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2007年3月29日 (木)

ベルリンドイツオペラ バッハ「マタイ受難曲」

松岡究です。今日はもうすぐイースターと言うこともあって、バッハの「マタイ受難曲」をオペラで見てきました。この時期になると、スーパーや八百屋にはホワイトアスパラが出回り始めます。私ももう2度ほど食べました。そしてイースターに合わせて各合唱団が「マタイ受難曲」「ヨハネ受難曲」をこぞって取り上げ、マタイ・ヨハネのポスターだらけになります。

演目  J・S・バッハ「マタイ受難曲」

配役 エヴァンゲリスト:クレメンス・ビーバー

    イェス:マルクス・ブリュック

    ユダ:アンテ・ジェルクニカ

    ペトロ:サイモン・ポーリー

    ソプラノ:ジャクリーン・ワグナー フィオンヌアラ・マッカーシー ティナ・シェラー  

    アルト:サラ・ファン・デァ・ケンプ アンディオン・フェルナンデズ  他

  指揮:ザミュエル・ベヒリ

演出:ギュンター・エッカー ゲッツ・フリードリッヒ ディートリンデ・カルソウによる共同演出

オラトリオをオペラとしてやることには私は大賛成です。それだけの劇的内容を持っていますし、視覚的な要素も入って理解しやすくなるからです。ただ音楽的な犠牲はかなり覚悟の上でのことです。

今回も合唱が4階建ての団地式の装置に2つに分かれて歌っているため、何度もアンサンブルが乱れ、何とか持ち直すのですが如何ともしがたいものがありました。版をメンデルスゾーンの編曲版を使っているため、オーケストラもどちらかと言うとロマンティックにヴィブラートはかなりかけての演奏でしたし、歌い方も必然的にオペラティックになってアルトの2人などはオラトリオの歌い方ではありませんでした。しかしソプラノの2人(ワグナーとマッカーシー)は清楚にピアノを大事にした陰影のある歌を披露してよかったです。演奏会ではソプラノもアルトも一人で歌われることが多いですが、こうやって一つのアリアや重唱を違う人間が歌うとリアリティーが出て来るのは驚きでした。エヴァンゲリストのビーバー、イェスのブリュックどちらもすばらしかったです。

演出は、舞台から客席の左手奥まで長い廊下を臨時に作り、そこからイェスと弟子達が登場。舞台には合唱は上記の通り団地式に配置され、全ての受難が見えるように工夫されています。またこの春の風物詩であるホワイトアスパラ(イースターに合わせて街中に出回るこのSpargelを復活と掛けているのだと思います)の巨大なものが11本舞台に並び、それを動かして状況設定を作り上げていきます。中には勿論十字架状のホワイトアスパラもあります。イェスが死ぬまでを克明に描きながら、最後の合唱で復活したイェスが登場。何ともいえない感動を覚えました。最後、拍手が起こっても皆舞台で抱き合って祝福し合い、すぐに指揮者が舞台に登場してやっとカーテンコールとなりました。演じている人たち歌っている人たち皆が、このイースターを祝っているのだと感じ入りました。

   hakaru matsuoka

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