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2006年4月 1日 (土)

マレク・ヤノフスキ指揮ベルリン放送交響楽団定期

松岡究です。今日はヤノフスキ指揮のベルリン放送交響楽団の演奏会。曲目はモーツァルトの「セレナータ・ノットゥールナ」と2曲のソプラノのコンサートアリア、後半がシューベルトの交響曲第8番「ザ・グレート」。最初のノットゥールナは大変品のいいそれでいて引き締まったいい演奏でした。昨今一般のオーケストラも古楽器の影響を受けその奏法を取り入れる傾向が強まっているように感じます。ベルリンでも然り。今日の放送オケ、そしてドイチェスシンフォニーは完全にその奏法を取り入れた演奏をします。それが言いか悪いかはまた別の問題ですが、私は大切なとこだと思います。楽員がその奏法を勉強することで演奏能力が一段と幅広くなると言う利点があるからです。私のいるコーミッシェオパーでもそういった奏法を積極的に取り入れようとしています。しかしここでも年代の格差、世代間格差があり古参の楽員は全くそれに付いていけず、其のためにオーケストラ響きの中に濁りが生じるんですね。

2曲目3曲目は今日予定されていたソプラノのマリン・ハルテリウスが3日前に病気で歌えなくなり、急遽アンネッテ・ダッシュという若手が呼ばれました。3日間で準備したとは思えないくらい彼女は立派に歌ってました。少々音程がぶら下がる時も散見されましたが、持ち前の気品がこの飛び込みの仕事を救っていたように思います。曲はKv272のah,lo previdiとKv505のch'io mi scordi di teの2曲でした。どちらも大曲で演奏時間は15分ほどかかります。特に2曲目はピアノコンチェルトにソプラノソロが付いたような異色の作品。

休憩を挟んで、大交響曲も実に引き締まったいい演奏でした。冒頭のホルンがプファッとやらかしてしまったのは甚だ残念でしたが、ヤノフスキのアプローチは成功していたと思います。この曲は歌ではなくまずリズムに着眼しないとドツボに嵌ってしまう恐ろしい曲ですが、さすがにヤノフスキはそのことは充分承知で、オーケストラから張りのある音楽を引き出していました。聴衆も大変に沸いて心地よい演奏会でした。N響に来たヤノフスキとは全く異なるエネルギッシュな指揮で、ちょっと見直しました。N響に来たときは腕の良い、でもあまり面白くない職人のような印象だったんですけどね。

          hakaru matsuoka

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