほとんど1・2・3と拍を振ることなくほとんど奏者に任せているのですが、要所はしっかりと締めて3時間に及ぶこの大作を極めて高い水準で聞かせてくれました。

歌手達もまあまあ。と言うのはなんとなくどの人も小粒でもう一つ。その中ではアルトのフィンクが声にも艶があり、説得力のある歌いっぷりで良かったと思います。ヘンシェルはただ一人暗譜。オペラにも良く出ています(特にコーミッシェオパー)が、もともとはこういったオラトリオ・歌曲歌いの人。しかし彼の歌はいつも胸に届かない。ただ良く研究されて歌っているのは良くわかります。

   hakaru matsuoka  

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2007年4月 4日 (水)

ピエール・ブーレーズ指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団 マーラー交響曲第3番 ベルリンフェストターゲ

松岡究です。昨日一昨日と風邪を引いてしまいました。今回のベルリンフェストターゲはバレンボイムとブーレーズによるマーラー交響曲と一連の歌曲の連続演奏会。全チケットを買ったのですが、風邪でダウン。一昨日のバレンボイムの1番、クヴァストホフの「亡き子」、昨日のブーレーズの「復活」は残念ながら聴けませんでした。しかし今日からは最後の9番まできっちり聴きます。

曲目  マーラー:交響曲第3番 ニ短調

   アルト:ミシェル・デ・ヤング

   合唱:ベルリン国立歌劇場合唱団女声

   児童合唱:アウレリウス 児童合唱団

  指揮:ピエール・ブーレーズ

お見事!と言うのがふさわしいとまず思いました。昨年確か80歳になったブーレーズは全く年を感じさせません。まさに隅々まで曲を把握している感のある全く無駄の無い動き。ですから、オーケストラは大変のびのびと弾いて、吹いているのが良くわかります。そして紛れも無くマーラーの音楽がそこから聞えて来るのです。完璧なマエストロの仕事!

こんな経験はあまりしたことがありません。心の内面をえぐられるわけではありません。また感動したと言うのでもないのです。しかし見事なんです。ホルンやバンダのトランペット(ポストホルンで吹いてはいませんでした)がひっくり返ったりしたことが数度ありましたが、音楽の佇まいと言うか、フォームは余りにも美しいと言った方がいいのかもしれません。変な言い方ですが、綺麗な女性を見てその美しさに感嘆するのみで、全くあちらに考えが行かないのに似てる、と言うことでしょうか。

6楽章などは聴衆全員が息を凝らして聞き入っているのですが、その音楽は室内楽的な美しさはあるものの、心には響きませんでした。残念!と言うより当然かもしれません。

聴衆は沸きに沸いて圧倒的な成功。でも私は早めに家路に着きました。

   hakaru matsuoka

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2007年4月 1日 (日)

ベルリン放送交響楽団&モンテ・カルロフィルハーモニー合同演奏会

松岡究です。今日は指揮者のヤノフスキが主席指揮者を務めている2つのオーケストラの合同演奏会です。弦楽器だけでも80人(20型)、管・打で60人。ソリストが6人、合唱が男声が約120名、女声が約80名。そして指揮者。と言う馬鹿でかい編成。

曲目   シェーンベルク:グレの歌

   ソプラノ(トーヴェ):エヴァ・マリア・ヴェストブロック

   メゾソプラノ(ヴァルトタウベ):ぺトラ・ラング

   テナー(ヴァルデマール):ステファン・グールト

   テナー(クラウス・ナール):アーノルド・ベツイェン

   バス(バウアー):クワンチュル・ユン

   語り手:フランソア・ル・ルー

   合唱:ベルリン放送合唱団、MDRライプツィッヒ放送合唱団

   合唱指揮:ハワード・アーマン

  指揮:マレク・ヤノフスキ

正味2時間に及ぶ大曲。シェーンベルクの調性時代の集大成ともいえる金字塔。この後しばらくしてシェーンベルクは12音理論を発明しそちらの方面へ深く入っていくことになります。この曲を聴いていると、シェーンベルクはそんなに聴こえて来ないと言うか、ワグナーとR・シュトラウスを足してフランス風な味付けをしたように聴こえて来ました。この2時間の間、なぜシェーンベルクが12音に走ったかと言うことが、逆に強烈にわかっってしまうんですね。このような作品を書き得た彼は、これ以上どこに彼は自分の身を置いたらいいのかということに、物凄く悩んだことだろうと思うのです。やはりシェーンベルクの個性は12音を極めていた作品にこそその真価はあるのだろうと改めて思います(特に「オーケストラのための変奏曲」、「月に憑かれたピエロ」、オペラ「モーゼとアロン}は大傑作でしょう)。でも「浄夜」を初めいくつかの調性のある室内楽作品も私は大好きではあります。

ヤノフスキは2つのオケを見事に統率し、大編成からは考えられないくらいの精緻な音を引き出し、作品の真価を見事に描ききっていたと思います。彼は良い腕を持った素晴らしい指揮者です。合唱も素晴らしく、これぞプロファッショナル!24日に聴いたエルンスト・ゼンフ合唱団とは天と地ほどの差がありますね。

歌手もおおむね良く、特にステファン・グールトはよかったです。またラングは6人の中で一人暗譜で歌っていました。

   hakaru matsuoka

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2007年3月27日 (火)

ドレスデンフィルハーモニー管弦楽団演奏会

松岡究です。ドレスデン2日目はドレスデンフィルの演奏会に行きました。会場はクルトア・パラストといって新しい馬鹿でかいホールです。なんとなくNHKホールを連想しました。間口がやたらに広く、音響もさして良くありません。

曲目   シベリウス:エン・サガ

      グロンダール:トロンボーン協奏曲

      ハイドン:交響曲第68番ニ長調

      バルトーク:「中国の不思議な役人」組曲

  指揮:ステファン・ソリョム

  トロンボーン:オラフ・クルンプファー

指揮のソリョムはまだ27歳の若い指揮者です。出身がスウェーデンだけにシベリウスが一番のよい出来だったように思います。会場が広すぎることもあって印象が散漫になったのは大変残念でした。

ハイドンでも楽しそうに音楽をやっているのは好印象でしたが、最後のバルトークが一番そうだったのですが、まだただ単に音を鳴らしていて、無意味に時間が流れているのが結構あって正直言ってがっかりしました。識者ってこうやって聞いていくと本当に先が長い職業なんだなと改めて思いました。

やはり「イメージ有り来」。ここから芸術は出発するのだと思います。

   hakaru matsuoka

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2007年3月26日 (月)

ベルリンドイツ交響楽団演奏会

松岡究です。きょうからこちらは夏時間になりました。従って日本との時差は7時間です。私は目撃しました。ベルリンのアパートに8ユーロくらいで買った電波時計があるのですが、午前2時59分59秒の次は午前3時ではなく、午前4時ちょうどになったのです。逆に冬時間になるときは多分もう一度午前2時になるのではないかと思います。これは確認してませんが。

今日は大変暖かく15度くらいまで気温が上がったようです。もう寒いのはいいです。徐々に暖かくなってほしいところです。

曲目   ストラヴィンスキー:交響詩「小夜啼鳥の歌(うぐいすの歌)」

      ベルリオーズ:夜の歌

      ツェムリンスキー:交響詩「人魚姫」

    ソプラノ:スーザン・グラハム

    指揮:インゴ・メッツマハー

今年の9月からこのDeutsches Symphonie Orchester Berlin(DSO)の主席指揮者に就任するメッツマハーの指揮で行われた演奏会は、期待を裏切らない素晴らしい一夜でした。

ドイツ人であるのにその指揮スタイルは重いものをあまり感じさせない、むしろシャープで柔らかく滞らない現代的な指揮をする人です。それは若い時から現代音楽のスペシャリストとして彼が歩んできたことと深い関係があるのだと思います。

ストラヴィンスキーは少々上滑りなところが無きにしも非ずで、ちょっと何が言いたいのかわからなかったのですが、後半のツェムリンスキーはとても良い演奏。センスがよくて適当に粘り気があり、全く滞らずどんどん流れていくのです。これからベルリンの聴衆にどう受け入れられるのか興味が尽きないところです。

真ん中に歌われたベルリオーズの「夏の歌」はスーザン・グラハムの名唱によってその作品の真価を見せ付けてくれました。彼女はフランス物、特にベルリオーズのスペシャリストですがその名に恥じず、気品と柔らかな発声と音楽性で見事に歌ってくれました。特に2曲目「薔薇の精」、4曲目「嘆きの歌」は絶品で、ウットリさせられることしばしば。メッツマハーも歌を引き立て、ピアニッシモをうまく使って曲の世界を充分に表現し佳演。聴衆も大満足のようでした。

現代音楽のスペシャリストとして鳴らしてきただけに、その音楽はひょっとしたら冷たくて機械的で血が通ってないのではないかと思っていたのですが、それは全くの杞憂に終わりました。彼の音楽は素敵でした。これからを期待します。

   hakaru matsuoka

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2007年3月25日 (日)

コンツェルトハウスオーケストラ ベルリン演奏会

松岡究です。今日は一日良い天気で終始しました。久々だっただけに気持ちのよい一日でした。明日からはもっと気温が上がって暖かくなるようです。

曲目 ノーノ:「力と光の波のように」~ソプラノとピアノとテープとオーケストラのための

    ヴェルディ:聖歌四篇~ソプラノと混声合唱とオーケストラのための

  ソプラノ:アンナ・クリスティーナ・カアッポーラ

  ピアノ:ウエリ・ヴィゲト

  コーラス:エルンスト・ゼンフ合唱団

  指揮:ローター・ツァグロセク

今日のコンサートはしんどかったです。ノーノの作品は1971~2にかけて作曲されたものですが、なぜ今演奏されねばならないのか甚だ疑問です。35分間、人間を不安にさせ苦しめるような不協音(不協和音ではありません)の連続で、こんなもの音楽でもなんでもなくよく言えばドラマや映画で人間が窮地に陥った時に、あるいはマイナスの感情を抱いたりした時に聞くような大変不快なものです。まさに「音が苦」!!!ノーノってNONOと書くのですが、この作品に至ってはOh!No! No!と言いたくなってしまいしました。

後半はヴェルディの聖歌四篇。今日は「ハズレ」なのかなあ。コーラスが今までベルリンで聴いた中では一番よくない。80人以上のコーラスはソプラノとバスにかなりエキストラを入れているのではないでしょうか。パート内が声がそろわず硬くて大変聴きづらいものでした。何だかアマチュアに毛が生えたような感じ。最初の「なぞの音階」と言われる「アヴェマリア」は、ただ単に歌っているとしか言いようが無い。2曲目のスターバト・マーテルでやっとオケが参加しますが、オケも全く集中力が無い音。全く音が洗練されておらずどこのオケ?と疑ってしまいました。3曲目は女声だけで歌われるのですが、ソプラノに誰か硬い声がいて、全く溶け合わない。神秘性と敬虔な感じが出ずに終わりました。4曲目はテ・デウム。ダブルコーラスなのですが、第一コーラスが全くの素人。第2コーラスは綺麗にまとまっているのに、なぜ?

こんな演奏会やってたら、あっという間に客はいなくなってしまいます。ノーノの作品が演奏されている途中で、一体何人退席したと思いますか?

ツァグロセクにはプログラムビルディングの再考を是非お願いしたいと思います。

   hakaru matsuoka

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2007年3月23日 (金)

ビシュコフ指揮ベルリンフィル演奏会

松岡究です。昨日今日ととても寒い日になりました。昨日の夜からは雪になり、明け方は10センチくらい積もったようです。しかしその後雨になり、全部溶けてしまいました。

今日のコンサートは予定されていたペトレンコが所謂指揮者病でキャンセル。かわってビシュコフが振りました。

曲目  ワグナー:ローエングリン~第1幕と第3幕への前奏曲

     ワグナー:ヴェーゼンドンクの歌

     ショスタコーヴィチ:交響曲第10番ホ短調

   ソプラノ:アンジェラ・デノケ

   指揮:セミヨン:ビシュコフ

1幕への前奏曲は大変美しい、音楽的な演奏。ここで充分でした。3幕をやったのは失敗ですね。3幕は格好はいいのですが、これぞ!と言う演奏が本当に難しい音楽。案の定3幕は凡演。

デノケの歌ったヴェーゼンドンクはシェーンベルクの「期待」に代わって歌われたものです。大変美しいしっとりとした歌声で、気品高く歌い上げていました。ビシュコフもちょっとうるさかったけど、良い伴奏でつけていました。

後半のショスタコーヴィチが大変良い演奏。お国物という事もあるのでしょうが、彼のイメージは大変はっきりしていて、それをベルリンフィルが本当に達者に名人芸的に音にしていました。各管楽器のソロも抜群で、約1時間の演奏が大変引き締まった良い時間になりました。 

このブログを始めた時に最初に書いたのが、今日のビシュコフでした。その時のオケはケルン放送でしたが、その時はビシュコフとオケにかなりの音楽的開きがあったように思え、大変残念な思いをしましたが、今日のビシュコフはその印象を覆す素晴らしいものでした。ペトレンコがキャンセルと聴いて大変がっかりだったのですが、その穴を十二分に埋め合わせてくれました。

      hakaru matsuoka 

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2007年3月21日 (水)

ティーレマン指揮ウィーンフィル ベルリン公演

松岡究です。今日は待望のティーレマン・ウィーンフィルと言うことで、楽しみにしていました。

曲目  ブルックナー:交響曲第8番ハ短調 (第2稿による)

    指揮:クリスティアン・ティーレマン

名演!!!95分を超える雄大且つ壮大な演奏。

昨年の秋にミュンヘンフィルとベルリン公演した際の7番のシンフォニーもよかったのですが、今日の8番の方がティーレマンのスケールの大きな器にぴったりで、類稀なる名演になりました。7番の時はその曲の持つ歌謡性からティーレマンはかなりルバートを多用していました。しかしこの8番ではピアニッシモからフォルティッシモまでのレンジが格段に大きく、特にピアニッシモの表現は絶妙で、神秘性をいつも帯び絶品でした。

彼の指揮はバレンボイムのようなスケールの大きな箱を最初から用意しているのではなく、その時その時で箱のスケールを変えながら、粘りの強い、高い集中力で指揮しているので、音楽は柔軟性に富み、自然な流れが生まれています。

聴衆も最後の全奏が終わると10秒以上の沈黙を守り、ティーレマンが素面に戻るまで誰一人として拍手しませんでした。日本ではあっという間に拍手になっちゃうでしょうね。

このような指揮が出来るなんて本当にティーレマンは素敵な男です。

   hakaru matsuoka

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2007年3月16日 (金)

ハイティンク指揮ベルリンフィル演奏会

松岡究です。ベルリンは暖かいです。今日も歩いていると汗ばんできて、何を着たらいいのか迷ってしまいます。最高は13度くらいあったようです。

曲目  ベートーヴェン:ミサ ソレムニス ニ長調 作品123

  ソプラノ:ルーバ・オルゴナショーバ

  アルト:エカテリーナ・グバノバ

  テノール:トミスラフ・ムゼク

  バス:クヴァンチュル・ユン

  合唱:ベルリン放送合唱団 合唱指揮:サイモン・ハルセイ

 指揮:ベルナルト・ハイティンク

今回、大いに期待していたんだけど、こんなものかなあ?と思ってしまいました。

この曲は私も一度指揮したことがありますが、常識では図りきれないことが沢山あって、すぐにアンサンブルに破綻をきしてしまう虞のある本当に難しい曲です。今回も危ないところが散見されました。

バッハのロ短調ミサと並んで合唱の作品としては、まさに東の横綱。ベルリン放送合唱団は今回100人の大編成で臨みましたが、作品の高みを表現するには今一歩。

ハイティンクを評するのはちょっと難しいですね。極めて常識的というかよく言えば奇を衒わない、悪く言えば没個性的。こういった難曲を指揮した場合、曲の表面ではなく内面をどう感じているかを聴きたいところ。しかし彼は極めて優秀な職人でありすぎました。

私の夢の一つに、第一夜「ミサ ソレムニス」、第二夜「交響曲第9番」と並べて指揮してみたいと言うのがあります。その理由はいずれまた書くことにします。

今日は芸術家であり職人であることの難しさを痛感しました。

   hakaru matsuoka

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2007年2月27日 (火)

ラハティ交響楽団ベルリン公演

松岡究です。今日も暖かいと言うか、寒くない日でした。ずっと天気が小雨状態だったので、暖かいと言う表現は適していないと思います。気温はいまインターネットで見ると東京より暖かい6度(真夜中の12時過ぎで)です。

今日というか昨日は日本で大評判をとったラハティ交響楽団オズモ・ヴァンスカが来ると言うことで、当日売りで入りました。日本ではシベリウスツィクルスをやったとか。大変な評判を聞いていたので、期待していきました。

曲目  シベリウス:交響詩「タピオラ」Op112

     シューマン:ピアノ協奏曲

     コッコネン:オペラ「最後の誘惑」から間奏曲(4つの部分からなる)

     シベリウス:交響曲第7番ハ長調Op105

ピアノ:エレーヌ・グリモー

指揮:オズモ・ヴァンスカ

とても素敵な演奏会でした。最初のタピオラからヴァンスカとこのオケの相性の良さがわかりました。曲の細部まで磨いているのが良くわかるのです。北欧出身の音楽家は一度は皆フランスへ留学すると言うことを聞いたことがあります。フランス流の流暢でエレガントな流れと北欧の音楽の持つ透明感が見事にマッチして、とっても美しい仕上がりでした。

 グリモーとのシューマンはきわめて速いスピード感溢れるえんそう。かといって細部はやはりきちんとしており、グリモーのピアノと一体感を実に良く出していました。グリモーはそんなに音がきらびやかとかいった派手なピアノではなく、音色は地味目ながら主張ははっきりし室内楽的に演奏するような人でした。

後半の2曲もヴァンスカとラハティ交響楽団は細部まで磨かれた透明感のあるしかも情熱的な演奏を聞かせてくれました。指揮者とオケがこれほどまでに同じ方向を向いていると言うのはある意味では奇跡的なことかもしれません。

アンコールでやったシベリウスの「悲しきワルツ」はピアニッシモが絶品で、本当に耳をそばだてないと聞き取れないくらいの音でしたが、そこにはちゃんとハーモニーと音楽的主張があって極めつけの表現でした。

こういった組み合わせの指揮者とオケは、出来るだけ長く良い関係を保ち続けてもらいたいものです。

   hakaru matsuoka

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2007年2月25日 (日)

ベルリンコンツェルトハウスオーケストラ演奏会

松岡究です。今日も寒い一日でした。今日の演奏会は、前シーズンまではベルリン交響楽団と名乗っていた(インバルが主席指揮者であった)オーケストラが、今シーズンから主席指揮者にローター・ツァグロゼクを迎え、名前をベルリンコンツェルトハウスオーケストラとして新たにスタートしました。アムステルダムのコンセルトヘボウですとか、ライプツィッヒのゲヴァントハウス等がコンサートホールの名前をそのまま冠したオケですが、それと同じと言うことでしょうか。

曲目   プロコフィエフ:ロメオとジュリエット(指揮者のバーメルトによる版)

      R・シュトラウス:交響的幻想「イタリアより」

  指揮:マティアス・バーメルト

指揮のバーメルトはスイス人ですが、今はマレイシアフィルの常任をしている人です。指揮の仕方に大変特徴があり、どう見ても格好良くはありません。しかしオケからは溌剌とした充実したサウンドを引き出していました。プロコフィエフは指揮者自身が曲を選んだ版と言うこともあって、かなり手の内に入った感がありました。オーケストラも自由にのびのび弾いていて、清清しい。後半のシュトラウスの若い時の作品も勘所を押さえていて、佳演。ただ色彩感やその場面を髣髴とさせるような音楽の運びはほとんどなく、オペラは指揮していない彼の経歴からすると妙に納得しました。

充実してるんだけど色彩感がない。とても良い演奏なんだけど、訴えるものが弱い。もう一つ煮え切らない感じを持ったのは私だけでしょうか?芸術家と職人の微妙なバランス。私は両方求めて生きたいと思います。

   hakaru matsuoka

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2007年2月23日 (金)

ラトル指揮ベルリンフィルハーモニー管弦楽団演奏会

松岡究です。今日は先々週と同じラトルの指揮です。2月はラトルだけで4種類のコンサートを計12回もやると言う物凄さ。

曲目  ドヴォルザーク:交響曲第7番ニ短調Op70

     トマス・アデス:Tevot (ベルリンフィルとカーネギーホールの共同委嘱作品。初演)

     ヤナーチェック:シンフォニエッタOp60

  指揮:サー・サイモン・ラトル

今日も実に充実した演奏を聞かせてくれました。まずドヴォルザークでは、リズムを際立たせながら、コントラストに気を配る手法はラトルならではですね。彼の一番いいところは、音楽を考えすぎず(実に深く考えているのですが)、自ら楽しみながら、いつも自分の音楽として提示できるところにあると思います。ですから大変都会的なドヴォルザークになります。もう少し粘ってほしいと思うところはありましたが、大変充実した演奏でした。

アデスの曲は、あまり現代的な手法(例えば無調、12音、コンクレート等)を用いず、大変正統的な手法を用いて、壮大で美しい曲を書いていました。中間部で長いフーガがあるのですが、それが重くなりすぎず実に美しく壮麗な響きとなってクライマックスを作ったところなどは、ブラボー!

