ベルリンムジークフェスト マーラーチェンバーオーケストラ演奏会
松岡究です。ヨーロッパでは通常コンサートは夜の8時からというのが定着しています。私はいつも10分前くらいに会場入りします。今日はポツダマープラッツからフィルハーモニーの方向に綺麗な夕焼けが見えました。日の入りが大体この時間のようです。
曲目 バッハ/ウェーベルン:リチェルカーレ
マティアス・ピンチャー:トランジール
シューベルト:交響曲第8番ハ長調
フルート:エマニュエル・パユ
指揮:ダニエル・ハーディング
ハーディングをやっと聴くことが出来ました。やはり彼は聞きしに勝る天才でした。
まず1曲目のリチェルカーレ。彼の指揮でこの曲を聴くと、「ウェーベルンはこんな世界を、宇宙を持っているんだ」ということが手に取るように良くわかるんです。勿論バッハの世界があればこそですが、この10分弱の小品に、それも編曲でこれだけの宇宙を描ききるウェーベルンは凄い人だということが初めてわかった気がしました。なるほどこういった世界に持ち主であるからこそ、彼の作品は演奏時間の短い作品が多く、それでいて彼の宇宙を語りつくしているのではと、ハーディングの演奏を聞きながら思った次第です。というか彼がそう気付かせてくれました。感謝!!
2曲目のピンチャーの曲、1日にやはりフィラデルフィア管弦楽団で別の作品を聴きましたが(9月2日付け参照)、今回の作品は題名が示すとおり「時空を超えてどこかにトランスしてしまう」というのがテーマのようです。私には大変日本的音とリズムが多用されているように聞えました。フルートで奏される尺八の音色に虚無感を感じ、また鼓の音も聞えてきます。そして拍子木的不確定のリズムも。西洋人にとってこのような音は異次元の音なんでしょう。(その昔、N響が初の世界旅行をやったときに外山雄三さんの「ラプソディー」を聴いたかの伝説の巨匠チェリビダッケが「打楽器は世界一」といったそうです。素麻里それまで西洋には拍子木のリズム見たいに楽譜に書き表せないリズムは存在しなかった。それをいとも簡単にやってのけた日本の打楽器奏者に驚いてしまったわけですね。)我々日本人にとってはどうなんでしょうか。パユのフルートは圧巻でした。
最後のシューベルト。前のステージで色々な物が出されていたのでそれを片付けてオーソドックスな編成にするのに時間がかかり何と35分近い休憩時間。それもそのはず、一人で舞台作りやってるんですもの。学生くらい雇えないのかなあ。それともこの悠長さが良いのでしょうか。
オーケストラはトランペットとティンパニが古楽器でしたが、弦楽器はノンヴィブラート奏法を当たり前ですがやっていました。ここでもハーディングの非凡さが遺憾なく発揮されていました。こんなに抑揚の激しいシューベルトははじめて聴きましたし、特に第2楽章の第2主題が「このような表情を持っていたなんて!」というくらい素晴らしい歌わせ方。彼の曲を読み取る力は並大抵の物ではありませんね。天才とはこういう人のことを言うのでしょう。
hakaru matsuoka
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