ベルリンドイチェオパー「アラベラ」
松岡究です。今日のベルリンはとてもいい天気ですごく気持ちの言い一日でした。といっても寒いですよ。今日はドイチェオパーでR・シュトラウスの「アラベラ」を見てきました。今月の12日にプレミエを出したばかりですが、今日が最終回の日です。指揮は新国立劇場でフィガロを振ったウルフ・シルマー、演出はアレクサンダー・フォン・プファイル。先ず一番目を耳をひきつけたのが、アラベラを歌ったミヒャエラ・カウネ。本当にすばらしかった。シュトラウスのあの流れる旋律の曲線を実によく歌い上げていました。マンドリカも悪くはなかったですね。ただアラベラが良いのでそれに隠れてしまったような感じですね。(小森君そんなに悪くなかったよ) ただ声が足りないというかいい声してるんだけど声に華がないというか、ん~、実に難しい、こればっかりは本人の才能の問題?
指揮のウルフ・シルマーがまたすばらしかったですね。ブログの最初の方の記事でちょっと触れましたが、ちょうど1年前ティーレマンが辞任する直前のR・シュトラウスも本当にドイツ人がシュトラウスをやったらこんな音になるんだというお手本のような、濃厚でそれでいて美しく、私にとっては大変満ち足りた時間を過ごさせていただいた、そんなシュトラウスを聴かせてくれたとお伝えしたと思うんですけど、シルマーのは、ティーレマンのよりも柔らかくて明るいシュトラウス。しかし舞台のコントロールもオケのコントロールも実にうまく、自家薬籠中とはこのことかといった感じですね。この人ほどコンサートよりもオペラが向いている人はいないんじゃないかな。
演出は例によって現代風の演出。だから舞踏会も何もありません。身分の高さというか金を持ってるんだということで、車の種類はわからないんだけど、マンドリカはロールスロイスのような車に乗って現れました。逆にアラベラやズデンカはV・ワーゲンのようなの5ドアの大衆車。その他求婚者たちもジャガー?のようなスポーツカータイプの車だったりということです。だからシュトラウスの甘い旋律にはちょっとなじまなくて僕は見るのに苦労しましたけれど、最後のアラベラとマンドリカのシーンは雪を降らせていたんだけど、これは今まで見た雪のシーンではぴか一に綺麗でしたね。延々何分だろう、10~15分くらいずっと雪が降っていて、そこであの2重唱はジ~ンときました。雪にも仕掛けがあって本当にきらきらゆっくり降ってくるんです。作品の性格上大成功にはなかなかならないけど、大変上質な上演だったと思います。(大成功しやすいのは、言うまでもなく「サロメ」「エレクトラ」「薔薇の騎士」あたりでしょうね。こんなこと書くとしかられてしまいますかね。)
hakaru matsuoka
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