ベルリンの主席指揮者たち
松岡究です。ベルリンの主だった歌劇場とオーケストラのシェフは今の所全て所謂外人なんです。
ベルリンフィル・・・サイモン・ラトル、ベルリン交響楽団・・・エリアフ・インバル、ドイチェスシンフォニー・・・ケント・ナガノ、ベルリン放送交響楽団・・・マレク・ヤノフスキ、ベルリン国立歌劇場・・・ダニエル・バレンボイム、ベルリン・コーミッシェオパー・・・キリル・ぺトレンコ、そしてベルリン・ドイチェオパー・・・昨年2月まで唯一ドイツ人だったクリスティアン・ティーレマンが辞任しました。今は空席。
この中でインバルは今季限りでベルリン交響楽団を離れ、代わってローター・ザグロセグが就任、ドイチェスシンフォニーはケント・ナガノがミュンヘン・シュターツオパーへ行くことから主席を辞任、主席客演指揮者に転向します。代わってインゴ・メッツマッハーが就任します。またコーミッシェオパーのキリル・ぺトレンコはもう1シーズンやった後に辞任することが決まっています。この後任はまだ未定です。ドイチェオパーは空席だった音楽監督にレナート・パルンボを指名。活気を取り戻しつつありますが、今季ドイチェオパーはイタリエーニッシェ・オパーになった感じで、レパートリーの80%はイタリアオペラが占めています。しかし今季それがある意味で不評を買ったこともあり、来期は「リング」をランニクルズで、またパルンボも「魔弾の射手」を自分で振ってプレミエを出すなど、ドイチェオパーへの復帰?を目指そうとしているかのようです。
ベルリンは誰もが認める世界的な音楽市場です。そこに一人も独墺系の指揮者がいないと言うことを、そんなに問題にしていないのかもしれません。しかしティーレマンが突如辞任して去って行ったのは皆が残念がり「ベルリンの損失」だと嘆きました。グローバルな視点で見る限りベルリンの指揮者がドイツ人であろうとなかろうとそれは大きな問題ではなく、やはりむしろ質がいつも問われているということでしょう。いつも高品質な演目を提供していくと言う使命がこの都市にはあるのではないでしょうか。だから私のような者にとってこのベルリンはかけがえない、大変面白い都市であるのです。
hakaru matsuoka
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