ベルリン ムジークフェスト メッツマッハー指揮ベルリンドイツ交響楽団演奏会
松岡究です。昨日から私のアパートではハイツング(暖房)が入り始めました。気温を比較してみますと、東京の約半分の気温です。日本で言うと晩秋あたりの気温かなあ?でも街路樹などはまだちゃんと葉っぱがあります。色付きもまだですし。
曲目 R・シュトラウス:英雄の生涯
E・ヴァレーズ:アメリクス(アメリカズ)
いよいよ、メッツマッハーの音楽監督の時代が始まりました。彼は若いころはアンサンブル・モデルンのピアニスト兼指揮者でしたし、今までの彼の足跡を見ても現代作品で名を売ってきた鬼才です。ですから現代作品に対しては圧倒的な自信があるのでしょう。普通の指揮者なら、この曲の順番は逆でしょう。しかしヴァレーズをメインとして聴かせたいという彼の姿勢・考えは今日聴いて大変納得の行くものでした。
まず「英雄の生涯」は驚くほど正攻法の音楽で、「オレだってこんなにやれる」と言う自信みたいなものが漲っており、見事な演奏でした。冒頭の主題も過度に力まず、むしろしなやかに奏で、終曲に至るまで緊張感溢れる指揮で、鋭敏な感覚を持った彼のスタイルはとても好感が持てるものでした。前任のケント・ナガノは「静」の音楽でしたが、彼は全く正反対の「動」の音楽であり、ある意味でエンターテインメントをわきまえた指揮者です。
後半のヴァレーズ。25分くらいの演奏時間でしたが、私の視界に入っただけでも30人近くが曲の途中で席を立ちました。しかし大半の聴衆はこの作品の巨大なエネルギーに感銘を受けたようです。メッツマッハーは自信を持ってこの作品を振っており、その自信から来る作品の深い読みの結果が今回の成功を勝ち得たのだと思います。
彼のプログラミングは近現代の作品が主流で、例えば来月にはプフィッツナーの「Deutscher Seele(ドイツ魂)」と言う曲が演奏されます。私は残念ながら聴けないのですが、埋もれた近現代の作品に光を当てようとする姿勢がこれからベルリンの聴衆にどう受け入れられていくか興味のあるところです。ナガノもかなり現代曲を取り上げていましたが、現代曲を堂々とメインに据えるようなプログラミングはしていませんでした。
これからのメッツマッハー・ベルリンドイツ交響楽団の動向は大変注目されるところでしょう。まずは成功裡に発進したと言うところでしょうか。
hakaru matsuoka
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