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2007年9月28日 (金)

ネーメ・ヤルヴィ指揮ベルリンフィル

松岡究です。今日は気温は全く上がらず、おまけに夕方6時くらいから冷たい雨になってしまいました。3日前までの暖かさはもう戻ってこないのかなあ。

今日のベルリンフィルのコンサートは、3年前にベルリンに来てちょうど50回目のコンサートでした。個人差はありますが、確実に2回生まれ変わった位の回数を聴いたと思います。ありがたいことです。

曲目   バルトーク:ピアノ協奏曲第3番

      ハンス・ロット:交響曲第1番ホ長調

  ピアノ:エレーヌ・グリモー

  指揮:ネーメ・ヤルヴィ

グリモーは今月2回目。以前にもベルリンで聴きましたから今日聴くのは3回目でしたが、今日の演奏が一番良かったと思います(1回目は確かシューマン、2回目がベートーヴェンの4番)。最初から最後まで、ピアノの音はくっきりと冴え渡り、特に第2楽章では、ヤルヴィのサポートもよく、実に美しい音楽を奏でていました。前2回はフォルテになると必ずオケに埋没してしまっていたのですが、今回は全くそういうことはありませんでした。これはヤルヴィの手腕にも大きく関わっていることだと思います。

後半のハンス・ロットの交響曲。こんなに純真無垢で、尚且つ素晴らしい音楽があったのかと驚きを禁じ得ません。今日の演奏そしてこの曲を聴いていると、自分の10代の頃が思い出されて、胸がきゅんとなりました(そういう音楽なのです)。第1楽章の冒頭、トランペットで柔らかに歌われる第1主題は、まさに青春といった言葉がぴったりです。そしてその主題を使って展開していくオーケストレーションも素晴らしいものでした。第3楽章などは思わず会場から「ブラーヴィ」の声が漏れ聞こえてきたほど、素晴らしい躍動感ある演奏でした。ヤルヴィはこの曲の真価を余すところなく伝え、55分にも及ぶこの交響曲のベルリンフィル初演を、高い品質の演奏で飾ったと思います。この曲は多分これから数多ある交響曲の中で、かなりの地位を獲得していくのではないかと思われます。

わずか26歳で夭逝したこの作曲家を惜しむとともに、また逆に、こんなに純真な魂の持ち主は、現世の荒波には耐えられなかったのではと、勝手に想像してしまいました。

   hakaru matsuoka

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2007年9月27日 (木)

ライプツィッヒ ゲヴァントハウス管弦楽団演奏会

松岡究です。昨日からベルリンは寒いベルリンに戻りました。でも今日はちょっと寒さは和らいでいましたが。

曲目   シベリウス :交響詩「タピオラ」

      シベリウス:ヴァイオリン協奏曲ニ短調

      ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調「英雄」

  ヴァイオリン:ジュリアン・ラクリン

  指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット

会場は7~8割くらいの入りでしょうか。指揮のブロムシュテットも今年80歳だそうです。マズアもそうですから、時の流れは速いものです。シベリウスはブロムシュテットのお得意としている作曲家といわれています。しかしながら私にはそうは思えないのです。今回もちゃんと音にはしているんだけど、何が言いたいのか今ひとつ伝わってきません。シベリウスは、例えば2番の交響曲までの愛国心に満ちた感動的な部分と、3番以降に見られるように自然や神秘(色々な伝説や物語等も含めて)を歌い上げ、そして例えば4番のように精神的・内向的な面を持つ作曲家だと思っているのですが、ブロムシュテットの演奏はそのどれにも属さないと思えるのです。

ラクリンのヴァイオリンは大変美しく、決して大きな音ではありませんが伸びやかな抒情があります。またどちらかといえば明るい音色で、かつしっとり感もあり稀有の才能でしょう。第1楽章冒頭の美しさは例えようもなく、また2楽章の叙情性や3楽章の躍動感も素晴らしいものでした。ただブロムシュテットの音楽が合わせに重きを置いているため、この曲の表現としての方向性があまり感じられませんでした。

