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2006年7月27日 (木)

小澤征爾音楽塾 マーラー「復活」

松岡究です。今日はNTTの西尾さんのご好意により急遽小澤さんの演奏会を聴くことが出来ました。

曲目   マーラー:交響曲第2番「復活」

ソプラノ:松田奈緒美

アルト:ナタリー・シュトゥッツマン

管弦楽・合唱:小澤征爾音楽塾

指揮:小澤征爾

すばらしい演奏会でした。この東京の公演が最終回と言うことでしたが、いろんな悪い噂(オーディションの時は良かったけれど、いざ合奏してみるとアンサンブル能力が極端に悪い等)もなんのその!大変まとまりのある合奏と音楽で楽しませてもらいました。

まず小澤さんが素晴らしい。完全にこの「復活」は手の内に入っているのでしょう。じっくりと音楽に取り組んで、この若いオーケストラから充実した音楽を引き出していました。また特にナタリー・シュトゥッツマンの歌唱がやはり素晴らしく、声の良さもさることながら、音楽が素晴らしいと思いました。

合唱(宮松重紀指揮)もドイツ語の発音が多少気になった以外は素晴らしい合唱でした。数えたわけではないのですが、100名前後の人数だったと思います。やはり合唱は人数ではなく響きだとここでも納得させられました。

      hakaru matsuoka

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2006年7月25日 (火)

日本に帰って来ていつも思うこと

松岡究です。久しぶりのブログの投稿になりました。日本に帰ってくるとネタがないのは勿論なのですが、やはり仕事や雑用に追いかけられてなぜか時間が過ぎ去ってしまうことが多いのには、自分でも驚いています。つくづくベルリンにいさせて頂けるとこをありがたいと思います。

さて日本に帰って来ていつも思うことがいくつかあります。

その1:ベルリンは湿地帯でヨーロッパの中でも湿度がかなり高いのですが、それにしても日本の空気とはつくづく違うなあと感じます。日本に帰ってくると特に暑い時期、空気が体にまとわりつくような感覚をいつも覚えます。空気の重量を感じるといっても良いかもしれません。とにかく不快です。日本の気象用語に不快指数というのがあるのは、まさにこの気候が生み出した言葉であると確信するものであります。

その2:成田から自宅までいつも電車あるいはリムジンを利用して帰ってくるのですが、その車窓が申し訳ないのですが、貧相・貧弱そして汚いと言う印象を受けます。決して私はヨーロッパ至上主義ではありません。しかしヨーロッパの都市の景観は見習うべき物があると思います。

確かにヨーロッパはいまや一国では経済が成り立たず、EUという経済圏を構築するに至りましたが、都市計画や古い物を守り抜こうとする良い意味での保守性・頑固さは風見鶏的日本人は見習うべきかもしれません。しかしその頑固さが20世紀のヨーロッパの斜陽を招いたともいえるわけで、褒めてばかり入られないのは承知のことです。

ではどうして日本はこんなにも景観が貧相なんでしょうか?日本には地震が多い・湿気の多い気候で石の建築物よりも、木造の建築物の方が適しているという所謂風土的違いによると言うことはわかりきっているのですが、やはり私は、感覚の違いと言う物が大きく影響しているように思います。

それはヨーロッパ人と日本人の空間に対する感覚が正反対なのではないかと思われるのです。日本人は箱庭等の極めて狭い空間に芸術を展開するのを最も得意とした民族だったのとは逆に、ヨーロッパ人は庭は庭でも広大な庭を作ることを得意としていたのではないでしょうか。(例えば現代では、コンピューターのマイクロチップや精密機器は日本のお家芸だった?でしょう。)

この感覚の違いは演奏する際にも大きな違い、時には障害となってくることが多いように思います。

     hakaru matsuoka

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2006年7月19日 (水)

レッスンの友8月号

松岡究です。帰国後すぐに倉吉にオペラの稽古に行っていたので、ご無沙汰してしまいました。

実は今までにも何度かエッセイなるものを書いて、そのたびに「レッスンの友」に掲載していただきました。(プロフィールのところにバックナンバーを掲載しています。)今回もベルリンのことを簡潔に書いてみました。

是非今月発売の「レッスンの友」を御覧いただきたいと思います。この雑誌はピアノ演奏家・教育者をターゲットにした雑誌ですが、それ以外の方が見ても音楽についての見識が深まると思います。

レッスンの友 8月号  定価700円  今月19日発売開始です。

      hakaru matsuoka

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2006年7月16日 (日)

