ベルリン国立歌劇場レハール「メリー・ウィドー」
松岡究です。今日は一年の3分の2はドイツのいろんな会社指導(コンサルタント)をしておられる松田龍太郎さん、通訳のヴォルフラム・ミッテルホイザーさんと3人で国立歌劇場へ参りました。松田さんには色々な面で刺激を受けることが多く、毎月メールで配信される「企業家精神」と「海外こぼれ話」は大変楽しみにしているメールです。
今日18時10分に新しくオープンしたベルリン中央駅で待ち合わせて、そのまま国立劇場へ。時間に余裕があったので、3人で地下のビュッフェで食事をしながら歓談。そして19時30分から「メリー・ウィドー」を拝見しました。
演目 レハール:メリー・ウィドー
ポンテヴェドロン公国公使:ベルント・ツェティッシュ
ヴァレンシェンヌ:シルヴィア・シュヴァルツ
ダニロ:ジークフリート・イェルサレム
ハンナ:ナーディア・ミハエル 他
指揮:マックス・レンネ
演出:ペーター・ムスバッハ
一言でいうと「ひどい!」 その原因は1にも2にもムスバッハの演出にあるでしょう。
まず1幕は南極に旅客機が不時着したと言うところから始まります。こういうシトゥエイションなら普通「皆無事なのか?」「生きているか?」「どうやってここから脱出するか?」等々人間の生死にかかわることを皆想像するだろうと思うんです。それが飛行機を脱出してきていきなり「私は貞淑な妻」だとか「2000万フランで大仕事をやってくれ」だの、こんな時に何言ってんだという感じになってしまいます。音楽も楽しく明るい華やかな物ばかりですから、舞台の暗い場面とは180度違って全くミスマッチ。
つまりわざわざ南極に不時着と言う場面設定に何の意味もないわけです。おまけにその翼で踊ったり、リカちゃん人形よろしく大勢の全くヘアースタイルの同じ金髪のスチュワーデスが出てきて寝そべったり、合唱が皇帝ペンギンのダンスをしたり、翼の下ではぺんぎんの格好のぬいぐるみを着た合唱がよちよち歩きでダンスをしたり、全く手のつけようのない始末。
ムスバッハの「椿姫」にあれだけ感動し、この演出家は凄いと思っていたところにこれだもんね。会場はもう3幕では収拾がつかなくなりつつあり、ブーイングがあちこちで叫ばれ、中には説教じみたことをしゃべりだす人もあり。ペンギンが出てきたときは笑い声があちこちに、面白くて笑っている人とあきれて笑い出す人あり。
カーテンコールもあっさりしたもんであっという間に終わり、お義理とまあ全員そろうまで拍手しといてやろうくらいのもの。昨日とは雲泥の差!
指揮のマックス・レンネ、歌手もそんなに悪くはない。でも舞台と音楽が水と油の全く相容れない関係。こんな舞台を見ながらあの華やかな楽しい音楽を楽しもうなんてできっこありません。
ムスバッハは猛省すべし!!!
折角の松田さんとミッテルホイザーさんと楽しいひと時だったのになあ。これじゃ、お二人にちょっと気の毒。
hakaru matsuoka
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