バレンボイム指揮ベルリン国立歌劇場「トリスタンとイゾルデ」プレミエ
松岡究です。今日からバレンボイムとベルリン国立歌劇場が毎年イースターに行っている「フェストターゲ」から、今日はその初日、ワグナーの「トリスタンとイゾルデ」のプレミエでした。
演出:シュテファン・バッハマン。
配役 トリスタン:ペーター・ザイフェルト
イゾルデ:カタリーナ・ダライマン
マルケ王:ルネ・パーぺ
ブランゲーネ:ミシェル・デヤング その他
先日コーミッシェオパーを聴いた時に疑いなくベスト5に入るといいましたが、この公演を聴いてベスト10に幅広修正しなければなりません。バレンボイム他、演出・歌手陣すべて素晴らしい出来で満足!!
まず演出ですが、バッハマンは舞台の上方と下方を使わず、あたかも映画を見るように空間を絞り込み、その絞り込んだ空間には白い布とその凹凸、そしてライティングだけで最初からこの大きな恋愛叙事詩を幻想的な世界に誘うのに成功していたと思います。大変美しく動きはほとんど無いのですが、何を言わんとしているのかがよくわかって秀逸。
歌手たちは上記の4人が圧倒的に素晴らしかったです。勿論この4人が素晴らしいことはこの上演の成功をそのまま物語るのですが、特にマルケ王のルネ・パーぺは豊かな声量と圧倒的な存在感で聴衆から誰よりも一番多く拍手とブラボーをもらっていました。ペーター・ザイフェルトも素晴らしいトリスタンで、最初から最後まで声は全く疲れることなく、緊張感を持って歌いきって見事。ブランゲーネのデヤングも登場こそ少ない物の、その声は聴く物を納得させるのに充分。そしてイゾルデのダライマンも素晴らしい感性と音楽性で、特に最後の「愛の死」は泣けてきました。勿論それはバレンボイムの音楽作りの素晴らしさにも寄ることが大きかったのは事実ですが。
最後にバレンボイム。今まで私は例えばN響でやったシューマンの4番、シカゴ響とやったブラームスの1・3番、ブダペストに留学していた折、リスト音楽院の学生たちとチケットもぎりのおじさんを強行突破してただで聴いたベルリンフィルとのブルックナーの5番、そして昨年のマーラー「大地の歌」、あるいは「ニュルンベルクのマイスタージンガー」とそんなにたくさんは聴いていないのですが、今ひとつピンと来なかった、そして今まで全くバレンボムの良さがわからずにいた私にとって、今日はバレンボイムの見方が変わった記念すべき日かもしれません。彼のカーテンコールはオーケストラピットが上まで上がってそこでライトアップされると言うかっこいいカーテンコール。数人ブーイングしていましたが、ブラボーが大多数を占めていました。今日の音楽作りは雄大かつ繊細でレパートリーでやっていた「マイスター」とは大違い。ともすると完璧を目指すあまり、音楽が硬質になって音楽の顔がしかめっ面している感じになってしまうのが彼の欠点だと思うんです。でも今日は違いました。彼のいいところばかりが出たのではないでしょうか。
hakaru matsuoka
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コメント
バレンボイム。。聴いて見たかったわ!(-_-;)
でも、その素晴らしい心に残るBest10,か5の公演をQchanが見れて良かったです!(^^)v
それが、全てQchanにとっての音楽にプラスとなり豊かな音楽作りの肥やしとなる事を祈ってます
(^_-)-☆
投稿: イリス | 2006年4月 9日 (日) 12時29分
イリスさん、ご一緒じゃなかったのですね。
肥やしに、、、わたしも同感です。
投稿: momma | 2006年4月10日 (月) 14時56分