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2006年12月31日 (日)

ベルリン国立歌劇場ヴェルディ「椿姫」

松岡究です。今日は幾分寒さが和らいだものの、昼過ぎから雨。朝は日差しがあったのに、ヨーロッパの冬は暗いです。

演目   ヴェルディ:椿姫

配役   ヴィオレッタ:アンナ・サムイル

      アルフレード:サイミル・ピルグ

      ジェルモン:アンダース・ラルソン

      フローラ:カタリーナ・カンマーローハー   他

      指揮:ダン・エッティンガー

      演出:ペーター・ムスバッハ

この演出はさる6月にシェーファーがヴィオレッタを演じたので見ましたが、その時は「こんな見方が有ったのか」と衝撃を受けた覚えがあります。

今回はサムイルがヴィオレッタを演じました。素晴らしい歌手であることは疑いの余地はないのですが、この演出に関してはミスキャストであったと思います。彼女のヴィオレッタは動的で肉感のある所謂普通のヴィオレッタ。シェーファーのは静的で精神的な深さのある、透明感を持ったヴィオレッタだったのです。ヴィオレッタの死後その魂が回想するようにこの物語を運んでいくこの演出には、サムイルはその動作や立ち居振る舞いがうるさすぎました。

また前回は1階で見たのですが、今回は2階の左サイドからでした。そうすると舞台の仕組みがわかりすぎて、遠近感やミステリアスな絵が見れずじまいでした。そういう場所的なものも有ったのでしょうか、今回の椿姫はちぐはぐな感じをずっと持ったままで終わってしまいました。

アルフレードのピルグは「これぞイタリアの声」といってもいいくらいの、素晴らしい声の持ち主。音程に少々難があることを除けば、素晴らしいアルフレードでした。その反対にジェルモンはいただけません。まずかなり若くてまるでアルフレードの友達の様です。中声域は素晴らしいのですが、高音は全部力が入って、詰まってしまいます。それに指揮のエッティンガーと全く合わず、1拍すれたりすることがしばしば。2人の間に何か有ったのかと邪推したくなるくらい、ずれが目立ちました。

この演出はシェーファーあっての演出なのではないでしょうか。

     

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