メインのシンフォニエッタは金管が12人のトランペット、2人のバストランペット、4人のホルン、2人のヴァルトホーンチューバ、4人のトロンボーン、そしてチューバと言う珍しい編成の曲。(高校のときマタチッチがN響でやったのを思い出しました。)金管の壮麗な響きもさることながら、オーケストラの力量が思う存分発揮された痛快な演奏でした。でもやはり泥臭さからはかなり遠くに行ってしまっています。

こういうドヴォルザークやヤナーチェックは、私の個人的な好みでいうと異端とまでは言いませんが、少なくとも模範とすべき演奏ではないと思います。もう少し思い入れとか、ノスタルジックな部分があるほうがこれらの作曲家にはふさわしいのではと思います。

    hakaru matsuoka

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2007年2月10日 (土)

ラトル指揮ベルリンフィルハーモニー管弦楽団演奏会

松岡究です。きょうも夕方から小雪の舞う肌寒い一日でした。

曲目 ハイドンプログラム

  交響曲第88番ト長調

  交響曲第89番ヘ長調

  交響曲第90番ハ長調

指揮:サイモン・ラトル

今日は安永徹さんがコンサートマスター。どういう風に奏法を変えてくるのかと思ってたら、意外にオーソドックス。ビブラートもかけていました。しかしラトルのアプローチは見事なもので、フォルテとピアノのコントラスト、アーティキュレーションの切れ味、そして疾走するようなアレグロ。どれもある意味ではエキセントリックで、又ある意味では大胆にして繊細。どの声部も雄弁で音楽をしているのはベルリンフィルならでは。それを楽しみながら、自在に操っているこのラトルは本当に素晴らしい。

90番の終楽章。ハイドンの機知の富んだ細工が見事。曲が終わったかに見せるとまた始まり、また終わったかに見せるとまた曲が始まる。観客はラトルの見事な演出にだまされて、2度も途中で拍手をすることに。それが笑いを誘いこのコンサートは和やかに、そして大きく盛り上がりました。幸せなひと時をくれたコンサートでした。

   hakaru matsuoka

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2007年1月29日 (月)

中野区民オケ終わりました

松岡究です。昨日中野区民オケの演奏会が終わりました。ご来場いただいた方、有難うございました。

今回は私としては不本意な本番でした。マーラーの5番という難曲にもかかわらず、オケとの練習日がなかなか取れず、自分の意思を楽員に徹底させることが出来ませんでした。音楽になったのは2楽章までで、3楽章からはオケ自体が弾くのに精一杯。

前回の本番が9月30日だったため、10月から譜読みをし、私との初合奏が12月24日だったということを考えれば)そして、毎水曜日という練習日のため、まともな練習時間が1時間半もないという中で、アマチュアとしては良くやったとは思いますが、やはり壁は高かったです。

前プロの歌曲では、それなりの音楽をやっていたのを考えると、マーラー5番をやる時間と環境を考えるべきだったかと思います。

   hakaru matsuoka

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2007年1月22日 (月)

NTTフィル第20回記念定期公演終わりました

松岡究です。昨日NTTフィルの演奏会が終了いたしました。多数のご来場有難うございました。彼らと付き合って足掛け10年。NTTオケがこれだけの集中力と音楽する力を蓄えてきたことに、驚きを禁じえません。昨日の演奏は20回記念にふさわしい、素晴らしい演奏でした。また合唱も3団体が混合の寄り合い所帯でしたが、それにもかかわらず「復活」の素晴らしさを見事に伝えてくれる出来でした。そして2人の歌手も素晴らしい歌を聞かせてくれました。

私は反省すべきことがたくさんありますが、例によってお聴きになられた方の感想をぜひお寄せください。個人的でもこのブログに書いて頂いても、どちらでも構いません。宜しくお願いいたします。

  hakaru matsuoka

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2007年1月15日 (月)

チケット差し上げます

松岡究です。

コンサートの案内を致しましたが、1月28日と2月3日のチケットを、もしお聴きになりたい方があれば、無料で差し上げますので、是非聴きにいらしてください。注文はこちらのブログから、直接で構いません。あるいは私のメール等をご存知の方は、そちらからでも結構です。

1月28日 中野ZEROホール、午後2時開演

マーラー:交響曲第5番 さすらう若人の歌

2月3日 葛飾シンフォニーヒルズアイリスホール 午後2時開演

モーツァルト:管楽セレナードハ短調とグラン・パルティータ

以上です。

   hakaru matsuoka

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2007年1月14日 (日)

今回の

松岡究です。今夏の帰国におけるコンサートを告知させてください。

1月21日 NTTフィルハーモニー管弦楽団第20回記念定期

    マーラー:交響曲第2番「復活」ハ短調

  ソプラノ:松尾香世子

  メゾソプラノ:寺谷千枝子

  合唱:NTT合唱団、中野ZERO合唱団、成城合唱団有志

於 :サントリーホール 

1月28日 中野区民交響楽団定期公演

   マーラー:さすらう若人の歌

   マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調

  バリトン:太田直樹

於 :中野ZEROホール

2月3日 モーツァルト 室内楽コンサート

    モーツァルト:セレナーデ第12番ハ短調

    モーツァルト:セレナーデ第10番変ロ長調「グラン・パルティータ」 

於 :葛飾シンフォニーヒルズ  アイリスホール

以上です。もし良かったら聴きにいらしてください。

  hakaru matsuoka 

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2007年1月 8日 (月)

ケント・ナガノ指揮ベルリンドイツ交響楽団演奏会

松岡究です。今日は久しぶりにケント・ナガノの指揮を聴きました。昨シーズンで音楽監督を辞任し、ミュンヘンの国立歌劇場の音楽監督の地位に付いたのは皆さんご存知だと思います。今日もほぼ満席の盛況。ミュンヘンでの評判は今の所それほど芳しくは無いようです。しかし新任の監督には最初は何処も厳しい見方をしますが、ベルリンでの彼は確実に愛されていると思います。

曲目   細川 俊夫 「Circulating Ocean」

             モーツァルト ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調K.216

      ブラームス 交響曲第3番ヘ長調作品90

   指揮 ケント ナガノ

   ヴァイオリン ギル シャハム

細川さんの作品は30分にも及ぶ大曲。題名の通り、大洋が循環する様を壮大に描いた作品。やはり日本人にしかない感性があって、例えばバスフルートの尺八のような歌い方、トロンボーンがわざと息だけを吹き込んで、風の様を描写する音など、ナガノはうまくオケから音を引き出していました。やはり日系3世とはいえ日本人であるケントの面目躍如。

次のモーツァルトはやはりシャハムのヴァイオリンが出色の出来。よくなる音を持っており、今日は一番奥の席で聴いたにもかかわらず、あたかもすぐそこで弾いているような、素晴らしいなり方。(勿論楽器がいいのも有りますが)ですからオケもバランスをそんなに気にすることなく弾いているので、メリハリが出て気持ち良い演奏。

最後のブラームス。実に40分以上もかかった演奏。かといって重厚ではなく、丁寧に絹織物を織って行くような、痒いところに手の届くような演奏。ただ私の趣味を言わせてもらうなら、ケントにうねるような情念と、明暗のはっきりしたパレットがあれば全く私好みのというか私の解釈とほとんど同じなんだけど(無いものねだりだと言う事は百も承知です)、と思いながら聴いていました。彼の良さはいつもながら、聴衆をまずひきつけておいて、丁寧に音楽を始めることです。その雰囲気というかオーラは所謂欧米の指揮者には無いもので、彼の個性を良い一段と引き立てるものだと思います。

    hakaru matsuoka

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2006年12月30日 (土)

ラトル指揮ベルリンフィルハーモニー管弦楽団

松岡究です。こちらは日の出が大体8時、日の入りが大体4時ということで、明るい日中が8時間もありません。目が覚めてもまだ真っ暗なので、なんだか感覚が狂ってしまいます。

曲目   R・シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」

      モーツァルト:ピアノ協奏曲ニ短調Kv.466

             R・シュトラウス:「薔薇の騎士」より3幕のワルツと3重唱から最後まで

    ピアノ:内田光子

    マーシャリン:カミラ・ニルント

    ゾフィー:ローラ・アイキン

    オクターヴィアン:ステッラ・ドゥフェクシス

    ファニナル:デイル・デュシング

   指揮:サー・サイモン・ラトル

31日のジルヴェスターコンサートと同じプログラムの29日の演奏会です。

最初の「ドン・ファン」。さすがにオーケストラの機能性は抜群でうまい!しかしどこかあっさりしすぎていて、R・シュトラウスを聴いた感がしませんでした。例のホルンの主題もやけにあっさりとしてるんですね。これはラトルの体質というかよく言えば持ち味だとは思いますが、う~ん・・・もう少しねちっこい方が好きですね、僕は。

次の協奏曲。ラトルのアプローチは古楽器的で、今まで聴いたことのないサウンドを引き出していました。その反面、音響的には引き締まっているのですが、あの独特の内面を揺さぶるような叙情性というか、哀しさ(小林秀雄流に言う)がどこかに行ってしまったのはちょっと残念。内田さんのピアノは集中力のある音楽ですばらしくかったです。陰影に富んでおり、特にピアニッシモは特筆ものでした。ただフォルテで音が濁らないようにする配慮が過剰すぎたきらいも無いではないかな。

最後の「薔薇の騎士」。オクターヴィアンは本当はマグダレーナ・コジェナーがやるはずだったんですが、急病で急遽ドゥフェクシスに変わりました。彼女は大変素晴らしいメゾで、コーミッシェオパーの「薔薇の騎士」「コシ・ファン・トゥッテ」等で素晴らしい歌唱を聞かせてくれています。

3人の重唱はそれはそれは絶品で、3人ともにシュトラウスのあのラインを気品と素晴らしい音楽性で、描ききっていました。うっとりするような時間がずっと流れていました。ただラトルの音楽がやはりあっさりとしているので、豊穣な香りはかなり後退していたかな。残念!

今回は演奏時間が短かったせいもあってでしょうか、今年を締めくくる意味でのサービスもあってかアンコールが2曲。

J・シュトラウスの「ハンガリーポルカ」、そしてドヴォルザークのスラヴ舞曲第8番。

今回の演奏会はDVDとTVの収録もあって、いつに無く照明機材が多く設置されていました。ですからそのノイズがかなりあって、ちょっと閉口しました。

      hakaru matsuoka

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2006年12月24日 (日)

神奈川大学管弦楽団演奏会終わりました

松岡究です。23日神奈川大学管弦楽団の第50回記念演奏会が終了いたしました。この学生オケとかかわりを持って11年。今日の本番は彼らの演奏の中でも屈指の内容。

私の記憶では、今までの中でも5指に入る出来だったと思います。このコンサートをお聴きになった方がいらっしゃいましたら、ご意見・ご鞭撻ありましたらお聞かせいただければ大変幸いです。宜しくお願いいたします。

     hakaru matsuoka

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2006年12月18日 (月)

浜松交響楽団演奏会終わりました

松岡究です。浜松交響楽団の演奏会が日曜日に終わりました。大変難しいベートーヴェンの4番と言う難物を、彼らは大変な集中力と音楽に対する敬虔な気持ちで、素晴らしい演奏をしてくれました。

このコンサートを聴かれた方の投稿をお待ちしております。どうぞ宜しくお願いいたします。

    hakaru matsuoka

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2006年12月10日 (日)

成城大レストロ・アルモニコ管 本番終わりました。

松岡究です。私の後輩でもある成城大の学生オケの演奏会が今日終わりました。いつも会場にしている50周年記念講堂が改築され、音響ががらりと変わっていました。

メインがブラームスの4番と言うことで、学生がどれだけその深い音楽に到達できるかが大きな課題でしたが、彼らは果敢に挑戦し見事に音にしてくれました。勿論色々傷はあるのですが、とてもよくまとまった演奏だったと思います。

昨日に引き続き、この演奏を聴かれた方の忌憚の無いご感想等をお聞かせいただければ、望外の幸せです。

      hakaru matsuoka

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2006年12月 4日 (月)

第九コンサート終わりました

松岡究です。

12月2日、東京オペラシティーにて、駒場高校の同窓生による第九演奏会

12月3日、津山文化ホールにて、岡山県津山市第九を歌う会

ともに無事終了いたしました。

両公演ともに私にとっては、大変勉強になる公演でした。

もし聴かれた方がいらっしゃいましたら、どうかご意見、ご感想をお寄せください。宜しくお願いいたします。

     hakaru matsuoka

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2006年11月16日 (木)

バレンボイム指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団演奏会

松岡究です。今日は暖かな一日でした。ダウンを着ていると暑くて却って気持ちが悪くなりそう。

曲目  シューマン:ピアノ協奏曲イ短調作品54

     マーラー:交響曲第9番ニ長調

     指揮:ダニエル・バレンボイム

     ピアノ:ラドー・ルプー

渾身のバレンボイム。こんなに最初から霊感に満ち、凄いバレンボイムはコンサートでは初めて見ました。彼の凄さを再認識した演奏会でした。

シューマンの協奏曲では、ルプーの素晴らしいピアノにぴったりと寄り添い、シューマンの奥の深さ・繊細さを極限まで表現し尽くしたかのよう。こんなにも哀しい調べをこの曲が持っていたなんて!ルプーもバレンボイムも本当に大家にふさわしい。脱帽です。

後半のマーラー9番。1楽章からバレンボイムは渾身の演奏。物凄い集中力でもってオーケストラを指揮する姿は圧巻。2・3楽章のテンポもディナーミクも極端なまでに違えて、コントラストを強調していく手法はバレンボイムくらいしか出来ないんじゃないかと思ってしまうほど。4楽章も最後まで緊張の糸は張り巡らされ、大変充実した演奏になりました。

今までテレビではいずれもベルリンフィルを振った「運命」と「ジルベスターコンサート」は素晴らしい思ったのですが、実演では初めて感激する事ができました(ピアノは日曜のシューマン等何度かその素晴らしさに遭遇していますが)。彼が世界のトップを走る理由がやっとわかりました。本当に凄い人です。

    hakaru matsuoka

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2006年11月14日 (火)

ティーレマン指揮ミュンヘンフィル演奏会

松岡究です。きょうも冷たい雨がしとしとと降っていました。

曲目   プフィッツナー:「パレストリーナ」~3つの前奏曲

      ブルックナー:交響曲第7番ホ長調

      指揮:クリスティアン・ティーレマン

今日も素晴らしいコンサート。やはりティーレマンはただものではない。と言うより私は2年前にR・シュトラウスの「影の無い女」と「ダフネ」を2晩続けて聴いて以来彼のファンになりました。彼はこの2晩を最後にベルリン・ドイツオペラを辞任し、ミュンヘンフィルに専念することになります。その2004年以来彼はこのオケの音楽監督を務めています。

最初の曲、プフィッツナーの代表作「パレストリーナ」からそれぞれの幕への前奏曲が演奏されました。プフィッツナーはR・シュトラウスとほぼ年代が同じ作曲家ですが、その作風はシュトラウスよりオーソドックスな感じです。いわば19世紀後半から末にかけての作風と言えるのではないでしょうか。しかしこの3つの前奏曲は大変ロマンティックでかつ起伏に富み、忘れられていた名曲でしょう。ティーレマンは曲の持つ素晴らしさを存分に引き出して、この作曲家に光明を当てたのではないでしょうか。

後半のブルックナー。いやはや凄い演奏でした。まず彼の特徴は息が長いということ。したがって彼の重要なレパートリーのブルックナー、ワグナー、R・シュトラウスにぴったりと合うのです。しばしば大きな体を屈めながら指揮し、大きな振幅を生み出します。でも彼のやっていることは実に精巧な仕事。でも普通の指揮者がこれをやったら、チマチマした演奏になってしまうのでしょうが、彼はなんせ息が長い人。細部まで彫啄されたスケールの大きなブルックナーが出現しました。

昨日のラトルとは全く違うタイプの指揮者。そしてなんと言ってもオペラでやはり鍛えられていると言うことが良くわかります。昨日といい今日といい至福のひと時でした。

        hakaru matsuoka

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2006年11月13日 (月)

ラトル指揮ベルリンフィルハーモニー管弦楽団 ショスタコーーヴィチプロ

松岡究です。朝はリートマチネー、夜はラトル・ベルリンフィルと言う一日でした。ともに充実したコンサート。お天気は愚図つき気味の寒い一日。気温は上がらず日中もずっと6度あたりの気温でした。

曲目  ショスタコーヴィチプロ

   交響曲第1番ヘ短調作品10

   交響曲第15番イ長調作品141

   指揮:サー・サイモン・ラトル

素晴らしいコンサート!最近のラトルは心境著しいものがあるように思います。6月のブラームス4番、10月のブルックナー4番、そして今月11月のショスタコーヴィチの1・15番。

不必要なことは全く振らず、必要不可欠なことだけ振っていきながら、大変な集中力と緊迫感、そして何よりも音楽的な空間の創出。こんなことのできる人今時いないでしょう。ベルリンフィルはいまや完全にラトルと相思相愛で、ラトル以外の指揮者の時の演奏とは少し差がつき始めたように思います。本当に目が離せないし、私がベルリンに来てからのラトルを比較しても物凄い成長が伺えます。

私はショスタコーヴィチの交響曲は全部知っているわけではありませんが、彼の人間的な面・性向、方向性を考える時、1番の交響曲を知る知らないでは、彼に対する理解に差がつくだろうなあと思います。どういうことかというと、この作品はまだ19歳の時の作品で、この曲が発表された時は20世紀のモーツァルトと呼ばれたほど、世界に与えた衝撃は大きかったのです。しかし内容は彼の作品のほとんどを彩るアイロニーや批判等はまだ出ていないにもかかわらず、その根っこの部分はちゃんとあるわけです。

15番をこうやって素晴らしい演奏でじっくり聴くと、ショスタコーヴィチの人生観が良くわかります。「ウィリアム・テル」の引用では、彼の中でソヴィエトに対する考えが「なるほどこう思わざるを得なかったのか」と思うとなんとなく涙が出てきます。ベートーヴェンの弦楽四重奏の引用は自分の死と向き合ったときの心境そのままだったのでしょう。そして終楽章の最後にヴァイオリンで奏でられるメロディーはまさに「白鳥の歌」、そして時計の刻むような楽想で終わることは、もう人生の残りが無いということを端的に表しているのではないでしょうか。

ラトルの今回のプログラミングはショスタコーヴィチを知る上で、またと無い貴重な機会でした。

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2006年10月23日 (月)

ヤノフスキ指揮ベルリン放送交響楽団

松岡究です。今日も暖かい一日でした。全くコートは着る必要がなく昼間の気温も17・8度あったようです。

今日は昼の1時からこちらに留学しているトランペットの高見信行君が、今年の毎日コンクールで1位になったと言うことで、そのお祝いを兼ねて一緒に食事をしました。(日本で彼とは何度か仕事を一緒にしており、去年の4月ごろフィルハーモニーで偶然再会したんです。)凄いですね、1位なんて。でも彼の実力だったら当たり前だと思いますが。

そのあと4時からフィルハーモニーでベルリン放送響、7時からコーミッシェオパーで「コジ・ファン・トゥッテ」を聴くというハードスケジュール。

曲目   リゲティ:ヴァイオリン協奏曲

      ショスタコーヴィッチ:交響曲第13番「バビ・ヤール」

     ヴァイオリン:イザベレ・ファウスト

     バス:アルチュン・コチニアン

     合唱:ベルリン放送合唱団男声部

     指揮:マレク・ヤノフスキ

お祝いで昼間からビールを飲んだせいで、前半のリゲティの作品は5分ほど寝てしまいました。ですから論ずる資格はないのです。すみません!

