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2007年5月22日 (火)

フライブルガーバロックオーケストラ演奏会

松岡究です。今日はベルリンはうだるようなと暑さ。ベルリンは湿地帯だったので湿度も高く、全く日本と同じです。日本はほとんどのところに冷房がありますが、こちらはほとんどないので、こういう暑さはこたえますね。

曲目    オールモーツァルトプロ

       交響曲第1番変ホ長調Kv.16

       ピアノ協奏曲第27番変ロ長調Kv.595

       クラリネット協奏曲イ長調Kv.622

 ハンマークラヴィーア:アンドレアス・シュタイアー

 バセットクラリネット:ロレンツォ・コッポラ

 リーダー:ゴットフリート・フォン・デァ・ゴルツ

フライブルガーバロックオケは毎年5・6回ベルリンで定期的にコンサートを開催しています。私はどういうわけか今までタイミングが合わず、今回初めて聴きました。

コンサートマスターのフォン・デァ・ゴルツがリードしながら指揮者無しで演奏します。まずはモーツァルトが8歳ないし9歳の時に作曲した交響曲第1番。適度なアゴーギグとコントラストをつけた佳演で、このオケの質の高さを早くも認識させられました。勿論全員が古楽器でノンヴィブラートによる演奏。しかしところどころアクセント的なヴィブラートを使い、それが大変効果を上げているように聞えました。それは次の協奏曲ではもっと効果を発揮しているように思えました。

次の最後のピアノ協奏曲。ハンマークラヴィーアがこれほど繊細な楽器だとは恥ずかしながら今日まで知りませんでした。奏者のシュタイアーはこの楽器から気品のあるまた時には躍動感のある、そしてひなびた音色の中にこれ以上純化され得ない魂の音を表していたのではなかったでしょうか。オケはハンマークラヴィーアと一緒に音を出す時は弦楽5重奏になり、全奏はクラヴィーアが弾いていない時だけ。それが大変な効果を生み、1楽章がこれほどデモーニッシュで鬼気迫る音楽になるとは思っても見ませんでしたし、2楽章はもうほとんど魂の音楽に、そして3楽章がこれほど哀歓を湛えた音楽になるとは、いやそういう音楽であるのですが、曲の背後に見えてくるものが違うと言ったらいいのでしょうか、やはりこの作品は他の26曲のピアノ協奏曲とはまるで次元の違う音楽だと言うことが良くわかりました。

最後のクラリネット協奏曲。これは古今東西の協奏曲の中でも、「余りにも美し過ぎる」と言うべきものでしょう。バセットを吹いたコッポラが素晴らしい音色とコントロールで、これまたバセットクラリネットと言う楽器の素晴らしさをまざまざと見せ付けてくれました。こういったオリジナルの楽器で素晴らしい演奏を聴くと、今まで見えてこなかった曲の背景が見えてくるのは今日の大いなる発見でした。

    hakaru matsuoka

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