サイモン・ラトル指揮ベルリンフィルハーモニー管弦楽団 定期演奏会
松岡究です。稀代の名演でした。
曲目:ストラヴィンスキー:オルフェウス
ニールセン:フルート協奏曲 ソロ:エマニュエル・パユ
ブラームス:交響曲第4番
今日も午前はGPを聴きに行って、夜コンサート。ゲネプロからベルリンフィルはアッバードやハイティンクとは違い、本気モード。これは凄い演奏だなあと朝から思っていました。勿論時々とめて、色々注文を出してるんですが、見事に変わるんです。
本番:最初のストラヴィンスキーは、1946・7年の作品で、有名な振り付けしバランシンの委嘱で作られました。びっくりするくらいと言うと大げさですが、しっかりした調性とシンプルで幻想的な30分ほどのバレー作品。ラトルは実によく作品の持ち味を出していて、佳演。
ニールセンのフルート協奏曲はもうパユの独壇場。実に鮮やかにこの難曲を吹ききっていました。ラトルもこういった作品には音色的な相性がよくあっていて、透明感のあるそしてよく歌っている演奏でした。パユはこの後ブラームスのもオーケストラプレイヤーとして載り、例のソロを勿論鮮やかに吹いていました。ソロもやりオケもやる、それも同じ演奏会で。やはりこのオケのメンバーは怪物君がそろってます。(今年5月にプラハでバレンボイムが振ったヨーロッパコンサートではホルンのバボラークがモーツァルトの1番の協奏曲を吹き全ステージオーケストラプレイヤーとして出ていました。)
理想的なブラームス。つまりこういう風に振ってみたいと思い描いていたものがそこにあったんです。最初の出だしから、陰影が濃く、必然としてのアゴーギク(テンポの変化・揺れ)があり、歌があり。こういうときは本当に言葉は無力になります。本当に凄かった。現代の指揮者に限らず演奏家は理性でテンポの揺れとかフォルテだのピアノだのをコントロールする人が多いですが、ラトルは感情と心と精神的な何かで曲を彫っていくんです。そしてぎりぎりのところで理性を失わずコントロールしているんです。
聴きながら、高校の時ヘルマン・ヘッセの「知と愛」に痛く感動し、また右脳と左脳の話に驚いたことが蘇ってきました。彼は本当に理性と感情が見事に融合し一体になった素晴らしい指揮者です。
これは私の推測ですが、4番は満を持しての演奏だったのではないかと思います。いつも現代ものを中心にマーラーやストラヴィンスキーなどを演奏してきた彼が、まずベートーヴェンに取り組み、そしてブラームスに取り組み始めたのではないかと思っています。以前に2番をやったそうですが、これから多分2・3年おきに残りの1・3番が登場するのではないかと言うのが僕の読みです。(来シーズンは1番をティーレマン、2番をハイティンク、3番をアッバードが振ることになっています。ラトルがハイドンを集中して取り上げる10月は面白いかもしれません。)
hakaru matsuoka
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コメント
おはようございます。お久しぶりです。パユのブラームス4番のフルートソロ、私も聞いてみたかったです。ブラームスの交響曲は大好きで、全曲是非トップで吹いてみたいと思っているんですが実現できるかどうか・・・?それはおいて、ブラ4トップをやったとき、例のフルートソロはかなり悩みました。事前にプロの演奏会も見に行ったし、先生にも見てもらったりして、勉強しましたが、本番での演奏はやはり自分としては納得できるものではなかったです。まだ、演奏人としては未熟なんでしょうね。パブロカザルスのようにひとつの曲を何年も何回も弾きこんで解釈を深めていかなければならいですね。また、練習を再開しようかと思いました。
投稿: あおのかえる | 2006年6月 7日 (水) 09時32分