帰国しました

松岡究です。昨日7月14日に帰国しました。今回は多分ワールドカップの影響で、わざわざパリを経由しての帰国でした。トランジットが5時間もあったので、今回はその待っている間に本を一冊、飛行機の中で一冊読みました。竹内 薫「99.9%は仮説」、池田 光「中村天風 口癖にしたい奇跡の言葉」の2冊です。映画も3本見ました。「カクテル」「ニューワールド」「ラスト ホリデー」の3本です。どれも良い映画でしたね。

飛行機の中では、30分くらいの仮眠を2度くらいしただけでしたので、帰ってもぐっすり眠れ、今回も時差をあまり感じていません。私の時差解消法はこの過ごし方に尽きます。

お知らせ

  8月20日(日)  午後2時開演

中野ZERO大ホール 合唱団ZERO第1回定期公演

曲目 J・ラター:レクイエム

    G・フォーレ:レクイエム 

Sp:松尾香世子     Br:浦野智之     

管弦楽:コレギウム・ムジクム

指揮:松岡究

もしよろしかったらお出でください。

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2006年7月14日 (金)

サイトの紹介

松岡究です。私が親しくさせている方に門馬義夫さんという方がいらっしゃいます。ひところは「音楽現代」に寄稿されていらっしゃいましたが、最近ブログを開設なさってそちらで自分の感性にあった選び方で、いろんなコンサートなどの紹介や批評などをなさっていらっしゃいます。

その方のブログに今度8月20日、中野ZEROホールで行われるZERO合唱団の定期演奏会を紹介してくださっています。勿論私が指揮します。家内の香世子もSpソロで出ます。曲はフォーレとJ・ラターのレクイエムです。

そちらの方にも是非お越しいただけるとおりがたいと思います。

http://musicalacarte.cocolog-nifty.com/

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2006年7月13日 (木)

北朝鮮のミサイル発射問題に関して

松岡究です。日本を離れている間にこんな問題がまた起こるとは想像もしていませんでした。しかし色々調べてみると、この問題はいろんな必然があったようですね。

アメリカが対北金融制裁を行って北朝鮮はかなり経済的に苦しい状況にあったようです。それで苦し紛れのぶっ放し出会ったとする意見や、もうこれは軍当局には初めからわかっていたことで、軍事訓練の一環であったとする説など、色々有ったようですがまずこの2つの意見に集約されるようですね。

どちらにしろアメリカがこのことを通してもうかるように仕向けているところは慮法の意見の共通の認識のようです。つまり「北の脅威」に備えて、迎撃用のミサイルの配置を急ぐことになりますよね。すると日本は当然アメリカに発注するわけで、アメリカはウハウハもんで設けるわけです。イラン・イラク問題と同じ論理で行くとアメリカは当然北朝鮮に攻撃を咥えると言うことになるのでしょうが、そうはしないところにアメリカの頭のよさがありますね。

そして6カ国協議だけを前面に出して、そんな物どうでも良いのに、さもそれが大事なように見せかけるうまさ。このままの状態が続けば日本は永遠にアメリカから武器を買い続けることになるでしょう。何兆円規模の儲けをそんなにたやすく手放すわけがありませんよね。

またあらかじめわかっていた軍事訓練だったと見る向きも同じで、結局北の脅威に対抗するために自衛隊ではなく軍隊にする、憲法を改正しなければならないと言う風に持っていく、その論理は見え透いています。そうなるとアメリカからやはり武器・戦闘機・芸g期ミサイル等を買わなければいけないわけで、まあ、アメリカが儲かるようになっているわけですね。

つまり鋭い識者(指揮者では有りません)らの意見は「アメリカは北朝鮮問題を解決したくない」と言うことのようですし、もっと言うならば日本の中枢の政治家達もある意味では、北朝鮮問題を解決したくない、今のまま仮想敵国としておいておいたほうが儲かる人がたくさんいるようです。

     hakaru matsuoka

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2006年7月11日 (火)

三国志

ベルリンはもうほとんど音楽シーズンは終わりました。ただコーミッシェオパーのみ、14・15・16日にモーツァルトの3大オペラをやって、19日に今シーズンを終えます。少し時間が出来たので、遅ればせながら私は吉川英治の「三国志」を読んでいます。読み始めるとかっぱえびせん状態になってしまい一日何にも出来ません。こちらには4巻までしかもって来てないので、帰ったら5~8巻まで読んでみようと思っています。高校の時に彼の「宮本武蔵」を読んでその世界に引きずられた記憶が今またまざまざと思い起こされます。音楽の勉強ばかりでなくこういう本を読むのも良いですね。

