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2007年1月 8日 (月)

ケント・ナガノ指揮ベルリンドイツ交響楽団演奏会

松岡究です。今日は久しぶりにケント・ナガノの指揮を聴きました。昨シーズンで音楽監督を辞任し、ミュンヘンの国立歌劇場の音楽監督の地位に付いたのは皆さんご存知だと思います。今日もほぼ満席の盛況。ミュンヘンでの評判は今の所それほど芳しくは無いようです。しかし新任の監督には最初は何処も厳しい見方をしますが、ベルリンでの彼は確実に愛されていると思います。

曲目   細川 俊夫 「Circulating Ocean」

             モーツァルト ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調K.216

      ブラームス 交響曲第3番ヘ長調作品90

   指揮 ケント ナガノ

   ヴァイオリン ギル シャハム

細川さんの作品は30分にも及ぶ大曲。題名の通り、大洋が循環する様を壮大に描いた作品。やはり日本人にしかない感性があって、例えばバスフルートの尺八のような歌い方、トロンボーンがわざと息だけを吹き込んで、風の様を描写する音など、ナガノはうまくオケから音を引き出していました。やはり日系3世とはいえ日本人であるケントの面目躍如。

次のモーツァルトはやはりシャハムのヴァイオリンが出色の出来。よくなる音を持っており、今日は一番奥の席で聴いたにもかかわらず、あたかもすぐそこで弾いているような、素晴らしいなり方。(勿論楽器がいいのも有りますが)ですからオケもバランスをそんなに気にすることなく弾いているので、メリハリが出て気持ち良い演奏。

最後のブラームス。実に40分以上もかかった演奏。かといって重厚ではなく、丁寧に絹織物を織って行くような、痒いところに手の届くような演奏。ただ私の趣味を言わせてもらうなら、ケントにうねるような情念と、明暗のはっきりしたパレットがあれば全く私好みのというか私の解釈とほとんど同じなんだけど(無いものねだりだと言う事は百も承知です)、と思いながら聴いていました。彼の良さはいつもながら、聴衆をまずひきつけておいて、丁寧に音楽を始めることです。その雰囲気というかオーラは所謂欧米の指揮者には無いもので、彼の個性を良い一段と引き立てるものだと思います。

    hakaru matsuoka

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