最後の「英雄」。これはとてもいい演奏だったと思います。引き締まったテンポ感と表現はとても80歳とは思えません。オケもその速いテンポを見事に弾ききり、素晴らしいアンサンブルを聴かせてくれました。ブロムシュテットの音楽はこの曲に限らず、ほとんどアゴーギクの幅がないのが特徴です。ですから時に単調になって聴こえてくるところもあり、それがいささか残念でした。しかし彼の息の音が会場中に響き渡り、気合が入っているのはいいのですが、それがまた聴いている人の集中を妨げたこともまた残念でした。

   hakaru matsuoka

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2007年9月25日 (火)

ベルリンドイツ交響楽団演奏会

松岡究です。今日も暑い?一日でした。最高気温が25度まで達したようです。しかしまた明日から寒いベルリンに戻るようです。

曲目   ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲

      ルトスラウスキ:オーケストラのための協奏曲

      ブラームス:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調

  ピアノ:ピーター・ゼルキン

 指揮:インゴ・メッツマッハー

最初のハイドン・ヴァリエーションは何ともミスマッチな選曲でした。最初の木管の主題提示はちっとも美しくなく、アンサンブルもばらけていて、何よりメッツマッハーの音楽語法では対処し切れません。この曲は本当に指揮者にとっては晦渋で、彼はどうしてこの曲をやってしまったのでしょうか。これじゃ評価を下げるためにやったようなものです。2曲目のルトスラウスキは、水を得た魚のよう。オケも勿論メッツマッハーも生き生きとして、先ほどとは雲泥の差。彼は例えばブーレーズがワグナーとマーラー以降の作品にレパートリーを絞っているように、メッツマッハーもブラームスなんかやるのはやめて、20世紀と現代物を中心にやって行ったほうがいいのではないかと思いました。

後半の協奏曲。ゼルキンももう60歳です。しかし風貌は若いころのままでちょっとびっくり。そのゼルキンがオーソドックスに真摯にブラームスの内面を語ろうとしているのに、メッツマッハーの音楽はうわべをなぞるだけで、ブラームスの陰影や重厚さ、暖かい情感など何にもありません。ですからピアノとオケがちぐはぐで、ゼルキンがかわいそう。6月に聴いたバレンボイムとラトルの演奏が素晴らしかっただけに、かなり聴き劣りしました。

今日も客の入りは5割程度、音楽監督就任早々の演奏会、前回のマーラー4番、そして今回と客の入りは細る一方です。また最初の演奏会の「英雄の生涯」から比べると、かなり今日はアンサンブルが雑で、この先どうなるのでしょうか。多分今シーズンが終わるころには、メッツマッハーとベルリンドイツ響の未来は決まるような気がしてきました。

ちょっとデクレッシェンドの方向に行ってると思います。

   hakaru matsuoka

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2007年9月24日 (月)

ベルリンコーミッシェオパー J・シュトラウス「こうもり」プレミエ

松岡究です。今日は一段と暑い日になって、ベルリンも夏が戻ってきたかのようでした。勿論早朝・夜は冷え込みますが、それもとても気持ちのいい感じです。

演目  J・シュトラウス「こうもり」プレミエ

  ロザリンデ:グン-ブリット・バルグミン

  アインシュタイン:クラウス・クトラー

  オルロフスキー:カロリーナ・グモシュ

  アルフレード:クリストフ・シュペート  他

指揮:マルクス・ポシュナー

演出:アンドレアス・ホモキ

コーミッシェ・オパーでは、クプファーの演出で、「こうもり」を先シーズンの7月まで上演していました。エレベーターのある大変有名な舞台で、ベルリン子は良くこの演出を知っています。7月までその名高い演出でやられていたところに、新シーズンの幕開けに新しい「こうもり」を持って来たのは、ホモキの強い意欲の表れだと思います。

今回のホモキの演出も、東京「フィガロ」、ベルリン「薔薇の騎士」の流れを強く感じさせました。舞台は急勾配の八百屋舞台。そして休憩を挟んだ2幕後半から、その舞台上では家具類が斜めになったり、ベッドがひっくり返ったりと、貴族社会の風刺・皮肉が大前提になっています。この歪な社会をまず皮肉ることこそホモキには必要で、それはヨーロッパの今尚根底に流れる貧富の差や、色んな格差を皮肉っているようです。登場人物の動かし方は、彼一流の天才的なものがあり、休憩後は幾分だらけたものの、大変楽しめる舞台でした。

