2007年1月24日 (水)

タイムスリップが主題の2つの映画

松岡究です。私には忘れられない映画があります。それは「いつか、どこかで」という全く知られていない映画ですが、私が学生時代、池袋の文芸座でお目にかかって以来、ずっと私の心に焼きついたままなのです。

そのストーリーは、ある青年がある日突然タイムスリップして、数十年前に戻ってしまいます。そこはイギリスの避暑地のテニスコートがある有名なホテル。その青年はそこである夫人と恋に陥ってしまいます。その夫人もその青年に恋心を抱き、二人はお互いに引かれ始めるのです。そしてうまく行きかけた矢先に現代に突然戻ってしまうのです。彼は大変傷つき、廃人同様になってしまいますが、ある日そこに老女が現れ、彼が持っているあるもの(なんだか忘れてしまいました)に気付くんです。それは紛れもなく彼女が彼にプレゼントしたものだったんですね。彼女は彼が自分の前から突然姿を消したまま、数十年彼のことを思って生きてきました。そして老女になった現代にそのタイムスリップした青年と再会するわけです。

もう一つ、昨日NHKのBS2で放送されていた「オーロラの彼方に」をみました。これも30年前の自分の父親との無線での交流を元に、過去が良い方向へ変えられながらも、いろんなアクシデントに見舞われながら、家族の愛を確認しあう感動的な作品でした。

こういったあまり有名にならない作品に惹かれているのは、僕だけでしょうか?アクション物やサスペンス、または文芸作品も良いですが、こういった作品も素晴らしいですよ。

    hakaru matsuoka

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2007年1月16日 (火)

地球温暖化

松岡究です。

一昨日車を運転しながらラジオを聞いていましたら、大変興味深いことを耳に挟みました。考古学・地質学は全く進歩する余地の無いものだったそうですが、ちょっと正式な名前は聞き逃してしまいましたが、1年ごとの気候や気温がわかる方法が発見されたそうで、それで長足の進歩を遂げたということなんです。そこで次のようなことが今はわかるということでした。すまり文明が興った時は悉く地球は寒冷だったそうです。反対に地球が温暖になってくる時はそういった文明が滅んだ時期と一致するそうなんです。例えばエジプト文明などの世界4大文明の興った時期と滅亡の時期。ローマ帝国が起こった時期は寒冷でそれが滅んだのは温暖であった等。

産業革命が起こった時期は非常に寒冷だったそうで、ひょっとしたらその産業革命の終焉に当たるのが現在かもしれないということでした。

ただ、地球のCO2の濃度が今まで300ppmを越えた時期は全く無いらしく、今現在地球のCO2濃度は380ppm。後50年もすると1000ppmを超えるかもしれないという今は、考古学的には全く予測できないそうなんですね。

    hakaru matsuoka

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2006年6月30日 (金)

バレンボイムのワークショップ

松岡究です。実は28日に椿姫を見る前に、バレンボイムがベルリンの「ハンス・アイスラー」音楽大学の学生オーケストラを使って、午後3時から6時までワークショップを行いました。5月にはハイティンクがUDK(ベルリン芸術大学)の学生オーケストラを使って、指揮科の学生への指揮のワークショップでしたが、今回のバレンボイムは直接オーケストラを指導すると言うワークショップ。

曲目   ベートーヴェン:レオノーレ序曲第3番

会場はフィルハーモニーのカンマームジークザール。多分800~1000人くらいのキャパシティーだと思います。そこに平日の昼間だと言うのに4・5百人の聴衆が詰め掛けました。

彼が出てくると盛んな拍手。早速曲が始まり途中でフルートがミスったのを機にとめました。ここからかなり長いリハーサルの開始。基本的にはバレンボイムは楽譜に忠実にと言うことをしきりに学生達に注文をつけて、時には怒声になることも。

学生の楽譜の見方の甘さをかなり直していました。例えばフォルテとスフォルツァンドの違いを明瞭にとか、デクレッシェンドの仕方、音程、リズムの取り方だとか、いちいち細かく出来るまで指導するんですね。かなりネチッコイ忍耐力を持っている人です。しかしやはり大事なのは基本なんだと言うことですね。

