ベルリンコーミシェオパー「オレスト」
松岡究です。6日にご紹介した米沢美佳さんのトリオ名は「アルテニウストリオ」、そして古楽器の合奏団は「ブロッケスアンサンブル」と言う名前だと言うことです。これからこのグループ名もどうぞ覚えてください。宜しくお願いいたします。
さて今日の本題ヘンデルのオペラ「オレスト」。指揮はトーマス・ヘンゲルブロック、演出はスバスティアン・バウムガルテン。先月26日にプレミエを出した新作です。プレミエには行けませんでしたが、米沢さんによると終わったとたんに物凄いブーイングが起こったということ。それは特に演出家に対してのブーイングだったようです。今日は逆にブラボーばかりの公演でした。
まず演出が映像ばかりに頼りすぎて、肝心の歌手たちの歌の心理や心が見えにくくなってしまったことがこの演出の悪いところだと思いますね。逆に映像の面白さもあったので、これも好みの問題に分かれるところでしょうか。次に音楽。指揮のヘンゲルブロックはこの前のマックレーシュと全く違う音楽作りでした。これは米沢さんの旦那さんのクライフさんから伺ったことですが、バロック音楽において、ピノックやガーディナーなどのイギリス系の音楽作りとコープマン、ブリュッヘンなどのオランダ系の音楽作りは大変対照的だということです。マックレーシュはイギリス系、今回のヘンゲルブロックはオランダ系ということでしょうか。ヘンゲルブロックは奏法として意図的に雑音を混ぜる行き方なんですね。ですから音楽がごついと言うか武骨な感じになります。逆にマックレーシュはエレガントで流れるような感じ。どちらかと言うと僕はイギリス系の方が好みなんですけど。しかし出てくる音楽の新鮮さはどちらも譲らず、飽きることなく聞かせてくれました。2人とも音楽に生命力を感じさせてすばらしいかったし、ヘンデルがまたすばらしい音楽。今回は休憩なしの2時間半でした。
ヘンゲルブロックは奇抜なアイデアが一つの売り物らしく、例えば今日のレシタティーフはアコーデオンとマンドリンで行っていましたし、その中にこれも意図的に不協和音や12音的な音を混ぜるなど、大変奇抜。しかしそれが変に演出の現代性とマッチしていて違和感がなかったり、ずいぶんと面白い体験でした。
ただ2人とも指揮の技術のおいては多少問題があり、アンサンブルに破綻をきたしていたところが散見されたのは残念でしたね。マックレーシュは「アルティーナ」は良かったんですがオーケストラの演奏会において、ヘンゲルブロックは今回のこの公演において。
hakaru matsuoka
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