ポシュナーは最初は力みすぎて、序曲は空回り。(1年前のムジークフェストでウェルザー・メストがクリーブランド管とやったこうもり序曲は最高でした。彼が小沢さんの後釜になるのはうなずける話です。)しかしそれ以後は極めて快調に飛ばしていました。

カーテンコールでは、ホモキに対してブラボーとブーイングの嵐の中、この舞台が練られて本当にいい舞台になることを願いました。

   hakaru matsuoka

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2007年9月23日 (日)

ラトル指揮ベルリンフィルハーモニー管弦楽団定期公演

松岡究です。昨日のラトル・ベルリンフィルの模様は、EMIミュージック・ジャパンのラトルのホームページの方に寄稿させていただきました。今確認しましたが、アップされておりますので、どうぞそちらをご覧下さい。宜しくお願いいたします。

http://www.toshiba-emi.co.jp/classic/rattle/review/

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2007年9月21日 (金)

マズア指揮フランス国立管弦楽団ベルリン公演

松岡究です。今日は快晴の一日でした。日差しを浴びるとまだ太陽の力が強くて、「あ~まだ冬じゃないんだ」って思ってしまいました。9月の太陽はまだ強いですね。今週末あたりはもう少し暖かくなる予報が出ていました。

曲目   ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調作品19

      ブルックナー:交響曲第7番ホ長調

   ピアノ:ダヴィッド・フレイ

   指揮:クルト・マズア

会場はコンチェルトハウスで、超満員の盛況ぶり。舞台はいつもは大きなシャンデリアが照らしているんですけど、今日はシャンデリアは消して、普通の照明を使ってやっていました。この方が私も良いと思います。ベルリンシュターツカペレとか、コンチェルトハウスオケはシャンデリアの照明でやってるんですが、かなり暗くて見辛いです。今日は舞台がすっきり見えました。この方がずっといいですね。

ピアノのフレイはまだ26歳の新人ですが、とても瑞々しい音を持ったハンサムなピアニスト。きっとこれから人気が出て、売れっ子になっていくんではないでしょうか。マズアのサポートもフランスのオケのちょっと明るめの音色の中にドイツ風の柔らかいニュアンスを出していて、このベートーヴェンの最初のコンチェルトにはとても似合った演奏になりました。アンコールではシューマンの「子供の情景」の第1曲を弾いたんですが、ここでまたもや携帯が鳴りました。どうなってるんでしょうね?マナーは地に落ちたかな。

後半のブルックナーは、うるさくなく、また重厚でもない、何と言うか爽やかな感じの音楽になりました。マズアというドイツの巨匠とフランスのオケが演奏するブルックナーは、形こそ大変オーソドックスですが、その聴こえてくる音色と感じはアルプスと言うより草原と言うに相応しく、教会というより地中海に見えるような白い家並といった感じでしょうか。しかし素敵な演奏だったと思います。ただ2楽章でシンバルが落っこちてしまいました。シンバルはその一発のためだけに舞台にいるので、彼?(見えなかったので)はただ舞台に座っていただけの人になってしまいました。また2楽章の最初でも携帯がなり、マズアがawwww・・・と思わず声を出していました。何とかならないですかね、携帯。

ドイツの指揮界は今やマズアが巨匠中の巨匠でしょう。彼は今年80歳ですが、かくしゃくとしています。ヴァントもクライバーもいなくなり、サヴァリッシュやシュタインは引退状態と言う現在、曲が終わった途端に皆が一斉にスタンディングオベイションになったのも、ドイツ人が彼を宝として思っているのではないかと、大変敬意を払っているのではないかと思わずにはいられませんでした。

   hakaru matsuoka

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2007年9月19日 (水)