ひとたび指揮を真剣にやると出てくるオーラが巨大なんですよね。そこが素晴らしい。小ホールということもあってかなり間近で見ることが出来たんですが、何度も鳥肌が立ちました。ベートーヴェンと言う作曲家はバレンボイムにはぴったりです。今まで何度かオペラやコンサートを聴いて、やはり彼にはベートーヴェンとワグナーがぴったりと当てはまるような機がします。彼の音楽性に実に良く合っていると思います。色々賛否両論彼に関してあると思いますが、音楽家として彼はやはり一流だと認めざるを得ませんでした。

      hakaru matsuoka

     

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2006年6月 1日 (木)

コーミッシェオパーの来期

松岡究です。ちょっと遅れましたが、コーミッシェオパーの来期のプレミエを皆さんにお知らせいたします。

2006年9月24日プレミエ

クルト・ワイル:マハゴニー市の興亡

指揮:キリル・ぺトレンコ

演出:アンドレアス・ホモキ

2006年11月5日

ピエランジェロ・ヴァルチノーニ:ピノッキオ(子供向けオペラ)

指揮:アンナ・ゾフィー・ブルーニング

演出:イェツケ・ミンセン

2006年11月25日

モーツァルト:魔笛

指揮:マルクス・ポシュナー

演出:ハンス・ノイエンフェルス

2007年2月4日

オッフェンバック:ホフマン物語

指揮:キンボー・イシイ・エトー

演出:ウィリー・デッカー

2007年4月22日

グルック:タウリスのイフィゲニア

指揮:ポール・グッドウィン

演出:バリー・コスキー

2007年7月1日

レハール:微笑の国

指揮:キリル・ぺトレンコ

演出:ペーター・コンヴィチュニー

以上6本のラインアップです。やはり予算を削られているせいで、来シーズンは6本に押さえられています。いつもは後1・2本プレミエがあるはずです。

その予算のことにも大いに関係してきますが、今書類上というか大本はベルリンの3つの歌劇場は一つになっています。来シーズンまでは現状のまま行くことになっていますが、その先がまだ決まっていません。中には「もうなくなってしまうのではないか」、「大リストラがあってオケも合唱も専属歌手も皆人減らしされるのでは」、「国立歌劇場とドイチェオパーとは役割分担して、コーミッシェは室内オペラやオペレッタのみの小屋になるのでは」等いろんな憶測、考えが噂されています。どうなるんでしょうか?

オーケストラ界は実際にもう昔の西側のベルリン交響楽団が潰れています。今の同名のオケは東側のそれでした。それも来シーズンから改名して、Berliner Konzerthaus Orchesterになります。所謂コンセルトヘボーやゲヴァントハウスと同じような名称ですね。

激動のベルリンです。

   hakaru matsuoka

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2006年5月19日 (金)

アッバードのゲネプロ

松岡究です。今日夜の7時半頃に散歩に出かけました。途中であるベッケライに寄ったら、2つで1ユーロというApfeltasche(日本語に直すとりんごの袋・ポケット)と言う所謂日本で言うところのアップルパイがおいてあって、勿論2つ買うつもりでお願いしたら、「もう店じまいだから」と言うことで3ついただきました。ラッキー!!!

実は今日ベルリンフィルとアッバードのGP(ゲネプロ)を見てきました。ゲネプロとはそう練習と言うか最後の総仕上げのための練習のことを言います。ベルリンフィルはこれを一般公開しているらしく、今回から私もそこに加えていただきました。

曲はシューマンの劇音楽「マンフレード」。俳優の演劇を軸に合唱とソリストが絡んでいきます。まだ仕上げの途中だったようで、前半の2時間半くらいで公開は打ち切りになりましたが、アッバードはかなり円熟味を帯びてきた印象を受けました。音楽が颯爽として明るいのは従来どおりですが、しっとり感が出てきたように思います。

残念ながらこのコンサートは3日間ともあっという間に売り切れて聴くことは出来ません。アッバードはベルリンでは絶大な人気を未だに持っています。

  hakaru matsuoka

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2006年5月11日 (木)

日本における地方の音楽文化3

松岡究です。米子と倉吉での公演も無事に終わり、残すは14日の早稲田フィルの演奏会です。もし良かったら聴きにいらしてください。詳細は明日お知らせします。

今日は鳥取の3回目、鳥取オペラ協会の話です。今まで話してきましたように米子でのミンクス室内オケと米子第九合唱団との活動が着実に成果を出していた頃に、オペラ協会が発足。第1回の公演は演出家の中村敬一氏を中心にピアノ伴奏でのモーツァルトの「コシ・ファン・トゥッテ」だったそうです。勿論今でも中村氏はこの協会の核であり彼なしには何も考えられないと思います。

