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2006年6月28日 (水)

レナート・パルンボ指揮「エルナーニ」ベルリンドイツオペラ

松岡究です。ベルリンドイツオペラが5月の初めに休館に入り改装している間、ベルリンドイツオペラは色々と演奏旅行に行っていたようです。そして今日久しぶりにベルリンでの公演。場所はフィルハーモニーを借りての演奏会形式の公演でした。指揮は次期の音楽監督に決定しているレナート・パルンボ。ドイツオペラの今後を占う上でも今日の公演は楽しみにしていた公演のうちの一つでした。

演目   ヴェルディ 「エルナーニ」

エルナーニ:サルヴァトーレ・リチートラ

ドン・カルロ:ラド・アタネーリ

ドン・ルイ・ゴメツ:ジャコモ・プレスティア

エルヴィーラ:シルヴィー・ヴァレイレ 他3名

指揮:レナート・パルンボ

総じて良い公演でした。パルンボはこの珍しいオペラを実に良く研究していて、歌手・オケ・合唱に的確に指示を与え、あまり目立ったメロディーを持っていない地味な曲を面白く聞かせてくれました。またその指揮スタイルが飛んだり跳ねたりするので、アンサンブルがやりづらいと思われる反面、音とリズムに明るさがでて、この次期のヴェルディの作品の脆弱さをよくカヴァーしていたと思います。

歌手は上記の男声3人がとても充実していてヴェルディの声にふさわしく、大きな拍手とブラボーを受けていました。特にルチータとアタネーリは「これぞイタリアの声」と言わんばかりの絶唱!

反面女声の主役のヴァレイレはこの3人に比べるとかなり聴き劣りがしました。発声が地声そのもので、母音によって響きが違って不安定になり、かなり叫んでいたという感じ。この重要な演目に、女声の主役に彼女クラスの人しか用意できないところに、いまのドイツオペラの危機、あるいは問題があるのでしょう。彼女なんかよりずっとうまい日本人歌手は何人もいます。

パルンボは9月からドイツオペラの音楽監督ですが、ほとんどイタリア物しか指揮しない彼が、例えばウェーバーの「魔弾の射手」をプレミエに出したり、ワグナーのリングを演目に入れたりと(指揮はランニクルズ)、かなりドイツオペラを意識しているのは明らかです。今日を聴く限り、期待して良いのではないかと思いました。

   hakaru matsuoka

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