メッツマッハー指揮ベルリンドイツ交響楽団演奏会

松岡究です。今日はまた寒くなりました。雨が降って気温が上がらず、ずっと10度前後だったようです。ダウンのコートを出そうかどうか本当に迷います。

曲目    ヘルムート・エーリンク:青い海

       マーラー:交響曲第4番ト長調「大いなる喜びへの賛歌」

   トランペット:ウィリアム・フォアマン

   エレクトリックギター:イェルグ・ヴィルケンドルフ

   ソロ:テルツ少年合唱団団員

  指揮:インゴ・メッツマッハー

最初のエーリンクの作品は、最後の方にシューベルトの「さすらい人」が引用されていると言うことで、最初にハンス・ホッターの歌う「さすらい人」の録音が流れた後、メッツマッハーによって作品が紹介され、曲が始められるという異例の形が取られました。エーリンクは会場にも来ていましたが、その曲のほとんどは幼い頃の体験が下になっているということで、今回のこの曲もそうだそうです。そして彼は耳の不自由な両親の下に生まれ、作曲家になったということでした。またそのことから、プログラムにはベルリンで行方不明になった子供の情報提供を写真・名前入りで求めるなど、社会的な側面に音楽も参加しようと言う、多分メッツマッハーの意欲が現れていると思いました。

曲は、トランペットの半分楽器の音と自分の声を同時に出す奏法で非常にミステリアスに始まりました。後半からは、ボーイソプラノがシューベルトの「さすらい人」を所謂不安を表すようなオーケストラのトーンの中で素晴らしい歌を聴かせてくれました。10歳くらいでしょうか、彼は曲の途中で何度か音叉を鳴らして音をとり、歌っていくのです。その声はまさに何か救いを求める子供達を代弁していたのでしょう。

後半は、マーラーの第4交響曲。ここでもメッツマッハーはボーイソプラノ(違う子供でした)を4楽章で使っていました。演奏は柔らかいトーンが基調になったいい演奏で、彼の力は現代音楽だけではないのだ、と言うことをはっきりわからせてくれました。とても品が良く、うるさくなく、この作品の美しさを充分表現していたと思います。(1楽章でクラリネットが1小節は早く飛び出したり、フルートがあわや落ちそうになったりと事故はいくつかありましたが)

ただ客の入りがどう見ても6割に到達してなく、彼のプログラミングではこれからの客足が伸びるのかちょっと心配になりました。前任のケント・ナガノはほぼ一杯にしていただけに、頑張って欲しいものです。

    hakaru matsuoka

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2007年9月18日 (火)

ベルリン国立歌劇場管弦楽団演奏会

松岡究です。今日のベルリンは久しぶりに暖かくて、日中は汗ばむくらいでした。気温も23~4度あったようです。しかし予報では明日からまた寒い日になるらしく、明日は最高が16度、最低が9度の予報です。日本はまた熱帯夜になったとか。考えられません。

曲目   アイヴス:「ロバート・ブラウニング」序曲

      バルトーク:ピアノ協奏曲第1番

      ベートーヴェン:交響曲第7番

  ピアノ:ダニエル・バレンボイム

  指揮:グスタヴォ・ドゥダメル

今話題の若手指揮者・ドゥダメルの登場とバレンボイムがピアノを弾くという2つの話題で、会場(コンツェルトハウス)は満席。1曲目のアイヴスの作品。はっきり言って何を言いたいのかさっぱりわかりません。序曲なのに?25分も演奏時間が有り、聴いているうちに辟易してきました。もうちょっとましな作品があると思うんですけど。

2曲目のバルトークの1番の協奏曲もめったに演奏されない曲です。これも聴いていてそのメッセージを感じるのには至りませんでした。ドゥダメルの棒は確実で、バレンボイムにぴったりと着いていき、バレンボイムもそれなりに弾いてはいるのですが、曲が何を言っているのかわからないままでした。

最後のベートーヴェンの7番。これは面白かったです。ちょうど30数年前にムーティとウィーンフィルが来て、ウィーンフィルがきりきり舞いになって弾いていたことを思い出しながら聴いていました。まさにシュターツカペレはドゥダメルにきりきり舞いさせられていました(笑)。また「中南米のラテン人はこのようにベートーヴェンを感じているのか」と興味津々でした。1・3・4楽章は思ったとおり速いテンポで颯爽と音楽を作っていました。特に4楽章は今まで聴いた中でも最も早い4楽章でした。作品の持つ神々しさ・気品・格調等は10年後20年後に譲るとして、彼が今もてはやされている理由がはっきりと良くわかります。物怖じしないで堂々と自分の音楽を主張していくのは清清しく、見ていてうらやましい限り。かといってPやPPが無いのではなく、そのところもちゃんと心得ているところも若いのに立派です。来年のベルリンフィルのヴァルト・ビューネが彼の指揮だそうです。多分何かしでかしてくれるんじゃないでしょうか。

   hakaru matsuoka

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2007年9月17日 (月)

