トン・コープマン指揮ベルリン・ドイツ交響楽団「十字架上の7つの言葉」
松岡究です。きょうからイースター。お昼を食べようと思って外へ出てみると、軒並み商店は休み。行きつけのベッケライも休み。仕方ないので「スーパーにでも行って買出しでもしよう」と思ってスーパーに行ったらここも休み。大手のスーパーは全部休み。「どうしよう。お腹すいた~」と探し回ってありました、一軒だけケバブ屋さん。「昨日もケバブ食べたばかりなのに~」と、仕方なく2ユーロ20セント払って何とか飢えを凌ぎました。そうするともう一軒ベッケライが開いていました。「明日からのパンを仕入れなきゃ」と言うことでそこに入って、イースター用の丸い大きな甘いパンを買って家路へ。月曜までイースター。思いやられます。
さて今日からベルリンドイツ交響楽団が3日間「イースター・スペシャル」と題したコンサートをやるんです。今日はその一日目。
曲目はハインリッヒ・シュッツの「十字架上の7つの言葉」とハイドンの「十字架上の最後の7つの言葉」の2曲。休憩なしのコンサート。指揮はトン・コープマン、合唱はベルリン放送合唱団。
シュッツの作品は20分ほどの作品で、最初に合唱でイエスが十字架につけられている様子を歌い、続いてシンフォニア、そして合唱の中の何人かがソリストを勤めながら、7つの言葉を歌っていきます。そしてシンフォニアが再び演奏され、最後に合唱で神の恩寵と永遠の愛を歌って締めくくられます。コープマンの演奏はとても丁寧でかつ生き生きしており、シュッツの言葉と音楽が一体になったこの傑作を美しく表現してくれました。それにしても私が聴いてもシュッツの作品は言葉と音楽がマッチして、言葉が自然に聞こえてきます。シュッツの天才たる所以でしょか。
次に演奏されたハイドンの「十字架上の最後の7つの言葉」は通常弦楽4重奏でやる版ではなく、2管編成のオーケストラ版。この最後の7つの言葉の意味とドラマを知っている人にとっては、とても充実した70分であったと思います。コープマンは弦にも管楽器にもノンビブラートを要求していたようで、実に透明な柔らかい素朴な音が支配していました。曲は最後の「地震」のところだけほんの2分くらいプレストになるだけで、イントロダクションと7つの言葉を意味する7つのSONATAはすべてスローな曲でした。それだけに先ほど言いましたように、その意味するところがわかっていなければ、ちょっと聴くのに骨が折れるかもしれません。しかし7番目のSONATAでそれまで全て4拍子の曲が3拍子に変わった途端に、4拍子と3拍子はこんなにも音楽的緊張感が違う物なのかと改めて思い知らされました。それはコープマンの音楽作りが成功していたためだと思います。そして地震の場面で初めてティンパニが叩かれ、天地創造を髣髴させるような音楽の表現力に驚きました。
hakaru matsuoka
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コメント
そのハイドンの7番に入る前と後との緊張感の違い(4拍子と3拍子)も聞いてみたいわ。
投稿: イリス | 2006年4月15日 (土) 11時13分