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2007年7月19日 (木)

ベルリンコーミッシェオパー レハール「微笑みの国」

松岡究です。一昨日までの猛暑は影を潜め、やっとヨーロッパらしい夏になってきました。気温は30度に届かず、朝晩は20度くらい。これから週末にかけてはもう少し涼しくなるようです。

演目  レハール 「微笑みの国」

配役  リヒテンフェルス伯爵:ハンス・マルティン・ナウ

     リサ:タチアナ・ガズディク

     グスタフ伯爵:トム・エリック・リー

     スー・チョン王子:イェルグ・ブリュックナー   他

  演出:ペーター・コンヴィチュニー

  指揮:キリル・ペトレンコ

素晴らしい舞台と素晴らしい音楽。レハールがこんない充実した音楽を書いていたなんて恥ずかしながら今まで知りませんでした。まず何と言ってもペトレンコの奏でる音楽が素晴らしい。彼はウィーンフォルクスオパーのカペルマイスターを務めていたこともあり、この作品は既に手の内にあるこなれたものと見受けました。どこを取っても伸びやかな旋律とフレージング。そしてここぞと言う時のオケのドライブ。こんなに劇的なオペレッタだったんですね。勿論カーテンコールではペトレンコとオケに盛大な拍手とブラボーが。

歌手では声は少し非力ながら、王子役の代役を務めたブリュックナーがすばらしい。代役としては大成功。

コンヴィチュニーの演出は平たく言えば「反戦・反核。命の尊さ」にあったのではないかと思います。8人の国賓が出てくる所謂バレーの場面では、ナポレオン・ヒトラー・毛沢東・カストロ等の所謂独裁者を出し殺し合いをさせ、その場面の最後には核爆発の映像を流し、また2幕の女声合唱の場面では、戦争のむごさと虚無感を見事に演出していました。そして最後にはあっけなくミーの友人を中国人に殺害させ、中国での毛沢東の大量殺戮を暗に批判しているのではなかったかと思います。コンヴィチュニーが甘く切ない最後を悲劇として演出したことには度肝を抜かされました。まさに衝撃的舞台。そして素晴らしい舞台でした。

と言うことで、音楽監督のペトレンコは今日を最後にここを離れ、しばらくフリーで活躍するそうです。ペトレンコとコーミッシェオパーの蜜月時代は今日終わりました。素晴らしい時に私はここで勉強させていただき、心から感謝しています。

P.S.先日コワルスキーはコーミッシェオパーの専属をやめると書きましたが、引き続き専属を務めるようです。申し訳ありませんでした。 

   hakaru matsuoka

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