ムジークフェスト ベルリン ラトル指揮ベルリンフィルハーモニー管弦楽団演奏会

松岡究です。ムジークフェスト ベルリンも今日が最終日。16時からラトル・ベルリンフィルが、20時からドゥダメル指揮ベルリンシュターツカペレが演奏会をやり、この音楽祭は終わります。

ベルリンフィルの模様はEMIミュージック・ジャパンさんのほうに寄稿しております。今回はゲネプロ、1日目、そして3日目の模様を寄稿させていただきました。順次掲載される予定です。どうぞそちらをご覧下さい。

http://www.toshiba-emi.co.jp/classic/rattle/review/

ドゥダメル・ベルリンシュターツカペレは明日17日に場所を代えて、同じプログラムでコンチェルトハウスで,定期演奏会として行われます。そちらを聴きに行きますので、明日またブログに掲載いたします。

     hakaru matsuoka

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2007年9月14日 (金)

ムジークフェスト ベルリン ルイージ指揮ドレスデン国立歌劇場管弦楽団演奏会

松岡究です。今日はコンサートが終わってから、このブログを通じて知り合いになった泉部さんとご一緒に食事をし、色々な楽しい音楽談義をしました。泉部さんどうもありがとうございました。

曲目   ヴァレーズ:アルカナ

      ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番ト長調

      R・シュトラウス:アルプス交響曲

  ピアノ:エレーヌ・グリモー

  指揮:ファビオ・ルイージ

今日は人気を読んでかどうか知りませんが、ポディウム席まで埋め尽くされるような人気ぶり。ポディウム席(オーケストラの後ろの舞台上の席または合唱席)はベルリンフィルがラトルやアッバード、ティーレマン、小沢さんとやるとき以外は売りに出ません。つまりそれくらい人気が高かったと言うことでしょう。確かにルイージは才能ある指揮者です。私は今日初めて彼の指揮を見ましたが、テクニックは申し分なくまたとても現代的なスタイルを持った指揮者です。巷で言うようなオーソドックスと言う印象は全く受けませんでした。ただヴァレーズもベートーヴェンもシュトラウスも共通して言えることは、才能はあるんだけど、やりたいことが多すぎるのか饒舌すぎてうるさい印象を持ちました。ピアノやピアニッシモには見るべきところはたくさんありましたが、フォルテやフォルティッシモになるとうるさくて通り一遍な音しか聞えてきません。ドレスデン国立管の燻し銀の音はどこにもなく、正直言って辟易しました。どうしてベートーヴェンの協奏曲では14型もいるのでしょうか?第1楽章などはオケがうるさくて、折角のグリモーの繊細な音楽がすぐにオーケストラによって(ルイージによって)塗りつぶされてしまいました。第2・3楽章ではそういったことは少しなくなりましたが、それにしても元気一杯!?の音楽。ラトルと比較しては失礼ですが、ラトルはフォルテやフォルティッシモでもバランス感覚があり、決して一色ではなく、また懐が深いのですが、ルイージはとてもそのレベルではありません。

期待して行っただけに余計に残念でした。まだ若いのかなあ?

と言うわけで、グリモーはルイージとは全く合わないように聞えました。彼女の繊細な音はむしろオーケストラよりはソロや室内楽に向いているように思います。ピアノ・ピアニッシモは彼女の世界を持っていますが、オーケストラと張り合う時のフォルテは並みの演奏家でしかなく聞えます。せめて今日はオーケストラの人員を10型ないし8型くらいまで落としてやってほしかったです。

         hakaru matsuoka

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2007年9月13日 (木)

ムジークフェスト ベルリン デュトア指揮フィルハーモニア管弦楽団演奏会

松岡究です。安部首相が辞任したと言うニュースが、こちらにも入ってきました。どうなるんでしょうか、日本は?