感想は8巻まで全部読み終わったときに書ければ書いてみようかなと思っています。しかし面白いですね、時代小説というのは。

     hakaru matsuoka

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2006年7月 8日 (土)

ベルリンコーミッシェオパー ウェーバー「魔弾の射手」

松岡究です。昨日今日と物凄く暑いベルリンです。気温は33~5度くらいになっているようです。そのせいか昨日は夜の8時半くらいから、今日は夕方の5時半くらいから雷と物凄い通り雨が降りました。特に昨日は雹まで降ってびっくり。「ひょう~っ!」なんてまた親父ギャグ言ってる場合じゃないです。

演目  ウェーバー 「魔弾の射手」

オットカール:ヘルマン・ヴァッレーン

クーノ:クレメンス・スロヴィオチェック

アガーテ:エンマ・ベル

エンヒェン:ミリアム・マイヤー

カスパール:カーステン・ザブロウスキ

マックス:ロベルト・キュンチェル

エレミット:ジェイムス・クロスウェル

指揮:ジン・ワン

演出:クリストフ・ネル

コーミッシェオパーの「魔弾の射手」は4月に見た国立歌劇場のものよりずっと良い出来でした。指揮のワンもこの作品に自信を持っているんでしょう。大変明瞭に振り分けていっているのが良かったと思います。もう少し細部にデリカシーがあったらもっと良かったかもしれません。

歌手でなんと言っても素晴らしかったのはエンマ・ベル。大きなプロポーションの良い体からゆったりとコントロールされた声は、とても心地の良いそして音楽的なものでした。もう一人エレミットを歌ったクロスウェルは、張りのある朗々とした声で、歌うところは少ないにもかかわらず、存在感を出していました。

今日の演出は勿論現代演出ですが、先の国立劇場の田舎臭い芝居(これはもう垢抜けないどうしようもない凡演出)と違って、大変楽しめました。やはり演出が締まると音楽も生き生きとしてくるのは、視覚と聴覚の総合芸術の醍醐味でしょう。

      hakaru matsuoka

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2006年7月 6日 (木)

2組のお客様

今週は2組のお客様がベルリンに来られ、大変有意義な楽しい人と時を持つことが出来ました。

一つは3日にご紹介した松田龍太郎さん。そしてもう一組は私が、こちらに来る前にドイツ語の添削とかでお世話になった田中和夫・敏子夫妻です。

松田さんに関しては先日をちょっと書きましたが、ドイツで1年の3分の2を会社のコンサルティングと言う大変なお仕事をされている方です。もうドイツは6年目と仰っていました。普段はデュッセルドルフにアパートを借りられて、そこを拠点にドイツ人の本当に日本語が達者な(当たり前ですけど)通訳の方を必ずお連れになって、ドイツ国内を飛び回って仕事をされております。この度独立なさり、正式に会社をご自分でおつくりなるそうですが、どうぞ健康で益々の発展をお祈りしております。

2組目は、実は奥様のほうと私は親しくさせていただいています。私が23・4年かかわっている中野区民交響楽団というアマチュアのオーケストラがありまして、そこで長くヴァイオリンを弾いていらっしゃっる縁で、親しくさせていただいているんです。以前文化庁の在外派遣でハンガリーに行った時も、そして今回のベルリン行きのときも、田中さんにドイツ語の手紙を書いていただいたんですね。その手紙はどちらも大変重要な物だったので、私は本当に心から感謝しているんです。毎年チロル方面へ山登りに出かけていらっしゃるのだそうですが、今年ご主人は外務省を定年になられたそうです。お二人とも歩くのがとてもお好きだと言うことで、20キロくらい毎日歩いてもなんともない、むしろその方が嬉しいようなお話でした。4日のお昼に一緒にお食事をさせていただいたんですが、あっという間に2時間以上過ぎていました。ドイツ語が堪能でいらっしゃるので、ドイツ人とのお付き合いも大変多く、とても勉強になるひと時でもありました。

     hakaru matsuka

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2006年7月 4日 (火)