後半はしっかり聴きました。オーケストラも50%はユニゾンで、合唱にいたっては99%はユニゾンで出来上がっているような不思議な作品。しかしその中にあるメッセージは強烈なものがあり、特に1・2楽章はオーケストラの絶叫する様は物凄い迫力。コチニアンは予定されていたアレクサーシュキンが急病で急遽代役。彼は美声ですが、代役と言うこともあり、やはり作品の内面を伝えるにはもう一息。合唱も線が細く綺麗に歌いすぎだと思いました。もっと土臭く、何かを抉り出すような迫力がほしかったですね。その反面オーケストラは良くヤノフスキに応えて迫真の演奏。そして最終楽章の消えるように終わっていく透明感のある祈りのような美しいメロディーは、ショスタコーヴィッチの当時の内面を如実に物語っているようで、1961年当時のあの冷酷なソ連に生きる作曲者を想像するには余りにも充分。

    hakaru matsuoka

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2006年10月22日 (日)

ラトル指揮ベルリンフィルハーモニー管弦楽団演奏会

松岡究です。この2・3日暖かい日が続いています。ダウンを着て歩くと汗がでてくるくらい暖かいです。天気も朝10時くらいから晴れてきました。

曲目 シューマン:交響曲第4番ニ短調 1841年の第1稿による演奏

    ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調 「ロマンティック」 ノヴァーク版による第2稿による演奏。

今日も素晴らしい本番が聴けました。ラトルという人はどうしてこう素晴らしいんでしょう。頭が下がります。彼は音楽を本当に愛してるし、自由で敬虔で大胆です。そして人間は全く飾らないフランクさとフレンドリーさが舞台に滲み出ていて、こんな人はいません。

1曲目のシューマン。普段耳にする曲とは特に1・4楽章が異なっています。以前サヴァリッシュがN響でやったような記憶があります。そういう意味でも大変興味深く聴きました。こちらの方がやはりフレージングにおいてやや曲としての曖昧さというか、荒削りなところがあるように思います。やはり1853年の一般的なほうが曲としては完成度が高いのではないかな。演奏はラトル節というか、本当に彼は自由です。どうしてこんな発想が生まれてくるのだろうと言うくらいに新鮮な響きでいっぱいでした。オーケストラは第2ヴァイオリンを上手に振った5.5、5、4、3、2の小ぶりな編成でした。

後半のブルックナー。聴衆を圧倒的な感激に陥れた演奏時間約75分の堂々たる演奏。ラトルはこの曲に対し全くの正攻法で臨んでいました。しかし歌うところは歌い躍動感があり、緻密かつ大胆。こういう演奏を聴いた人は彼が確実に大巨匠への道をまっしぐらに進んでいると確信したに違いないでしょう。冒頭のホルンはドールのソロ。こんなに神秘的に聴かせたホルンを知りません。

今回ゲネプロを聴こうと思って問い合わせたところ、今回は録音をするからダメだとのことでした。近いうちにこの壮大な演奏のブルックナーが店頭に並ぶと思います。オーケストラは大編成の8.5、7、6.5、5、5で、フォーメーションは通常のヴァイオリンを並べた配置にしていました。多分ヴィオラのパートソロを聴かせる為だったのではないかと思います。

    hakaru matsuoka

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2006年10月21日 (土)

ベルリンコーミッシェオパー管弦楽団演奏会

松岡究です。今日は朝からしとしとと冷たい雨が降っていました。しかし気温はさほど下がらずそれだけでもちょっと嬉しい。

曲目   ドビュッシー:夜想曲

      プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番

      ラヴェル:古風なメヌエット

      ラヴェル:マ・メール・ロア

      指揮:キンボー・イシイ・エトー

      ヴァイオリン:ドミトリー・シトコヴェツキー

柔らかな雰囲気の気持ちの良い演奏会でした。1曲目の「夜想曲」からキンボーさんはこのオケから柔らかなサウンドを引き出して良い感じ。ただ3曲目の「海の精」の女性コーラスは凡庸な出来。もう少しコーラスマスターにしっかりしてもらいたいし、日ごろオペラばかり歌っているとこのような精緻な曲を歌うテクニックを忘れて荒削りになっていくので、気をつけてほしいです。

2曲目のプロコフィエフはなんと言ってもシトコヴェツキーのヴァイオリンが素晴らしい。とても質実で奇を衒うことなく弾き進めて行き、最後はうんと盛り上がってアンコールにバッハまで弾きました。キンボーのバックも良かった。

後半はラヴェルを2曲。古風なメヌエットは今日の中ではもう一息。特に管楽器のバランスがよくなくて残念。2曲目のマ・メール・ロアはキンボーがこのオケから上質なサウンドを引き出して素晴らしい。特に終曲は皆の歌心があいまって見事でした。

キンボーさんはこのあとすぐ日本に行って、凸版ホールの閉館コンサートを指揮するといっておりました。皆さん時間が合ったら足を運んでください。

     hakaru matsuoka

     

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2006年10月15日 (日)

ノリントン指揮ベルリンフィル バッハ「ロ短調ミサ」

松岡究です。今日は寒かったですよ。一日中気温が上がらずに10度前後で推移してたようです。

今回最も期待していた今日の公演、期待に違わず素晴らしい演奏会でした。

曲目 J・S・バッハ ミサ曲ロ短調

  ソプラノ:スーザン・グリットン

  アルト:カタリーナ・カンマーローハー(予定されていたダヴィッド・ダニエルスが急に歌えないと言うことで急遽、彼女が代役に)

  テノール:ジョン・マーク・エインスレー

  バリトン:デートレフ・ロート

  合唱:リアス室内合唱団

  指揮:サー・ロジャー・ノリントン

素晴らしい演奏会。2時間半があっという間に過ぎてしまいました。勿論それは指揮のノリントンの自由奔放でいながら、フォームはしっかりとしている音楽作りが一番です。そして合唱が素晴らしい。ノリントンの自由奔放ともいえる注文に見事に応え、透明感を失わず最後まで見事に聞かせてくれました。(合唱をする人にとって、このロ短調ミサ曲とベートーヴェンの荘厳ミサは内容・規模からしても東西の横綱のようなものです。この両方を歌えると言うことはその合唱団の音楽的内容が充実していることを意味すると思います。)

ベルリンフィルも全員がノンヴィブラート奏法で曲の陰影を付け、またソロも各々素晴らしく、特にオーボエ・ダモーレのジョナサン・ケリー、トランペットのヴェレンツァイを初めとする3人、フルートのイェルカ・ウェーバー、コンサートマスターのブラウンシュタイン、そしてオルガンのラファエル・アルパーマン、ファゴットのシュテファン・シュヴァイゲルトらは日ごろバッハをやっている専門家のよう。

時折ノリントンは指揮するのをやめて聞き入っていたり、わざと顔だけで指揮していたり、勿論全曲暗譜での指揮は見ていても聴衆を飽きさせません。ただ惜しむらくは、その自由さ、躍動感とは逆の深遠さが犠牲になっていた感は否めず、私は複雑な心境。これだけの演奏をしておきながら、深遠さが聞えてこないなんて、なんてバッハ演奏は難しいのでしょうか!

     hakaru matsuoka

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2006年9月21日 (木)

クラウディオ アッバード指揮ベルリンフィルヨーロッパコンサート2002

松岡究です。今日も関さんから貸していただいたDVDからご紹介したいと思います。

   曲目  ベートーヴェン:エグモント序曲

        ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調

        ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」

   アンコール  ヴェルディ:「シチリアの夕べの祈り」序曲

         ヴァイオリン:ギル・シャハム

         指揮:クラウディオ・アッバード

このDVDはアッバードが癌を克服して2年くらい経ったときのものではないかと思います。(定かではありません)

癌から復帰した直後は、確か白髪になりやせこけていたと記憶していますが、このときにはすっかり健康を取り戻していたようです。最初のエグモントから彼の集中力は大変なもので、このコンサートが「多分うまく行ったのでしょう」オいうことが容易に見て取れます。

2曲目のシャハムの演奏はほぼ完璧な演奏で、こんなに完成度が高くまた燃焼度の高い演奏も聴いた記憶がないほどです。最初から最後までこの演奏にひきつけられてしまいました。演奏会でこれほどまでに完璧な演奏は奇跡的と言って良いかもしれません。

3曲目の「新世界」も大変興の乗った演奏で、この演奏を聴き、アッバードを見ていると、彼がなぜベルリンフィルの監督に抜擢されたかという理由あるいはアッバードの天才的指揮ぶりが良くわかるような気がします。

ベルリンフィルの団員もその霊感豊かな指揮に乗せられ素晴らしい演奏。団員も盛んにアッバードに拍手を送っていました。

アンコールのヴェルディにいたっては全く凄いの一言。彼は正真正銘のイタリア人でありました。

      hakaru matsuoka

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2006年9月17日 (日)

ドレスデン国立歌劇場管弦楽団演奏会

松岡究です。今日はベルリンの友人の関さんからお借りしたDVDを見ての感想です。

曲目  モーツァルト:レクイエムニ短調

    指揮:コリン・デーヴィス

すみません。歌い手の名前は忘れてしまいました。

この演奏会は2004年の2月14日にドレスデンの空爆で亡くなられた方たちを追悼するために行われました。ですから最初も最後も拍手はありません。

デーヴィスの指揮は老練さを加えたのか以前いろんなものを聴いた中では傑出の出来だったと思います。以前は評判が良い割には音が硬く、表情も一辺倒でどこが良い指揮者なのかと思っていました。しかし今回のこのレクイエムの演奏に関しては、人を寄せ付けぬほどの迫力と情熱、そしてあのベーム・ウィーンフィルの演奏に勝るとも劣らぬほどの壮大さで指揮していたのが大変以外でした。(すみません)

ソロの人たちもそれぞれに良かったのですが、特にソプラノの方の歌い方は誠実で気品があり、発声も無理がなく宗教曲にふさわしい声でした。

      hakaru matsuoka

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2006年9月14日 (木)

ベルリン ムジークフェスト バンベルク交響楽団演奏会

松岡究です。今日は朝から大変体調が悪く、このコンサートもどうしようか迷いましたが、行ってきました。

曲目   バートウィッスル:夜の影

      ブリテン:ヴァイオリン協奏曲

      R・シュトラウス:死と変容

     ヴァイオリン:ダニエル・ホープ

     指揮:ジョナサン・ノット

バートウィッスルはサーの称号も持つイギリスの作曲家です。勿論彼の曲を聴くのは初めてです。30分ほどのかなりの大曲。しかしその長さに対して曲はイメージ的な流れの楽想が多く取り留めのない感じ。

2曲目のブリテンの曲はホープが実に素晴らしいヴァイオリンを聴かせてくれました。ノットのバックも華麗でこの曲の持つコントラストを良く表現していたと思います。

最後のシュトラウスの作品も良くまとまった佳演。しかし彼はどちらかというと曲に没入せずいつも一定の距離を置いて指揮するタイプで、歌わせ方や主張のさせ方に少し不満が残ります。まだ若いというのが率直な感想でした。

    hakaru matsuoka

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2006年9月12日 (火)

ベルリンムジークフェスト アムステルダムコンセルトヘボウ管弦楽団演奏会

松岡究です。今日もベルリンは良い天気でした。気温もそんなに高くなく涼しい感じです。まだまだ日本は暑いんでしょうか?

曲目  ベートーヴェン:エグモント序曲

     ヘンツェ:夢の中のセバスティアン

     マーラー:交響曲第1番ニ長調「巨人」

    指揮:マリス・ヤンソンス

ヤンソンスは去年ベルリンフィルでシベリウスの2番を聴いた時に、なんか表面的な音楽が流れていて感心しませんでした。しかし今回は良かったです。今年のでしたっけ?ウィーンフィルのニューイヤーを振っているヤンソンスは実に素晴らしかったですね。以前から思っていたことですが、彼はエンターテイナーでその手のものをやるときに彼の手腕は発揮されるんだろうと思います。

今回の1曲目「エグモント」はやはり不満の残るものでした。彼が振ると緊張感という物がなくなると言うのか明るすぎると言うか、内面のドラマが聞えてきません。こういうものを振る人ではないのだと思います。

2曲目のヘンツェは実に巧みな棒さばきでオーケストラをリードしていました。

メインのマーラーは素敵な聴き易い演奏になりました。1楽章の第1主題の歌わせ方は、春のささやかな息吹を感じさせましたし、2楽章の冒頭は彼の持ち味である天真爛漫さが見事に調和して良かったです。しかし最終楽章の例の静謐なカンタービレの部分はまあこんなものかという感じでした。つまり彼のスタイルはやはりエンターテイナーであり天性の明るさにあるということを改めて感じました。マーラー特有の粘りはほとんどなく自然に音楽が流れていくといった感じでもあります。

人間的にもとても良い人なんじゃないかなと思います。オケとも大変うまく言っているように思えましたし、やはりあまりいない才能の持ち主なんだと思います。

    hakaru matsuoka

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2006年9月 9日 (土)

ベルリン ムジークフェスト クリーブランド管弦楽団演奏会

松岡究です。演奏会でたまに不幸な目に会うことがあります。それは第一には演奏がよくないときですが、それよりももっと深刻なことが時々起こります。今日はそうでした。

私の隣に中年のカップルが座ったのですが、男性のほうが物凄く酒臭いんです。1曲目が終わる頃には匂いで鼻が痛くなってきました。ベルリンでこういうことにあったのは初めてです。昔ブダペストに留学していた時はしょっちゅうでした。特に女性がこれでもかというくらい香水をつけて前の席にでも座られたらもう大変。音楽を聴くどころの騒ぎではなくなります。演奏は聴きたいけど、早く逃げ出して新鮮な空気が吸いたい。この葛藤の時間と化してしまいます。そして我慢していると本当に吐き気を催したりします。皆さんも気をつけてください。

今日は1曲目が終わった時点で逃げ出して2ランク上の席で聴いてきました。

曲目    モーツァルト:交響曲第38番ニ長調「プラハ」

       カイヤ・サーリアホ:オリオン

       ドビュッシー:交響詩「海」

  アンコール  J・シュトラウス:「こうもり」序曲

  指揮:フランツ・ウェルザー・メスト

とても素敵な演奏会でした。まずメストの指揮が颯爽として自然で奇を衒わず素晴らしい。それにクリーブランド管弦楽団が実に柔らかい品のある音を出していて、各奏者も音楽に無理のない気品のある音を持った腕利きばかり。

まずモーツァルトですが、柔らかく颯爽とした音楽が一貫して流れる中、例えば第2楽章の中間部ではメストはどんどんオーケストラをドライブして緊張感を高めていくんです。オペラ指揮者ならではの内在したドラマの描きっぷりに鳥肌が立ちました。こういった表現は普通のコンサート指揮者では決して聴きえない音楽つくりだと思います。

休憩を挟んで2曲目はフィンランドの女性作曲家サーリアホ(ドイツ人はザーリアホといっています)のオリオン。勿論あのオリオンを題材にその印象で音楽を綴ったもの。彼女は今欧米ではかなりの売れっ子で、意欲的な作品を次々と発表しているようです。ただ単に星の印象を綴っていくだけではなく、その神秘性は勿論のこと、ダイナミックな動き、ひょっとしたら衝突・爆発等のドラマまでを飽きさせることなく聴かせる力は相当な物だと思いました。

ドビュッシーは一般的なテンポよりもかなり速めのテンポ感で音楽を進めていくので、もっと歌ってほしい、もっと粘ってほしいというような気持ちが湧いてきます。どちらかというとあっさりした表現。しかし盛り上げるところは盛り上げ、コンサートを成功に導いていました。

アンコールに「こうもり」序曲、これが今日の白眉!オペラ指揮者の面目躍如。こんな胸の空くような序曲の演奏、クライバー以来聴いてないです。この演奏を聴きながらそのクライバーを重ね合わせて聴いていたのは僕だけでしょうか?それくらいツボに嵌った自由自在な表現は観客を興奮させるのに充分でした。儲けもん!!!

   hakaru matsuoka

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2006年9月 6日 (水)

ベルリン国立歌劇場管弦楽団定期

松岡究です。今日のコンサートに予定されていたマルタ・アルゲリッチが案の定キャンセルになってしまいました。代わってバレンボイムがピアノも担当。やっぱりちょっとがっかりしました。このコンサートは明日も今度は会場をフィルハーモニーに移して、ベルリンムジークフェストの一環として行われます。(今日はちなみにコンツェルトハウスでした)

曲目   R・シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」

      ブーレーズ:ノタシオン(演奏順に)1・3・4・7・2番

      モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番イ長調Kv488

      ブラームス:交響曲第4番ホ短調作品98

      指揮・ピアノ:ダニエル・バレンボイム

以上の長大なプログラム。午後8時に始まって終わったのが10時45分でした。一言で言うと今日の演奏会が今回の5回の演奏会で一番満たされませんでした。

まず「ドン・ファン」。いつものように大きな構えから豪壮に繰り広げようとするバレンボイムの音楽は納得がいきます。しかしでてくる音は大雑把そのもので、雑然とした音にはシュトラウスの艶やかさや絢爛たる響きは一度も聴かれませんでした。

ブーレーズの作品は昨日聴いたバッハ/ウェーベルンやピンチャーの作品に比べると大変理知的で考えられた作品。バレンボイムが悪いのか作品にその世界がないのか、全く左脳の世界を脱し得なかった感じです。ただ演奏としては成功していたのではないかとおもいます。

やはり舞台の設定に時間がかかり長い25分の休憩の後、バレンボイムの弾き振りでKv.488が演奏されました。これが今日の白眉で、特に第2楽章のあの何ともいえぬ叙情大変美しかったですね。そのコントラストとして第3楽章の生き生きとした表情も良かったと思います。

またまた舞台転換の為20分休憩後のブラームスもシュトラウスと同じで、オケはどこの田舎のオケなんだと思ってしまうくらい音が雑で音楽の作りも大雑把。おまけに第4楽章ではクラリネットやホルンが行方不明になったりとかなり危ない場面も。

これだけの長大なプログラムをどうしてやらなければいけなかったのでしょうか?シュトラウスかブーレーズのどちらかを外した方が良かったのでは。総じてリハーサルの時間が足らないのが露呈された格好でした。今日は明日のためのゲネプロだったのかも!

