ベルリンコーミッシェオパー モーツァルト「魔笛」
松岡究です。ベルリンの気候は本当に変です。一昨日あたりから一段と暖かく、今日は12度もありました。明日から3日間も11・12度くらいの予報が出ています。
演目 モーツァルト 「魔笛」
配役 ザラストロ:ジェームス・クロスウェル
タミーノ:ペーター・ロダール
パミーナ:ブリギッテ・ゲラー
夜の女王:エレオノーレ・マルグエーレ
パパゲーノ:イェンス・ラルセン
パパゲーナ:クライレ・ヴィルド 他
指揮:マルクス・ポシュナー
演出:ハンス・ノイエンフェルト
昨年の11月25日にプレミエを出したばかりの舞台。今日は11回目ということです。コーミッシェオパー特有の「ムジーク・テアター」の概念で作られた典型的舞台でしょう。話の進行に演出家の愛人であるエリザベス・トリッセナールともう2人の男性を起用し、演出家が新たに、ディアローグを作成し上演する形を取っています。先日お会いした一橋大の田辺先生は、「最悪の舞台だ」と仰っておられました。このような舞台は見る人によって極端にどちらかに分かれると思います。いくつか例を挙げてみます。
まず通常、タミーノが怪物から助けてくれといって、舞台で気絶するシーンから始まります。しかし今回は怪物は全く現れず、一人で勝手に気絶してしまいます。そこにマリリン・モンローに扮した3人の女性が鏡をそれぞれ持って現れ、タミーノが気絶したのは、私達の美しさのあまり気絶したのだといわんばかりの3重唱になるのです。
夜の女王が最初のアリアで、足を引きずりながら登場し、歌の途中で鬘を取ると全くのはげ頭。夜の女王も寄る年波には勝てずよぼよぼ。同じようにザラストロもそうで、2幕の最後は栄光の終わりではなく、老衰のため死んでしまうのです。
といった按配で、歌わない3人を軸に、3人が色々仕掛け人となって物語が進行していくのです。
これを面白く見るか、最悪と見るかは観客次第でしょう。今日の客にはかなり受けていたと思います。ただ途中で何名かの方がそっと席をたたれて帰っていかれました。
音楽は1月1日に見たシュターツオパーのときよりも溌剌として、歌手陣も押しなべて高水準に保たれていますので、聞いていて不足は全くありません。
hakaru matsuoka
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