私がかかわったのは1999年の第2回目の公演からです。出し物はモーツァルトの「フィガロの結婚」。今までの米子や倉吉での活動を評価していただいて、ミンクス共々声を掛けていただいたのが縁でした。それからはフィガロを2回、桂小米朝さんとラクゴペラとして「ドン・ジョバンニ」「魔笛」を、そして先日のコンサートでラターの曲を大変美しく編曲していただいた新倉健氏の「ポラーノの広場」(中村敬一台本)を2回(3回目は昨年10月、福井県鯖江市での国民文化祭にミンクスと客演しました。)、昨年はクリスマスにメノッティの「アマールと夜の訪問者」を、そして今年「コシ・ファン・トゥッテ」をミンクス室内オーケストラと11月4・5日にやることになっています。

特筆すべきは鳥取国民文化祭で新倉さんの「ポラーノの広場」を初演した際、かの有名な片山知事が是非再演を、とオペラ終演後その感動を熱く語ったことでしょうか。そしてそれはすぐに実現されました。

最初にフィガロをやったときはお世辞にもうまいとは言えない状態でした。発声・発音の問題、演技力の問題、どれ一つとしてまともな物はありませんでした。唯一鳥取大学助教授の西岡千秋氏のパワーと演技力に救われました。そんな状態であったこのオペラ協会が年を追うごとにめきめきと(この言い方が一番ぴったり来ると思うのですが)うまくなっていったんですね。私の想像するところでは、計羽氏、中村氏、新倉氏、西岡氏そして各協会員のたゆまぬ情熱がこのようなレベルのアップをもたらしたのだろうと思います。そして嬉しいことにミンクス室内オケは1999年のフィガロ体験が物凄く為になったと見え、それまでとは違った表現力を身につけるに至りました。20世紀と21世紀のミンクスは全くグレードの違うオケに変貌したのです。オペラと言うのは本当にオケにとって一番の良薬なんだとつくづく思ったものです。オケの団員も口をそろえてフィガロが転機だったと言っています。

今年のオペラの練習は中村氏が既に何度か訪れて始まっているようです。私が最初に彼らと絡むのは7月中旬。どういった仕上がりになるか今から楽しみにしています。

     hakaru matsuoka

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2006年5月 9日 (火)

米子・倉吉公演終わりました

松岡究です。無事6日米子公演、7日倉吉公演(アザレア音楽祭オープニング)終了いたしました。6日の公演も悪くはなかったのですが、7日の方が圧倒的にうまく行きました。6日はみんながやはり緊張からか、音楽がやや硬く萎縮している感があったんですね。特に合唱は怒鳴っちゃいけない、発声に注意しなければ等の考えが音楽に集中するのを特に前半妨げた感があったのは、残念でした。しかし7日はその反省から、声の届かせ方をみんなが理解し(ホールが素晴らしい音響であると言うこともそれを助けてくれました)、音楽に集中できたのがいい演奏になった原因ではと思います。2日間本番をやって、思ったことはやはり「100回の練習より1回の本番」、それくらい2日の本番をやることで成長したと思います。勿論しっかり練習をやったからこそこの言葉を言う意義はあります。

もし皆様の中でこの公演をお聴きになった方がいらっしゃいましたら、是非感想をお寄せください。宜しくお願いいたします。

    hakaru matsuoka

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2006年5月 6日 (土)

日本における地方の音楽文化2

松岡究です。私の米子での仕事の大きな柱になっているのが米子第九合唱団です。この合唱団とは1990年に私にとっても初めてであった第九を共演して以来6回の第九(1992・1994・1997・2000・2003年)を、3回のモーツァルトのレクイエム、2回のフォーレのレクイエム、そしてバッハのロ短調ミサ、ヴィヴァルディのグローリアミサ、ヘンデルのメサイアを一緒にやってきました。そして今日その3回目のモーツァルトのレクイエムを演奏します。