オペラのオーケストラは、例えばこの前コーミッシェオパーのオケもベートーヴェンの「エロイカ」は初めてだという楽員が大半でした。ずっとオペラのオーケストラで定年まで勤めたとしてもフィガロやこうもりは何百回も引くでしょうが、エロイカやブラームスは一生に1・2度しか弾かないということも珍しくないのです。

今日の演奏会はそんなことも考えさせられました。

          hakaru matsuoka

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2006年9月 5日 (火)

ベルリンムジークフェスト マーラーチェンバーオーケストラ演奏会

松岡究です。ヨーロッパでは通常コンサートは夜の8時からというのが定着しています。私はいつも10分前くらいに会場入りします。今日はポツダマープラッツからフィルハーモニーの方向に綺麗な夕焼けが見えました。日の入りが大体この時間のようです。

曲目  バッハ/ウェーベルン:リチェルカーレ

     マティアス・ピンチャー:トランジール

     シューベルト:交響曲第8番ハ長調

     フルート:エマニュエル・パユ

     指揮:ダニエル・ハーディング

ハーディングをやっと聴くことが出来ました。やはり彼は聞きしに勝る天才でした。

まず1曲目のリチェルカーレ。彼の指揮でこの曲を聴くと、「ウェーベルンはこんな世界を、宇宙を持っているんだ」ということが手に取るように良くわかるんです。勿論バッハの世界があればこそですが、この10分弱の小品に、それも編曲でこれだけの宇宙を描ききるウェーベルンは凄い人だということが初めてわかった気がしました。なるほどこういった世界に持ち主であるからこそ、彼の作品は演奏時間の短い作品が多く、それでいて彼の宇宙を語りつくしているのではと、ハーディングの演奏を聞きながら思った次第です。というか彼がそう気付かせてくれました。感謝!!

2曲目のピンチャーの曲、1日にやはりフィラデルフィア管弦楽団で別の作品を聴きましたが(9月2日付け参照)、今回の作品は題名が示すとおり「時空を超えてどこかにトランスしてしまう」というのがテーマのようです。私には大変日本的音とリズムが多用されているように聞えました。フルートで奏される尺八の音色に虚無感を感じ、また鼓の音も聞えてきます。そして拍子木的不確定のリズムも。西洋人にとってこのような音は異次元の音なんでしょう。(その昔、N響が初の世界旅行をやったときに外山雄三さんの「ラプソディー」を聴いたかの伝説の巨匠チェリビダッケが「打楽器は世界一」といったそうです。素麻里それまで西洋には拍子木のリズム見たいに楽譜に書き表せないリズムは存在しなかった。それをいとも簡単にやってのけた日本の打楽器奏者に驚いてしまったわけですね。)我々日本人にとってはどうなんでしょうか。パユのフルートは圧巻でした。

最後のシューベルト。前のステージで色々な物が出されていたのでそれを片付けてオーソドックスな編成にするのに時間がかかり何と35分近い休憩時間。それもそのはず、一人で舞台作りやってるんですもの。学生くらい雇えないのかなあ。それともこの悠長さが良いのでしょうか。

オーケストラはトランペットとティンパニが古楽器でしたが、弦楽器はノンヴィブラート奏法を当たり前ですがやっていました。ここでもハーディングの非凡さが遺憾なく発揮されていました。こんなに抑揚の激しいシューベルトははじめて聴きましたし、特に第2楽章の第2主題が「このような表情を持っていたなんて!」というくらい素晴らしい歌わせ方。彼の曲を読み取る力は並大抵の物ではありませんね。天才とはこういう人のことを言うのでしょう。

       hakaru matsuoka

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2006年9月 4日 (月)

ベルリン ムジークフェスト バーミンガム市交響楽団演奏会

松岡究です。そういえば昨日のコンサートで一組の夫婦がかなり遅く入ってきたものだから、ヤノフスキがその夫婦が席に着くまで演奏を始めなかったんです。その夫婦がやっと席に着いたとき会場がどっと沸いて笑い声が。日本なら「良い年した夫婦がなんにやってるんだ」と呆れられるのが関の山でしょうけど、こちらは全く違うんですよね。何だかカルチャーショックでした。

曲目   エルガー:ゲロンティウスの夢

   ソプラノ:ジェーン・アーウィン

   テノール:ジャスティン・ラヴェンダー

   バス:ピーター・ローズ(予定されていたジョン・トムリンソンの代役)

   合唱:バーミンガム市シンフォニー合唱団

   指揮:サカリ・オラモ

初めて聴く曲でしたが、何と素晴らしい美しい曲なんでしょうか。エルガーといえば「エニグマ」の変奏曲や交響曲第1・2番は私の大好きな曲ですが、(一般には「愛の挨拶」の作曲者として有名でしょうか?)オラトリオがこんなに素晴らしいなんて思っても見ませんでした。演奏も素晴らしく「名演」といっても差し支えないと思います。

まずコーラスが素晴らしい。110名ほどの大合唱でしたが、全く濁りがないんです。それは一人一人がピアニッシモからフォルティッシモまでノンヴィブラートで歌うことに徹しているからだと見ました。素晴らしいダイナミックレンジと透明な響きを全く失わないその唱法は見習うべきところ大でした。(合唱指揮は、ベルリンの放送合唱団の指揮者でもあるサイモン・ハーシー)その音色は例えばベルリン放送に比べると明るく、響きは少し浅めに聞えます。それは英語にも因ると思いますが伝統なのでしょう。特にテノールの声はイギリス独特の響きだと思います。

ソリストは少し難点があります。まずテノールのラヴェンダー。ほとんど最初から最後まで歌わなくてはならないこの曲を良くこなしていましたが、声のキャパシティーが狭く、中声域のピアノは美しいのですが高音域になると途端に声が開き気味になって詰まった感じになってしまいます。ソプラノのアーウィンももう一息、声が集まらない感じでした。ただバスのローズは押し出しの良い朗々とした声で楽しませてくれました。声の集まらない人はどうやらヴィブラートが強い傾向があるように思います。

指揮のオラモも素晴らしかった。曲の隅々まで神経を行き渡らせ、聴かせどころではオーケストラを存分に鳴らし、休憩無しの90分を全く退屈させずに聴かせた手腕はたいした物です。6月にベルリンフィルに客演した時は少々オケになめられている感があり、音楽が表面的に流れるだけになっていたのですが、今回は手兵のバーミンガムを率いての公演。大成功だったのではないでしょうか。

ただ残念なのは、聴衆が半分にも満たないくらいだったのが残念です。ベルリンの聴衆もこういっためったに演奏されない作品にはあまり興味を示さないのですね。

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2006年9月 3日 (日)

ベルリンムジークフェスト ベルリン放送交響楽団演奏会

松岡究です。昨日の拍手のことは10秒以上静寂が続いたことをお知らせしましたが、そういえば私も一度経験がありました。2005年浜松交響楽団とマーラーの交響曲第9番をやったときに、浜松のお客様もその余韻を充分に味わっていたのを思い出しました。

曲目  エンリー・デュティーユ:メタボール

     メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調

     シューマン:交響曲第4番ニ短調

    ヴァイオリン:レオニダス・カヴァコス

    指揮:マレク・ヤノフスキ

ヤノフスキは意欲満々。まず協奏曲以外は暗譜。そしてデュティーユからシューマンに至るまでかなり音楽がエキサイティングでした。したがってテンポもかなり速いところが多く、かつかなり考えられた仕掛けが沢山してあって、今日来たお客さんはかなり楽しめたのではないかなと思います。

今までの印象は腕の良い職人という感が強かったのですが、今日は違う一面を見た気がしました。

カヴァコスは聞くのは2度目ですが、今回も堂々とした弾きっぷりで観客をひきつけて放しませんでした。ヤノフスキの方がどちらかというとエキセントリックで、時折カヴァコスがオーケストラを追っかける感無きにしも非ずで、こういった手垢のついた作品にはこのようなことも必要かもしれません。

面白かったのが、アンコールでカヴァコスはイザイの無伴奏ソナタを弾いたのですが、途中で弦が切れてしまい、コンサートマスターの楽器を借りてもう一度最初から弾きなおしたのです。何と音量は3分の2くらいになり、音色もひなびた感じになり、またカヴァコスの楽器では極限のピアニッシモがちゃんと弾けるのに借りた楽器では、フラジオ(音をわざと浮かせる奏法)のような音になってしまうことでした。やはり一流の奏者は一流の楽器を使っているのだなと改めて思い知らされました。いや~勉強になりました。

     hakaru matsuoka

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2006年9月 2日 (土)

ベルリンムジークフェスト フィラデルフィア管弦楽団演奏会

松岡究です。昨日はフィルハーモニーで三島由紀夫の「午後の曳航」のオペラ公演(演奏会形式)があったそうです。私の友人でこちらで大活躍の小森輝彦さんが出ていらっしゃったそうです。公演は大成功だったようです。

今日からベルリンムジークフェストが始まりました。トップバッターはフィラデルフィア管弦楽団。

曲目   マティアス ピンチャー:エロディアーデの断章

      グスタフ マーラー:交響曲「大地の歌」

  ソプラノ(1曲目) マリソル・モンタルヴォ

  メゾソプラノ 藤村美穂子

  テノール ニコライ・シュコフ

  指揮 クリストフ・エッシェンバッハ

1曲目の30分を要するこの作品をモンタルヴォは何と暗譜で歌っていました。彼女は多分絶対音を持っているようで全く音程を外すことなく、また線の細い美しい声でヘロディアス(こういったほうがピンと来るでしょう)のエロティシズムとロマンを劇的にy対こなしていました。オーケストラも名手ぞろいのようで、音を外すような不安定さは微塵もなく、絶妙なピアニッシモまでいとも容易く表現できるテクニックを持っています。

後半の「大地の歌」では日本の藤村美穂子さんが素晴らしい歌唱を聞かせてくれました。この交響曲はなんと言ってもテノールよりメゾソプラノの出来が曲の出来を大きく左右します。彼女の歌は全く無理のない発声で豊かに歌を紡ぎ出していきます。知的な裏打ちの中に深い叙情を秘めた今日の歌は大成功でした。テノールのシュコフは最初声の伸びも鳴りも悪く、全く何を歌っているのかわからない状況でしたが体が温まってきてからはやっと聞えるようになりました。上の声が所謂喉声で、色が全く一緒になってしまい藤村さんの歌に比べるとかなり開きがありました。

指揮のエッシェンバッハは大変丁寧な音楽作りで、両曲とも響きの透明性を追及した演奏でした。フィラデルフィア管弦楽団はドイツのオーケストラに比べるとかなり音色が明るく、ともすると薄っぺらい印象をまぬかれないと思いましたが、どうしてどうして素晴らしい演奏になりました。曲が終わって10秒以上の沈黙がフィルハーモニーを支配していました。やはり拍手はこうでなければいけないですよね。聴衆の成熟度を痛切に感じました。

      hakaru matsuoka

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2006年8月26日 (土)

アジアユースオーケストラ演奏会

松岡究です。今日は合唱団アレス・クラーの代表の小針智子さんのご招待で、アジアユースオーケストラの演奏会を聞かせていただきました。

曲目  モーツァルト:交響曲第25番ト短調Kv.183

     モーツァルト:コンサートアリア Ruhe sanft ・・・ Kv.344/336a

                             コンサートアリア Ah, Io previdi ・・・ Kv.272

     マーラー:交響曲第4番ト長調

ソプラノ   イダ・フォーク・ウィンランド

指揮     オッコ・カム

このオーケストラは毎年夏にアジアの音楽学生を集めてアジアの色々な都市を回りながらプレイヤーとしての腕を磨く、世界各地で行われている音楽セミナーの一つです。東京での25日と26日の演奏会がこのオーケストラのフィナーレに当たる演奏会だそうです。

管楽器はほとんどミスなく吹いており、技術としてのれなる派かなり高いと思われました。しかし弦楽器は前の方に座っている奏者と後ろにいる奏者の間にかなり差があるようで、さすがに縦のアンサンブルは整っているものの音楽を感ずるにはいささか難点があったように思いました。

PやPPに対する配慮がほとんどなく弾きたい・吹きたい盛りなのでしょうか?交響曲2曲ともその音楽の持つ深遠さ・美しさを表現するには少し距離があったようです。指揮のオッコ・カムもそういうところを彼らに教育してほしかったですね。

しかしながら今日の大収穫はソプラノのウィンランドが素晴らしかったことです。今年若干24歳ながら、発声のテクニックはほぼ完璧で、自然なその発声から聞えてくる初々しい音楽はとても新鮮でチャーミングでした。若い時はともすると自分の声に頼り、またテクニックがなくても声が出てしまうばかりに、若い時に発声のテクニックをおろそかにする声楽家は数多くいます。そういう人は30歳を越えたあたりから徐々に壁にぶつかり40歳の時には既に歌手としての生命を終えてしまう人がかなりいる中、この年齢でこれほどのテクニックとコントロール術を身につけた人は稀有でしょう。そのまま世界的な歌手へ是非育っていってほしいものです。

       hakaru matsuoka

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2006年8月20日 (日)

ラター フォーレのレクイエム演奏会終わりました

松岡究です。本日ラター並びにフォーレのレクイエムの演奏会終了いたしました。お出かけ下さった皆様有難うございました。

今日演奏会にいらしてくださった方!是非感想を投稿していただけないでしょうか。良いも悪いも私にとって大変ありがたいことでなのです。私の勉強の為にお感じになったことを忌憚なくお知らせいただけたら大変幸いです。

       hakaru matsuoka

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2006年8月18日 (金)

フォーレとラターのレクイエム

松岡究です。今日は私が指揮するコンサートのお知らせです。

8月20日(日)中野ZERO大ホール 午後2時開演

曲目  ジョン・ラター:レクイエム

     ガブリエル・フォーレ:レクイエム

合唱  合唱団ZERO

管弦楽  コレギウム・ムジクムin ZERO

ソプラノ   松尾香世子

バリトン   浦野智行

指揮  松岡究

当日は私が少々話もします。

皆さんのお越しをお待ち申し上げております。

       hakaru matsuoka

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2006年7月27日 (木)

小澤征爾音楽塾 マーラー「復活」

松岡究です。今日はNTTの西尾さんのご好意により急遽小澤さんの演奏会を聴くことが出来ました。

曲目   マーラー:交響曲第2番「復活」

ソプラノ:松田奈緒美

アルト:ナタリー・シュトゥッツマン

管弦楽・合唱:小澤征爾音楽塾

指揮:小澤征爾

すばらしい演奏会でした。この東京の公演が最終回と言うことでしたが、いろんな悪い噂(オーディションの時は良かったけれど、いざ合奏してみるとアンサンブル能力が極端に悪い等)もなんのその!大変まとまりのある合奏と音楽で楽しませてもらいました。

まず小澤さんが素晴らしい。完全にこの「復活」は手の内に入っているのでしょう。じっくりと音楽に取り組んで、この若いオーケストラから充実した音楽を引き出していました。また特にナタリー・シュトゥッツマンの歌唱がやはり素晴らしく、声の良さもさることながら、音楽が素晴らしいと思いました。

合唱(宮松重紀指揮)もドイツ語の発音が多少気になった以外は素晴らしい合唱でした。数えたわけではないのですが、100名前後の人数だったと思います。やはり合唱は人数ではなく響きだとここでも納得させられました。

      hakaru matsuoka

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2006年6月28日 (水)

レナート・パルンボ指揮「エルナーニ」ベルリンドイツオペラ

松岡究です。ベルリンドイツオペラが5月の初めに休館に入り改装している間、ベルリンドイツオペラは色々と演奏旅行に行っていたようです。そして今日久しぶりにベルリンでの公演。場所はフィルハーモニーを借りての演奏会形式の公演でした。指揮は次期の音楽監督に決定しているレナート・パルンボ。ドイツオペラの今後を占う上でも今日の公演は楽しみにしていた公演のうちの一つでした。

演目   ヴェルディ 「エルナーニ」

エルナーニ:サルヴァトーレ・リチートラ

ドン・カルロ:ラド・アタネーリ

ドン・ルイ・ゴメツ:ジャコモ・プレスティア

エルヴィーラ:シルヴィー・ヴァレイレ 他3名

指揮:レナート・パルンボ

総じて良い公演でした。パルンボはこの珍しいオペラを実に良く研究していて、歌手・オケ・合唱に的確に指示を与え、あまり目立ったメロディーを持っていない地味な曲を面白く聞かせてくれました。またその指揮スタイルが飛んだり跳ねたりするので、アンサンブルがやりづらいと思われる反面、音とリズムに明るさがでて、この次期のヴェルディの作品の脆弱さをよくカヴァーしていたと思います。

歌手は上記の男声3人がとても充実していてヴェルディの声にふさわしく、大きな拍手とブラボーを受けていました。特にルチータとアタネーリは「これぞイタリアの声」と言わんばかりの絶唱!

