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2006年4月10日 (月)

バレンボイム指揮ベルリン国立歌劇場「パルジファル」

松岡究です。昨日に引き続き「フェストターゲ」の2日目、ワグナー「パルジファル」を聴いて(観て)きました。

指揮:ダニエル・バレンボイム

演出:ベルント・アイヒンガー

配役

アンフォルタス:ハンノ ミュラー・ブラッハマン

ティトゥレル:ジェームス・クレスウェル

グルネマンツ:ルネ・パーぺ

パルジファル:ブルクハルト・フリッツ

クリングソール:クリストフ・フィッシェサー

クンドリー:ミハエラ・シュースター  その他

昨日も素晴らしかったですが、今日はもっと素晴らしかった。なんと言ってもバレンボイムが充実していて、悠揚たるスケールの大きな音楽。バレンボイムにはトリスタンよりパルジファルの方が合ってるんじゃないでしょうか。昨日も官能的かといえばそれはちょっと違うかなと。昨日のブーイングはその辺に原因があったのではないかと、今にして思えばですが。昨日は小さな傷が散見されましたが、今日はバレンボイムとシュターツカペレはほぼ完璧。前奏曲からバレンボイムは魂がこもっていたと言うか、彼がうなり声を上げたのは今まで聞いたことが無く、それほど彼は何か天からのインスピレーションがあったんではないかと思います。16時に始まって22時10分に幕が降りるまで、バレンボイムとオーケストラは全く緩むことなく、確信に満ちた充実した音楽を聴かせてくれました。バレンボイムの底力を痛切に感ぜずにはおれません。今日のカーテンコールはオーケストラとバレンボイムがみんな舞台に乗ってのカーテンコール。バレンボイム流と言うのでしょうか。かっこいいですね。演奏が終わるとオーケストラはくもの子を散らすようにピットからいなくなったんです。なるほどこのためだったんですね。オーケストラもこのカーテンコールは嬉しいでしょう。

演出も大変素敵でした。総じてスクリーンを多用した演出でしたが、それが大変効果的でした。まず前奏曲から舞台には地球と太陽を人工衛星から見るようなスクリーンが美しく神秘的に映し出されます。私は中学の頃から前奏曲と聖金曜日の音楽は聴いていたのですが、時間が止まったようなゆったりとした流れの音楽になかなかついていけなかったんです。今日のこの演出を見た瞬間「そうか、そういう音楽だったんだ」と一瞬にして悟ったような気持ちにさせられました。そうなんですよ~! 前奏曲が終わると一転して大きな柱を舞台に並べ立てて、神秘的な森を予感させるような舞台。そしてアンフォルタスが登場すると、そこはエジプト風の舞台に転換。2幕は乙女たちの花園が最初から暗黒の花園として描かれ、3幕に至っては、今度は絵画風なモノトーンの舞台。(とても美しかった)それが聖金曜の音楽を境に照明がそれに黄金色をつけていく。とにかくパルジファルの筋の展開を損ねたりすること無く、もっと崇高にまた色々なことを考え築かせてくれる舞台でした。

歌手陣では昨日に引き続き、ルネ・パーぺのグルネマンツがやはり素晴らしい。昨日そして今日と彼の存在感は圧倒的でした。クンドリーを歌ったシュースターもまた表現力豊かで圧巻!2幕は彼女のためにあったようなもの。パルジファルを歌ったフリッツもとてもいいテノール。最初の朴訥な感じから最後の自分が支配を宣言するまでのドラマをもう少し見せてほしかったとは思います。ティトゥレルを歌ったクレスウェルは実はコーミッシェオパーの専属歌手。とてもいい奴です。しかしこの配役の中に入ると1.5級の感じは否めません。まだ若いのでこれから精進してほしいと思います。

と言うことで、今日のパルジファルは昨日よりMUCH BETTERでした。

     hakaru matsuoka

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