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2006年4月24日 (月)

ローター・ツァグロセク指揮ベルリン交響楽団 モーツァルト「偽の女庭師」演奏会形式

松岡究です。昨日・一昨日に引き続き今日も演奏会形式によるオペラのコンサート。

曲目:モーツァルト「偽の女庭師」

配役

ポデスタ:クリスティアン・エルスラー

サンドリーナ:スンへ・イム

ベルフィオーレ伯爵:ジェレミー・オヴェンデン

アルミンダ:ユッタ・ベーネルト

ラミーロ:エリザベス・フォン・マグヌス

セルペッタ:ゾフィー・カルトホイザー

ナルド:ミハエル・ナジ

指揮:ローター・ツァグロセク

初めに序曲が始まった途端にその余りのアンサンブルのひどさに耳を疑って、「来るんじゃなかった」と思ったのですが、曲が進むに連れてオーケストラは実に素晴らしい音になっていきました。ここでは所謂古楽器的な奏法は全く取っておらず、以前からの伝統的?(オーソドックスな)弾き方。歌手たちも初めは固くて表情に乏しく生気がない演奏でした。しかし第5曲でミハエル・ナジ(彼はコーミッシェオパーの専属歌手です)がオパーで鍛え上げた芸でニュアンス豊かにアリアを歌うと、やっと会場から拍手。これ以後皆どんどん調子を取り戻してきて、この作品が素晴らしい作品であることを立証しました。

ソプラノのスンへ・イム(韓国人)は予定されていたルート・ツィーザクが急病のための代役。しかし彼女は持ち前の音楽性と透き通った声でこの代役を見事に歌いきりました。その他にカルトホイザーとベーネルトも素晴らしい発声技術を持った良い歌手。ただフォン・マグヌスはこの歌い手の中でちょっと聴き劣りしました。まず喉声であること、声が他の歌手たちに比べて広がり気味で、明らかにテクニックを持ち合わせていないのが良くわかって、却って気の毒。テノールの2人はまあまあかな。

ツァグロセクは以前あまり好きでなかったと書きましたが、今回は彼の本領発揮。オペラ指揮者としての腕をはっきりと見ました。演奏会形式でありながら、歌とオケのバランスは抜群!歌手の声量に即座に合わせることが出来るのはオケも素晴らしいけど、ツァグロセクの力だと思います。歌手に自由さを持たせながら手綱をしっかりと引いてコントロールしているのはさすがです。

この公演はセッコ(レシタティーフ)の部分を2人の役者が別に台本を作って聴衆にわかりやすくしていたことは、オペラの演奏会形式の形としては成功していたと思います。

ツァグロセクは9月からこのオケの主席指揮者になりますが、その前のお披露目としては最高だったのではないでしょうか。

    hakaru matsuoka

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