反面女声の主役のヴァレイレはこの3人に比べるとかなり聴き劣りがしました。発声が地声そのもので、母音によって響きが違って不安定になり、かなり叫んでいたという感じ。この重要な演目に、女声の主役に彼女クラスの人しか用意できないところに、いまのドイツオペラの危機、あるいは問題があるのでしょう。彼女なんかよりずっとうまい日本人歌手は何人もいます。

パルンボは9月からドイツオペラの音楽監督ですが、ほとんどイタリア物しか指揮しない彼が、例えばウェーバーの「魔弾の射手」をプレミエに出したり、ワグナーのリングを演目に入れたりと(指揮はランニクルズ)、かなりドイツオペラを意識しているのは明らかです。今日を聴く限り、期待して良いのではないかと思いました。

   hakaru matsuoka

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2006年6月26日 (月)

キリル・ぺトレンコ指揮ベルリン・コーミッシェオパー管録音風景

松岡究です。

ペトレンコとコーミッシェオパー管がヨゼフ・スークの序曲と交響曲を録音しました。実は2年ほど前、私がまだベルリンに来る以前にこのコンビでやはりスークのもう一つの交響曲「アスライル」を録音しており、今回「Lebensreife」(人生の成熟)を録音することで、スークの交響曲全集が完結すると言うわけなんだそうです。

ずっと練習から5日間立ち会ってきましたが、初めは何と複雑な難しい曲だろうと思っていたのですが、今日オパーの会場(録音会場でもあります)で聴いてみると、先輩達(特にドボルザークやスメタナ)が残したスラブの香りをたたえた芳醇な音楽に仕上がっていました。今日夜にこの曲で演奏会をやってそちらの方も録音するそうです。ペトレンコはライブの方が良い指揮者ですから、多分ライブの録音を基本に、もし傷ができた時には少し切り張りするのかもしれません。

いずれにしても発売が待たれます。

       hakaru matsuoka

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2006年6月25日 (日)

ミヒャエル・ギーレン指揮ベルリン交響楽団演奏会

松岡究です。今日は17時からドイツとスウェーデンのサッカーの試合があった関係で、どこへ行っても大声で叫んでいる輩や、地下鉄内でドアを蹴っ飛ばしたりしているお方?等ちょっと日本人の私にはついていけませ~ん。

そのせいだったんでしょうか、今日の演奏会は5割強の入り。皆応援し疲れてコンサートはキャンセルしてしまったのかなあ?

曲目   ヤナーチェック:笑いのダンス

      スクリャービン:ピアノ協奏曲 ピアノ:ダニエラ・フリンコヴァー

      メンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」

      指揮:ミヒャエル・ギーレン

一曲目のヤナーチェックの作品は全部で6曲からなる作品。どこかあのドヴォルザークのスラブダンスに似ていて、それをもう少し田舎臭くした感じの明るい曲ばかり。演奏はなんてことはない感じで、「ふ~ん」で終わってしまいました。

2曲目のスクリャービン。これは今日の見っけもん!恥ずかしながら今日聴くのが初めて。その作風はどの楽章にも甘美なメロディーがあり、ショパンとラフマニノフを足して2で割ったような耽美的な作品。「意外といけるなあ」と言うのが私の感想。しかしもっとロマンティックにピアノも指揮も歌ってほしかったです。ピアノは?と言うような感じ。全く音は聞えて来ないし、繊細なピアノがあるわけでもないし、超絶技巧があるわけでもないし、ごく普通のありふれたピアニスト。

3曲目のメンデルスゾーン。さすがにこれは良い演奏でした。ギーレンは私の好きなタイプでは全くないのですが、彼の良いところが今日はよく出ていました。つまりテンポがだれることなく音楽に推進力があり、きりっとした面持ちのすっきりした演奏になっていました。盛り上げるところもしたたかで、かといって過剰にならず、この曲の持つ難しさをうまく回避していてさすがでした。この人に決定的に欠けているのは、アトモスフェアでしょうね。別の言葉で言うとそっけない、とでも言うのでしょうか。でも腕は超一流。これは素直に認めます。

今月は3週続けてベルリン交響楽団を聴いてきましたが、今日の演奏が一番質は高かったと思います。

    hakaru matsuoka

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2006年6月24日 (土)

サイモン・ラトル指揮ベルリンフィルハーモに管弦楽団 ワグナー「ラインの黄金」

松岡究です。

今日は午前中にぺトレンコとコーミッシェオパー管のレコーディングに顔を出して(後日その模様は書こうと思います)、そして夜はベルリンフィルとラトルのワグナーを聴くというハードスケジュール。

曲目   ワグナー:「ラインの黄金」~ニーベルンクの指輪 序夜

  ヴォータン:サー・ウィリアード・W・ホワイト

  ドナー:デートレフ・ロート

  フロー:ヨゼフ・カイザー

  ローゲ:ロベルト・ガンビル

  アルベリヒ:デイル・デュシング

  ミーメ:ブルクハルト・ウルリッヒ

  ファソルト:エフゲニー・二キチン

  ファフナー:アルフレード:ライター

  フリッカ:リリー・パーシキヴィ

  フライア:ミライル:デルンシュ

  エルダ:アンナ・ラルセン

  ヴォークリンデ:サラ・フォックス

  ヴェルグリンデ:ヴィクトリア・シモンズ

  フロッシルデ:エカテリーナ・グバノヴァ

  指揮:サー・サイモン・ラトル

午後7時に始まって、勿論ノンストップで9時45分までの3時間弱を堪能しました。ラトルの音楽は大変引き締まった豊かな流れの音楽。響きは相変わらずシンフォニックでベルリンフィルの雄弁さがひときわ引き立つゴージャスな贅沢な音。歌手達の好演によるところも大きく、特にヴォータンのホワイト、アルベリヒのデュシング、ローゲのガンビルあたりは素晴らしい演技と歌唱で楽しませてくれました。ただ惜しいのが、第一場の3人の乙女達が他の歌手達よりスケールが小さく、最初は拍子抜けというか3時間近く持つかな?(聞いている自分が)と少々不安に。

私は全くの非ワグネリアン。ワグナーを愛好する方が当たり前のように知っていることも知らないのですが、やはり演奏会形式で舞台だけがオーケストラの後方に設置され、衣装も装置も何もないところで聴くのは少々骨が折れます。

しかし歌手を初めラトル、オケ全員がこのラインの黄金を知り尽くしているかのごとく感じられるような、堂々とした音楽表現が印象的でした。

フィルハーモニーには何度も足を運んでいますが、こんな嵐のような!拍手は聞いたことがありません。それほど聴衆にとっても大きな感動を読んだ公演だったのだと思います。

1日のブラームスの4番といい今回のワグナーといい、ラトルは昨年にもまして充実したそれこそ「黄金」期を迎えつつあるのではないでしょうか。

    hakaru matsuoka

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2006年6月22日 (木)

今日は難しい!ハンス・ウェルナー・ヘンツェ80歳記念演奏会

今日はコーミッシェオパーの「椿姫」にしようか、ベルリン放送交響楽団にしようか迷いましたが、椿姫はもう一回28日にあるので、ベルリン放送交響楽団の演奏会に行ってきました。実は内心千載一遇の機会だと思っていました。ただヘンツェということもあって、少々足取りは重かったのですが。前売りは30ユーロから15ユーロ。当日は30ユーロの席が10ユーロでした。その意味ではラッキー!!!

曲目:オール ハンス・ウェルナー・ヘンツェ作品

  インゲボルグ・バッハマンの詩によるソプラノと大オーケストラのための夜の小品とアリア

  ヴァイオリンとオーケストラのための協奏曲第3番  トーマス・マンの小説「ファウストゥス博士」に基づく3つのポートレート

  交響曲第8番

  ソプラノ:クラウディア・バラインスキー

  ヴァイオリン:ダニエル・ホープ

  指揮:マレク・ヤノフスキ

千載一遇のチャンスではあったんですが、はっきり言ってこのような演奏会には行きたくないです。

一曲目はソプラノのバラインスキーがとても節度のあるコントロールで歌っており、さすがはいろんな現代曲を初演してきた実力者だと思いました。音程は正確で発声も無理がなく透き通った声です。

2曲目はホープがこれまた素晴らしい。プロフィールに「ワイル、シュニトケ、武満、・・・の作品に関して彼に任せておけばなんら心配ない」ということが書いてありました。全くその通りで、ほぼ完璧にこの曲を弾ききったのではないでしょうか。

3曲目は小沢征爾さんがボストンで初演した作品。日本でも広告だけ見た覚えがありますが、確か差し替えになったんじゃなかったかな。30分弱の作品でした。

総じてヤノフスキは大変的確に高度な職人技でこの3作品を振ってのけました。ただ私の聴いた感じでは、もっと魂の叫びだとか痛みだとかそういった部分がすっと美しく通り過ぎてしまっているような気がして、とても整った演奏なんですが一種のつまらなさを感じたまま演奏会は終わってしまいました。

現代音楽の演奏会の常だと思いますが、こういった交響楽団での定期でこのようなプログラミングをすると、途中で席を立つ人や全く拍手をしない人がかなりいます。そして休憩後には2割以上の方が帰られた様で、かなり空席が目立ちました。

それにしてもこのようなドイツ魂の音楽を聴くと疲れます!シェーンベルクやベルクばかり聴いた後もこのような感じになることが多いですね。

現代音楽とは何でしょうか?私にはその答えはまだ出せません。

   hakaru matsuoka

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2006年6月19日 (月)

スティーブン・スローン指揮ベルリン交響楽団演奏会

松岡究です。一昨日のあの雹交じりの夕立以来気温が急降下。昨日は最高が18度しかありませんでした。が今日はまた25度前後まで上がり爽やかな一日。明日からまた30度を超える予報です。

今日は午後4時からのコンサート

曲目 ペーター・ルツィッカ:ピアノと42人の弦楽器奏者のためのシューマンへの4つの断章「接近と沈黙」

    モーツアルト:クラリネット協奏曲(ヨハン・アンドレによるヴィオラへの編曲版)

    シューマン:交響曲第1番「春」

   ピアノ:ウラディミール・ストウペル

   ヴィオラ:タベア・ツィンマーマン

   指揮:スティーブン・スローン

1曲目の曲はピアノがシューマンの「クライスレリアーナ」や「子供の情景」などを弾く外側で、弦楽器が所謂わけのわからないことをやると言う趣向。曲の始めも終わりも私には弦楽器奏者が弾くまねをして指揮者が振るまねをする、つまり心の耳で聴くと言う様な言わばシュトックハウゼン調の音楽だったように思います。終わると会場からため息とも落胆とも取れるようなどよめきが起こりました。当然拍手はまばら。聴衆に若い人が少なくご年配の方が多かったことも原因かな。ピアニストも指揮者もカーテンコールなしに終わってしまいました。

2曲目はモーツァルトのクラリネット協奏曲をヴィオラ用に編曲されたもの。ツィンマーマンは初めて聴きましたが、素晴らしいヴィオリスト。つややかで滑らかな音色が持ち味で、音楽によどみがなく、聴いていてとても爽やか。この協奏曲をヴィオラで聴いても面白いと思いました。しかし弱音になるとやはりオリジナルの方が深みは出るんじゃないかなあ、と思います。

後半はまず1週間前の月曜になくなったリゲティを偲んで、ツィンマーマンに献呈されたヴィオラソナタの1楽章が演奏されました。そのあとシューマンの交響曲第1番。

決して悪くはない演奏なのですが、シューマンて言うのは何と難しい作曲家だろうと改めて思いました。オーケストラが弾きすぎるとダメなんです。「うるさいなあ」と思うことがしばしばあり。テンポをじっくりと落としても如何ともしがたい何かが聞こえてこないんですね。

アラン・ギルバートが3月にベルリンフィルを振った時も、音楽が「ハッピー!ピース!」みたいになってしまってどうにもならなかったのを良く覚えています。

シューマンはモーツァルトやショスタコーヴィッチの影に隠れてしまってるんですが、今年没後150年なんですね。今日はそのこともプログラムとして意識されてたんでしょう。

   hakaru matsuoka

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2006年6月17日 (土)

祝100記事達成  ベルリンの聴衆に愛されたケント・ナガノ指揮ベルリンドイツ交響楽団演奏会

松岡究です。今日で100記事目になりました。有難うございました。

今日も日中は暑く連日30度を優に超える気温です。WMもたけなわで、どこへ行ってもサポーターだらけ。街中を大声で国旗を持ってはしゃぎまわる若者がたくさんいます。

20時からのコンサートのちょうど30分前、いきなり雷が鳴り出し雹が降ってきて大雨。慌ててソニーセンターに非難し、20分ほどして小康状態なったときにバスに乗り込んで200メートル先のフィルハーモニーへ。何とか開演時間に間に合いました。

曲目;ベートーヴェン  荘厳ミサ曲

   ソプラノ:アンネ・シュヴァーネヴィルムス

   アルト:マリー・ニコレ・レミュー

   テノール:クラウス・フローリアン・フォークト

   バス:ギュンター・クロイスベック

   合唱:ベルリン放送合唱団  合唱指揮:サイモン・ハルセイ

   指揮:ケント・ナガノ

曲が終わって5秒ほどの沈黙のうちに拍手が起こります。それから15分間拍手は鳴り止まず、何度も舞台に出てくるナガノ。おしまいはスタンディングオベイションになりました。オーケストラのシェフとして6年間その職責を果たしてきたナガノにオーケストラから感謝状と花束が手渡されました。

以前にも書きましたが、彼は「無」と言う物をオーケストラに持ち込んだある意味では真に日本的な男だと思います。思い返すと、彼の演奏会は必ず各楽章の始まる前に会場は水を打ったような静けさが支配するんです。そして徐に音楽が奏でられる。こういった「間」があることは他の指揮者ではほとんどありません。彼の演奏会のみなんです。なんとなくがやがやした中で音楽が始まることが多いのがベルリンの演奏会の特徴と行っても良いくらいです。その中でこういったとても基本的ともいえる空間をいつも作り出していたケント・ナガノは、本当に聴衆にも楽員にも愛されていたことがよくわかりました。

今日の演奏もご多分に漏れず各曲間に長い集中時間があり、それがこのミサ曲の持っている所謂荘厳さとあいまって、とても聴き応えのある演奏でした。勿論大変な難曲なのでオケやソリストに傷が多かったのは残念なことでしたが。切り口はとてもスマートなんですが、じっくりと落ち着いたたたずまいはこの曲にふさわしい演奏でした。そんな彼はやはり日本にはなかなか寄り付かないでしょう。(私の言わんとしている事はもうお分かりでしょう。多分何度かの来日で、大分懲りてるんじゃないかなあ。)

プログラムに「カリフォルニア生まれの指揮者がバイエルン国立歌劇場とモントリオール交響楽団の主席指揮者になる。」と書いてありました。やはり画期的な出来事なのでしょう。

     hakaru matsuoka

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2006年6月12日 (月)

セバスチャン・ヴァイグル指揮ベルリン交響楽団演奏会

松岡究です。ベルリンはやっと夏になった感があります。この3・4日ほど最高が25度くらいになり、天気も安定してきているんですね。きょうも地下鉄で隣がイランの国旗をほっぺにペインティングしているサポーターに遭遇。ドイツ全体がワールドカップ一色。

曲目:ハンス・ロット  「ジュリアス・シーザー」前奏曲

   ベートーヴェン  ピアノ協奏曲第2番  ソロ:マルティン・ヘルムヒェン

   ハンス・ロット  交響曲第1番ホ長調

   指揮:セバスチャン・ヴァイグル

ハンス・ロットと言う作曲家は皆さんはほとんどご存じないと思います。1858年生まれ、26歳という若さでこの世を去った作曲家です。マーラーは彼から大きな影響を受けたらしく、実際交響曲ではマーラーが見習ったであろう作曲法の類似点がいくつも聞こえてきます。

今回の2曲のロットの作品をヴァイグルは手堅く纏め上げていました。ただ彼の音楽の造詣手法が感情や感性と言うものからちょっと遠いところにある、言わば職人的造詣法。ですから形は良く纏め上げているんですが、その曲が何が言いたいのかもう一つピンと伝わってこないんです。どこが山場なのか、どこが見せ場なのか、わからずに終わってしまいました。

ピアノのヘルムヒェンはまだ若いピアニストですが、実に良い感性を持ったピアニスト。この作品はベートーヴェンの協奏曲の中では一番室内楽的かつデリケートな作品。とても綺麗な音と溌剌とした躍動感が溢れていて気持ちの良い演奏でした。

   hakaru matsuoka 

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2006年6月11日 (日)

サカリ・オラモ指揮ベルリンフィルハーモニー管弦楽団演奏会

松岡究です。ドイツが幸先の良いスタートをしましたね。フィルハーモニーのそばのポツダム・プラッツでは特設会場に長蛇の列が出来ていました。コンサートの休憩時間にはいつもは舞台を映しているモニターにWMの試合を映してサービスしていました。

曲目:ヒンデミット:気高き幻想

   ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番 ピアノソロ:ラドー・ルプー

   リムスキー・コルサコフ:シェヘラザード コンサートマスター:ガイ・ブラウンスタイン

とてもすっきりした後味の良いコンサート。ヒンデミットの気高き幻想は随分前に、日本で一度聴いた覚えがありますが、全くといって良いほど印象がなく、今回ベルリンフィルで改めて聴いてみると、ヒンデミット特有の晦渋さはなく、すっきり美しく演奏されていました。

ラドー・ルプーは予定されていたマリア・ジョアオ・ピレシュが病気のため代役として登場。落ち着いた気品ある音楽を聞かせてくれました。ベートーヴェンは若い人が弾くと決まって戦いの音楽・葛藤の音楽になりがちですが、ルプーのの音楽はベートーヴェンと友達なんですね。ちっとも厳つい顔してません。優しくて聴衆に自然に語りかけてくるような音楽。今日の白眉でしょう。

後半はオーケストラの機能性を示すにはもってこいの曲。ブラウンスタインの他に木管陣はパユ・マイヤー・フクス・ダミアーノ?という名手ぞろい。総じて熱のこもった演奏で聴衆を楽しませていました。

    hakaru matsuoka

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2006年6月 3日 (土)

ダニエル・バレンボイム指揮ベルリンフィルハーモニー「ヨーロッパコンサート2006」

松岡究です。今日は一日穏やかな日でした。久しぶりです。朝こそ寒かったんですが、昼はもうコートが邪魔で、持って歩きました。

今日はベルリンにお住まいの関さんからお借りした「ヨーロッパコンサート2006」のDVDのコメントです。

曲目:オール・モーツァルト

   交響曲第35番ニ長調「ハフナー」

   ピアノ協奏曲第22番変ホ長調 ソロ:D・バレンボイム

   ホルン協奏曲第1番ニ長調 ソロ:ラデク・バボラク

   交響曲第36番ハ長調「リンツ」

バレンボイムのモーツァルト解釈は例えば現在ほとんどの指揮者が、ベーレンライター版を使用しているのが常識になりつつ中で、頑として旧ブライトコプフ版で構わないと言う姿勢が示している通り、モーツアルトにおいても往年のテンポ感覚、往年のオーケストラの奏法でやっています。古楽器がどうのこうのなんていうのは微塵も感じられないその姿勢は、バレンボイムだから出来ることでしょう。しかしここに大きな問題提起があって、古楽器的奏法を現代楽器のオーケストラに下手に持ち込むと表現力が著しく低下して聞こえたり、オーケストラの楽員に迷いが生じてアンサンブルに欠陥が出てきたりということがあります。ですからどのオーケストラでも現代楽器奏法のみをやってきた所謂古参の楽員にはこの古楽器奏法はかなり抵抗があるようです。

最初の「ハフナー」の音が鳴った途端、ベルリンフィルのゴージャスな音とともに何か違うんだよなと言う違和感を感じるんですね。モーツァルトってこういう風にやると、綺麗な衣装をまとって典雅で美しく古典的なスタイルのよい音楽、または所謂ヒーリング系(1/F揺らぎとか言う)の音楽になってしまう気がするんです。