曲目   ドビュッシー:遊戯

      ショーソン:愛と海の詩

      ドビュッシー:管弦楽のための「映像」

              1:ジーグ

              2:イベリア

              3:春のロンド

      ラヴェル:ラ・ヴァルス

  ソプラノ:ヴェロニク・ジェンス

  指揮:シャルル・デュトア

フランス音楽を堪能した一夜でした。「こんなにフランス音楽って楽しかったの?」と言うくらい充実した演奏会でした。昨日ヤノフスキで聴いたドビュッシーの「カンマ」は折り目正しく、ちょっとしかめっ面の音楽だったのが、今日のドビュッシーは2曲とも、色彩豊かで音楽が息づいていて、オーケストラも楽しそう。後半のデュトアの登場のときはオーケストラも一緒になって拍手してました。

ソプラノのジェンスは、前半の「海の花」の時は、まだ温まっていなかったのか、それとも集中力を欠いたのかヴィブラートがきつくて、少しがっかり。もうちょっと繊細な歌が聴きたかったですね。しかし後半の「愛の死」の時にはかなり改善されていました。ショーソンの交響曲は私の「My favorite Simphony」です。絵に例えるといつもバックグラウンドが柔らかい夕焼けと言うか黄昏の色合いを持っている作曲家だと思います。ジェンスよりもデュトアの音楽作りのほうが見事でした。

最後の「ラ・ヴァルス」は圧巻の一言。デュトアの十八番だけあって、縦横無尽、才気煥発。こんな面白い「ラ・ヴァルス」は初めて聴きました。フランス物にかけては、デュトアは今や世界最高峰でしょうね。

   hakaru matsuoka

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2007年9月12日 (水)

ベルリン ムジークフェスト ヤノフスキ指揮ベルリン放送交響楽団

松岡究です。毎日寒い日が続きます。8月31日から始まったムジークフェストも終盤に差し掛かってきました。今度の日曜で終わるのですが、その日はラトル・ベルリンフィルが16時から、ドゥダメル・ベルリン国立歌劇場管が20時からとなっています。ダブルヘッダーを聴く人はいるのでしょうか?

曲目   ドビュッシー:カンマ

      ブゾーニ:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品35a

      シベリウス:交響曲第4番イ短調作品63

  ヴァイオリン:フランク・ペーター・ツィメルマン

  指揮:マレク・ヤノフスキ

大変地味な曲が並んだ演奏会。日本ではこうは行かないでしょう。客の入りは7割ほど。しかし演奏会の質としては大変高いものだったと思います。それはまずヤノフスキの力によるところが大きいですね。指揮者としてこのような選曲は大変な自信と確信がなければ出来ないはずです。最初のドビュッシーの「カンマ」は20分ほどの得体の知れない曲ですが、ヤノフスキは全く聴く人を飽きさせず、静謐なうちに曲を終えました。次のブゾーニの協奏曲。先日聴いたラトル・ベルリンフィルのサラバンドとは全く趣を異にした明るい曲でした。ツィメルマンのヴァイオリンも気品があって素晴らしく、ヤノフスキもそれに応えるがごとく素晴らしい演奏。でも素晴らしかったのだけど、「この曲のどこが良いの?」という疑問は疑問のまま残りました。それよりもアンコールで演奏したバッハの無伴奏パルティータが素晴らしいできばえ。ツィメルマンの気品と歌心が見事に一致した名演。彼も素晴らしいヴァイオリニストに成長してきました。

休憩を挟んでシベリウスの4番の交響曲。やはりツィメルマン目当ての客は帰ってしまったようで、ちょっとお客さんが少なくなったかなあという感じ。しかしながら演奏は立派なもの。ヤノフスキはこの曲を暗譜で振り、オーケストラから燻し銀のようなサウンドを引き出していました。特に3楽章はオーケストラもヤノフスキも渾身の演奏。

でも一言!ヤノフスキの演奏はいつももう一つ心の奥に響いてこないんだなあ、どうしてだろう。本当に形は良く出来ていてある意味では非の打ち所がない演奏なのに。

   hakaru matsuoka

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2007年9月10日 (月)