今までの発展を考えると、決して平坦な道のりではありませんでした。と言いますのもこの合唱団は公募を旨とする合唱団であるのです。毎回演奏曲目が決まるごとに新聞その他で募集をしなければならないのです。それはこの合唱団が市民参加が大前提であるため、援助をしてくれる企業にとっては特定の合唱団では援助できない等の理由があるためです。第九こそ200人規模で集まりますが、それ以外のときは60~80人で活動をしています。そしてそのメンバーは多少の入れ替えはあっても60~80人のメンバーは固定化されつつあります。それは私にとっては大変都合の良いことで、指導が継続して行いやすい、育てていくと言うことが出来る、と言う利点を生み出しています。そしていまやこの60~80人のメンバーは第九を演奏する時の200人の核になりうべく成長してきました。

また指導者も3人になり、原語指導をする方も優秀な地元の英語の先生が受け持ち、この指導者たちはとりもなおさず全員団員であるのです。いい意味で大変民主的にうまく言っており、これは奇跡的であると言えるのではないでしょうか。

今日の演奏会で実はもう一曲演奏することになっています。ラターのa clare benedictionと言う曲です。これはアンコールとして用意してある曲ですが、私はこの合唱団がもっとまとまっていくために、機会あるごとに気楽に歌える曲があるべきだと思って、この曲を選びました。きっとこの曲はこの合唱団の最初の愛唱歌になると思います。また数年後には必ず演奏することになるであろうラターのレクイエムの取っ掛かりでもあります。

今日そして明日の演奏会がいい演奏会になりますように!!!

     hakaru matsuoka     

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2006年5月 5日 (金)

日本における地方の音楽文化1

松岡究です。今は鳥取県米子市にいます。なぜかと言うと6日に米子市公会堂で、7日は倉吉未来中心でそれぞれ演奏会を指揮するためです。曲目はハイドン交響曲第101番「時計」とモーツァルト「レクイエム」の2曲です。特に米子との縁は深く私の記憶に間違いがなければ、1988年の2月から毎年定期的に米子市を訪れるようになりました。最初の3年は年に一回まだ出来立ての室内オーケストラを指揮する為に、それから色々と縁が出来て、第九を指揮するようになりました。そしてその第九合唱団が第九だけでなく他の作品もやりたいと言うことで、合唱も見ることになりました。それが1996年あたりだったと思います。また鳥取市の方でオペラ協会が出来、それも1999年から指導するようになりました。

このオペラ、そして合唱団のオーケストラを務めているのが最初に私を呼んでくださったミンクス室内管弦楽団です。このオケはこちらの名士で現在鳥取大学医学部特任教授をなさっている吉田明雄さんがずっと主宰しておられて、かれこれ18・9年のお付き合いになります。モーツァルトの有名なシンフォニーは全部数回ずつやっていますし、ベートーヴェンの1~3番もやりました。なぜこんなにも長く続くのか?その答えは簡単です。大変魅力的なんです。一応アマチュアなのに練習が2・3日でOK。そして毎年うまくなっているし音楽の理解力が深くなっていくのを感じ取れるんです。主要メンバーはほとんど入れ替わっていません。これも強みですね。だから指揮するたびにメンバーが音楽的に成長しているのを感じることが出来る。これはある意味指揮者冥利に尽きます。オケにとって、いつもシンフォニーばかり演奏していると柔軟性が養えないと言うか、音楽を見る視点が一方向からに限定されることが多いのですが、幸いにも合唱団と毎年ミサやオラトリオあるいはレクイエムのコンサートをし、また毎年オペラのピット入りをしているところにこのオケの強みがあると思います。皆定職を持ちながら自分たちの演奏会と毎年のアザレア音楽祭のオープニングを飾り、合唱団と共演しオペラのピット入りをする。どうですか?この山陰と言うマイナーなイメージのところにこれだけ素晴らしい活動をしている団体があるんです。そしてその演奏は素晴らしいですよ。

         hakaru matsuoka

P.S

明日はその米子第九合唱団のこと、次は鳥取オペラ協会のことを書きたいと思います。

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2006年4月25日 (火)

拍手

松岡究です。先日ある方から「拍手」のことについてコメントがありました。その方には返事は差し上げたのですが、とても重要なことだと思ったので今日はそのことについて書かせていただきます