私はモーツァルトってなんて退屈な作曲家なんだろうと大学の頃まで思っていました。それが古楽器のグループがモーツァルトを演奏するようになって、目が覚めたんです。「モーツァルトはちょっと手でも傷つけようものならそこから血が吹き出て、あるいは血沸き肉踊る決して典雅と言う言葉とは似ても似つかない物凄くエキセントリックな音楽なんだ」と悟った途端、大好きになったんです。そして私にとってとても大事な作曲家になりました。

ですからバレンボイムのモーツアルトはその退屈極まりないモーツァルトなんです、私にとっては。(ですからベームもカラヤンもワルターも私にとっては1/F揺らぎなんです。だって寝ちゃうんです。)ただ素晴らしかったのはピアノ協奏曲です。特に2楽章、そして3楽章の例のゆっくりになったところは、彼がやはり1流の音楽家である証明であったと思います。あの音楽の深さをDVDであそこまで感じさせてくれると言うのは彼が本物であると言うことに間違いはないと思います。がしかし・・・・・・と言うのがこのDVDを聞いての感想でした。

ホルンのバボラクは昨日もちょっと書きましたが、全ステージに載りかつ鮮やかに協奏曲を吹いていました。、自分のお国に錦を飾ったのが嬉しかったんでしょう、本当にいい笑顔で聴衆の拍手に応えていました。

       hakaru matsuoka

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2006年6月 2日 (金)

サイモン・ラトル指揮ベルリンフィルハーモニー管弦楽団 定期演奏会

松岡究です。稀代の名演でした。

曲目:ストラヴィンスキー:オルフェウス

   ニールセン:フルート協奏曲    ソロ:エマニュエル・パユ

   ブラームス:交響曲第4番

今日も午前はGPを聴きに行って、夜コンサート。ゲネプロからベルリンフィルはアッバードやハイティンクとは違い、本気モード。これは凄い演奏だなあと朝から思っていました。勿論時々とめて、色々注文を出してるんですが、見事に変わるんです。

本番:最初のストラヴィンスキーは、1946・7年の作品で、有名な振り付けしバランシンの委嘱で作られました。びっくりするくらいと言うと大げさですが、しっかりした調性とシンプルで幻想的な30分ほどのバレー作品。ラトルは実によく作品の持ち味を出していて、佳演。

ニールセンのフルート協奏曲はもうパユの独壇場。実に鮮やかにこの難曲を吹ききっていました。ラトルもこういった作品には音色的な相性がよくあっていて、透明感のあるそしてよく歌っている演奏でした。パユはこの後ブラームスのもオーケストラプレイヤーとして載り、例のソロを勿論鮮やかに吹いていました。ソロもやりオケもやる、それも同じ演奏会で。やはりこのオケのメンバーは怪物君がそろってます。(今年5月にプラハでバレンボイムが振ったヨーロッパコンサートではホルンのバボラークがモーツァルトの1番の協奏曲を吹き全ステージオーケストラプレイヤーとして出ていました。)

理想的なブラームス。つまりこういう風に振ってみたいと思い描いていたものがそこにあったんです。最初の出だしから、陰影が濃く、必然としてのアゴーギク(テンポの変化・揺れ)があり、歌があり。こういうときは本当に言葉は無力になります。本当に凄かった。現代の指揮者に限らず演奏家は理性でテンポの揺れとかフォルテだのピアノだのをコントロールする人が多いですが、ラトルは感情と心と精神的な何かで曲を彫っていくんです。そしてぎりぎりのところで理性を失わずコントロールしているんです。

聴きながら、高校の時ヘルマン・ヘッセの「知と愛」に痛く感動し、また右脳と左脳の話に驚いたことが蘇ってきました。彼は本当に理性と感情が見事に融合し一体になった素晴らしい指揮者です。

これは私の推測ですが、4番は満を持しての演奏だったのではないかと思います。いつも現代ものを中心にマーラーやストラヴィンスキーなどを演奏してきた彼が、まずベートーヴェンに取り組み、そしてブラームスに取り組み始めたのではないかと思っています。以前に2番をやったそうですが、これから多分2・3年おきに残りの1・3番が登場するのではないかと言うのが僕の読みです。(来シーズンは1番をティーレマン、2番をハイティンク、3番をアッバードが振ることになっています。ラトルがハイドンを集中して取り上げる10月は面白いかもしれません。)

        hakaru matsuoka

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2006年5月26日 (金)

ベルナルト・ハイティンク指揮ベルリンフィル演奏会

松岡究です。今日も薄ら寒い日でした。家にじっとしていると体温が奪われていくような感じを受けます。

今日の朝10時から、ハイティンクのゲネプロを見ました。最初にブルックナーをやっていましたが、大変端正な音楽作りで非常に好感が持てました。いやがうえにも本番に対する期待が高まりました。

曲目

メンデルスゾーン:ルイ・ブラス序曲

モーツァルト:ホルン協奏曲第4番変ホ長調Kv495

ブルックナー:交響曲第6番イ長調(ハース版)

ホルン:シュテファン・ドール

指揮:ベルナルト・ハイティンク

大変素敵な肩のこらないコンサート。多分ハイティンクのスタイルと人間性がそうさせているんじゃないかと思います。私の目指すべき目標がある感じがします。

まずルイ・ブラス序曲。最初の管楽器によるファンファーレが朝のGPの時とは違って、いささか力が入りすぎた感じ。朝の時は実に柔らかいいい響きだったのに、どうして?と思ってしまいました。客が入ってかなり音をすわれているのは確かだけれど、やはりベルリンフィルの奏者と言えども人間なんだなと思いましたね。

2曲目のホルン協奏曲も朝のほうがのびのびと吹いていたように思います。ですから1楽章は彼には珍しく2・3回ミストーンがあったんです。しかし音色は素晴らしいし、音楽の運びも特に2楽章あたりから大変自然になってきて心地よい音楽が聴けました。

後半のブルックナーは彼の交響曲の中ではあまり演奏される機会の少ない作品です。しかし今日聴いてみて思ったのですが、この交響曲は実に愛すべき魅力に溢れた作品であると言うことが良くわかりました。特に第2楽章はまさに「至福」に満ちた何と心優しい音楽なんでしょう。ブルックナーを論ずる時に、構築性や宗教性、宇宙観等すぐ壮大な主題で論じやすいと思うのですが、この作品はそれとは全く逆に、暖かい人間性や優しさ、幸福感等の人間としてのブルックナーを一番よくあらわしている作品ではないでしょうか。そう言った作品の魅力をこうやって認識させてくれる指揮者はそんなにはいないでしょう。見栄や張ったりは全くなく実直にしかしエネルギッシュに指揮していくハイティンクにいつしか指揮者としての一つの理想像を見ていました。彼の音楽は若々しく、端正で且つエネルギッシュです。

昨年ドビュッシーなどを聞いたときはその持っている真面目さが裏目に出て音楽に遊びや洒脱があまり感じられず、少々退屈した記憶があるのです。こういったところが日本人には受けないところなんでしょうね。残念です。今年の9月からハイティンクはシカゴ交響楽団の主席指揮者になるということです。

拍手の問題といい、日本人はまだまだ成長しなければいけない、勉強しなければいけないことがたくさんありますね。ハイティンクの良さがわかる人がうんと増えてきた時に日本も成熟して来るんではないでしょうか。

   hakaru matsuoka

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2006年5月22日 (月)

トーマス・ダウスガールト指揮ベルリン放送交響楽団演奏会 マーラー「復活」

松岡究です。昨日は本当はベルリン交響楽団の演奏会に行くつもりにしていたんですが、外が明るいので(日の入りは21時過ぎです)、なんか勘違いをしてしまって気が付いたらもう演奏会が始まっている20時でした。

そして今日はシュターツオパーでシェーファーが歌う「椿姫」を見ようと喜び勇んで出かけていったら、売り切れ!!え~~~!!!仕方がないのでそこから歩いて3分のところにあるコンチェルトハウスに行き、ベルリン放送交響楽団のチケットを入手。開演の1時間半前だったこともあって買えたんですが、後で聞くとこの演奏会も開演30分前には売り切れになったそうです。

曲目:マーラー 交響曲第2番ハ短調「復活」

アルト:モニカ・グロープ

ソプラノ:ルート・ツィーザク

合唱:ベルリン放送合唱団

指揮:トーマス・ダウスガールト

素晴らしい才能を持った指揮者です。速めのテンポでぐいぐいとオーケストラを引っ張っていく様は大変凛々しい感じ。かといって力づくではなく、ちゃんと見通しの良い読みがあるのがようくわかるんです。ですから弛緩した感じは全くなくて、演奏時間は80分を切っていました。ただテンポが速いせいか、マーラー独特の毒と言うか不安感・焦燥感あるいは安らぎ、素朴さと言った物が欠落ないし薄められた感じで、特に2・3楽章や4楽章の深遠さには手が届いていなかったですね。それは特にアルトのグロープにも多大の責任があるように思います。とても声量のあるいい声なんですが、歌が一本調子で、ここでアルトがどうしてこの歌を歌わなければならないのかわかってないですよ、きっと。

復活の合唱を担当した放送合唱団は圧巻!!こんな素晴らしい復活の合唱は生まれて初めて聴きました。(中学3年の時にサヴァリッシュ・N響で聴いたときの感動がよみがえりました。あの時は芸大の学生のコーラスだったんですが、終演後サヴァリッシュが楽屋に訪ねて見えて、「こんな素晴らしい合唱はヨーロッパでもなかなかない」と褒めてくれたと言うことを、当時芸大の学生だった山田茂先生から聞きました。)完全に溶け合ったハーモニー、そして遠近感のある表現。どこをとっても非の打ち所がない!うまいだけではなく感動を呼び起こす合唱でした。総勢70名ほどでしたがその壮大さ・豊かさは人数がいればでてくる物ではないんですよね。

思わぬ大収穫。シェーファーは今度にします。

    hakaru matsuoka

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2006年5月20日 (土)

クラウディオ・アッバード指揮ベルリンフィル演奏会

松岡究です。今日はもう諦めていたアッバードの演奏会のチケットが手に入ったので、出かけました。こちらで指揮の勉強をしている丸山俊一郎君が気を利かせてくれたんです。有難う、丸山君!

曲目

ワーグナー:ヴェーゼンドンクの歌

     Ms:アンネ・ゾフィー・フォン・オッター

シューマン:劇的詩「マンフレード」

     マンフレード:ブルーノ・ガンツ 以下5名の俳優

     第1の霊:アンネ・ゾフィー・フォン・オッター

     第2の霊:ユリア・クライター 他

     合唱:バイエルン放送合唱団

     指揮:クラウディオ・アッバード

昨日聴いたゲネプロとは全く違う素晴らしい出来栄え!昨日は悪い感じはしなかったものの、以前東京で聴いた「弾かせ撒くって、アンサンブルがめちゃくちゃで音の汚い印象」が甦ってきて、「あ~変わらないんだなあ」と思ったんですけど、今日は精緻を極めた並の人間では到底到達できない深さと気品がありました。高校の時にクレンペラーのシューマンの3番「ライン」のレコードのカップリングにこのマンフレードの序曲が入っていたことを思い出しました。当時「なんてつまらない、暗い音楽なんだろう」と思ってそれ以来聴くのは封印して、すっかり忘れていました。しかし今日アッバードの演奏を聴いて「なんて素晴らしい豊かな音楽なんだろう」と思ったほど、今日の演奏は素晴らしかったですね。

フォン・オッターはワグナーよりもむしろシューマンでの歌唱の方が無理がなく、彼女の持つ自然さと決して張り上げない艶のある声が聴けたように思います。ワーグナーでの歌唱は声の音色にむらがあって、あまり感心しませんでした。

やっとアッバードが聴けました。そして日本での印象とは全く違う円熟した表現が私の胸を打ちました。

     hakaru matsuoka

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2006年4月26日 (水)

エド・デ・ワールト指揮ベルリンドイツ交響楽団定期

松岡究です。今日はエド・デ・ワールト指揮のドイチェスシンフォニーの演奏会。曲目はモーツァルトのセレナータ・ノットゥールナKv.239とマーラーの交響曲第7番「夜の歌」というNacht Musik特集。

この指揮者は懐かしくて、私が学生時代ラフマニノフの交響曲第2番をロッテルダムフィルハーモニーと録音したものを毎日のように聴いていました。ですからどういう演奏をするのかとても楽しみではありました。

最初のモーツァルトは何か焦点の定まらない感じで始まりました。3月31日に放送交響楽団とヤノフスキで聴いた時のほうが、しまりがあってよかったと思います。ただ聴衆をとても楽しませたのは、3楽章で4人のソロ一人一人がカデンツを演奏したことです。こういう趣向は初めて聴きましたが、なかなかいいものです。

マーラーはとても清潔感のある演奏。ここぞと言う時にもっと粘ってほしいところが何箇所かあり、その為か毒気がなくなりちょっと物足りない感じでした。しかしマーラーのスコアを実にすっきりと音にしていたのはさすがです。決して押しの強い指揮ではありません。しかし章句人的な技を充分に発揮して、聴衆から暖かい拍手を受けていました。

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2006年4月24日 (月)

ローター・ツァグロセク指揮ベルリン交響楽団 モーツァルト「偽の女庭師」演奏会形式

松岡究です。昨日・一昨日に引き続き今日も演奏会形式によるオペラのコンサート。

曲目:モーツァルト「偽の女庭師」

配役

ポデスタ:クリスティアン・エルスラー

サンドリーナ:スンへ・イム

ベルフィオーレ伯爵:ジェレミー・オヴェンデン

アルミンダ:ユッタ・ベーネルト

ラミーロ:エリザベス・フォン・マグヌス

セルペッタ:ゾフィー・カルトホイザー

ナルド:ミハエル・ナジ

指揮:ローター・ツァグロセク

初めに序曲が始まった途端にその余りのアンサンブルのひどさに耳を疑って、「来るんじゃなかった」と思ったのですが、曲が進むに連れてオーケストラは実に素晴らしい音になっていきました。ここでは所謂古楽器的な奏法は全く取っておらず、以前からの伝統的?(オーソドックスな)弾き方。歌手たちも初めは固くて表情に乏しく生気がない演奏でした。しかし第5曲でミハエル・ナジ(彼はコーミッシェオパーの専属歌手です)がオパーで鍛え上げた芸でニュアンス豊かにアリアを歌うと、やっと会場から拍手。これ以後皆どんどん調子を取り戻してきて、この作品が素晴らしい作品であることを立証しました。

ソプラノのスンへ・イム(韓国人)は予定されていたルート・ツィーザクが急病のための代役。しかし彼女は持ち前の音楽性と透き通った声でこの代役を見事に歌いきりました。その他にカルトホイザーとベーネルトも素晴らしい発声技術を持った良い歌手。ただフォン・マグヌスはこの歌い手の中でちょっと聴き劣りしました。まず喉声であること、声が他の歌手たちに比べて広がり気味で、明らかにテクニックを持ち合わせていないのが良くわかって、却って気の毒。テノールの2人はまあまあかな。

ツァグロセクは以前あまり好きでなかったと書きましたが、今回は彼の本領発揮。オペラ指揮者としての腕をはっきりと見ました。演奏会形式でありながら、歌とオケのバランスは抜群!歌手の声量に即座に合わせることが出来るのはオケも素晴らしいけど、ツァグロセクの力だと思います。歌手に自由さを持たせながら手綱をしっかりと引いてコントロールしているのはさすがです。

この公演はセッコ(レシタティーフ)の部分を2人の役者が別に台本を作って聴衆にわかりやすくしていたことは、オペラの演奏会形式の形としては成功していたと思います。

ツァグロセクは9月からこのオケの主席指揮者になりますが、その前のお披露目としては最高だったのではないでしょうか。

    hakaru matsuoka

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2006年4月23日 (日)

アルベルト・ゼッダ指揮ベルリンドイツオペラ ロッシーニ「とてつもない誤解」演奏会形式

松岡究です。きょうは昨日より暑くなるのかと思っていましたら、生憎の雨。気温もそんなに上がらず4月上旬の気候に戻ってしまいました。昨日の件で言い忘れたんですが、一つ残念だったのが、ラトルが曲が終わってまだ指揮棒をおろさないのに拍手が起こったんですね。いつものベルリンの聴衆であればそんなことはないんですけど。つまり余韻まできちっと楽しんでるんです。多分その拍手は日本人だと思いました。昨日は特別コンサートで定期の枠組み外でのコンサートだったので、日本人がたくさんいたんですね。こんなこと言うと怒る人がいるのは重々承知で言ってるんですがね。ラトルの残念そうな表情が目に焼きついています。

曲目:ロッシーニ「とてつもない誤解」

配役

エルネスティーナ:マリーナ・プルデンスカヤ

ガンベロット:ブルーノ・タッディア

ブラリッキオ:マルコ・ヴィンコ

エルマンノ:アントニオ・シラグーサ

ロザリーナ:アンディオン・フェルナンデズ

フロンティーノ:ブルクハルト・ウルリッヒ

指揮:アルベルト・ゼッダ

今日は昨日に引き続き演奏会形式によるオペラの公演。ロッシーニの「とてつもない誤解」と言うオペラ。これは2005年の1月に東京オペラプロデュースで、演出が馬場紀夫さん、そして指揮が私で日本初演した作品でもあります。ロッシーニと言う作曲家は所謂天才で、ある意味ではメンデルスゾーンと同じですが、最初の作品から最後までとても高い完成度を持った作品を書いた人です。天才としてもてはやされていましたから、いろんなところから作曲依頼があり、自分の作品を使いまわしていたんですね。ですから「この曲はいったいどっちの作品のオリジナルなのか?」と言った疑問が研究されてきました。(例えば「セビリアの理髪師」序曲はオリジナルな序曲ではありません。)そして近年それが随分と解明されましたが、楽譜はまだ出版は全部されていません。今日の演奏の版も私たちがやった日本初演の時とは違って、ゼッダ自身が校訂した版のはずです。

さて今日はそのロッシーニ研究の第一人者であるゼッダの指揮でした。彼が登場するともう「ブラボー」の声が。そして指揮棒を構えてもまだ鳴り止まない拍手。もう一度ゼッダは客席を振り返り一礼、やっと序曲が始まりました(2幕も全く同じでした)。これだけの拍手をもらうのには、多分今までにロッシーニに関して大きな成功を収めて来たの違いないと思います。こんなのはベーム、カラヤン以来です。

こういった作品は本当に職人芸が必要で、例えばシンフォニー育ちのラトルがやるかと言えば絶対やらないでしょう。やはり曲によってその人の向き不向きは必ずあって、若いうちはいろんな物に挑戦するのだけれど、年を経るに従ってレパートリーが決まっていくのだと思います。

まずガンベロットを歌うはずだったブルーノ・プラティコが病気と言うことで急遽タッディアが楽譜持ちで歌いました。しかし彼はその楽譜をうまく小道具として利用しながら素晴らしい歌を聴かせてくれてブラボー!シラグーサはいつもながら明るい伸びやかな声を自由に操って圧巻。ブラリッキオのマルコ・ヴィンコも芸達者で客を笑いに持っていく術はたいした物です。そしてエルネスティアのプルデンスカヤは素晴らしいコントラルトで自由にコロラトゥーラを操ってこれも圧巻。歌い手は皆素晴らしい出来でした。一方ゼッダはやはりロッシーニをよく知っていて、音楽の運びに全く不自然さがありません。ただ舞台上にオーケストラが載っている関係上バランスがいささか気にはなりました。

       hakaru matsuoka

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2006年4月22日 (土)

サイモン・ラトル指揮ベルリンフィルハーモに管弦楽団 ドビュッシー「ペレアスとメリザンド」

松岡究です。今日はやはり昨日よりは暑くなりました。外を散歩してると汗ばんできます。しかしまだ冷気の残っているところ、例えばソニーセンターとポツダマープラッツという駅のコンコースは冷房をかけてるんじゃないかと思っちゃうくらい寒いです。空気が入れ替わってないんでしょうか?