ベルリン ムジークフェスト メッツマッハー指揮ベルリンドイツ交響楽団演奏会

松岡究です。昨日から私のアパートではハイツング(暖房)が入り始めました。気温を比較してみますと、東京の約半分の気温です。日本で言うと晩秋あたりの気温かなあ?でも街路樹などはまだちゃんと葉っぱがあります。色付きもまだですし。

曲目  R・シュトラウス:英雄の生涯

     E・ヴァレーズ:アメリクス(アメリカズ)

いよいよ、メッツマッハーの音楽監督の時代が始まりました。彼は若いころはアンサンブル・モデルンのピアニスト兼指揮者でしたし、今までの彼の足跡を見ても現代作品で名を売ってきた鬼才です。ですから現代作品に対しては圧倒的な自信があるのでしょう。普通の指揮者なら、この曲の順番は逆でしょう。しかしヴァレーズをメインとして聴かせたいという彼の姿勢・考えは今日聴いて大変納得の行くものでした。

まず「英雄の生涯」は驚くほど正攻法の音楽で、「オレだってこんなにやれる」と言う自信みたいなものが漲っており、見事な演奏でした。冒頭の主題も過度に力まず、むしろしなやかに奏で、終曲に至るまで緊張感溢れる指揮で、鋭敏な感覚を持った彼のスタイルはとても好感が持てるものでした。前任のケント・ナガノは「静」の音楽でしたが、彼は全く正反対の「動」の音楽であり、ある意味でエンターテインメントをわきまえた指揮者です。

後半のヴァレーズ。25分くらいの演奏時間でしたが、私の視界に入っただけでも30人近くが曲の途中で席を立ちました。しかし大半の聴衆はこの作品の巨大なエネルギーに感銘を受けたようです。メッツマッハーは自信を持ってこの作品を振っており、その自信から来る作品の深い読みの結果が今回の成功を勝ち得たのだと思います。

彼のプログラミングは近現代の作品が主流で、例えば来月にはプフィッツナーの「Deutscher Seele(ドイツ魂)」と言う曲が演奏されます。私は残念ながら聴けないのですが、埋もれた近現代の作品に光を当てようとする姿勢がこれからベルリンの聴衆にどう受け入れられていくか興味のあるところです。ナガノもかなり現代曲を取り上げていましたが、現代曲を堂々とメインに据えるようなプログラミングはしていませんでした。

これからのメッツマッハー・ベルリンドイツ交響楽団の動向は大変注目されるところでしょう。まずは成功裡に発進したと言うところでしょうか。

   hakaru matsuoka

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2007年9月 7日 (金)

ベルリンムジークフェスト ラトル・ベルリンフィル演奏会

松岡究です。毎日寒い日が続いています。日本はどうなのでしょうか?さて今回のラトル・ベルリンフィルについてはEMIミュージック・ジャパンのホームページの方に寄稿させていただいています。どうぞそちらをご覧下さい。

http://www.toshiba-emi.co.jp/classic/rattle/review/

hakaru matsuoka

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2007年9月 6日 (木)

ベルリンムジークフェスト2007 サンフランシスコ交響楽団演奏会

松岡究です。いやはや本当に寒い。最低気温は8度ですって。巷の人々はほとんど皮のコートやジャンバー、あるいは襟巻きをしてます。あまりの落差にびっくり!

曲目   チャールズ・アイヴス:交響曲第3番「キャンプ・ミーティング」

      マーラー:交響曲第7番ホ短調「夜の歌」

指揮   マイケル・ティルソン・トーマス

前半のアイヴスの交響曲は初めて聴く曲でしたが、しっかりと調性のある音楽。ところどころコープランド風なメロディーも顔をのぞかせていて、耳には結構優しい音楽。ティルソン・トーマスの体質には良く合ってるんじゃないでしょうか。大変すっきりした全く滞りのない演奏。

