ベルリンコーミッシェオパー プッチーニ「蝶々夫人」
松岡究です。昨日の夕方から一段と冷え込んだベルリンは、今日は冷たい雨の振る一日でした。
演目 プッチーニ「蝶々夫人」
ちょうちょうさん:ジュリエッテ・リー
スズキ:スザンネ・クロイシュ
ピンカートン:ティモシー・リチャーズ
シャープレス:アントン・クレミチーフ
ゴロー:クリストフ・シュペート その他
指揮:エンリコ・デランボイェ
演出:カリクスト・ビエイト
「このエロ親父」と言いたくなるような演出!ビエイトのコーミッシェオパーでの演出は後宮に次ぐ2本目ですが、またしてもセックスあるいはセックス描写そのものを前面に出すきわどい演出。はっきり言ってきわどいどころか、そのものズバリです。
舞台はキャバレーかソープランドかと言うゲテモノ。ピンカートンはそこに遊びに来たアメリカ人。スズキはそこで働くソープ嬢。初めはピンカートンとスズキが一緒に貝殻状の風呂に入ったり、ゴローはその客引きになっています。ちょうちょうさんはこの上客のアメリカ人に捧げる生贄のようなもの。処女であることを証明し、二人は愛の2重唱へ。そのシーンは紛れも無くセックス三昧の18禁。またまたやられたと言う感じ。
2幕になると部隊はなぜかやしの木の下の南国風別荘。そこに現れるシャープレスやヤマドリはまるでやくざ。しかし何とシャープレスはピンカートンを諦めて「オレの女になれ」と言いたげ。それを拒絶したちょうちょうさんとスズキは花の2重唱ならぬ、掃除婦のおばさんの2重唱。「ピンカートンが帰ってきたときに綺麗なお部屋でいたいの」、まあ理解は出来ます。
3幕になると最初の3重唱でスズキはシャープレスにいたぶられます。ピンカートンはちょうちょうさんのことが気になっている様子。しかしちょうちょうさんとスズキは仲違いをしてとうとうちょうちょうさんはスズキを殺してしまいました。その後のアリアでは子供も殺され気が狂ったちょうちょうさんは自殺してしまうのでした。
余りにも衝撃的なー敢えて言わせてもらうとー汚い舞台。プッチーニの音楽はどこかに吹っ飛んじゃいました。でもちょうちょうさんを歌ったリーとピンカートンのリチャーズは素晴らしい声と表現力の持ち主。舞台がこうでなければもっと高く評価されるんじゃないかなあ。
この演出家は結構人気があるらしく、1階はほぼ満員。全体で8割くらい入ってるのは驚異。こういう演出を見るとオペラが抱えている問題点・将来性が見えてきますね。音楽界の識者がこぞってオペラの危機を叫んでいる中、こうした演出も経験しなければならないオペラの試練かなあ。
見た後の充実感は0%。まあ、もう二度とこの演出は見ないでしょう。興味のある方はどうぞ。今度は11月18日です。
hakaru matsuoka
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