さて今日は久々のラトルです。

曲目:ドビュッシー歌劇「ペレアスとメリザンド」演奏会形式

配役

メリザンド:アンジェリカ・キルヒシュラーガー

ジュヌヴィエーネ:アンナ・ラルソン

ペレアス:サイモン・キーンリーサイド

アルケル王:ロバート・ロイド

ゴロー:ローレント・ナオウリ

医者:ジュローム・アントワーヌ   他

指揮:サイモン・ラトル

一言で言えば「脱帽!!!(誰ですか?脱毛なんて言ってる人は。)」 一年前のブリテン「ピーター・グライムズ」を聴いた時も本番でこんなに洗練された完璧なことが出来るのかと耳を疑いまた打ちのめされたんだけど、今回も全く同じでした。フォルティッシモからピアニッシモまで完璧にコントロールされて、それが全く人工的でなく自然に音楽が流れていくんです。歌手たちもそのオーケストラとラトルの鮮やかな指揮に乗りに乗り、またその心情を細やかに歌い上げ、また時にはドラマティックに歌っていきます。驚いたのがプログラムには名前は載っていないんだけど、ィニョルドを歌ったボーイソプラノが圧巻!勿論大人たちも素晴らしい。「こんなことが実際に現実にベルリンでは行われているんだなあ(ため息)。」

そして「ペレアスとメリザンド」がこんなに素敵なオペラだったなんて初めて知った感じです。ドイチェオパーのペレアスも良かったですけど、ここまで作品の真価を引き出してはいなかったかな。というよりもラトルと今日の共演者、そしてベルリンフィルが本当にその真価を知らしめた演奏会でした。

ラトルも少し当たり外れがあって、1月に聴いたマーラーの4番は意外なほどつまらなかったですね。以前テレビで、まだ就任前にやはりベルリンフィルでやった4番は鳥肌が立つくらい感動を覚えましたけどね。でも今日は言うことなしでしょう。

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2006年4月17日 (月)

アンドリュー・マンツェ指揮ベルリンドイツ交響楽団 ハイドン「天地創造」

松岡究です。今日は”OSTERSONNTAG”です。明日まで休日は続きます。今日のコンサートはイースタースペシャルの3回目。アンドリュー・マンツェ指揮でハイドンの最高傑作オラトリオ「天地創造」。

ソプラノ:マルリス・ペーターセン

テノール:マルクス・シェーファー

バス:ミハエル・フォッレ

ブラボー!素晴らしいコンサートでした。知る人ぞ知るマンツェはコープマンの下でずっとコンサートマスターを務めてきた人で、近年指揮も積極的に手がけている逸材です。その指揮スタイルは一見あのアーノンクールを彷彿とさせます。しかし音楽はアーノンクールのように考えつくされ、時には意表を衝かれると言った音楽ではなく、オーソドックスでいながら、音楽は暖かく生き生きと息づいているのです。とても素敵な音楽をやる人。勿論オーケストラや合唱はノンビブラートを基本に音を奏でていきます。スタイルは古楽器的スタイルを取っているのにでてくる音楽は全くそのことを感じさせない自然な物でした。

ソリスト3人も大変素晴らしく、特にソプラノのペーターセンは2部のアリアが終わると会場から拍手が自然に沸き起こりました。彼女の声は透き通っていて、まるで小鳥のように歌う人です。テノールのシェーファーもシュライヤーを思わせるような柔らかく気品のある声。そしてバスのフォッレもとても気品と豊かな音楽性を持った歌い手。本当に3人ともがオラトリオを歌うにはうってつけの声。勿論3人ともにオペラにもよく出演しているそうです。ベルリンでこのようなコンサートを聴いていると、本当に日本は遅れてるなあと思います。つまり声質で歌手を選ばないんです。売れてるか・売れてないか、これだけですね。主催者もそうですが、聴衆の皆さんにも責任のあるところでしょう。

   hakaru matsuoka

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2006年4月16日 (日)

ハンス・ツェンダー指揮ベルリンドイツ交響楽団演奏会

松岡究です。昨日が聖金曜で祝日。きょうも本当はイースターの最中なのですが、祝日ではありませんでした。(でもKARSAMSTAGー聖土曜日ーと言ってただの土曜ではありません。)というわけで慌ててスーパーへ買出しに。昨日買ったイースター用パンは甘すぎてちょっと食べるのには・・・でベッケライにも寄り道。皆さん「良いイースターを」「イースターおめでとう」と声を掛けてくださいます。少し感激!

今日はベルリンドイツ交響楽団(ドイチェス・シンフォニー)の2日目の演奏会。同じオーケストラでも、昨日とはほとんど違うメンバー、当たり前のことですが。

曲目ハイドン:交響曲第49番「受難」

  ツェンダー:BARDO

  ハイドン:交響曲第95番

以上3曲。指揮者で作曲家のツェンダーの作品はハインリッヒ・シフが弾く予定だったのが病気でグスタフ・レヴィニウスに急遽変更。この季節よく病気で降板するのが多いです。グルベローバもそうでしたしね。

ハイドンの49番は私も一度指揮した経験があります。シューベルトの「死と乙女」そっくりの序奏。本当に素晴らしい作品です。1月小はAGAGIOのままずっと演奏されその悲劇性を強調するかのよう。各楽章同士でコントラストが考えられている作品です。ツェンダーは後半の95番でもそうですが、作品のありにままを忠実に再現して作品の持つ良さを充分に引き出していました。私は中学・高校の頃、演奏会に行って嫌いになった曲が何曲かあります。「展覧会の絵」「幻想交響曲」・・・今では大好きですが、信じられないでしょう?でも事実なんです。それは演奏者・オーケストラの演奏が多分余りにも悪かったからです。つまりその曲の真価をはっきり聴衆に知らしめ、出来うれば「良かった、感動した」と言って帰ってもらうのが演奏者の使命。それはプロもアマチュアも関係ありません。そういう意味では今日のこのツェンダーはその責任を十二分に全うしたんではないでしょうか。95番はハ短調で始まってハ長調で終わると言うベートーベンの「運命」と同じ調性。しかしベートーベンがそこに「苦悩から歓喜へ」という公式=哲学を盛り込んだのに対し、ハイドンのは「昼と夜」「夜の中に向かう光」と言うか、所謂2極構造を表している作品です。しかしこういった調性の大胆な発想は、既にハイドンがベートーヴェンの前に行っていたことを知ると、ベートーヴェンの出現はハイドンなくしてはあり得なかったんだと言うことがよく理解できます。

シフに代わってチェロを弾いたリヴィニウスはとても美しい音色と気品を持っており、大変素晴らしいチェリストでした。急遽現代曲の演奏での代役でここまでの演奏をするということは彼が非凡な人であるということを示していると思います。

    hakaru matsuoka

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2006年4月15日 (土)

トン・コープマン指揮ベルリン・ドイツ交響楽団「十字架上の7つの言葉」

松岡究です。きょうからイースター。お昼を食べようと思って外へ出てみると、軒並み商店は休み。行きつけのベッケライも休み。仕方ないので「スーパーにでも行って買出しでもしよう」と思ってスーパーに行ったらここも休み。大手のスーパーは全部休み。「どうしよう。お腹すいた~」と探し回ってありました、一軒だけケバブ屋さん。「昨日もケバブ食べたばかりなのに~」と、仕方なく2ユーロ20セント払って何とか飢えを凌ぎました。そうするともう一軒ベッケライが開いていました。「明日からのパンを仕入れなきゃ」と言うことでそこに入って、イースター用の丸い大きな甘いパンを買って家路へ。月曜までイースター。思いやられます。

さて今日からベルリンドイツ交響楽団が3日間「イースター・スペシャル」と題したコンサートをやるんです。今日はその一日目。

曲目はハインリッヒ・シュッツの「十字架上の7つの言葉」とハイドンの「十字架上の最後の7つの言葉」の2曲。休憩なしのコンサート。指揮はトン・コープマン、合唱はベルリン放送合唱団。

シュッツの作品は20分ほどの作品で、最初に合唱でイエスが十字架につけられている様子を歌い、続いてシンフォニア、そして合唱の中の何人かがソリストを勤めながら、7つの言葉を歌っていきます。そしてシンフォニアが再び演奏され、最後に合唱で神の恩寵と永遠の愛を歌って締めくくられます。コープマンの演奏はとても丁寧でかつ生き生きしており、シュッツの言葉と音楽が一体になったこの傑作を美しく表現してくれました。それにしても私が聴いてもシュッツの作品は言葉と音楽がマッチして、言葉が自然に聞こえてきます。シュッツの天才たる所以でしょか。

次に演奏されたハイドンの「十字架上の最後の7つの言葉」は通常弦楽4重奏でやる版ではなく、2管編成のオーケストラ版。この最後の7つの言葉の意味とドラマを知っている人にとっては、とても充実した70分であったと思います。コープマンは弦にも管楽器にもノンビブラートを要求していたようで、実に透明な柔らかい素朴な音が支配していました。曲は最後の「地震」のところだけほんの2分くらいプレストになるだけで、イントロダクションと7つの言葉を意味する7つのSONATAはすべてスローな曲でした。それだけに先ほど言いましたように、その意味するところがわかっていなければ、ちょっと聴くのに骨が折れるかもしれません。しかし7番目のSONATAでそれまで全て4拍子の曲が3拍子に変わった途端に、4拍子と3拍子はこんなにも音楽的緊張感が違う物なのかと改めて思い知らされました。それはコープマンの音楽作りが成功していたためだと思います。そして地震の場面で初めてティンパニが叩かれ、天地創造を髣髴させるような音楽の表現力に驚きました。

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2006年4月12日 (水)

バレンボイム指揮ベルリン国立歌劇場管コンサート

松岡究です。今日は「フェストターゲ」の3日目。フィルハーモニーにおいて、バレンボイム指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団のコンサートを聴きました。曲目は

シェーンベルク:清められた夜

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調  Vn ニコライ・ズナイダー

マーラー:交響曲第1番「巨人」

総じて、前2日のオペラよりも完成度は低かったように思います。でも悪くないコンサートではありました。まず「浄夜」。弦の配置は左から第一Vn 第一Va,Vcその奥にCb、第2Va、第2Vnというフォーメーション。はっきり言うとアンサンブルが今ひとつで、この曲は本当に音が清められてなければいけないのに、まだ不純物が多すぎるというか、ろ過の途中のような結果になっていました。

メンデルスゾーンはズナイダーの透き通った繊細な音色と、バレンボイムのメリハリをつけたオケのリードでとても楽しめましたが、明らかにバレンボイム主導の音楽。終楽章などはもう少しズナイダーに歌わせて欲しかったです。

最後のマーラー、意外にあっさりしたマーラーでテンポの揺れもさほどなく、どちらかと言うと直情的。歌劇場のオーケストラがコンサートをする場合、所謂シンフォニーオーケストラが弾きなれているような曲でも初めてのことが多いはず。なぜ奏者が歌劇場に入るかというとシンフォニーよりもオペラが好きだという人が多いのは当たり前のことですよね。バレンボイムの指揮だとこういうオーケストラにとってはとても不親切なところがあるような気がします。もう少し棒で見せてあげるところが多い方がオケにとってはありがたいのでは。アインザッツも3分の1くらいしかあげていませんし、オケに任せすぎのところが多くて、ハラハラドキドキするところが何箇所かあったのはいかがなものでしょう。会場は沸いて、スタンディングオベイション。でもこれは疑問!!!ベルリンもどこもそうだけど、ビッグネームに弱いんだなあ。

また違った立場から見ると、バレンボイムの音楽はとてもスケールが大きい。私にはとても大きな桐の箱をバレンボイムが用意して、その大きさにはまるように音楽を作ろうとしているんだけど、「パルジファル」のようにとてもうまくその箱にうまく収まると何ともいえない凄い音楽になるのに、今日は箱がでか過ぎて、却って隙間が多く出来すぎ、中でがたがたした分いろんな傷が出来たり、欠けちゃったりしたんじゃないかな。

バレンボイム特集は一応終わりです。

     hakaru matsuoka

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2006年4月 1日 (土)

マレク・ヤノフスキ指揮ベルリン放送交響楽団定期

松岡究です。今日はヤノフスキ指揮のベルリン放送交響楽団の演奏会。曲目はモーツァルトの「セレナータ・ノットゥールナ」と2曲のソプラノのコンサートアリア、後半がシューベルトの交響曲第8番「ザ・グレート」。最初のノットゥールナは大変品のいいそれでいて引き締まったいい演奏でした。昨今一般のオーケストラも古楽器の影響を受けその奏法を取り入れる傾向が強まっているように感じます。ベルリンでも然り。今日の放送オケ、そしてドイチェスシンフォニーは完全にその奏法を取り入れた演奏をします。それが言いか悪いかはまた別の問題ですが、私は大切なとこだと思います。楽員がその奏法を勉強することで演奏能力が一段と幅広くなると言う利点があるからです。私のいるコーミッシェオパーでもそういった奏法を積極的に取り入れようとしています。しかしここでも年代の格差、世代間格差があり古参の楽員は全くそれに付いていけず、其のためにオーケストラ響きの中に濁りが生じるんですね。

2曲目3曲目は今日予定されていたソプラノのマリン・ハルテリウスが3日前に病気で歌えなくなり、急遽アンネッテ・ダッシュという若手が呼ばれました。3日間で準備したとは思えないくらい彼女は立派に歌ってました。少々音程がぶら下がる時も散見されましたが、持ち前の気品がこの飛び込みの仕事を救っていたように思います。曲はKv272のah,lo previdiとKv505のch'io mi scordi di teの2曲でした。どちらも大曲で演奏時間は15分ほどかかります。特に2曲目はピアノコンチェルトにソプラノソロが付いたような異色の作品。

休憩を挟んで、大交響曲も実に引き締まったいい演奏でした。冒頭のホルンがプファッとやらかしてしまったのは甚だ残念でしたが、ヤノフスキのアプローチは成功していたと思います。この曲は歌ではなくまずリズムに着眼しないとドツボに嵌ってしまう恐ろしい曲ですが、さすがにヤノフスキはそのことは充分承知で、オーケストラから張りのある音楽を引き出していました。聴衆も大変に沸いて心地よい演奏会でした。N響に来たヤノフスキとは全く異なるエネルギッシュな指揮で、ちょっと見直しました。N響に来たときは腕の良い、でもあまり面白くない職人のような印象だったんですけどね。

          hakaru matsuoka

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2006年3月31日 (金)

E・インバル指揮ベルリン交響楽団定期

松岡究です。本日はインバルの指揮するベルリン交響楽団(BSO)の定期演奏会の報告です。プログラムは最初がブゾーニのピアノとオーケストラのためのコンチェルト・シュトゥック、後半がブルックナーの交響曲第7番。ピアノは新人でドイツ人と韓国人のハーフのカロリーネ・アラッシオ。

最初のブゾーニ。プログラムにブゾーニはドイツ人でもなくイタリア人でもない、保守主義者でもなくシェーンベルク信奉者でもない。彼は大都会の作曲家とあるんですが、何のことやら。勿論この曲は初めて耳にする曲ですが、構えが巨大でがっしりしているんだけど、精神的なものはあまり感じないんです。一見(一聴)ブラームス風のコンチェルトのようなんですけど、そんなに技巧を駆使しているような曲でもなさそう。なんか得体の知れない不思議な曲です。ピアノを弾くアラッシオは綺麗で結構骨太な音は持っているんだけど、何が言いたいのか自分がわかってない感じ。だから聴いていて全くつまらないんです。

後半のブルックナー。これはもうインバル節、はっきりと好き嫌いが分かれるでしょう。私は嫌いです。なぜか!彼のブルックナーは神秘とか祈りとかいった物は皆無のように聞こえてくるんですね。結構綺麗にまた歌うべきところは歌っているんですが、オーケストラから出てくる音に奥深い物がないように思うんです。2楽章の例のワグナーの死を予感させたメロディーも安易に演奏しているように聞こえてくるんです。魂の叫び、とてつもなく悲しみを通り越したところにあるような一点の曇りもない精神性。インバルのブルックナーには何もなかったなあ!と言うことでそそくさと引き上げてまいりました。

追伸

インバルは今季を最後にベルリン響を去って、後任にはローター・ザグログセグが就任します。その就任前のコンサートを1月に聞きましたが、彼も好きではないですね。(マーラーの大地の歌でしたが)

    hakaru matsuoka

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2006年3月 3日 (金)

ティーレマン指揮ベルリンフィル定期

松岡究です。今日は何を隠そう私の誕生日です、はい。さすがにかみさんだけはおめでとうとメールくれました。でも他はナシのつぶて。まあ年食うのはもうこのくらいにしといてもらいたいので、まあいいっか!起きたら一人で「コンディトライ」に言ってケーキでも食べよ~っと。

ティーレマンとベルリンフィルの演奏会、今回楽しみにしていたものの一つです。曲目はメンデルスゾーンの序曲「フィンガルの洞窟」、ピアノ協奏曲第1番(ラルス・フォークトのピアノ)、そして後半がR・シュトラウスのアルプス交響曲。

まず「フィンガルの洞窟」ですが、僕の大好きな曲の一つです。ちょっとトランペットのバランスが悪かったように思いますけど、テンポを自由に変えてほぼ私の理想としている表現に近かったという点で、とても親近感が沸きました。日本では、彼のことをあまり良く言いませんけど、私はすばらしい指揮者だと思います。(何度も書いてますが、ドイチェオパーのR・シュトラウスは本当にすばらしかったんです。ですから今日も期待せずにはおられないという感じでした。)それから指揮のテクニックというかスタイルが誰かに似ているなあとずっと考えていたんですけど、思い当たりました。ホルスト・シュタインです。彼の指揮テクニックをかなり盗んでいると思いました。コンサートは今日初めて聴きますが、人間的にも飄々として飾らない人柄にまた愛着を覚えます。

2曲目のメンデルスゾーンの協奏曲、何が面白くて敢えてこの曲を選んだのかなあ?確かに悪くはないけど、魅力にはちょっと欠けるかな。メンデルスゾーンは私も先日第2交響曲を指揮する機会がありましたが、勿論今回の2曲にも言えることだと思うんですが、日常的な神への感謝が必ずといっていいくらい曲の中に盛り込まれていると思います。その祈りが日常的であるので、大げさに表現は出来ませんよね。例えばその祈りがレクイエムに象徴されるように「死」に関するものだったら、あるいはオペラに見られるように「愛」に関するものだったら、その表現は痛切なものとなったり妖艶な表現となったりできるでしょう。でもメンデルスゾーンのは違います。そのことがわからないとメンデルスゾーンの魅力は半分くらいわからないんじゃないかな、と思います。また彼ほど(宗教的な)オラトリオをたくさん書いた人もあまりいません。