先日ベルリンフィルの演奏会でラトルが残念そうな表情を見せたと書きました。それは余りにも拍手のするタイミングが早すぎたんです。「ペレアスとメリザンド」は最後ピアニッシモで終わるのですが、ほとんどの聴衆はその余韻までラトルの動きにあわせて聴き入ろうとしていたわけです。そこに土足で踏み込まれたような感覚を覚えたのは私だけではなかったと思います。いやほとんどの聴衆がそう思いました。確信してそれは言えます。なぜか?私が今まで聴いてきたオペラやコンサートで一度もそういうことはなかった。そして私の周りの人たちが拍手が起こった途端にに「Oh!~」とため息をついて皆が残念がっていたということの2つではっきりそう言いきれるのです。隣の年配のご婦人と目が合った時、首を横に振られていました。

その拍手も一人だけだったら制することは出来たかもしれません。(現にコンサートで変な間に拍手をしようとする人がいると「シー!」と言う声が飛びます。)しかし一人が大きく手を叩き始めるとそれにつられて何人かが拍手をそれも大きくし始めたんです。もう後には戻れないと言うかしょうがないですね。まあ、これが日本人の聴衆がいっぱいいたからといってあれは日本人と決め付けたのはいささか短絡的ではありましたが。このコンサートでは、1幕で誰かわからなかったんですが、フラッシュをたく人もいたんです。それで異例ですがラトルがそれを大変紳士的に舞台から注意するという場面もあったんですね。しかし何度も痛い目にあっている私としては、是非ベルリンの聴衆のいいところを見習ってほしいと思います。勿論変なところもありますよ。演奏中いきなり鼻をチーンとかんだりするのはやめてほしいですけどね。

私の見解を述べさせていただきますと、拍手とは勿論とても大事でしたければ大いにする、したくなかったらしない。でもこの言い方は乱暴すぎるんです。これでは拍手のタイミングをどうとっていいかという疑問には答えていない。だからどうしても消極的になってしまいがちです。コンサートは聴くのが100%ではありません。見ることも大いに大事なことなんです。指揮者の動き、演奏者の体のゆれ、顔の表情等までもがコンサートの醍醐味です。ですから拍手をするタイミングは指揮者が腕を下ろしてから、あるいはヴァイオリニストだったら右手が下に下りてから、ピアニストだったら鍵盤から腕を下ろし顔を上げてから、が拍手するタイミングになるでしょう。曲がピアノやピアニッシモで終わる場合その余韻まで演奏者や指揮者と一緒になって聴こうとすると音楽が立体的あるいはどこか異次元の世界へ音が吸い込まれていくのが一緒に体験できる瞬間です。そして何かをそこに見つけたときピアニッシモで終わる意味がはっきりとわかり、深い感動を覚えることが出来るときなんです。演奏者は自分のイメージを音が消えても頭の中でしっかりと完結させてから素に戻ります。

ということはあのベルリンフィルでの拍手はラトルのイメージが完結する直前に始まったといってもいいでしょう。だから彼と気持ちを一つにして聴いていた大多数の聴衆は残念だったと思います。

     hakaru matsuoka

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2006年4月14日 (金)

ベルリン国立歌劇場の来期

松岡究です。今日国立歌劇場から来期のラインアップを載せた冊子(ほとんど新書本)が送られてきました。それによると来期のプレミエは以下の通りです。

2006年9月2日:The murder from "DEAFMAN GRANCE"   これはアニア・シリアとロバート・ウィルソンによるPerformanceとなっています。それにダニエル・バレンボイム指揮アニア・シリアによるシェーンベルグのモノドラマ「期待」。  3・10日

2006年9月29日:ドニゼッティ:Maria Stuarda      アライン・アルティノーグル指揮、カーステン・ヴィンガンド演出。エリザベッタがカタリーナ・カルネウス、ストゥアルダがエレーナ・モスク。10月3・7・11・15日

2006年12月2日:ブゾーニ:Doktor Faust        ダニエル・バレンボイム指揮、シュテファン・バッハマン演出。ファウストはローマン・トレケル。その他にクリストフ・フィッシェサー、ブルクハルト・フリッツ、カローラ・ヘーン。6・9・12・15日

2007年1月19日:モンテヴェルディ:Marienvesper(聖母マリアの夕べの祈り)  ルネ・ヤーコプス指揮、ルーク・ペルセヴァル演出。これは毎年行われているバロック週間の目玉。21・25・27・日、2月1・3日。他に同じくモンテヴェルディの「オルフェオ」こちらは1月30日・2月2・4・5日

