ドレスデン国立歌劇場R・シュトラウス「ダナエの愛」
松岡究です。3月16~18日までドレスデンに行ってきました。大変美しい街で、街自体が大きくゆったりと作られているのが大変印象に残っています。そしてなんとなく昔住んでいたブダペストを髣髴とさせる間もありました。それはエルベ川をはさんでNeu-StadtとAlt-Stadtに分かれていて、川岸から眺める風景がブダペストを思い起こさせてくれたのです。
演目 R・シュトラウス 「ダナエの愛」
配役 ユピテル:ヲルフガング・ネヴェラ
メルクール:マルティン・ホムリッヒ
ポルックス:ダグラス・ナスラヴィ
ダナエ:スーザン・アンソニー 他
指揮:ヨハンネス・フリッツシュ
演出:ギュンター・クレーマー
日本では決して見れないであろうと思ってドレスデンまで見に来ました。そういったシュトラウスの作品はまだあります。例えば「影の無い女」などはその典型ではないかと思います。
今日の出来は素晴らしかったです。まず私の気に入ったのは指揮のフリッツシュが大変堅実にそして雄弁にシュトラウスの音楽を奏でていたことです。勿論オケがいいということも大いに関係がありますが、紛れもなくシュトラウスの音楽でした。ほとんど名前を聞かない人ですが、こういった力のある人がこちらには沢山いると言う典型かもしれません。また演出もダナエを歌い手と女優の2人配して、女優には現実としてのダナエをかわいらしく演じさせ、歌い手にはその内面や心の機微を歌わせて、言ってみればダナエの影として演じさせ、その演出はかなり成功していたと思います。
歌手ではダナエを歌ったアントニーがやはり良かったとおもいます。わたしの好みからいえば、もう少し陰影がつく歌がほしかったのですが、立派でした。そしてユピテルのネヴェルラが立派な声で堂々としていてよかったです。これも欲を言えばもう少し音程がよければいいかなと言う感じでした。R・シュトラウスの音楽の場合、声だけではなくあの独特の転調していくメロディーラインを描いていくのに、正確な音程と和声感が無いと表現出来得るものではありません。その点二人とも和声感においてもう一歩だったのではないでしょうか。
本当はもっと滞在して聴きたかったのですが、しょうがないですね。
10R・Strauss/10Tageと言うR・シュトラウス週間の一部でした。勿論会場でR・シュトラウス協会の事務局長で一橋大教授の田辺秀樹先生にお会いいたしました。先生にこの週間のことをお聞きしていくことにした次第でした。
hakaru matsuoka
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