休憩を挟んで後半のアルプス交響曲は、期待を裏切らないすばらしいできばえでした。一昨日、ケント・ナガノのことを書きましたが、1月に彼もアルプス交響曲をやってるんですね。ちょっと比較してみると、ケントは色で言うと彼のパレットには白系統と青系統それに透明という色の絵の具ばかり、でもティーレマンにはやはり赤も黄色もあるんです。どっちが良いとか悪いとかの問題ではなく、色の選び方が全く違うんですよね。またケントのは達観した雰囲気があったのに対して、ティーレマンのはしっかりとした油絵、豪壮かつ絢爛。この先は趣味の問題でしょう。

日本ではどうして彼のことがあまり評価されてないんでしょう?多分初来日のワグナーがかなり不評だったからでしょうか。ちゃっかりプログラムに今日のアルペンのウィーンフィルと入れたCDのパンフレットが挟まってました。でもこれは買いかもしれません。

       hakaru matsuoka

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2006年3月 1日 (水)

ケント・ナガノ指揮ドイチェス・シンフォニーオーケストラ定期

松岡究です。もう2月が終わってしまいましたね。早いですね。「時間よ、止まれ」と言いたくなってしまいます。今日はDSOと簡略して言われるドイチェス・シンフォニー・オーケストラの演奏会です。指揮はここの音楽監督のケント・ナガノ。曲目はワーグナー:「ローエングリン」から第1幕の前奏曲、シェーンベルク:5つの小品、ワーグナー:トリスタンとイゾルデ」から前奏曲と愛の死(MS:ワルトラウト・マイヤー)休憩を挟んでブラームス:交響曲第4番というプログラム。

私はケント・ナガノという人も、この1年結構聴いてきたつもりです。そしていつもかれの音楽が掴みきれない、私にとってずっと納得いくものがというか、腑に落ちるものがなかったというか、そんな感じだったんです。でも今日なんとなくそれが判った気がしました。一言で言うと、「彼ほどいい意味で日本人的な音楽家はいない」ということです。確か日系3世だったと思うんですが、日本人でありながら日本には住んでいないというところから、必然的に日系人の方々はそのルーツを大切にする、大和魂を大切にするという生き方になりますよね。そう例えばユダヤ人たちが何千年も迫害を受け続けてきたのに、自分たちの民族的誇りを失うどころか却って強めてきたのと同じように、彼は日本人よりも日本的な内面を身につけているんではないか?どういうことかというと、彼にはずっと動と静の静、陽と陰の陰の部分をずっと感じ続けてきたように思うんです。そして彼の音楽は必ず「無」の部分があると思うんです。それが彼の最大の特徴ではないかと。例えば今日のローエングリンの出だし、本当に何もないところから生まれてくる音なんですね。他の指揮者や音楽家は最初から有であるんじゃないかと思うんです。無から始まるからある意味でとても透明感があって、ある意味でとても無性格。決してそこには秘められた激情や哀愁などの感情はないんです。徹底的に「無」なんじゃないかなあ!それが音楽の持っている美と結びついてこの演奏はすばらしかったです。

このやり方は思い返せばどの作品をやるときもそうだったような気がするんです。ブルックナーの6番、アルペンシンフォニー、そして必ず彼がプログラミングする現代音楽。皆そうでした。ですから特に現代音楽においてはいつも一種の緊張感が生まれますし、彼の得意とするところじゃないかと思います。シェーンベルクやウェーベルンなんか無から生まれるような、そんな音楽をいっぱい書いてる気がしませんか?その反面感情で音楽が支配されることはないので、物足りないところも出てきます。トリスタンはそのいい例でした。マイヤーは本当に未だに第1級の声を持っていました。しかしケントの音楽運びが感情ではないので、なんとなく違和感があるんです。魂を揺さぶられることはありません。ワーグナーのあのカタルシスは微塵もありません。次のブラームスもそうです。実に丹念に音楽は作られているんだけど、4番特有の哀愁、孤独、嬉しさ、激情といった感情が見えないんです。でもこのような個性を持った人は皆無でしょうね。だからこそ彼には価値がある、ということだと思います。音楽家は皆、動であり陽の人がほとんどだと思います。その最高峰がサイモン・ラトルではないでしょうか。

サイモン・ラトルはイギリス人、ケントは日本人、ベルリンの主なオパーとオケのチーフコンダクターは皆所謂外人です。ドイツ人は一人もいません。このことについていつか述べてみたいと思います。

追伸 実は今日のシェーンベルクの5つの小品は私が知っているものとは違ったんです。普通は大管弦楽で演奏されるんですが、今日は弦5部の5人、木管一人ずつ、ピアノ、ハーモニュームの計11人だったんです。ひょっとしたらプログラムが変更になっていたかもしれないし、このような作品が同じ題名で存在するのかとどうか、調べて後日報告いたします。

       hakaru matsuoka

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2006年2月24日 (金)

ベルリンフィル定期

松岡究です。今日はベルリンフィルの定期公演、ドナルド・ランニクルズ指揮、レオニダス・カヴァコスのヴァイオリン、ソプラノがクリスティーネ・ブレワー、バリトンがボー・スコウフスという陣容。曲目はブラームスのヴァイオリン協奏曲、そして後半がツェムリンスキーの叙情交響曲。

先ず最初のブラームス。すばらしい名演でした。この2月はすばらしいヴァイオリニストを立て続けに3人も聴いた事になりますが、どのヴァイオリニストもすばらしかったけど、今回のカヴァコスはまた特別でしょう。この曲は本当にベートーヴェンのそれと並んで演奏会で成功させるのは並や大抵ではないでしょう。それを自信と確信を持ってカヴァコスは弾き切り歌いきりました。テッツラフは饒舌というくらいヴァイオリンを語らせていたのに対して、彼のは雄弁には違いないけれども、気品と風格が備わっていると思いました。ランニクルズの棒もとてもよく歌っていて、この曲を堪能しました。

後半の叙情交響曲。スコウフスの第一声が発せられた時、「あ~世界的な声だ。」と思ったんです。昨日の話の続きになりますが、やはりこういうところに出てくる人は決してビッグヴォイスではなく、音程が良く声の質が第一級であること。そして音程が良いということは発声の確かな技術と、音楽を的確にとらえる力を持っていることだと痛感しました。ブレワーにしろ、スコウフスにしろこの難曲の確信を衝く音楽性を確実に持っているんだということです。勿論指揮のランニクルズもそうです。左手に指揮棒を持つ指揮者ですが、ごく少ない動作に彼の音楽が良く現れていて、随所に現れるマーラーのような甘美なところなどは本当に美しく聴かせてくれました。ただティンパニーとの相性が悪かったようで、ちょっと非音楽的な部分があったのは残念なことでした。

今までいろんなオペラやコンサートを聴いてきて、ベルリンの聴衆はおおむね暖かいと思っていたのですが、今日はちょっと違いました。というのも先ずベルリンの聴衆は楽員が出てきても必ずどこからか拍手が沸きます。しかし今日は最初は有ったものの、後半はほとんどなかったんですね。ん~~、観光客ばかりなのかな?ランニクルズの人気のなさかな?これだけの内容の演奏にもかかわらずカーテンコールは3回がやっとでした。2回目にはもう3分の2くらいの聴衆が帰っていて、なんか胸が詰まって痛くなるような感じ。今日の聴衆の反応は良くわからない!そういえばPODIUMという合唱席も誰もいませんでしたね。僕がこの席が0だったのを見たのはウイリアム・クリスティーが客演した時以来です。彼もそういえばあまり歓迎されてなかったようでした。合唱団は歓迎されてましたけれども。このことをどう考えたら言いのですかね?

今思いつくのは、ベルリンの聴衆はこのような指揮が地味な人には好意を示さない、としかいえません。どなたかこの疑問に答えていただける方はいませんか?

この3日間コルンゴルト、マルタン、そしてツェムリンスキーと立て続けに3人の20世紀の作曲家を聴きましたが、やはりコルンゴルトが私には大発見でした。いつかやりたいですね。

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2006年2月21日 (火)

ベルリン国立歌劇場管弦楽団定期

松岡究です。今日はシュターツオパーのオーケストラの定期に行ってまいりました。指揮はフィリップ・ジョルダン、ヴァイオリンはニコライ・ズナイダー。曲はドビュッシー「ノクターン」、シマノフスキーのヴァイオリン協奏曲、そしてチャイコフスキーの交響曲第5番。指揮のジョルダンは大変若い指揮者で、見た感じ30前半。まだ指揮姿には教科書どおりというか、遊びがないというか、でも何かほほえましいものを感じました。オーケストラも彼の音楽をやってやろうという姿勢が見えてすばらしい。

最初のドビュッシーは折り目正しくきちんとした演奏で、といっても硬くなく透明感のある素敵な演奏でした。かなりの才能と見受けました。次のシマノフスキーが今日の白眉。ヴァイオリンのズナイダーは譜面を見ながらでしたが、美しい音でまったく嫌味がなく、しかし歌うところはしっかり歌って、主張すべきは主張してすばらしい。指揮のジョルダンもオーケストラから大変説得力のある響きを引き出して聴き応え十分でした。後半のチャイコフスキー、よく考え抜かれた解釈で、これも大変共感を持って聞きました。途中3楽章でオーケストラがちょっと破綻する場面がありましたが、そんなものは取るに足りない傷。最後までしっかりとオーケストラをコントロールして観客のブラボーを盛んに請けていました。

指揮の技法で思ったことですが、彼はほとんどいあゆる「叩き」と言うものとは無縁の指揮です。元来指揮法とか指揮のメソッドと言うものは存在せず、結局先天的に振れる人が振るんだと思うんですね。振れない人にいくら指揮法を教えても無駄で、振れない人は振れません。それは本当に厳然たる事実ではないでしょうか。ベルリンでいろんな指揮者を見てきていますが、「叩き」とかなんかに振り回されないように、特に若い方は気をつけてください。多分アッバードもマゼールも「叩き」なんて出来ないんじゃないのかな。

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2006年2月18日 (土)

コーミッシェ・オパー管定期公演

松岡究です。今日はコーミッシェ・オパー・ベルリン(KOB)のオーケストラ定期です。KOBは年に8回定期をやっていますが、定期を始めたのは、まだ10年前くらいのことだそうです。前任のヤーコフ・クライツベルクが始めたと聞きました。ですからKOBがオーケストラ定期に進出してから、ベルリンにはベルリンフィル、ベルリン響、ベルリン放送、ドイチェスシンフォニー、そしてシュターツオパー管、ベルリンドイツオパー管、そしてKOBと主に7つのオーケストラが存在します。

さて今日は、先日お知らせしたようにPaul Mccreeshの指揮により、Louise Farrenc:序曲第1番e-moll op.23   Witold Lutoslawski:Doppel-Konzert Fuer Oboe & Harp そしてL.v.Beethoven :symphony No.3 Eroica 以上の3曲が演奏されました。最初のFarrencはフランスの作曲家で、古典派に属する作曲家です。マックレーシュはこの曲を実に爽やかに、生き生きと指揮していました。次のルトスラウスキーの2重協奏曲はオーボエとハープそして7人のヴァイオリン、2人のヴィオラ、2人のチェロのコントラバス1人、打楽器2人と言ういでたち。私はこの曲の最初にリハーサルから付き合ったのですが、最初は何じゃこりゃ!の世界だったのが、オーボエとハープを入れて2日目のリハーサルが行われた時から 俄然面白くなってきました。奏者一人一人がソロとしてアンサンブルをなし、緊張とサイレンスのコントラストが実にうまく書けている作品でした。オーボエとハープの2人はとても名手で、最後はアンコールまで飛び出す始末。(現代音楽をやってアンコールは珍しいでしょう)何と2人でショパンの「子犬のワルツ」をやったんです。目にも留まらぬほどの指の回り方。あっけに取られるとはこのことでした。この名手2人の名前は、オーボエがNigel Shore 、ハープがRegina Herwig と仰います。   

休憩を挟んでエロイカ。実を結うとオーケストラのメンバーはこの指揮者に対して物凄くブーイングだったんです。つまり指揮のテクニックが追いつかない所があって、アンサンブルに支障をきたしている部分が何箇所かあって、それが解決しないまま本番だったんです。ある日本語を少し操れる団員は「へたくそ」と言っておりました。しかし私は彼の持っている音楽と方向性がとてもよいと思っていましたから、そんなことは全く気になっていませんでした。結果は大成功とまで行かないけど、とてもいい演奏でした。彼のテンポはベートーヴェンの指定どおりの付点2部音符60の速度。それが速いとも何とも思わなせないんですね。つまり歌っているわけです。歌が速いテンポの中にちゃんと存在するんです。

指揮者として今回は昨日のギルバート・ベルリンフィルよりうんと面白かったし、勉強になりました。彼と友達になれればいいんだけど。

   hakaru matsuoka

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2006年2月17日 (金)

ベルリンフィルとアラン・ギルバート

松岡究です。今日はとても暖かくて、といっても気温5度くらいですが、この気温でもとても暖かく感じますね。天気は早朝雨が降ったと思ったら、晴れたり曇ったり、また夕方からは少しぱらついたりと、そう日本では日本海側の天気に似てるところがあるかもしれません。

今日のベルリンフィル定期、昨日マーラーの3番に変更になりましたと言いましたが、行ってみるとまた違っていて、結局前半がブラームスの交響曲第3番、後半がシューマンの交響曲第1番「春」と言う内容でした。本当はハイティンクがハイドンの交響曲第96番「奇蹟」、バルトークの舞踊組曲、そしてブラームスの交響曲第3番と言うプロを振るはずでした。昨日フィルハーモニーの入り口にはマーラーの第3番と言う張り紙がしてあったのはいったいなんだったんでしょうね~。会場での噂によるとハイティンクがキャンセルになって、客のキャンセルを防ぐ所謂情報操作という見方もあるそうです。なるほど一理あると思いました。

さて演奏ですが、まずブラームス。自然な音楽の流れを作りながら、あまり感情過多になることなく、神経の行き届いた素敵な演奏だったと思います。私ならもっと陰影を利かせると思うようなところも、淡々とテンポを運んで行くので物足りなさも残る反面、さわやかな感じのするブラームスでした。後半のシューマン、これがちょっと疑問の残る演奏。彼は「春」を本当に春として捉えているのだと思うんですが、最初から最後までハッピーなんですね。ですから音楽が単調になって、聴いていて少し飽きてきちゃうんです。シューマンの難しさといってもいいのですが、この曲は私に言わせれば「春」ではなくて「春を待ち焦がれる冬」の交響曲なんです。例えば第2楽章、暖炉を囲みながらゆっくり幸せな会話をしているような、何かそういった暖かさを感じるその背後に厳しい冬の寒さがなければならないんだけど、彼のは外で花見してる感じの音楽でした。ほとんどの楽章がそういった音色で弾かれているので、悪くないんだけど・・・・・

地球温暖化で冬の寒さを以前ほど感じなくなったと、こちらの人たちも言っています。確実に1800年代は現在よりかなり寒かったに違いないと思いますが、こういった曲を演奏する場合今はイメージしにくい時代になっているのかもしれません。

シューマンというのは本当に難しい。オーケストレーションの問題もさることながら、曲のイメージと演奏スタイルに言葉では言い表せない関係の何かがあると思っています。それは何でしょう?誰か言葉で表現できる方はいらっしゃいませんか?

アラン・ギルバートもベルリンフィルデヴューでした。

      hakaru matsuoka       松岡究

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2006年2月13日 (月)

ベルリンフィルとデヴューのぺトレンコ

松岡究です。ブログ第1号でお知らせしたとおり、今日はベルリンフィル定期演奏会の報告です。指揮はキリル・ぺトレンコ、ヴァイオリンはクリスチャン・テッツラフ。曲目:バルトークヴァイオリン協奏曲第2番、ラフマニノフ作曲交響曲第2番。

テッツラフでこの曲を聴くのは2度目です。2004年11月、ドイチェ・オパー管が定期で、マルク・アルブレヒトの指揮で聞いて以来になります。今回は前回にもまして、スケールが大きく、自分の言いたいことは全て言い尽くしたといってもいいような演奏。バックのぺトレンコ・ベルリンフィルもとても良い演奏で彼を盛り立てていました。余談になりますが、ドイチェ・オパーはティーレマンが昨年2月に辞任して以来、オーケストラの定期演奏会が開かれなくなってしまいました。辞任の直前ティーレマンは私の大好きな作曲家R・シュトラウスの「ダフネ」と「影のない女」の2作品を2日連続で振って、去って行きました。それはそれはすばらしい演奏で、どうして彼を引き止められなかったのか、かえすがえすも大変残念なことでした。

後半はラフマニノフの2番の交響曲。一言で言って大成功でした。この曲はMY FAVOURITE SYMPHONYナのですが、私のイメージしていることを悉く彼はやってのけたばかりか、「こんなやり方もあるんだ」と言うことも見せてくれました。最初から最後まで、一点の曇りもなく、また歌いきって緊張感にあふれたス晴らし演奏でした。演奏終了後楽員が退席しても、もう一度聴衆から呼び出しを受けたのが、このコンサートがどれほど良かったかを、端的に物語っているでしょう。

それにしても良い曲ですね。僕はまだ一度しかやらせてもらってません。なかなか振る機会に恵まれないのは、どうしてなんでしょう。少し前に、読響とロジェストベンスキーがずたずたにカットしてこの曲をやっていましたが、未だにこの曲に対する不当な見方が専門家の中にもあるようです。カットできるところはないと思うんですがね~。

それにしてもこの若きマエストロ・ぺトレンコのもとで研修させてもらっている私は幸せです。そのことに感謝しつつ今日はこの辺で。

   松岡究   hakaru matsuoka

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2006年2月10日 (金)

ケルン放送交響楽団 ベルリン公演

松岡究です。今日は午後3時くらいから、急に雪が降ってきました。そのせいもあるのでしょうか、客入りは6割程度だったように思います。しかし演奏は期待を裏切らないものでした。まず前半にMagnus Lindbergと言うフィンランドの作曲家のクラリネット協奏曲(ソロはKari Kriikku)後半がラフマニノフの交響曲第2番。指揮はこのオケの首席指揮者セミヨン ビシュコフ。

まず前半のクラリネット協奏曲ですが、ソロのKriikkuに脱帽。空前絶後の腕前の持ち主。繊細な弱音(pを5つくらいつけたくなるような最弱音)からうねりを上げるフォルティッシモまで、こんなにクラリネットが雄弁で多彩な楽器だとは今の今まで気づきませんでした。(恥!)作品もドビュッシーへのインスピレーションがあるようで、大変美しい作品です。皆さん機会があったら、是非この人のクラリネットを聴いてください。

後半はビシュコフのラフマニノフ。彼は暗譜で振っていましたが、全くどこをとっても迷いや曖昧さがなく、堂々とした表現が好感触を生んでいたと思います。珍しく楽章が終わるごとに拍手が入り、聴衆も彼の表現を心から堪能していたようでした。ただオーケストラとしては金管の粗雑さや全体的なアンサンブルの雑な面も結構見えて、ちょっと残念でした。ビシュコフのすばらしい音楽とオーケストラの間に少し距離があるようで、それはいったい何だろうと考えさせられました。

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