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2006年6月29日 (木)

ベルリンコーミッシェオパー「椿姫」

松岡究です。今日はかなり肌寒く20度くらいしかなかったようです。私は出かけるときに半袖で出たんですが、あまりに寒いので引き返して長袖に着替えなおしたほどです。

演目   ヴェルディ  「椿姫」

ヴィオレッタ:ノエミ・ナーデルマン

アルフレード:マルク・へラー

ジェルモン:アントン・ケレミトチーフ   他

指揮:マルクス・ポシュナー

演出:ハリー・クプファー

この演出を見るのは3度目です。見るたびにあまりの美しさと哀しさに涙してしまいます。それは舞台が黒と言う基調に鏡をふんだんに用いていること。そしてなんと言っても3幕でヴィオレッタがアルフレードの手紙を受け取った後から、シーンは彼女の想像、回想のシーンになり、例えば「パリを離れて」は決してヴィオレッタとアルフレードは会うことなく彼女の想像として描かれるんです。そして誰にも見取られることなく孤独に死んでいく。聞えてくるアルフレードやジェルモンの声は全部幻影・幻聴になるんです。そこがたまらなく哀しく美しい。やはりクプファーは天才でした。

先日ムスバッハとシェーファーの「椿姫」をお伝えしましたが、あれも素晴らしい衝撃的な椿姫でしたが、こちらも負けず劣らず素晴らしいです。

このコーミッシェオパーの「椿姫」は今日主演したナーデルマンのための演出作品です。彼女はクプファーの大のお気に入りで、彼の秘蔵っ子だったそうです。そのせいでしょうか、演出家の意図が良くわかっていると見え一挙手一投足に意味がある演技でした。歌も以前聴いたほかの作品とは比べ物にならないくらい素晴らしく、彼女もこの「椿姫」の為に歌手になったような人なんだろうなあ、と思いました。

ジェルモンのケレミトチーフも素晴らしい声と舞台栄えのする体躯をもって圧倒的な存在感を示していましたし、アルフレードのヘラーも安定した歌いっぷりでブラボー。

指揮のポシュナーは、やりたいことがたくさんあるようなんですが、まだ硬さがあって音楽がワンパターンになりがち。ただとても才能豊かな指揮者で、これからが大変楽しみです。私はこれから彼のことは注目して行きたいと思っています。

    hakaru matsuoka

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