後半のマーラー。4月にバレンボイムの極め付けとはまるで違う、「え、これ本当にマーラー?」と思わず言ってみたくなるような演奏でした。冒頭の運命的リズムの後にトロンボーンがソロで第1主題を吹くのですが、「うまい!でもめちゃ明るいやんけ~」と思ってしまいました。アイヴスと同じく全く滞りの無い、いい意味で明晰で明るいアプローチはこの指揮者の特色です。しかしアイヴスは良くてもマーラーでは首を傾げざるを得ませんでした。マーラーの音楽は、例えば日向にいても影の方を意識せざるを得ないような、あるいは影の方がうんと目だってしまうような性格を持っていると思います。それが全く影が無いのです。2年前に彼がベルリンフィルに客演した時にチャイコフスキーの「マンフレッド交響曲」をやりましたが、イタリアの海で日向ぼっこしてるようなチャイコフスキーだったことを思い出しました。リズムは明るく軽く、歌には粘りやうねりは全く無い「夜の歌」ならぬ「昼の歌」でした。3楽章のレントラーなど初めの内は全くどういった形式かわからないくらい違う曲になっていました。よく言えば非常に洒落ている3拍子の音楽なんです。どこにも土着性や泥臭さは無く、あっけに取られてしまいました。2・4・5楽章などは、まるで映画音楽。

でもこんな風にマーラーを料理しちゃうのは彼の才能でしょう。学生のころストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」を聴いてなんて素敵な指揮者だろうと思ったことがあります。

しかし、聴衆がブラボーを叫ぶ中、私はカーテンコールはせずにすぐ帰路につかせていただきました。悪しからず!

   hakaru matsuoka

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2007年9月 5日 (水)

ベルリンに戻りました

松岡究です。昨日ベルリンに戻りました。こちらは寒いです。明らかに日本とは10度違います。早速長袖にセーターを着ております。

例によって機内での映画と本の紹介。

まず、「オーシャンズ13」これはジョージ・クルーニーとブラピが主演している映画で、悪役がアルパチーノ。吹き替えで見たんですけど、その吹き替えがちょっと退屈。しかしストーリーは面白くて、その吹き替えの退屈さに慣れてきたら結構楽しめました。2本目は中国映画の「女帝」。夏・殷・周・春秋戦国時代・秦・前漢・新・後漢・三国時代・隋・唐・五大十国・北宋・南宋・元・明・清・中華民国・中華人民共和国時代。高校時代に覚えた中国の王朝の変遷ですが(間違ってるかもしれません!)、その五大十国時代の物語です。人間が誰も信じられなくなるとどうなるか、と言うのがテーマだったのでしょうか。面白かったですし、映像も綺麗でした。もう1本、ニコラス・ケイジの「ネクスト」。2分先が読める超能力を発揮して、悪の陰謀を阻止すると言う内容の映画。内容はとても面白かったんですけど、カメラワークがテレビのドラマっぽくて、少しちゃちな感じでした。

本は2冊。今ある意味で時の人の麻生太郎さんが書いた「とてつもない日本」。なるほどと思うことも私とはちょっと違うと思うこともありましたが、基本的に麻生さんの人間性が良くわかり、ちょっとしたファンになってしまいました。これほど物事をポジティブに見れると言うのは、本当の意味で麻生さんはエグゼクティブなんだろうと思いました。

もう一冊は手嶋龍一・佐藤優「インテリジェンス 武器なき戦争」。手嶋さんは元NHKの有名な特派員。佐藤さんも外務省のピカイチ情報分析官。これはおもしろかったです。世界の色んなところでの命を掛けた情報の収集がどれほどの意味を持ち、国家にどれほどの影響をもたらすか。本当に恐ろしくなりました。この本を読むと日本はやはり平和ボケしてると思わざるを得なくなります。

hakaru matsuoka

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2007年9月 2日 (日)

成城管弦楽団第9回定期演奏会終わりました

松岡究です。本日成城管弦楽団の第9回演奏会が終了いたしました。ご来聴になられた皆様有難うございました。

2000年の7月に産声を上げたこのオケにとって、今日の演奏は一番の出来ではなかったかともいます。特にベートーヴェンはベートーヴェンの持っている音楽の素晴らしさを聴衆に紛れも無く伝え得た、素晴らしい演奏ではなかったかと思います。惜しむらくは第3楽章が少々すべり気味であったことでしょうか。前半のボロディンもチャイコフスキーも成城の良さと成城らしからぬ力強さ?(笑)で演奏してくれました。勿論事故はありましたが、このオケが今回素晴らしく成長した証であるでしょう。

お聴きになられた方の感想をお待ちしております。

   hakaru matsuoka

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