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2006年9月 4日 (月)

ベルリン ムジークフェスト バーミンガム市交響楽団演奏会

松岡究です。そういえば昨日のコンサートで一組の夫婦がかなり遅く入ってきたものだから、ヤノフスキがその夫婦が席に着くまで演奏を始めなかったんです。その夫婦がやっと席に着いたとき会場がどっと沸いて笑い声が。日本なら「良い年した夫婦がなんにやってるんだ」と呆れられるのが関の山でしょうけど、こちらは全く違うんですよね。何だかカルチャーショックでした。

曲目   エルガー:ゲロンティウスの夢

   ソプラノ:ジェーン・アーウィン

   テノール:ジャスティン・ラヴェンダー

   バス:ピーター・ローズ(予定されていたジョン・トムリンソンの代役)

   合唱:バーミンガム市シンフォニー合唱団

   指揮:サカリ・オラモ

初めて聴く曲でしたが、何と素晴らしい美しい曲なんでしょうか。エルガーといえば「エニグマ」の変奏曲や交響曲第1・2番は私の大好きな曲ですが、(一般には「愛の挨拶」の作曲者として有名でしょうか?)オラトリオがこんなに素晴らしいなんて思っても見ませんでした。演奏も素晴らしく「名演」といっても差し支えないと思います。

まずコーラスが素晴らしい。110名ほどの大合唱でしたが、全く濁りがないんです。それは一人一人がピアニッシモからフォルティッシモまでノンヴィブラートで歌うことに徹しているからだと見ました。素晴らしいダイナミックレンジと透明な響きを全く失わないその唱法は見習うべきところ大でした。(合唱指揮は、ベルリンの放送合唱団の指揮者でもあるサイモン・ハーシー)その音色は例えばベルリン放送に比べると明るく、響きは少し浅めに聞えます。それは英語にも因ると思いますが伝統なのでしょう。特にテノールの声はイギリス独特の響きだと思います。

ソリストは少し難点があります。まずテノールのラヴェンダー。ほとんど最初から最後まで歌わなくてはならないこの曲を良くこなしていましたが、声のキャパシティーが狭く、中声域のピアノは美しいのですが高音域になると途端に声が開き気味になって詰まった感じになってしまいます。ソプラノのアーウィンももう一息、声が集まらない感じでした。ただバスのローズは押し出しの良い朗々とした声で楽しませてくれました。声の集まらない人はどうやらヴィブラートが強い傾向があるように思います。

指揮のオラモも素晴らしかった。曲の隅々まで神経を行き渡らせ、聴かせどころではオーケストラを存分に鳴らし、休憩無しの90分を全く退屈させずに聴かせた手腕はたいした物です。6月にベルリンフィルに客演した時は少々オケになめられている感があり、音楽が表面的に流れるだけになっていたのですが、今回は手兵のバーミンガムを率いての公演。大成功だったのではないでしょうか。

ただ残念なのは、聴衆が半分にも満たないくらいだったのが残念です。ベルリンの聴衆もこういっためったに演奏されない作品にはあまり興味を示さないのですね。

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