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2007年1月 2日 (火)

ベルリン国立歌劇場 モーツァルト「魔笛」

松岡究です。今年初めのベルリンで見たものは、シュターツオパーの「魔笛」でした。休憩中に偶然にも、一橋大教授で音楽評論家の田辺秀樹先生にお会いしました。先生には大変お世話になっており、お話させていただいて嬉しくまた恐縮でした。ベルリンは今日まで出明日から20日間ウィーンに行かれるそうです。どうぞ良いご旅行になりますように。

演目   モーツァルト 「魔笛」

    ザラストロ:ゲオルグ・ゼッペンフェルト

    タミーノ:シュテファン・リューガマー

    弁者:ベルント・ツェディッシュ

    夜の女王:アンナ・クリスティーナ・カッポーラ

    パミーナ:アドリアーネ・クヴェイロズ

    パパゲーノ:ロマン・トレケル

    パパゲーナ:アンナ・プロアシュカ  他

   指揮:ダン・エッティンガー

   演出:アウグスト・エヴァーディング

舞台装置やコスチュームは1816年のベルリン王立劇場のフリードリッヒ・シンケルによるプランによるものであるということです。田辺先生によると魔笛といえば今日の舞台装置などの絵や写真が解説書等に使われているということです。所謂魔笛の典型的模範的な舞台。

しかし内容は音楽的には今ひとつの感がありました。それはまずパミーナとタミーノの2人が表面的な歌しか歌えず、心に迫るものが何も無かったことが大きな原因であると思います。その代わりにザラストロのゼッペンフェルトとパパゲーノのトレケルは素晴らしい歌と声、そして演技で一矢報いてくれました。夜の女王のカッポーラは1幕は精彩を欠き、がっかりさせられましたが、2幕のアリアでは見事復活!お見事でした。

エッティンガーはどの作品をやるのも大変オーソドックス。それはいいのですが、魔笛の持つドラマが今ひとつ音に出来てない感じがあり、単なるメルヘン劇になってしまっていたのは残念。魔笛の怖さはまさにここにあるといっても過言ではないのではないかと思います。

今日の観衆は私が今まで見たベルリンの観衆とは恐ろしく違っていました。多分ほとんどがオペラは初めてあるいは、それほど知らない方が90%だったのではないでしょうか。アリアが終わるとオーケストラがまだ後奏をやっているのに拍手をしたり、指揮者が入ってきても1・2幕とも拍手が全く無かったり、といった具合でした。ヨーロッパもやはり聴衆の掘り起しが大変大きな問題になっていますが、今日来た方々が、オペラ好きになってくれたらそしてリピーターになってくれたら、と願わずにはおれません。

    hakaru matsuoka

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