7月の推薦盤

ブルックナー:交響曲第9番 Music ブルックナー:交響曲第9番

アーティスト:シューリヒト(カール)
販売元:東芝EMI
発売日:2001/09/27
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まずカール・シューリヒトの指揮したブルックナーの交響曲第9番。この演奏は私が高校生の時に毎日聴いていた演奏で(勿論レコードでしたが)、ウィーンフィルとシューリヒトの神がかりといってもいい演奏を凌ぐCDはまだ出ていないと思います。(チェリビダッケもヴァントも朝比奈先生もこの前には屈するのです。)

次はラターのレクイエム。最初耳にしたとき、20世紀の音楽にこんなに美しく魂が洗われるような音楽が有ったのかと驚きました。演奏は作曲者自身の演奏で、彼も自作を愛しているのでしょう。素晴らしい演奏です。8月20日に中野ZEROホールでフォーレのレクイエムとともにこの曲を指揮します。

ラター:レクイエム

アーティスト:ブラウン、ラター
販売元:アイヴィー
発売日:2003/07/01
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次はベートーヴェンのミサ・ソレムニス。以前はベームの演奏をよく聞いていましたが、大合唱で聞くのも良いですが、比較的人数の少ない合唱で聴くとまた違った味わいとよさが新たに発見され、音楽的な喜びに満たされます。その中でこの2枚をあげました。ジンマンのは交響曲の時と同じで1000円で買えるのも良いですよね。

Music ベートーヴェン:ミサ・ソレムニス

アーティスト:ガーディナー(ジョン・エリオット),モンテヴェルディ合唱団,マリョーノ(シャルロッテ),ロビン(キャサリン),ケンドール(ウィリアム),マイルズ(アラステア)
販売元:ユニバーサルクラシック
発売日:2002/06/26
Amazon.co.jpで詳細を確認する

ベートーヴェン:ミサ・ソレムニス Music ベートーヴェン:ミサ・ソレムニス

アーティスト:ジンマン(デイヴィッド),オルゴナソーヴァ(ルーバ),ラーソン(アンナ),トロスト(ライナー),ゼーリヒ(フランツ=ヨーゼフ),スイス室内合唱団
販売元:BMG JAPAN
発売日:2002/02/20
Amazon.co.jpで詳細を確認する

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2006年7月 3日 (月)

ベルリン国立歌劇場レハール「メリー・ウィドー」

松岡究です。今日は一年の3分の2はドイツのいろんな会社指導(コンサルタント)をしておられる松田龍太郎さん、通訳のヴォルフラム・ミッテルホイザーさんと3人で国立歌劇場へ参りました。松田さんには色々な面で刺激を受けることが多く、毎月メールで配信される「企業家精神」と「海外こぼれ話」は大変楽しみにしているメールです。

今日18時10分に新しくオープンしたベルリン中央駅で待ち合わせて、そのまま国立劇場へ。時間に余裕があったので、3人で地下のビュッフェで食事をしながら歓談。そして19時30分から「メリー・ウィドー」を拝見しました。

演目  レハール:メリー・ウィドー

ポンテヴェドロン公国公使:ベルント・ツェティッシュ

ヴァレンシェンヌ:シルヴィア・シュヴァルツ

ダニロ:ジークフリート・イェルサレム

ハンナ:ナーディア・ミハエル  他

指揮:マックス・レンネ

演出:ペーター・ムスバッハ

一言でいうと「ひどい!」 その原因は1にも2にもムスバッハの演出にあるでしょう。

まず1幕は南極に旅客機が不時着したと言うところから始まります。こういうシトゥエイションなら普通「皆無事なのか?」「生きているか?」「どうやってここから脱出するか?」等々人間の生死にかかわることを皆想像するだろうと思うんです。それが飛行機を脱出してきていきなり「私は貞淑な妻」だとか「2000万フランで大仕事をやってくれ」だの、こんな時に何言ってんだという感じになってしまいます。音楽も楽しく明るい華やかな物ばかりですから、舞台の暗い場面とは180度違って全くミスマッチ。

つまりわざわざ南極に不時着と言う場面設定に何の意味もないわけです。おまけにその翼で踊ったり、リカちゃん人形よろしく大勢の全くヘアースタイルの同じ金髪のスチュワーデスが出てきて寝そべったり、合唱が皇帝ペンギンのダンスをしたり、翼の下ではぺんぎんの格好のぬいぐるみを着た合唱がよちよち歩きでダンスをしたり、全く手のつけようのない始末。

ムスバッハの「椿姫」にあれだけ感動し、この演出家は凄いと思っていたところにこれだもんね。会場はもう3幕では収拾がつかなくなりつつあり、ブーイングがあちこちで叫ばれ、中には説教じみたことをしゃべりだす人もあり。ペンギンが出てきたときは笑い声があちこちに、面白くて笑っている人とあきれて笑い出す人あり。

カーテンコールもあっさりしたもんであっという間に終わり、お義理とまあ全員そろうまで拍手しといてやろうくらいのもの。昨日とは雲泥の差!