2007年4月29日:マスネ:Manon    ベルトランド・デ・ビリー指揮、ヴィンセント・パターソン演出。アンナはアンナ・ネトレプコ。これは売れきれ必至でしょうね。5月3・6・9・12・16・19日

2007年6月3日:モーツァルト:La Clemenza di Tito     フィリップ・ジョーダン指揮、ニーゲル・ロウェリー演出。ティトはロベルト・ザッカ。7・10・13・16・19・22日

バレンボイムはその他に今年「フェストターゲ」でやった「パルジファル」と「トリスタンとイゾルデ」そして「ボリス・ゴドノフ」を指揮するようです。あと気になるのがハインツ・フリッケが「薔薇の騎士」に登場すること。往年の名指揮者ですからね。なんとなく見てみたい!!それから、来年の「フェストターゲ」はバレンボイムとブーレーズがマーラーの交響曲全曲を半分ずつ振り分けてやることになってるようです。

     hakaru matsuoka

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2006年4月 8日 (土)

グルベローバ リーダーアーベント イン ベルリン 無しよ!

松岡究です。残念無念!!!グルベローバは病気と言うことで、今回のリサイタルは中止。代わってベッリーニの「夢遊病の女」が8時からやられると言うことでした。私はがっかりして、チケットを払い戻してもらって帰ってきました。

グルベローバは昨年の6月だったと思うのですが、ベッリーニの「清教徒」を聴きました。その時は勿論相変わらずの素晴らしさ。完璧なコントロールで楽しませてくれたのですが、たった一箇所、「ギャッ!」と喉声になったのがとても印象に残っているんです。これほどの人もバランスを崩したり、ドイチェオパーは大きいですから、充分に声は通っているのにそれにおびえて頑張ってしまうと、こういったことになるんだと思って大変興味深く聴きました。しかしその後はすぐに立て直して、いつものようにあの完璧さに戻ったのはさすがだとも思いました。

また4年前の4月にリーダーアーべントを同じドイチェオパーで聴きました。このときは家内がデトモルトに文化庁の派遣で留学していた時で、ベルリンに旅行したついでに聞いたんです。このときはリーダー(つまり歌曲)は何だかつまらなくて、水準以上なんだけど面白くなかったんですね。でもアンコールでオペラのアリアを2曲歌った時は、もう水を得た魚!!!あっという間に会場をそのオペラの世界へ誘ってくれました。「あ~、これを聴きたかったんだ」と、会場の皆が思ったような空気になりました。

それにしてもお年もお年ですから、今回のキャンセルで何か尾を引かなければいいんですが。ちょっと心配!

    hakaru matsuoka

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2006年2月16日 (木)

独り言 1

松岡究です。今私が研修しているコーミッシェオパーでは、今月末にプレミエを出す、ヘンデルの「オレスト(Orest)」,4月にプレミエを出す、R・シュトラウス「薔薇の騎士」、3月に再演される「エフネギー・オネーギン」が同時進行で練習が行われています。勿論このほかの演目も練習していますよ。その中で、明日17日にここのオーケストラの定期公演があるんです。私は今そちらの練習に顔を出しているんですが、指揮のPaul McCreeshと言う人がとても素敵な音楽を作っています。メインの曲はベートーヴェンの交響曲第3番「エロイカ」です。私が考えているテンポや表情付けがこんなに似ていると言うか一致する人もいないなあと、一人ほくそえんでいます。このコンサートはまた18日のブログで皆さんにお知らせします。

それからニュースですが、明日からまた3日間ベルリンフィルの定期があるんですが、それに予定されていたベルナルト・ハイティンク氏が急病で、代わってアラン・ギルバートが指揮をすることになりました。ハイティンクは大分高齢になってきているので、ちょっと心配ですね。曲はブラームスの交響曲第3番がマーラーの交響曲第3番に変更になりました。勿論今日聴きに行ってきます。

コンサートばかりこのブログでは書いていますが、そのうちオペラや合唱のことも書きます。例えばコーミッシェオパーの上記3作品、ドイチェオパーのR・シュトラウス「アラベラ」、コルンゴルト「死の都」、シュターツオパーのモンテヴェルディ「ポッペアの戴冠」(ルネ・ヤーコプス指揮)、RIASカンマーコーアの演奏会等、どれに行こうか迷ってしまうような公演ばかりです。

