ベルリンコーミッシェオパー グルック「タウリスのイフィゲニー」
松岡究です。今日は一日肌寒い一日でした。皆コートを着たりジャケットを着たりしていました。勿論T-シャツの人もいますけど。夜の7時にオペラが始まって、終わったのが8時50分。劇場から出てくるとまだ明るいんです。妙に感激してしまいました。本当に一日が長くて、ヨーロッパの人たちにとってはたいへん貴重な夏なんだとあらためて思いました。
演目 グルック:「タウリスのイフィゲニー」
配役 イフィゲニー:ゲラルディーネ・マックグレーヴィー
オレスト:ケヴィン・グリーンロウ
ピラーデス:ペーター・ロダール
トアス:ロニー・ヨハンセン
ディアナ:エリザベス・シュタルツィンガー
指揮:ポール・グッドウィン
演出:バリー・コスキー
休憩無しで上演された約1時間45分。舞台と音楽が緊密に結びついたたいへん素晴らしい上演でした。これほど緊迫感が最初から最後まで張り詰め、見ている人を飽きさせない上演も珍しいでしょう(4月22日プレミエ)。まず演出の力。昨日と同じコスキーの演出。舞台奥に光の当て方で変わる大きな抽象画を配し、それが場面の心理を的確に表していきます。それが時に涙したり、大きな慟哭を表していたりと素晴らしい発想。また歌手達も素晴らしい迫真の演技でその緊迫感を持続させます。音楽は指揮のグッドウィンの古楽器奏法を用いた緊迫感溢れる素晴らしい演奏と、歌手・合唱とも緊密な連絡を取った素晴らしいアンサンブル。ここまで息がぴたりとあって、空きのないオペラ上演も珍しいのではないでしょうか。また一つ素晴らしい舞台が出現しました。勿論今期も後3回上演され、来期も勿論コーミッシェオパーのレパートリーとして上演されます。
hakaru matsuoka
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