指揮のマックス・レンネ、歌手もそんなに悪くはない。でも舞台と音楽が水と油の全く相容れない関係。こんな舞台を見ながらあの華やかな楽しい音楽を楽しもうなんてできっこありません。

ムスバッハは猛省すべし!!!

折角の松田さんとミッテルホイザーさんと楽しいひと時だったのになあ。これじゃ、お二人にちょっと気の毒。

      hakaru matsuoka

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2006年7月 2日 (日)

ダニエル・バレンボイム指揮ベルリン国立歌劇場「カルメン」

松岡究です。ここ数日涼しい日が続いていましたが、今日からまた暑さが戻ってきたようです。今日のこのカルメンはドマシェンコは前回に引き続きですが、ホセにヴィラツォーンが出るということもあって随分前から売り切れ状態でした。私は6月に入って毎日キャンセルは出ないかとインターネットで検索していたら2枚だけキャンセルが出て、慌てて買いに行き何とか今日のカルメンを見ることが出来ました。

演目:ビゼー 「カルメン」

カルメン:マリーナ・ドマシェンコ

ホセ:ローランド・ヴィラツォーン

エスカミーリオ:アレクサンダー・ヴィノグラードフ

ミカエラ:ノラー・アムセッレム    

フラスキータ:ユーリア・レンペ

メルセデス:スザンネ・クロイシュ

ダンカイロ:ヤン・ツィンクラー

レメンダート:グスタフォ・ペーナ

モラレス:カイ・スティーファーマン

ズニガ:クリストフ・フィッシェサー

リッラス・パスティア:マルティン・フーク

指揮:ダニエル・バレンボイム

演出:マルティン・クシェーイ

この演出で、去年の11月に初めて見たときに、強烈な感激を受けたのを覚えています。今回は2階から見たので、かなりその様子がわかり改めて感激しました。

まず、前奏曲の後半、死のテーマが出てくるところはホセが銃殺されるところから始まります。そして4幕の最後でカルメンを刺し殺したシーンと、ホセとカルメンを争ったエスカミーリオが闘牛で絶命して運ばれるところのシーンが重なり、ホセは銃殺されて幕になるんです。つまりここで最初の銃殺のなぞが解けるんですね。観客は前回もそうでしたが、ここでいっせいに「オ~~」とため息をつきました。

一貫した「死」に対する、あるいは「死」をモチーフにした演出家のドラマの作り方が素晴らしく胸に迫ります。その証拠に子供の合唱は1幕ではピットの中で、4幕ではバンダで歌わせ、エスカミーリオが登場するところの例の追っかけの部分は子供のコーラスはカットされ、大人のコーラスだけで歌われます。つまり一度も舞台に顔を出さないんです。つまりどういうことかというと子供が出てくるとそのかわいらしさや生気に、ドラマがピンボケになることを完全に嫌がったに違いないと私は思います。

4幕でのコーラスは全員が白装束、顔も白く塗っています。つまりゾンビ集団があのコーラスを歌っているわけですね。ですから「殺し」のシーンの舞台裏のコーラスは舞台上で歌われ、ホセとカルメンを取り囲むようにして迫ってきます。「死」の世界に引きずり込もうとしているんでしょう。この演出は強烈です。

音楽面では、まずカルメンのドマシェンコとホセのヴィラツォンが二人とも素晴らしく圧巻。バレンボイムの鷹揚たるテンポにもものともせず、素晴らしい声と演技で聴衆を魅了しました。ミカエラのアムセッレムは線は細い物の、健気さをよく表現していましたし、エスカミーリオのヴィノグラードフも声が少々軽いのが気になりましたけど、かっこいいエスカミーリオを演じていました。それに端役ですが、ズニガのフィッシェサーが素晴らしい演技でした。

バレンボイムは悠揚たるテンポと緊張感のある音楽を作り上げ、私にしてみれば音楽の別の可能性を色々見せてくれて大変勉強になりました。6月28日と今日は私にとって大先生になりました。

終演後は会場はブラボーの嵐、そしてスタンディングオベイション。約15分間拍手は続きました。

     hakaru matsuoka

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