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2006年2月12日 (日)

サイモン ラトルとは

松岡究です。私が本格的に研修し始めたのは去年の4月からですが、その間もない頃、久しぶりと言うか、ベルリンフィル・ラトルを初めて聴きました。以前はバーミンガム響と日本でやったのを聴いていただけですから、今回が初めてといってもいいかもしれません。曲はブリテンの「ピーター・グライムズ」全曲、演奏会形式による上演でした。この演奏を聴いた時にまず演奏会でここまでどうしてできるのかというその完成度の高さと、ベルリンフィルの柔軟で明るい音色に圧倒されたのを昨日のことのように良く覚えています。ステージにはオケと合唱そして歌手が所狭しと動き回り、全員が音楽を楽しんで演奏しているのが、もうすぐに手の届く距離にいる聴衆にようくわかるんですね。

ラトルの弟子で、私がベルリンに来て知り合った(いまはもう友達ですが)キンボー・イシイ=エトウ(彼は次期シーズンからコーミッシェオパーのカペルマイスターになります)に言わせると、「毎回本番で違ったことをやっていて、なおかつそれを楽しんでるんだ」と言うことでした。そうなんです。本当に楽しんでるんですよ。そしてベルリンフィルもラトルがどう出てくるかということを楽しんでいるんですね。「今日はそう来たんなら、俺たちはこう返そう」という会話が成り立っているわけです。勿論高い次元でそうなってるんです。

これこそ指揮者とオーケストラの理想的な姿ではないでしょうか、ね~。その後もストラヴィンスキーの「火の鳥」、シューベルト交響曲第8番「ザ・グレート」、ショスタコーヴィッチ交響曲第1番、マーラー交響曲第4番などを聴きましたが、どれもこれもすばらしくて、「火の鳥」の時なんかはラトルは舞台でもう踊りださんばかりの、インスピレーションにあふれた指揮でした。彼のコンサートを聴くたびに脱帽しています。

このベルリンフィルのコンサート、いったいいくら位で聴けると思いますか?一番高くて(でもこの価格になるのはめったにありませんが)120ユーロ、普段は83ユーロくらいです。一番安い席(合唱席とでも言うべきPODIUM)は8ユーロから、立ち見もその時によって違いますが、7ユーロからです。今ユーロは強くて両替すると147・8円くらいになります。でも一番高くてもこの値段なら皆さんも、何度も足を運びたくなるでしょう?!勿論ベルリンフィルは破格にこちらでも高いんです。他のオーケストラは間違いなくこの半額です。安い席はあまり違いませんけれど。

コンサートやオペラの評のほかにこのようなコラム的なことも書いて行きます。どうぞお楽しみに。

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2006年2月 9日 (木)

ベルリンのコンサートとオペラ

皆様、初めまして。私は指揮者の松岡究と申します。現在、日本とベルリンを行ったり来たりしていますが、ベルリンでは、ローム・ミュージック・ファンデーション(略 ローム財団)の在外研修生としてKomische Oper Berlinで主に勉強させて頂いています。日本で仕事がある場合は、日本に帰国し、仕事をさせていただいております。ローム財団は本当に考え方が私にとりましては涙が出るくらいにすばらしく、「仕事をするのが一番の研修」とのお考えから、日本で仕事がある場合には帰国させていただいています。

今回こうやってブログを始めさせていただいたのは、ベルリンの音楽事情、特にコンサートやオペラの私なりの批評を交えて、皆さんにお伝えしようと言うものです。勿論これは私自身の為でもあります。

ベルリンに派遣になって1年以上が経ちますが、今までのコンサートやオペラのことも皆さんにお伝えしながら、できるだけタイムリーに記事を書いて行きたいと思っています。

どうぞ宜しくお願いいたします。

今回は3月9日までベルリンに滞在します。さしあたって、今日、フィルハーモニーにおきまして、ビシュコフ指揮のケルン放送管弦楽団のコンサートがあります。また明日から3日間、お世話になっているKomische Oper Berlinの音楽監督、キリル・ぺトレンコ氏がベルリンフィルにデヴューします。奇しくも曲目は、ラフマニノフの交響曲第2番。先ずはこの2つのコンサート評からブログを始めたいと思います。

   松岡究(キューちゃん)

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