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2006年2月18日 (土)

コーミッシェ・オパー管定期公演

松岡究です。今日はコーミッシェ・オパー・ベルリン(KOB)のオーケストラ定期です。KOBは年に8回定期をやっていますが、定期を始めたのは、まだ10年前くらいのことだそうです。前任のヤーコフ・クライツベルクが始めたと聞きました。ですからKOBがオーケストラ定期に進出してから、ベルリンにはベルリンフィル、ベルリン響、ベルリン放送、ドイチェスシンフォニー、そしてシュターツオパー管、ベルリンドイツオパー管、そしてKOBと主に7つのオーケストラが存在します。

さて今日は、先日お知らせしたようにPaul Mccreeshの指揮により、Louise Farrenc:序曲第1番e-moll op.23   Witold Lutoslawski:Doppel-Konzert Fuer Oboe & Harp そしてL.v.Beethoven :symphony No.3 Eroica 以上の3曲が演奏されました。最初のFarrencはフランスの作曲家で、古典派に属する作曲家です。マックレーシュはこの曲を実に爽やかに、生き生きと指揮していました。次のルトスラウスキーの2重協奏曲はオーボエとハープそして7人のヴァイオリン、2人のヴィオラ、2人のチェロのコントラバス1人、打楽器2人と言ういでたち。私はこの曲の最初にリハーサルから付き合ったのですが、最初は何じゃこりゃ!の世界だったのが、オーボエとハープを入れて2日目のリハーサルが行われた時から 俄然面白くなってきました。奏者一人一人がソロとしてアンサンブルをなし、緊張とサイレンスのコントラストが実にうまく書けている作品でした。オーボエとハープの2人はとても名手で、最後はアンコールまで飛び出す始末。(現代音楽をやってアンコールは珍しいでしょう)何と2人でショパンの「子犬のワルツ」をやったんです。目にも留まらぬほどの指の回り方。あっけに取られるとはこのことでした。この名手2人の名前は、オーボエがNigel Shore 、ハープがRegina Herwig と仰います。   

休憩を挟んでエロイカ。実を結うとオーケストラのメンバーはこの指揮者に対して物凄くブーイングだったんです。つまり指揮のテクニックが追いつかない所があって、アンサンブルに支障をきたしている部分が何箇所かあって、それが解決しないまま本番だったんです。ある日本語を少し操れる団員は「へたくそ」と言っておりました。しかし私は彼の持っている音楽と方向性がとてもよいと思っていましたから、そんなことは全く気になっていませんでした。結果は大成功とまで行かないけど、とてもいい演奏でした。彼のテンポはベートーヴェンの指定どおりの付点2部音符60の速度。それが速いとも何とも思わなせないんですね。つまり歌っているわけです。歌が速いテンポの中にちゃんと存在するんです。

指揮者として今回は昨日のギルバート・ベルリンフィルよりうんと面白かったし、勉強になりました。彼と友達になれればいいんだけど。

   hakaru matsuoka

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