4月16日からドイツとウィーンを旅行してます
松岡究です。
4月16日に成田を発ってミュンヘン経由で一路シュトゥットゥガルトへ。ホテルへ午後8時半ころチェックインして、その日はそのまま休みました。翌日はシュトゥットゥガルトが初めてだったこともあり、いろいろ見て回りましたが、中でもルートヴィッヒブルク城の庭園は良かったですね。久しぶりにヨーロッパのスケールの大きさを垣間見た感じがしました。そしてその夜はシュトゥットゥガルト歌劇場で、今読響のシェフのカンブルランの指揮するシェーンベルクの「幸福の手」とヤナーチェクの「運命」の2本立てを見ました。シェーンベルクの主役は日本人の石野繁男さん。実に柔らかい無理のない声で歌い、演技も素晴らしく鬼気迫る感じでよかったですね。後半のヤナーチェクは、合唱のうまさが光って、今まで聞いた歌劇場の中でもこの合唱団はピカイチではないでしょうか!カンブルランはうまくオケをまとめあげていましたが、僕の好みとしてはもう少しドラマとして切り込んで欲しかったところです。
18日からはベルリンに行きました。18日がフライブルクバロックオケ、19日がラトルの指揮するベルリン・フィル、20日がミハエル・シェーンバントの指揮するベルリン・コンサートホールオケ。フライブルクのバロックオケはゴットフリート・フォン・デァ・ゴルツが率いているオケですが、私がベルリンにいるときはなぜか聞く機会に恵まれず、今回初めて聞きました。一言で言うと圧巻!ハイドンの交響曲を2つ(86番と104番「ロンドン」)そしてモーツァルトのクラリネット協奏曲(他にゴルツのヴァイオリンでザロモンのロマンツェ)。クラコンとロンドンは何度かやったことがあるだけに、こんな世界があったのかと改めて音楽のそこの深さを思い知らされた感じでした。ソロを吹いたロレンツォ・コッポラはバセットホルンでもないクラリネットでもない、彼の話によるとモーツァルトが魔笛やティトやコシ、レクイエムを書いた時に使っていたであろう楽器を復元して、あたかも2人の歌手(ソプラノとバリトン)がその中にいるように~彼の言葉によると~作られた楽器を吹いていました。それは夢のように美しい響きで、今まで聞いたことのない音色とピアニッシモ、そして本当にソプラノとバリトンのキャラクターが吹き分けられる技に聞き惚れてしまいました。この演奏を聴いただけでも今回来た甲斐があったというもの!!ロンドンも実に開放感のあるめまぐるしい音の世界を十分に堪能しました。
2日目のベルリン・フィルは最初がルトスラウスキのオーボエとハープのための協奏曲(ジョナサン・ケリーとマリー・ピエール・ラングラメント)、2曲目がカヴァコスをソロに迎えたデュティユーのヴァイオリン協奏曲、そしてベートーヴェンの田園というプロ。
まず最初の2人のソリストのうまさは素晴らしい。特にケリーのオーボエはピアニッシモが美しく、悲しく響いていました(時には激しく)。曲はクラスター的なものとか語法が古臭くてピンとは来なかったけど、2人の旨さは格別。2曲目はちょっと期待はずれ。カヴァコスの鋭いヴァイオリンに期待していたのだけれど、曲が地味でデュティユーの言いたいことはやはりわからなかったまま終わってしまいました。私にとってデュティユーはちょっと悪い意味で遠い存在です。
後半の田園はラトルの持ち味が存分に発揮された怪演(快演)といってもいい演奏。指揮者としてあの楽譜から、ここまで読み取っているのかと頭を下げたくなりました。第2楽章の小川の流れはともかくも小鳥のさえずり、風の音・それになびく草花、本当に描写音楽!パユとマイヤーオッテンザマーの掛け合いは妙手の神業。あっけにとられてワクワク!
あ~本当に来てよかったな、またまたと思えたベルリン2日目でした。
3日目はベルリンコンサートホールオケ。ツェートマイヤーのヴァイオリンで、ブラームスのコンチェルト、それにツァラトゥストラ。最初にアブラハムセンという人が編曲したドビュッシーの「子供の領分」。前日前々日がすごかっただけに、この日はとてもいい演奏なんだけど、「ふ~ん」てな感じになったしまいました。シェーンバントはいい意味で職人気質の人、ある一定の水準は保つんだけど、それ以上のものはないですね。膝の曲げ伸ばしがずごく気になって(勉強になったけど)、音楽がずっしりと安定感のある響きにはならないもどかしさがあって、ずっと表面的に(綺麗ではあるけど)流れてたという感じでした。
今日(21日)は、ハンブルクに移動しました。しかし乗ったICEがベルリンハウプトバーンホフを出て10分も経たないうちに故障。ものすごい音がして列車は急停車。2時間立ち往生の末近くのシュパンダウというところまでなんとか動かして、デュッセルドルフ行きのICEに乗って、それからハノーファーで乗り換えてくれと言われました。そしてそのハノーファーからケルンの方から来たハンブルク行きのICEに乗って計6時間かけて移動しました。事故がなければ1時間45分で着くはずだったんだけど。やっとチェックインして今このブログを書いています。今日はハンブルクでは何もコンサートやオペラを予約してなかったのが不幸中の幸い!
旅にはハプニングがつきものですね。
あすはシモーネ・ヤングの指揮するハンブルク・フィルそして23日からはウィーンに行きます。
hakaru matsuoka
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