東京ユニヴァーサルフィルとの飯田市音楽鑑賞教室終了
松岡究です。昨日長野県飯田市を中心として、その周辺の小・中学校を回り、一日3回(1回が1時間)、計15回の本番を大成功裏に終え、自宅に戻ってきました。
その昔、「ここに泉あり」という映画があり、群馬交響楽団の学校廻りの様子をドキュメンタリータッチで描いていました。しかし今も存在するのです。ホールに児童・生徒が来て鑑賞することもありますが、ほとんどは学校を訪ね、その学校の体育館で演奏します。確かに肉体的には大変な仕事ですが、われわれにはそれ以上の御褒美が毎回待っています。それは子供たちの純粋な音楽・演奏に対する反応です。間直にオーケストラを見・聴く子供たちの目は輝いており、また演奏に対する彼らの反応はわれわれに勇気をあたえ、また音楽をないがしろには決して演奏できないというプロ魂を思い起こさせてくれます。
皆さんは意外に思うかもしれませんが、ホールに生徒を集合させて行う教室と体育館でやる教室では、体育館でのコンサートのほうがはるかに質の高い教室になる野は面白いことです。舞台と客席の垣根がなく、そこの空気や雰囲気等を共有しているからでしょうか。
ヨーロッパではクラシック音楽離れが加速度的に進んでおり、コンサートやオペラの観客の8割近くは裕福な老人です。若い人がクラシックを全く聴かなくなってきています。それに気付いた音楽家たちは、やっと様々な(ワークショップやオペラ作りの見学、料金の安い短時間のコンサート等)子供のための鑑賞教室に最近力を入れ始めました。今まではコンサートやオペラを売り込みもせず、ただホールやオペラハウスに客が来るのを待っていただけなのです。怠慢が今の状況を生んだともいえます。
子供たちはわれわれ音楽家にとって次代の観客であり、また同僚でもあります。有形のものばかりに目を向けず、無形のものにこそ人を感動させ、人生を豊かにする何かがあると子供たちに気付いてもらえれば、大変うれしいです。
hakaru matsuoka
| 固定リンク
コメント